戦闘回は一旦終わりです
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(この状況に至るまでの経緯について)
《星 陸斗》(以後リクトと呼ぶ)は魔術協会に所属する魔術師であるが借金を抱えている。ある日、聖杯戦争への参加権を獲得した彼は借金返済の為に積極的に参加する事になった
そして、開催地であるこの冬木市に到着するや否やランサーのサーヴァントの襲撃に遭う
ただ、幸いな事に襲撃前にサーヴァントを召喚を行なっていた為、辛くも難を逃れる事に成功した
ロードエルメロイ二世の報告書より
一部を抜粋
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冬木市、深山町の北西に位置する宿屋がある
元々は古くなったアパートだったが、新しいオーナーが改築し、旅行者用に小さいホテルとして部屋を貸し出すと言う経営をしている
要するに簡易宿泊所だ
さて、今此処で何が起こっているのか見てみよう
宿屋の外には三人の男
一人は青いタイツに槍を武装した二十代後半の男
対するは黒シャツにGパンの十代後半の青年
その後ろでただ突っ立ているネイビーカラーのスーツを着た二十…いや三十代後半のサラリーマン風の男
辺りは一帯は銃撃戦でもあったのかと言うほど悲惨な状況で、道路や塀 あまつさえ電柱がボロボロになっている
そう、此処では戦闘が起こっていたのだ
青タイツの男ランサーはスーツ姿の男に呟く
「学者でルーラーとは随分と変わってるな」
スーツ姿の男 ルーラーが答える
「正体を知っているとは意外だな」
どうやらバレないと思っていたらしい
その疑問についてランサーも答える
「そりゃコッチに現界する際に事前の知識くらいは入っているさ、中学の社会くらいの教養はあるぜ」
ルーラーはフムフムと頷いた
「言われてみれば、EUの我々がいきなり日本語を喋れるのは教養をインプットされているからか…」
勝手に納得したルーラー
見ているコッチとしてはハラハラドキドキが止まらない
殺し合いの最中に何を分析しているのだ!と叫びたくなる
ランサーがハア〜と溜息を吐く
「ウチの主人も何考えているんだか…」
やはりコレは誰かの差し金
コッチの状況を知っている物の犯行か
「雇い主に不満があるのかね?」
そこを聞くか?とまた叫びたくなった
「まあな…割り切っているつもりだけどよ」
だがランサーは続けて本音を語る
「けどよ…よりにもよって裁定者に突っかかているとは思っても見なかったぜ」
と言った瞬間
ランサーは構えた
その目は俺ではなくルーラーを見据えていた
「しかし解せねえな…ルーラーとは言え学者風情がどうやって俺の宝具を防いだのか」
同時に突撃する
槍はルーラーに矛先を向けた
「ご教授願おうか! 裁定者!」
攻撃…と思いきや
「ーーーッウグッ!」
ランサーは動かない
いや…動けないのか?
拘束を受けているかのように
ピタっと止まっている
だがロープも見えなければ
結界が張られている訳でもない
だが“何か”に縛られている
何が起こっているのか全く分からない
同じチームである自分でもこの状況を
全く把握出来ていない
俺はルーラーに尋ねた
「…コレがお前の切り札なのか?」
ルーラーはコッチを見ると
その通りっと言わんばかりの
笑みを浮かべた
今思えば、作戦の時に聞いておくべきだった
コイツの“切り札”の全容
そもそも俺達は勝つ気なんかサラサラない
引き分けを目標にしていたからだ
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〈ランサー到着 3分前〉
「おい…本気で言ってんのか…?」」
その言葉を聞いた時
イライラと疑問が7:3の割合で融合し
絶妙な感情を醸し出した
そう思うのも仕方ない
「敵は殺さず、引き分けを目指せ」
経済学者は堂々と言い放った
戦力的にどう考えても足軽 程度の自陣が
百人隊長を負かした上でトドメを刺すなっと
だがよく考えれば勝つのは難しくても
引き分けくらいなら持ち込めるかも知れない
足軽二人とは言え、作業を分担すれば何とかなるかも知れないな…
どちらかが犠牲になればの話だが…
だが…コイツはよりにもよって
「君が戦いなさい」
コノヤロウ…
「私は戦闘向きのサーヴァントでは無い
格闘は得意では無いし攻撃用の魔術も無い
当然だろう?」
チクショウ…よりにもよって理に叶っているから反論できない
だが…
「じゃあお前は何をするんだ?」
最も知りたい疑問
ちゃんと答えて欲しい疑問
核心に迫る疑問
ルーラーは答える
「特に何も」
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ルーラーは何もしていない
身じろぎもせず
この状況を見ているだけだった
俺がランサーと攻撃している時も
俺がランサーの攻撃を受けている時も
ただこの状況を見ているだけだった
俺が真名解放の合図を出した時でさえも
彼はただ一言
「インヴィジブル・ハンド…」
宝具名は彼の記した言葉
“神の見えざる手”で間違いない
だが問題はそれがどれ程の偉業で
どんな効果があるのか全く知らない
社会革命に貢献した
その程度の知識しかない俺は全く理解が追いつかない
小学生がいきなり微分積分を解けないように
経済学の素人である俺がいきなり理解出来る筈がないのだ
そんな気持ちを知ってか知らずか
ルーラーはランサーに話し掛ける
「実を言うとコレは私の力では無い
私は自分の理論を世界に反映させただけ
今この空間は私の理論に掌握されているだけ、ただそれだけの事なのだよ」
ランサーが睨みつける
「じゃあ、何かい?
テメエは自論で人を拘束出来るってか?」
質問に対しルーラーは
「まあ、そう言う事だ」
おいおい、なんだその偉業は…
聞いたことがないぞ…
「ただそれは私の力ではなく人々の力だ
決して私一人が君を押さえつけているのではない
勘違いしないでくれたまえ」
そう言うとルーラーは手をバッと前に出し
ランサーに告げる
「提唱する!
この市場にこれ以上の戦闘は
互いにとって不利益
さらにこの一定範囲の土地、全体的な損害は社会にとってこれ以上の利益は生み出さない
よって、戦闘の続行は不要と判断し
これ以後のこの空間における戦闘続行は反社会的行為とみなし罰則を課す事とするべきである」
するとルーラーから半径20メートル一帯が鼓動するかのように揺れ動いた
まったく気付かなかったがこの辺り一帯は
見えないドームに包まれていたのだ
よく見ると術式のように言葉散りばめられ
この空間を構成しているようだった
同時にランサーの拘束は解かれた
「なるほど…均衡宝具と言ったところか…」
納得した様子だ
「そこは調律宝具と言って欲しい」
と言った瞬間
「拘束を安易に解いちゃダメだろ」
再び詰め寄るランサー
そしてルーラーに槍が…
迫らなかった
「言ったはずだ、これ以上の戦闘は罰則だと」
ランサーはぶっ飛んだ
何者かに殴られたかのように
腹が拳に形にめり込んでいた
だが腕どころか身体さえも見えない
畳み掛けるようにランサーの顔に見えない拳が叩き込まれる
見えない筈なのに殴られている事が分かるのが不思議だが
顔が歪んでいることから殴られているのは間違いないだろう
「ー!、グガァ!」
「安心したまえ殺したりはしないさ」
ランサーに一言だけ告げると
「さあ《プリンシバル》よ
ここから離れるぞ」
「お…おう…」
今なら殺せる気もしたが本能がそれを止めた
今攻撃したらきっと俺も殴られるだろうなぁ
そう思いながらこの場を後にした
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同時刻
宿泊地より約5キロ
冬木市 南東の6階建てのビルにて
ここは深山町の中でも特に大きな建物だ
新都に行けばもっと高いビルもあるが
あまり遠すぎるとマスターの視野では確認出来なくなってしまう
よって、ここがベストであるようだ
このビルの屋上にて
双眼鏡で遠くを確認する少女と
念のために弓を装備した男がいる
二人は20分程前にサーヴァントよる戦闘を察知していた
そして リクト、ルーラー、ランサーによる
戦闘を最初から最後まで観察していたようだ
おそらく弓兵と思われる男が少女に尋ねた
「今ならまだ射程内だぞ、凛 」
少女は答える
「その必要はないわ、アーチャー 」
一応、ステータスです
真名 アダムスミス
クラス ルーラー
パラメータ
筋力 E、耐久 E、敏捷 E
魔力 D、幸運 A、宝具EX
クラス別能力
真名看破A
神明裁決A
陣地作成C +
道具作成A
固有スキル
黄金律(唱)EX
公平な観察者A +
小さな政府B