レフが動かしにくそう。
「さて、聖杯とかいうのはこれでいいの?」
「ああ。...さて。願いか。」
「願い決まってないの?」
「いや、決まってる。...が。」
言いかけたその時、コツコツコツと足跡が聞こえる。
「...レフ!」
「レフ教授!?」
「オルガ。ロマ二。」
「あぁ、貴方は無事だったのね...!」
「あぁ。」
「良かった。本当に良かった...!貴方さえいれば、カルデアにも戻れるし、聖杯をなんとかできるし、全部が上手くいけるわよね!」
安堵したいオルガに優しく微笑みかけるレフ。
「いや、なんで貴方がここにいるんですか?」
「...」
「...沈黙。所長、死にたくないなら逃げて下さい。セイバー」
「えっ?なんで!嫌よ!...分かったわ。やっぱり貴女、そいつに洗脳でもされてんのよ!レフ!この状況、貴方ならなんとかできるでしょ!」
「...」
「レフ!」
「セイバー。貴様、聖杯を与えてやった恩を仇で返すつもりか?」
「あぁ。聖杯はもらうが貴様とのマスターは薄気味悪かったのでな。こっちのマスターで正解だったようだ。」
「...何故貴様らは定められた運命からずれたがる!?この統率一つ取れない屑共が!特に貴様らだセイバー!」
怒り狂い、大声で叫ぶレフ。そしてそれをまずいと感じるロマン、セイバー、みかん。
「はぁはぁ...まぁいい。聖杯は取られたが、まだいい。それに、目的が変わった。」
「?目的...?」
「あぁ...オルガ。」
「な、何?」
「カルデアに戻りたいか?」
「え、ええ!勿論よ!」
「なら、今カルデアスがどうなってるか知りたいか?」
「...なら見せてあげよう。聖杯でね。」
レフは隠し持っていた聖杯で周りをカルデア、そしてカルデアスの前にワープする。正確には時空を繋げる。
カルデアは火災が無くなっており、施設は元どおり。カルデアスは赤く染まっており、地球が危ういことを示している。
「うそ...え、何...」
「あれはカルデアスだよ。確かオルガ、カルデアスに触れてみたいと言ってたよね?今から君にその夢を叶えてあげようと思って」
「えっ...やめて、レフ。あれは次元が違うものよ?」
「あぁ。ブラックホール。または太陽か。どちらにせよ、あれに触れたら人間は無限の死を味わう。」
「いーーー!嫌よ!私まだ死にたくない!誰か!ダレカタスケテ!おねがい!死にたくないのよ!私まだ、誰にも褒めてもらってない!誰でもいいから!たすけてよ!たすーーー」
所長の声も虚しく、レフが操る魔力により体の自由を奪われ、自ら飛び込むようにカルデアスに入っていった。それをみて、小声で喋るみかん。
「...今近づいたら死ぬね。あれによって。」
「あぁ。」
「みかんちゃん。」
「ドクター?」
「ロマンって呼んで。マシュとお兄さんはいるか?近くに。」
「倒れてるけどいる。なんで。」
「レイシフトの準備ができる。レフはこっちを殺そうとしてくるだろう。だから、セイバーに魔力を。」
「あと何秒。」
「60秒」
「情報探しとかじゃダメ?」
「それでもいい!」
「...死んだら化けて出てやる。なぁ!」
「ん?」
「あの時の爆発で所長の体はなかった。その時、私とバカ兄貴は運よく死ななかった。レイシフトだと安全以下なら止まるからこんな状況ならそっちの方がいいけど。」
「少なくとも、生身である私とバカ兄貴はマスター適正があるとかないとか。けど、所長には確かない。」
「なら所長はマスター適正を持ったか死んでセイバーのようなサーヴァントになった筈。どっち?」
「ああ!た、確かに!」
「ほう?気づいたか。答えは前者、と言っておくか。なに、本当はそこのロマ二も殺しとこうと管制室に呼んだのだが...」
「成る程?そこにも爆弾があったと。なら先のテロはあんただな?」
「知っている。というか気づいてただろ?私が来た時に。」
「...あともう一個。」
「?」
「どこから芝居?最初...というより、このカルデアができる前から芝居?」
「そうとも。そこから考えていたとも。」
「...成る程。セイバー!」
「ん?やる気かい?」
「私に掴まって」
「...いいだろう。」
「レイシフトか!さ「卑王鉄槌、光を呑め!『エクスカリバー・モルガーン!』」
「魔力解放!セイバー、やりたいように!」
「あぁ!ほんと帰ったらその魔力量再測定だ!けどいいよ!もうそろそろ!」
「セイバー!手を!」
オルタ化してない状態の願いが「自分以外に選定(エクスカリバーを)してもらう」的な願い。マテリアルでは願い自体は変わってない云々だったので...こっちのストーリー上、扱いにくいと思いまして。ていう言い訳。