お友達用ホビーロボット、メダロットの構成要素は大きく分けて三つ。
ひとつ目は、基本フレームとなる『ティンペット』。
ふたつ目は、頭脳となる『メダル』。メダロットの魂ともいうべきもの。
最後に、外骨格や筋肉となる『パーツ』。頭部・左腕部・右腕部・脚部に分かれていて、この組み合わせを変えることでメダロットは多彩な能力を発揮することができる。
さて、このパーツの組み合わせだが、組む人の性格が割と出る。
人によってはデメリットがあるとわかっていても格闘攻撃パーツばかりで揃えたチームを作ることもあるし、敵の攻撃を耐えに耐えて貯めたエネルギーでメダル固有の必殺技『メダフォース』を発動し逆転を狙う構成もある。他にも攻撃パーツは最小限に、トラップなどの妨害パーツを中心に組む人だっている。
メダロットを操る人――メダロッターによって、組み上がるメダロットは千差万別なのだ。
「さぁ、お前らはどんなメダロットを組んだんだ?」
「ふっふっふ、それじゃ、まずは私から紹介するわ!」
【夢】の世界に構成されたビル街に降り立った俺達。
その中でアクアが我先にと手を挙げた。自分が組んだメダロットを早く見せたくてたまらないのだろう、妙に鼻息が荒い。
あるある。かっこいいメダロットを組めたと思ったらとりあえずスクリーンショットを撮ってSNSにアップしたくなるし、レアメダロット一式を手に入れたら誰にかに自慢したくなる。かわいいメダロットのパーツを手に入れたら……あまり公言することなく3Dビュアーを回転させまくるが。
アクアは腕時計型の管理ツール『メダロッチ』を操作し、メダロットを転送した。
「私が選んだメダロットは、この子よ!」
「ブレザーメイツか……」
「よろしくお願いしマス。アクアさま」
「うん、うん! よろしくね。ブレザーメイツちゃん!」
――ブレザーメイツ。
ブレザーを着た女子生徒をモチーフにデザインされたBLZ型メダロット。
頭部から両サイドに伸びる大きなツインテールの中に他のメダロットを補助する索敵・隠蔽機能を備え、両腕には損傷した装甲を回復することができる機能をそれぞれ搭載しているメダロットだ。
「さ、カズマ。早速ロボトルしましょう。タイマンで、真剣ロボトルよ!」
「……うん?」
「聞こえなかったの? ロボトルよロボトル。メダロット同士を戦わせるロボットバトル、略してロボトル。メダロットの花形でしょ?」
「んなことは言われなくてもわかってる。……参考までに聞くが、アクアはどうしてこのメダロットをパートナーに選んだんだ?」
「ブレザーメイツは回復と支援が得意なメダロットと言うじゃない。それに、機体の色は青だし、とってもかわいいわ。私のパートナーとしてふさわしいメダロットだと思ったの」
「そうか。そうか……。それじゃはじめるか。真剣ロボトル」
これから起こるであろう事態を想像して微妙にテンションが下がった俺だったが、勝負は勝負だ。仕方ない。
ブレザーメイツが「え? え?」ってカンジでオロオロしてるが、仕方ないことなんだ……。
「それでは私がレフェリーを務めさせていただきます。……『合意と見てよろしいですね?』」
「おう」
「もちろんよ!」
「それでは――」
「「ロボトルファイト!」」
――1分後。
「なんでよー!」
勝ったのは当然俺。
アクアは俺のメダロットにボコボコにされたブレザーメイツを抱きかかえて、ヒールをかけまくっていた。
仮にも女神のヒール。生物以外にも効果があるのか、メダロットを厳密には生物だと認定しているのか、とにかく装甲がみるみる治っていく。……いや、これはロボトル終了時に装甲を全快させる
「どうして!? どうして一方的にやられちゃったの?」
ヒールをかけながらも喚き続けるアクアに、見かねてめぐみんが声をかける。
「あ、あのですねアクア……ブレザーメイツは回復と支援が得意なメダロットというのは間違いではありません。間違いではないんですが……しかしブレザーメイツは、回復と支援
「!?」
「ま、そういうことだ。ブレザーメイツは攻撃パーツを持っていないメダロット……。相手を機能停止させることが目的のロボトルだと仲間の支援に徹するしかないが、その仲間もいないタイマンロボトルとなればな」
「なっ……!? そ、それなら事前に教えてくれてもよかったじゃない!」
「いや、そのですね……アクアがあんまりにも自信満々だったのでてっきり何か考えがあるものとばかり……」
「ごめんなサイ。アクアさま……勝てなくて……」
「ああっ!? う、ううん、ブレザーメイツちゃんは何も悪くないのよ! 悪いのはカズマと、姿を見せないまま一方的に攻撃してきたカズマのメダロットだからね」
アクアはそう言ってこちらを睨みつけてくるが……。
「なんとでも言え。姿を見せないのも作戦だ」
「うう……」
俺のメダロットはいまだ皆の前に姿を晒していない。
見た目だけで戦術の8割がわかるのがメダロットなので、パーツの能力を駆使して姿を隠させていた。
「しょうがありませんね……。アクア、あなた達のかたきは私達がとってあげましょう」
めぐみんは立ち上がると、こちらに向き直った。
「私はカズマのようにこそこそとメダロットを隠すようなことはしません。戦術予想、弱点計算、どんとこいです。それでも覆すことのできない圧倒的な火力で殲滅してみせましょう」
「ほう。そこまで言うなら見せてみろよ。めぐみんが組んだメダロットを」
「はい。私が選んだメダロットは、これです――!」
■続く■
めぐみんが選んだメダロットとはいったい……!?
□今回の獲得パーツ:ベスト
BLZ型メダロット、ブレザーメイツの頭部パーツ。
索敵機能である『レーダーサイト』と隠蔽機能である『コンシール』を味方全体に同時に付与する『サイバーコア』の能力を持っている。一回の行動で2つのプラス効果を得られるため非常に強力な反面、使用可能回数が少ないという欠点がある。
使い所を間違えなければ相手の猛攻や妨害を掻い潜り味方に逆転の機会をもたらす切り札と成りうる。
使い所を間違えなければ。
【メダロットの小ネタ その1】
メダロットは知能を持ったロボットではあるが、あくまでお友達用ロボットであって、労働に従事させることは明確に禁止されている。
人間の仕事の場を奪わないようにするために。