このすば×メダロット   作:あるい椋

3 / 7
「爆裂魔法は、人の心を癒やしてくれます。だから大切にしなくちゃいけないんです」



第二話 風と火と爆焔の記憶

「私のメダロットは……アークビートルです!」

 

【挿絵表示】

 

「だよな」

「知ってた」

「むしろそれ以外何を選ぶのってカンジよね」

「な、なんですかその微妙な反応は!? ほら、この圧倒的火力! そして機体カラーのまぶしい赤! この格好良さと私とのマッチ具合に、もっと感嘆の声をですね……!」

 

 確かにマッチしている。アクアですら予想できるくらいには。

 きっとメダロットを知っていて同時にめぐみんも知ってる人なら、誰でも予想できた選択だろう。

 

 ――アークビートル。

 それまで存在したKBT(カブト)型が先端が二股に分かれている角を頭頂部に生やしていたりと、日本に多く生息するカブトムシを意識したようなデザインだったのに対し、カブトはカブトでもヘラクレスオオカブトをモチーフとしたこいつは、二本の角を頭部と胸部から生やしているという実に斬新なデザインの持ち主だ。

 そしてこいつが持つ最大の武器は、その前方に突き出た二本角を電極として放たれる超強力な貫通ビームである『プロミネンス』。パーツの装甲は薄く、充填や放熱といった準備時間は異常に長く、しかしその弱点だらけの頭部から放たれる一発は全メダロット中最大火力。ただし、一回のロボトルで一発しか撃てないという制限付きのロマン砲仕様。

 爆裂魔法と――いや、めぐみんとイメージが被るところが多い。

 まさにめぐみんのために用意されていたと言わんばかりのメダロットだ。

 

「ふふふ……カズマ、アクアを倒していい気になっているようですが、メダロットは力こそパワー! 姿を隠してこそこそ攻撃を仕掛けてくるあなたのメダロットなんぞ、辺り一面もろともに吹き飛ばしてくれましょう!」

「お前本当に知力高いのか? 実は嘘なんだろ? ん?」

「アクア、ブレザーメイツ。貴女達のかたきは私達が取ってみせます」

「めぐみん……」

「めぐみんサン……」

 

 俺の言葉を無視して宣言しためぐみんに、アクアとブレザーメイツがそろって目をうるうるさせている。しかしその感動も、アークビートルの次の行動で吹っ飛んだ。

 

「さぁ、行きますよ。我が使い魔、アークビートルよ!」

「ガオオオオオオン!!!!」

「「ひいい!!?」」

 

 アークビートルが獣のように吠え、それに気圧されたアクアとブレザーメイツが肩を寄せて震え上がった。

 あー、あれはアニメ基準のアークビートルか……。

 記憶を失いながらもマスターに付き従い、戦い続ける悲しきメダロット。めぐみんの琴線に触れるものがあったのだろう。

 

「いいぜ、相手になってやる」

「では僭越ながら、レフェリーは私が務めよう。それでは――」

「「ロボトルファイト!」」

 

 

 ――5分後。

 

「ずるいです! おかしいですよ!」

「これもメダロットだ」

 

 激昂するめぐみんの足元で、アークビートルは無残な姿を晒していた。

 もちろん下手人は、未だ姿を見せない俺のメダロットである。

 

「グォ……ォ……」

「そうですよね。ズルいですよね。まさか行動そのものをキャンセルしてくるなんて。真っ向からやる気がないのでしょうか」

「だからそういう戦い方もメダロットだって言ってるんだが。……アークビートルの攻撃は確かに強力だ。だけどどのパーツも長い準備時間が必要という弱点がある。だったらその準備時間中にこちらの行動を割り込ませ、パーツの発動自体を封じればいい。なにも力押しだけがロボトルの華じゃないってことだ」

「うう……」

「ォォ……」

 

 未だ獣のような唸り声を上げるアークビートルを抱きかかえつつ、めぐみんはこちらを睨んでくる。

 睨む、そして睨まれる俺達の間に、ダクネスが割って入ってきた。

 

「まぁ落ち着け、めぐみん。今度は私がかたきを取ってみせようじゃないか」

「ダクネス……?」

「やけに自信があるようだな?」

「ああ。パーツの能力で押すだけがメダロットの全てではない――それを体現する戦術を思いついてな。その戦術を早く誰かに試してみたくてしょうがないんだ」

 

 妙にウキウキした様子のダクネスに、そういうことかと納得する。

 あるある。新しいコンボを思いついたときに、それが本当に機能するか対人戦で試したくなることは。

 

「なるほど。じゃあ見せてみろよ。ダクネスが組んだメダロットを!」

「ああ。私が選んだメダロットは、こいつだ――!」

 

【挿絵表示】

 

 

 ■続く■

 




□今回の獲得パーツ:プロミネンス
KBT型メダロット、アークビートルの頭部パーツ。
100%のチャージを行った状態ならば、ただでさえ高い威力値を更に3倍にしてダメージ計算を行う光学攻撃『ハイパービーム』を放つ攻撃パーツ。威力過多な反面、使用可能回数は一発限りのロマン砲。
そのロマンっぷりから多くのメダロッターに愛され、アークビートルからプロミネンスだけを剥ぎ取って別のメダロットに挿げ変える行為が頻発した。

【メダロットの小ネタ その2】
『メダロット』の世界ではそのへんの不良や総理大臣もメダロットを持っていて、大体一人あたり一体は持ってるくらいには普及しているが、そんなメダロットは実は外宇宙からの侵略兵器である可能性がある。
かつて外宇宙から放たれたメダロットは、どこかの星に降りてそこで繁殖して増えるよう命令を受けていた。ところが地球に降りたメダロットはなぜかそのまま眠りにつく選択をしたらしい。理由は不明。
しかし地球人類ときたら眠っていたメダルを掘り起こしてコピーして量産、おもちゃにしてしまった。外宇宙人の命令は形を変えて果たされてしまったというわけ。
メダロット達はほとんどそれを忘れてるが、あえてそれを呼び起こそうとする勢力も存在する……らしい。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。