このすば×メダロット   作:あるい椋

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「たこ殴りとは、地球だ!」



第五話 たこ殴り大作戦!

「私達の新しいチームは、これだ!」

 

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 ブレザーメイツは、その後継機であるブレザーマルチ一式に組み換え。

 アークビートルは、左腕に盾を備え。

 ナイトアーマーは、左腕にソードに換装していた。

 

「なるほど、こう来たか……。よし、それじゃこっちもパーツをひとつ組み換えさせてもらうからな」

「ちょ、ちょっと! こっちのチームを見てから換えるなんてずるいわよ!」

「1対3を受け入れてやってるんだぞ。パーツひとつくらい見逃せよ。……まぁそうだな。またステルスで隠れてパーツの謎解きさせるってのも芸がないし、換えたパーツは教えておいてやる。俺が組み換えたのはこいつだ!」

 

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 俺が組み換えたのは、さっきまでは盾を持たせていた左腕パーツ。

 ソニックスタッグの左腕パーツ『ブラッキハンマー』に変更していた。

 

「左腕パーツを……ハンマーに?」

「さっきまでの俺のメダロットは火力不足がちょっと目立ってたいた。装甲が薄いアークビートルやブレザーメイツ……いや、ブレザーマルチならともかく、ナイトアーマーを崩すのには時間がかかる。それが命取りになりかねないと思ってな」

「なるほど、私のアークビートルも盾を装備して装甲が厚くなりましたしね」

「むー……しょうがないわね」

「よし、始めるぞ。それでは――」

 

「「「「ロボトルファイト!」」」」

 

 

「よし、まずは防御を整える! 『ナイトシールド』を使用だ!」

「ワカリマシタ」

 

 開始直後。

 ダクネスのナイトアーマーが飛び出し、背後の二体を守るように右腕の盾を構えた。

 だが、即座に俺のメダロットの攻撃を受けて防御体勢が中断させられる。

 

「バグ攻撃のことを忘れたのか?」

「忘れちゃいないさ。ただ、一回でも攻撃を防げれば十分なんだ……めぐみん!」

「アークビートル! 『イグニッション』!」

「ガオオオッ!」

 

 ナイトアーマーと入れ替わるようにしてアークビートルが背後から現れ、その右腕から放たれた弾丸が俺のメダロットを捉えた。

 

「ち、左腕防御!」

「ン」

「くっ、パーツ破壊までには至りませんでしたか……。やはり充填をケチらず『狙い撃ち』を使うべきだったようですね」

「ああ、ちょっとヒヤッとしたぞ」

 

 アークビートルの右腕パーツ『イグニッション』には『狙い撃ち』のサブスキルがある。

 必要な充填時間が長くなるかわりに相手に回避と防御を許さない効果があり、もし使われていたらいずれかのパーツは破壊されていただろう。

 

「カズマのメダロットがアークビートルの対処に追われてる隙に……! ナイトアーマー、もう一度『ナイトシールド』!」

「ハイ」

「また防御体勢を作られたか……!」

「そしてこちらが受けたダメージはブレザーマルチちゃんが即座に回復! 『アルバ』発動!」

「あい、アクアさま」

 

 ブレザーマルチの右腕から発せられた光が、ナイトアーマーの傷を回復していく。

 ブレザーマルチはメイツ同様、支援と回復能力を持ったメダロットだ。

 これで状況は振り出しに……いや、俺のメダロットだけが一方的にダメージを受けた形となった。このままでは回復手段を持たない俺のメダロットはじわじわと嬲り殺しにされてしまうだろう。

 

「考えたな……! だが、まだ手はある。『エクスレイ』発動!」

「ン」

「また姿を隠したか!」

 

 俺のメダロットの姿がステルス効果によりかき消える。これで俺のメダロットは一定時間ではあるが相手の攻撃パーツやメダフォースの対象とならず、しかも相手の防御体勢を無視して他のメダロットに攻撃できるようになった。

 

「甘いわ! ブレザーマルチちゃん、『セーター』で索敵!」

「あい」

 

 ブレザーマルチの頭部から飛ばされるレーダー電波。

 俺のメダロットの位置が即座にばれ、それが敵チーム全体に伝達される。

 

「そこですね……! アークビートル、『イグニッション』!」

「もういっちょステルス」

「ああっ!? ず、ずるい!」

 

 俺のメダロットは再び姿を消した。

 こうなるとステルスと索敵のいたちごっこになりかねないが、奇しくもお互いともにその能力を発動しているのは頭部パーツ……頭部パーツは強力な能力を備えているものが多いが、代わりに使用可能回数が制限されている。この状況はそう長くは続かないだろう。

 

「ステルスの回数が切れたときがあんたの最後よ、カズマ!」

「そうでもないさ。状況を変える手はまだある! 『トランスパーツ』発動!」

「ええっ!?」

 

 俺のメダロットの右腕が光に包まれ、パーツが別のものに変わっていく。

 トランスパーツはロボトル中一度に限り、チームリーダーのパーツを交換できるものだ。それによって俺が呼び出したのは――。

 

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「カズマのメダロットの右腕が、ソードに!」

「そう、しかもただのソードじゃない。これはソニックスタッグの右腕パーツ……条件は全て揃った! 『メダチェンジ』発動!」

「「「!!」」」

 

 俺のメダロットはステルスの効果時間の合間にチャージを重ねていた。

 そしてトランスパーツによって純正一式の姿を取り戻したソニックスタッグは、メダチェンジ機能を持っている。強力な能力を発する形態に変形できるのだ。

 

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「行け、ソニックスタッグ!」

「ン」

「ぐっ……速い! 捉えきれない!」

 

 ソニックスタッグのメダチェンジ形態は、戦闘機を模した姿。

 脚部は飛行タイプとなり、とにかく速い。攻撃が速い。回避が速い。

 そしてその速度を以ってまず狙うのは――。

 

「!! アクア、狙われています!」

「もう遅い! 行くぞ、『がむしゃら』アンチエア!」

 

 俺の指示を受けてソニックスタッグが繰り出したのは、対飛行脚部特化攻撃であるアンチエア。

 ブレザーマルチは飛行脚部のメダロットであり、しかもこちらは身を捨てて大ダメージを与える『がむしゃら』のサブスキルも使用している。当たれば機能停止は免れない……!

 だが。

 

「ふっ、めぐみんの予想通りだったわね……! ブレザーマルチちゃん、『メダチェンジ』発動!」

「なにぃ!?」

 

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 激突の瞬前、ブレザーマルチの重厚なボディの中から、ボクサーの様相をした機体が飛び出した。その脚部タイプは二脚。これではこちらのアンチエアは効果を十分に発しない……!

 ブレザーマルチもメダチェンジ機能を持っているのはわかっていた。わかっていたが……ロボトル直前の組み換えやトランスパーツまで使ってこちらが不意打ちのように仕掛けたアンチエアに、あのアクアがカウンターを合わせるような形でメダチェンジ機能を使ってくるなんて、予想だにできなかった。

 アクアが言うように、めぐみんが事前にここまで予想して指示を与えていたというのか。

 しかも。

 

「捕まえられた!?」

「ええ、捕まえたわ! 『がむしゃら』を使った直後のメダロットは無防備だものね……!」

 

 ブレザーマルチの大きな両腕にがっちりと翼を捕まえられたソニックスタッグは、そのまま振り回され、バランスを失ったまま真上に放り投げられた。

 

「めぐみん! 今よ!」

「はい! 受け止めてみてください! 冥府をも焼き尽くす浄化の爆焔……灼熱の『プロミネンス』!」

 

 めぐみんの合図とともにアークビートルの代名詞とも言うべき必殺ビームが放たれた。

 眩い光の奔流がソニックスタッグを飲み込んでいく。

 

「くっ……『ど根性』ぉおおお! 耐えろ、ソニックスタッグ!」

「え、ええっ!?」

 

 俺はメダルに能力を付加する宝玉であるメダリア、『ど根性』の効果を発動させた。その能力は、どんな攻撃をくらっても一度だけ耐えぬいてみせるというもの。

 ソニックスタッグは光の中で焼き焦げていくが、まだその機能は停止していない。

 このピンチを切り抜け、逆転を……!

 

「しかし後詰めのために私達がいる! ナイトアーマー、『マッハソードR』!」

「なにいっ!?」

 

 ダクネスとナイトアーマーがしばらく保っていた沈黙を破り、ここぞとばかりに一気に詰め寄ってきてその左腕に携えたソードでボロボロのソニックスタッグを貫いた。

 メダリア『ど根性』の効果は一度きり……今度はその効果は発動されない。

 

 ソニックスタッグは倒れ、機能停止の証としてメダルがティンペットから排出された。

 皆がそれを確認して……。

 

「か、勝ちました……!」

「やったー、勝ったわ!」

「よくやったお前達!」

 

 アクア達はようやく得た勝利に、歓喜の表情を隠さなかった。

 俺も緊張感が抜け、大きく息を吐く。

 

「ふぅ……まさかここまで完璧に戦術を予想されるとは思わなかった。やるな」

「ふふ、頭部と脚部はソニックスタッグのものでしたからね。メダチェンジを使ってくるであろうことはなんとなく予想できました」

「ねぇカズマ、どんな気持ち? ロボトル直前の組み換えやトランスパーツ、メダチェンジまで駆使したのに、読み切られて負けちゃって今どんな気持ち? ねぇねぇー」

 

 アクアが煽ってくるが。

 

「……いやー、くやしいわー。1対3で負けちゃってくやしいわー。よーし、それじゃ次からは俺も3体使うからな」

「「「!?」」」

 

 俺の言葉に、湧き上がっていたアクア達が凍りついた。

 

「え、ええ……?」

「何呆けた顔しているんだ。チーム戦だって言ったのはアクア達だろ。そっちが3体のチームを組んでるのに、こっちは使ってはいけないなんてことはないよなぁ……?」

「「「!?」」」

 

 俺はメダロッチを操作して、追加2体分のメダロットを組み始めた。

 アクア達はそんな俺を凍りついたまま眺めていたが、幾分か経って我に返ると、再び肩を寄せ合って相談し合う体勢になり――。

 

「めぐみん、カズマが使ってきそうなチームとか想像つかないの? さっきはあれほど見事にカズマのメダロットを封殺してみせたじゃない」

「わ、わかりませんよ。パーツの組み合わせ数は有限とはいえ、カズマのこすっからい思考や指示を出すタイミングなども考慮すれば戦術はそれこそ無限に広がります。それが1体のみならず3体ともなれば、完璧に想像して対処を用意するなんて不可能です!」

「カズマのメダロットは格闘一辺倒だったから格闘ガードを用意すれば盾は一枚でも……ああいや、次は射撃攻撃も混じえてくるかもしれないからトラップを追加して……いや格闘の対処も怠るわけにはいかないからいっそ盾役が二体……いやそんなことをすれば火力が足りなくなる……あー、どうしてメダロットの行動パーツは1体につき3つしかないんだ!」

「3体のチームでも計9つの行動、メダチェンジを最大限に活かしても18の行動しか作れないしね……」

「でも連携を組み合わせればもっと幅は広がりますし、カズマだって条件は同じです。だったら相手の行動がどうであろうと先に殲滅してしまえるような速攻陣形を作れば――」

「でも速攻をしのがれたら冷却中に一気にピンチになるわよ? やっぱり回復や盾みたいな保険も必要だと思うの――」

 

 こちらのメダロットは組み終わったが……。

 あちらの議論はまだ終わりそうにない。

 

「悩め悩め。対戦のために悩む。それもメダロットの楽しみだ」

 

 もっとも、いくら悩んだところで万全に対処できる最強のチームなど作りようがない。

 ある強力な戦術を使うチームが現れればそれにメタを張るチームが現れ、次にそのチームにメタを張るチームが現れ……というのはずっと繰り返されてきた流れだからだ。

 

 だから、メダロットは終わらない。

 

 たとえそれが細々とした流れになろうとも、その流れを維持する人が必ずいる。

 誰かがメダロットを、好きであり続ける。

 こんな異世界に来ても、忘れることができずに再現しようとした人がいたように。

 

 

「だから、これからもメダロットで遊ぼう」

 

 

 【夢】の時間は、まだ残っているから。

 

 

 

■あと一話だけ続く■




【メダロットの小ネタ その5】
「『パーツを組み替えることによって無限の能力を引き出すことができるのだ!』ってアニメのナレーションがあるけど組み合わせの数は有限だよね」という意見もあるが、メダロッターが繰り出す指示のタイミングなども含めて無限の可能性があると言えるのではないだろうか。
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