スーパーヒーローのヒーローアカデミア   作:リューイ

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1話

 人肌恋しくなる寒い冬のある日、現在東京を拠点として活躍しているプロヒーローキャプテン・セレブリティことクリストファー・スカイラインは2mある巨体で事務所の中を行ったり来たりしながらしきりに時計を気にし、そわそわと落ち着かない様子でいる。

 

 いつもならばデートの時間でも気にしている、と言う所なのだろうが珍しく今日は女性との約束事はない。

 

 「おはようございます。」

 

 キャプテンセレブリティ事務所に女性がやって来た。

 

 長い黒髪に目鼻立ちもくっきりとした美人で口元の黒子が何とも言えない色気を醸し出している。

 

 彼女はキャプテンセレブリティのチーフマネージャー塚内 真、キャプテンセレブリティの日本でのイメージ戦略の基礎を築いたまさに才色兼備な女性だ。

 

「やぁ、マコト、今日は一段と綺麗だね。 僕の視線が君に吸い寄せられてしまうのは

 その新しい口紅の所為かな。」

 

「どうも、ボス。 ボスこそお気に入りのスーツをきてどうしたんですか? 何かいいことでも?」

 

 真は自分のデスクの席に着きつつ、クリストファーの口説き文句を躱し、そわそわしているクリストファーに何かあるのか聞いた。

 

「今日、息子が日本に来るから空港まで車で迎えに行くのさ。 だけどIアイランドからの直行便だからセキュリティの問題上、空港に到着する時刻が分からないからね、到着の連絡を待っている所なんだよ。」

 

「空港まで車ではそれなりに時間がかかりますし先に行っていた方がいいのでは?」

 

 真が空港までの距離を思い浮かべそう言うとクリストファーは自信満々に笑顔でサムズアップして答える。

 

「それなら大丈夫、僕も馬鹿じゃない、車はもう空港に昨日おいてきたから連絡が着たら飛んでいけば数分で到着できるよ。」

 

 以外なクリストファーの子煩悩さに真が「パパは大変ですね。」とからかい半分に言うと彼も冗談で返す。

 

「HAHAHA 君の人使いの荒さに比べたら大したことはないさ。」

 

 そんな話をしているとクリストファーの携帯が鳴った。彼が携帯を見るとバリーからの到着を知らせるメールが来ていた。

 

「息子からだ、行ってくるよ。」

 

「了解、行ってらっしゃい、ボス。」

 

 そうしてクリストファーは真に見送られ、空港へと飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 日本に着いたバリーは父、クリストファーに到着の連絡を入れた後、空港のエントランスで入国審査での出来事を思い出して羞恥に震えていた。

 

(Shit!! 入国審査のことも、メリッサが僕になびかないのも全部オールマイトの所為だ!)

 

 

 先ほど入国審査の時に何があったかと言うとバリーは初めての日本と言う事と長時間のフライト中あまり眠れなかったことにより、初めての事への好奇心と徹夜明けのハイテンションを合わせた様な状態、簡単に言えばものすごくハイな気分になっていた。

 

 そんな状態で長い入国審査の列に並んでいるとこれからの生活への妄想が色々と膨らんでいく。

 

 その時バリーは早くNo.1になってメリッサに認められたいと言う思いが強すぎたのか、何故かオールマイトを〝超えて〟No.1ヒーローになる、ではなくオールマイトを〝倒して〟No.1ヒーローになる、なんて風に考えていた。

 

 入国審査の順番が回ってきた時、そんなことを考えていたものだから審査官の「入国の目的は? サイトシ―イング?」と言う問いにたいしてバリーは思いっきりキメ顔で「ノー、コンバット。」と答えてしまったのだ。

 

 バリーがそんなことを言った時、審査官が思わず可哀想な者を見るような顔をしていた事は言うまでもないが、だからと言ってそんなことを言う者を普通に通す事はしない。

 

 審査官は警備を呼び、バリーを別室へと連れて行く。

 

 そこでようやくバリーは自分の言動を振り返り、己の間違いに気づいた。

(入管で闘うために来たなんて言ったらそりゃ捕まる!! っていうかNo.1ヒーローになるのにヒーロー倒しちゃだめじゃん。)

 

そのあとバリーはIアイランドのアカデミー時代に取得したヒーロー活動許可仮免許をみせて、ヒーローと闘いに来たのではなく、ヒーローの卵としてヴィランと戦いに来たのだとごまかし、何とか日本に入国を果たしたのだった。

 

 

 

 そんな事があった後だがバリーは気分の切り替えも早くクリストファーが来る頃にはすっかりいつものバリーに戻っていた

 

「HAY バリー‼」

 

 バリーの父、クリストファーがバリーの事を呼びながらやって来る。バリーはその声に気づくと父のもとに行き、力強くハグを交わす。

 

「日本にようこそ、バリー。」

 

「サンキュー、ダッド。」

 

 2人は一通りハグを交わすと互いに再会を喜ぶ。

 

「それにしても早かったね、連絡を入れてまだそう時間はったっていないのに。」

 

「何時バリーが空港についても良いように近くに来ていたんだよ。感謝しろよ、デートの予定を2つもキャンセルしたんだからな。」

 

 しれっと嘘を吐くクリストファーにバリーも負けじと「嬉しいよ、ダッド。 マムにもそう伝えておくよ。」と言う

 

 「そりゃないぜ、バリー。」

 

 「ところでダッド、向こうに良さそうなカフェがあったんだけど……」

 

 「オーケイ、口止め料はコーヒーでいいかい?」

 

 「ドーナツもいい?」

 

 「まったく、欲張りさんめ。 ドーナツでもケーキでもなんでもいいぞ。」そう言いクリストファーは横からバリーの首に腕を回し頭を抱きかかえわさわさと力強く頭を撫でる。

 

 二人の顔は会話の内容とは違い終始笑顔だ。

 

 これが二人のコミュニケーションの取り方なのかもしれない。

 

 「さぁ、行こう。」

 

 クリストファーはバリーと肩を組みカフェに向かう。バリーとクリストファーはその間他愛のない話に花を咲かせた。久しぶりに対面しての父と息子の会話は二人にとって中々楽しい時間であったようである。

 

 二人の他愛のない会話はコーヒーとドーナツを買い、車に向かう途中も続く、そして話題が入試の事になる。

 

 「そう言えば、雄英の入試はいつなんだ?」

 

 「うん? 入試? それなら明日だよ。」

 

 「明日?」

 

 クリストファーは試験が明日と聞き思わず歩みを止める。しかしバリーはそんな事は気にも留めず「どうしたの? 早く行こう。」とクリストファーを急かす。

 

 「はぁ、まったく……」

 

 クリストファーは心の中で相変わらず行き当たりばったりでまだまだ子供のままだなと懐かしさを覚える。

 

 「まぁ、試験頑張るんだぞ、受かるよう祈っている。」

 

 その言葉にバリーはフッと笑みを見せ、「僕を誰だと思ってるの? ダッドとマムの息子だよ、上手くいくに決まってる。」そう言い、軽くクリストファーにパンチを繰り出す。

 

 バリーの拳を受け止めたクリストファーの手には、ずしりと衝撃が残る。

 

 その感触と先に歩いてゆくバリーを見てクリストファーは思う。

 

 (これが時の重みと言うやつか、子供がいつまでも子供だなんて親の愚かな幻想だな。)

 

 クリストファーが複雑な思い出バリーを見ていると彼は振り返る。

 

 「ダッドの車ってどれだっけ?」

 

 「こっちだバリー。」

 

 クリストファーはバリーを呼ぶ、その顔は少し嬉しそうだった。

 

 (けどまだまだ大人でもないかな。)

 

 

 

 

 

 バリーが日本に着いた翌日雄英高校では一般入試がある。

 

 試験会場に入れる期限の時間まであと少し、十数分したら門が閉じられてしまう、にも拘らずバリーはまだ家にいた。

 

 バリーの家から雄英高校まで電車で一時間以上かかる。 普通に考えれば時間までに会場に着くのは絶望的だ。

 

 しかしバリーにとっては絶望的でもなんでもない。

 

 バリーの個性由来の能力の一つ超スピード、常人離れしたスピードだ、バリーはもはや地上最速の男と言っても過言ではない。

 

 電車で一時間以上の距離でもバリーにかかれば一瞬だ。

 

 試験開始の十分前ようやくバリーは支度を始める。超高速で朝食を食べて、筆記用具に受験票、メリッサにもらったコスチュームが入っているアタッシュケースを持って家を出た、もちろん戸締りも超高速で行って。

 

 そしてバリーが試験会場の自分の席に着いて隣の席の緑の癖毛の少年に「やぁ、どうも」と挨拶して「えっと、その……おはようございます。」と挨拶を返してもらったのが試験9分前、まさに超スピードの無駄遣いだ。

 

 試験の最中もバリーのスピードの無駄遣いは留まることを知らず試験が開始されるや否や数秒で回答欄をすべてうめていた。

 

 そんな感じで筆記試験が終わると次は実技試験の説明のために雄英高校の敷地内にある大ホールに集まることになった。

 

 大ホールは受験生全員、12000人が入ってもまだ余裕がある作りになっていた、もはや学校施設と言うよりコンサートホールである。

 

 バリーはそんな会場に超スピードで真っ先に席に着いた。しかしバリーだけいても試験は始まらない。

 

 退屈のあまり出そうになる欠伸を噛み殺しながら待っているとやがて他の受験生たちもホールに集まって来た。

 

 すべての受験生がホールに集まると壇上に男が現れた。黒いレザースーツにサングラスと口髭、極めつけは首元のラジカセの様な機械、如何見ても一般人ではない、常識的に考えてあんな格好しているのはヒーローかヴィランだ、だがここは雄英高校ヒーローがヒーローを育成する場だ、当然彼はヒーロー。

 

 彼の名はプレゼントマイク、己の声を武器とするヒーローにして雄英高校の教師の一人である。

 

 プレゼントマイクは受験生がおおよそ揃っていることを確認すると実技試験に関しての説明を開始した。

 

 その説明はプレゼントマイクの大げさなジェスチャーや時折混ぜる英語や唐突にゲームに例えたりする所為でお世辞にも聞きやすくはなかったが要点は抑えてあった。

 

 実技試験の内容は道具の持ち込みありの10分間の模擬市街地演習。

 

 演習場にいる3種の仮想ヴィランロボットにはそれぞれ1~3までのポイントが与えられており、ロボットを行動不能にすればそのロボットに対応したポイントを得られる。

 

 そしてそれ以外にもゼロポイントの大型ヴィランロボも障害として出てくると言う物の様だ。

 

 説明が終わった後、受験生は着替えるために男女に別れそれぞれ指定された教室に向かった。

 

 バリーもコスチュームの入ったアタッシュケースを持ち指定された教室に入った。

 

 コスチュームを取り出すためにアタッシュケースを開けるとコスチュームと一緒にメリッサの手紙が入っていた。

 

 

 

 バリーへ

 

 空港では詳しく話す時間がないかもしれないのでコスチューム説明のために手紙を書きました。

 

 今回のスーツは最新の素材で作ってあるから今までの物より耐熱、耐寒、対刃、対弾性能どれをとっても格段に上がっているわ。詳しい数値や使用は別の紙に書いて入れておきます。

 

 コスチュームのデザインはパパが昔作ったマイトおじさまのヤングエイジの物を参考にしているからピッタリ体にフィットするタイプのスーツよ、基本のカラーは深い青、そして赤いラインが模様として入っているの、きっとあなたに似合うとおもう。

 

 それからあなたのお父さんのキャプテンセレブリティのコスチュームも参考にしてショルダーアーマーも付けておいたのよ、それもただのショルダーアーマーじゃないの、取り外しが可能で裏側についているボタンを押せば盾に変形するわ。だけど残念なことにまだ名前がないの。バリーが何かかっこいい名前を付けてくれると嬉しいわ。

 

 このコスチュームは「皆を守るバリーを守ってくれますように」って思いを込めて作りました、だからどんどん使ってね。

 

 メリッサより

 

 

 

 

 メリッサの手紙を読み、バリーのテンションは否が応にも上がっていった。

 

 スーツを着てゆくにつれてバリーのNo.1ヒーローになろうと言う決意が強くなる。

 

(僕は今、最高のコスチュームを着ているんだ、そんな僕が最高のヒーローじゃないなんてあるはずがない。 そのことを証明するためにも、これぐらいの試験、余裕でトップに立ってみせる!!)

 

 コスチュームに着替え終わるとバリーは、早速手紙にあったショルダーアーマーの変形機構を試す。

 

 バリーがショルダーアーマーの裏側のスイッチに手を触れるとショルダーアーマーに六角形のハニカム構造のような紋様が浮かび、その紋様自身が意思を持ち増殖しているかの様に円形へと変形しラウンドシールドを形成した。

 

 その盾は持ち手で持つだけでなく腕に装着できるようにもなっている。しかも腕に装備した時、盾の外縁部がバリーの拳一より拳一つ分外にあるのでパンチを放つとき盾で殴りつけることもできる様になっている。それにより防御力だけではなく攻撃力も上げられるようになっていた。

 

 バリーは盾の感触を確かめる様に触れながら盾の名前を考える。

 

(良い盾だ、最高にクールな名前を付けよう。 メリッサが作ってくれたんだからメリッサシールド‼……だめだ、これじゃぁ本人の名前だ。)

 

 バリーはいい名前が浮かばず考え込む。

 

 (そうだメリッサの本名がダメならメリッサ・スカイラインはどうだ。)

 

 「……ってそれじゃぁ、ただの僕の願望だ。」

 

 考えに集中しすぎて周りに人がいるのも忘れ、思わず自分自身へのツッコミが口から洩れた。

 

 その後もバリーは自分が独り言に気づかずつぶやき続ける。

 

 そしてようやくいい名前が浮かんだ。

 

 「そうだキャプテンシールドにしよう。元のショルダーアーマーはキャプテンセレブリティのコスチュームがモデルだし、将来僕もヒーロー名はキャプテン+何かにするつもりだし、丁度いい。我ながらナイスな命名だ。」

 

 周りからは独り言をつぶやき続ける変な外人と言う風に遠巻きにされてしまったが、それよりもいい名前を思いついた喜びの方が大きいのかバリーは気分よさげに教室を後にし、演習場に向かった。

 

 バリーが演習場に着いたときすでにほとんどの受験生がそれぞれに指定された演習場に集まっていた。

 

 「ハイ、スタート。」

 

 唐突に開始の合図がなされた、バリーにはその声が演習試験の説明をしていたプレゼントマイクの声だとすぐにわかった。

 

 他の受験生も開始の合図に気づいたのか一斉に一塊になって演習場へと動き出す。

 

 その塊からすぐに抜け出すものがいた。

 

 稲妻を纏い蒼い残像を残しながらかけていくバリーだ。

 

 そのスピードは、常人はもとより、超人すら彼方へと置き去りにする。

 

 バリーは超高速で青い閃光の様な残像を残しながら演習会場を縦横無尽に駆け回り、ヴィランロボを演習会場の真ん中に集めていく。演習会場は廃墟のような建物が多くあったがバリーのスピードは落ちる事はなかった。

 

 3点、2点、1点、果ては起動前の0点巨大ヴィランロボまで見つけ出して積み上げられたヴィランロボの山は雄に50メートルを超える高さになっている。

 

 「これで全部かな。」

 

 ヴィランロボを集め終えたバリーは高速で一息ついたのちヴィランロボの山の上300mほどの所に飛び上がった。

 

 「これぐらいの距離があれば足りるかな。」

 

 空に浮かんだバリーはショルダーアーマーを外し盾に変形させ右腕に装備した。

 

 キャプテンシールドを装備したバリーは一気にヴィランロボの山に超高速で降下しその勢いのままに拳を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 一方バリーと一緒の演習会場を割り当てられた受験生は混乱していた。

 

 彼らの主観時間では演習が始まってからまだ一秒ないし二秒しかたっていない、にも関わらず彼らの視線の先、演習会場中央では突然ヴィランロボの山が出現したのだ。およそ皆の理解の範疇を超えてしまったのだろう、皆足を止めてしまった。

 

 だが結果的には、その方が良かったのだろう。次の瞬間にはバリーが上空から超高速でヴィランロボの山に突撃していったのだから。

 

 受験生は誰もバリーを認識できなかった、だがかろうじて何かが落ちてきたことは、自らの体に感じた地震の様な揺れと衝撃、そして何より眼前にできたクレーターの様に

抉れた演習会場の地面と無残に粉々に壊されたヴィランロボの残骸により理解させられていた。

 

 そしてその破壊の中心に悠々と立っているバリーを見つけ、それが自分たちと同じ人間がなしたことであることを理解した時、受験生の心は折られた。

 

 

 

 

 受験生が心を折られたころ雄英の教師陣も騒然となっていた。

 

 だがすぐに一人の人物が……いや一匹の動物が声を上げた。

 

 彼は根津、世にも珍しい人間以上の頭脳という個性をもった、体長1mぐらいの大ネズミで、なんと雄英高校の校長でもある。

 

 「彼の出願書類を取ってもらえるかな。」

 

 「どうぞ」

 

 着ているのか、いないのか分からない様な薄いタイツとボンテージ姿の女性ヒーロー、ミッドナイトが根津にバリーの出願書類を渡す。

 

 人間が個性と言う超常の力を操るようになって久しいがこれほどの破壊力を生み出す個性はまだまだ珍しい。ゆえに根津はバリーの事をヴィランのスパイではないかを疑っていた。

 

 根津は他のヒーロー、教師たちに聞こえる様にバリーの情報を読み上げていく。

 

 「バーソロミュー・クラーク・スカイライン、17歳、経歴はIアイランドのアカデミーのヒーロー科退学、両親共にアメリカ出身のトップクラスのヒーロー、個性はザ・スーパーヒーロー、飛行能力や超パワーや超スピードを有する。あとはヒーロー活動許可仮免許をアカデミー時代に取得済み、なるほどある程度ヒーローになるための教育を受けたサラブレッドの様だね、ならばあのとんでもない力も全く理解できないわけじゃない。」

 

 根津はひとまずバリーがヴィランであるという考えは捨てた。

 

 しかしまた別の問題が浮上してくる。

 

 「あの会場の試験は如何しましょう、やり直しますか?」

 

 ミッドナイトが試験をやり直すべきではないかと言うニュアンスをこめて発言すると反対する意見もでた。

 

 「その必要はないでしょう、あそこで立ち竦んでいる奴らがこの試験に受かるとは思えない。合理的に考えて再試験を行い予算を無駄にすることはないでしょう。」

 

 全身黒ずくめのコスチュームにボサボサの黒い長髪と無精髭、どう見てもヒーローに見えないヒーロー、イレイザーヘッドが校長に再試験の必要がないと進言する。

 

 「だけど、イレイザー、問題は立ち止まったことじゃない。そこからまた進み始められるか、PLUS ULTRAの精神を持てるか、そちらの方が重要なんじゃない。」

 

 ミッドナイトはイレイザーの反論にさらに校訓を持ち出し反論した。

 

 2人の意見を聞き、根津校長は決断を下す。

 

 「あの演習会場の試験はスカイライン君を除いた状態で再試験をおこなう。 スカイライン君に関してはあの力が野放図に解き放たれるのを避けるためにも特別留学生枠を新たに設置し、今回の試験とは別枠で雄英に来てもらうことにしよう。 そのことを彼と相談するためにも誰かスカイライン君を呼んできてくれないか」

 

 「では、僕が行ってきます。」

 

 真っ先に手をあげたのは雄英の教師でも若手のヒーロー、13号だ。

 

 「ありがとう、13号、校長室にスカイライン君を連れてきてほしい。」

 

 13号に礼を言い、根津校長は続けて他の教師たちにも指示を出す。

 

 「私はスカイライン君の筆記試験の答案を集めて校長室で彼を待つから君たちは引き続き他の受験生の審査をおねがいするよ。」

 

 そして各々自分のすべき行動を始めた。

 

 

 

 

 一方ヴィランロボをすべて破壊したバリーは自らが作ったクレーターの中心で思案していた、残りの時間を如何潰そうかと。

 

 バリーがどうでもいいようなことを考えていると宇宙服の様なヒーローコスチュームを来た13号がやってきてバリーに話しかけはじめた。

 

 「スカイライン君、僕は雄英の教師の13号と言います。試験に関して校長の根津からお話があります。ついてきてくれるかな?」

 

 時間を持て余していたバリーは「いいですよ。」と軽い感じで返事をし、13号について校長室まで移動した。

 

 13号が校長室の扉をノックしバリーを連れてきたことを告げる。

 

 「13号です、スカイライン君を連れてきました。」

 

 「入ってかまわないよ。」

 

 返事を聞いた13号は扉を開けバリーに中に入るよう促す。

 

 校長室に入ったバリーを待っていたのは服を着たネズミだった。

 

 「はじめまして、スカイライン君。私が雄英高校の校長の根津だ。」

 

 根津は自己紹介し、その肉球のついた小さな手でバリーと握手を交わす。

 

 根津は来客用のソファーにバリーを座らせ、自分もその対面のソファーに座りバリーを呼んだ理由を語りだした。

 

 「早速で悪いんだが、君が実技演習試験を受けていた組が君を除いた状態で再試験することが決まったんだ。これは君が一人突出していて他の受験生の能力が見れなかったからなんだ。」

 

 「このことからもわかるように君と他の受験生を同列において評価するのは適当ではないと僕らは考えている、君は彼らより2歳年上だし仮免ももうすでに持っているからね。しかし君の成績は優秀だ、実技の結果は言わずもがな、今確認したところ筆記の試験もかなりの成績だ。だから君を入試から排除するようなことはしたくないんだ。 だから。」

 

 バリーは自分の力が凄いことは理解していたので、今の話にある意味納得している。

 

 故に校長に話の続きを促した。

 

 「だから何です?」

 

 「君のために特別留学生枠と言う物を特別に作るから、特別留学生として入学してくれないだろうか?」

 

 バリーは根津の提案聞き、少し考えている様だったが、やがてぽつり、ぽつりとバリーの声が漏れだす。

 

 「特別……特別ってスペシャルってことだよね。 うん、スペシャルってなんかかっこいい。」

 

 「根津校長その話、受けるよ。」

 

 バリーは笑顔でサムズアップを決め了承する。

 

 こうしてバリーの雄英入学は決まったのだった。

 





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