ヘラクレスが現代日本倫理をインストールしたようです   作:飴玉鉛

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拙作最大の便利キャラを使っての、重要情報放出回。
情報過多なのでお見落とし無く。見落としても問題はないけど。




8.8 イオラオスの手記より

 

 

 

 

『英雄に不可欠なものは何か。病床に伏したわたしは死期を悟っていたものだが、過去を振り返り懐かしむ時間はあまりなかった。わたしが旅ばかりをしていて話を聞けないとぼやいていた詩人が、食い扶持を稼ぐためによく訪ねてくるようになったのだ。

 英雄の逸話に数多く触れるにつれ、ある種のしたり顔で持論をほざく非英雄の常人ども。そうした輩は決まってその手のことを聞きたがる。そして大抵が訳知り顔で頷くものだ。だがわたしからすればちゃんちゃらおかしい。ばかめ、と侮蔑すらする。英雄を理解するにはその逸話に触れるのではなく、自ら交友を持ってその人物について直接知らねば、どれほどの賢者であれ到底理解などできるはずがない。

 わたしは多くの縁に恵まれた……自称するのは些かの気恥ずかしさを覚えるが、誰にも恥じぬ格を持つ英雄である。そのわたしを折角訪ねてきたのだ、賢しらげな詩人共の相手をするのは少々面倒ではあるものの、昔語りの好きな老人らしく無駄話の一つでもしてやっている。

 

 わたしはまず、断言する。英雄に不可欠なのは運だ、と。

 

 力や智慧、勇気も不可欠だが、まず運が()()()()()()始まらず、運が()()()()()()生き残れない。だから英雄に不可欠なのは()()だろう。

 人によっては天運とも言うかもしれない。そういう意味で、わたしの知る英雄は誰も彼もが悪運に長けていたように思う。

 ただ、一人だけ例外がいた。彼女は純粋に運が悪かっただけで、運は良くなかった。なのに波乱万丈な受難の海を泳ぎ切ったことには脱帽するしかない。

 

 これまでにわたしが出会ってきた中で、最も幸薄く憐れだと思ったのは、アルゴー号の冒険で出会ったコルキスの王女メディアだった。

 

 彼女は様々な意味で受難の人だったと、改めて過去を振り返るまでもなく断言できる……できてしまう。ほんとうに……喜劇めいて不運で、一周回って幸運なのではないかと疑ってしまいたくなるほどに忙しない人生を送っているだろう。

 ほんとう、どうしてそんなことになったのか。

 事の始まりは、やはりアルゴノーツが彼女の故郷、コルキスに金羊の皮を求めに行ったことだろう。そこで女神の奸計によってイオルコス王イアソン、当時はまだ王ではなかったイアソンへの恋に落とされ、終生の恐怖の象徴となってしまったヘラクレスと出会い、あまつさえイアソンの試練に現れた戦神マルス様とヘラクレスの戦いの余波に晒された。その後も何が彼女を駆り立てたのか、恐怖の象徴と共にいなくてはならないのにイアソンに付いていき、彼が王となってエロースの矢が抜けるまで共にいた。

 彼女の運命の歯車はやはりそこで狂っていたんだろう。まあ……ほんとうに色々と、そこから先もあり続けた。エロースはそんなメディアに流石に同情したのか、ヘラクレスに願い出てメディアの保護者になった。彼は生涯に亘って彼女の傍らにいて、従者同然に仕えていた。わざわざ戦神に願い美の女神の許から一時的に離れてまで。

 神にとって人の一生など短いものだから、エロースの行動を主人の女神は咎めなかったようだ。エロースにとってはせめてもの罪滅ぼしなのだろうが、それでわたしや仲間達の彼への見方が変わったものだ。

 

 割愛するがほんとうに沢山の不幸がメディアを襲った。一度は伯父上に連れられてコルキスに帰れたのに、忘れ物をしたと言って放浪の旅に出たのが本格的な不幸の連続のはじまりだったろう。

 本当は忘れ物ではなく、彼女の未練を果たすために旅に出たのであるが、自発的に旅に出たのだから文句は誰にも言えないのが辛い所なのではないだろうか。

 

 これは人づてに聞いた話だが、人を訪ねて幾つもの国を訪ね、行く先々でその美貌と魔術の腕に目をつけられて権力者達に付け狙われたらしい。

 時に賊を罰し、時に悪しき王を懲らしめ、時に貞操を狙ってくる好色な神を欺き、気の休まる間がない日々を送ったようだ。エロースの手伝いがあり辛くも切り抜けられた場面もあり、彼がいなければどこかで破綻していただろう。元の無垢さが擦れて、段々まともになっていったのには笑うしかないが。

 なぜエロースがメディアを保護したのか? ……巷だとエロースがメディアに惚れたから、なんて言われているがそれは無い。絶対だ。わたしの想像だが、メディアは恐らくコルキスにアルゴノーツが訪れた時、【彼】に恋していたのだろう。しかしエロースの矢が原因でその想いは覆い隠され、呪いが解けた後も暫くは自覚がなかった。しかし何かがキッカケで本当の恋心を自覚し、いてもたってもいられなくなりコルキスを飛び出したのかもしれない。名前と顔、その人柄しか知らない相手を探し求めて旅に出たメディアに、エロースが罪悪感を覚えたから仕えたのだと思う。ほら、エロースは恋心を司る神だろう? 自分の矢で自分の司るものを捻じ曲げてしまったのが、彼の神としての矜持に反したから、エロースはメディアに仕えたのだと思う。

 

 結果としてメディアは二年間の旅を経て、探していた人物と再会した。その頃にはメディアも今ぐらいにはまともになっていたから、押し掛けた挙げ句に好きだと、恋していると告げるのが恥ずかしかったのだろう。すったもんだの騒ぎの末、受け入れられた時がメディアの絶頂期のはじまりであり、同時に受難の第二章のはじまりでもあった。尤も子供が生まれ、成人するまでの間に幸せを噛みしめる時間はあったようだが。

 メディアはギリシアの侵略によって神格を失い、神だったことを忘れた土着の神の一柱だ。人に貶められたとはいえ元は神、かなり長寿で歳をとっても美貌が衰えることはなかった。まあ……当然、噂になる。美しい王妃がいると。すると戦争が起こる訳だ。わたしには理解不能で野蛮極まるが、略奪婚のために戦争を起こすのが当然の世間である。メディアは夫とした男と共に、国難に立ち向かうことになった。

 

 ここで登場するのが、成長したメディアの()()だ。そう、次代の英雄旅団の頭目だとも。名前はギリシアの民なら誰もが識っている、あの()()()()()だ。

 メディアは夫の()()()()、溺愛している愛娘のアイアスと共に戦いをはじめて、生まれ故郷のコルキスや、何かと縁のあるイオルコスと同盟を結び、テラモンの縁を伝ってわたしの伯父が率いていた英雄旅団と、テセウスのアテナイ国と連携をとって戦い出した。そうして完成したのが数年後の一大同盟軍なのだが……詳細を知りたければそこらのオペラを覗けばいい。メディアの受難はそこで詳しく知れるだろう。そんな中を逞しく生き抜いて幸せを掴んだメディアをわたしは尊敬する。

 

 だが……いけないとは思っていても笑ってしまうのだ。今でもメディアの顔を見れば思い出し笑いをして、魔力砲撃を食らわされる。死期の見えた老人なのだから手加減してほしいものだが、()()イオラオスに手加減なんてできるものですか、なんて言われてしまう。老い耄れを相手に買い被りが過ぎると思うが。

 

 彼女の人生の足跡を伝え聞いた吟遊詩人が歌を作り、そこから子供がごっこ遊びで歌いながらメディアを演じ、それに目をつけた目端の利く吟遊詩人が新たに歌劇(オペラ)なんてものを創業して始めた。

 ヘラクレスの死後、わたしは余生をゆるりと過ごしていたが、まさか今をときめき遠い未来にまで廃れないだろう歌劇の始まりが、メディアの人生を追った喜劇であるなどとは伯父上も想像していなかっただろう。

 メディア、という名前も、いつの頃からかメディウム、その複数形のメディアと名を変えて、マスメディアというマスコミュニケーションの媒体の語源になっていた。吟遊詩人はいつしかマスコミなどと呼び名を変えていったもので、王女の方のメディアはその手の話を蛇蝎の如く忌み嫌い、特に演目の中で定着した魔女の呼び名で呼ぶと烈火の如く怒り狂うほどだった。失礼な話かもしれないが、それを聞く度にわたしも笑いを堪えきれない。

 

 ともあれ、そんな不幸続きのメディアだったが、その中でも良い出会いというものはあったようだ。

 後に彼女の夫となるテラモンとの縁、メディアのよき友で居続けたアタランテとヒッポリュテ。なんだか非常に生暖かい優しさを向けるケリュネイア。最後のは友なのか? と首を捻るが、第三者が定義するものではないだろう。本人達が決めることだ。カイネウスが交ざりたそうにしていたが、アタランテに腕を折られて追い散らされていた。

 

 無事に金羊の皮を入手したアルゴノーツの面々は、厭味ったらしい後のイオルコスの宰相にしてイアソンの右腕イドモンと合流し、特に誰かに妨害されることはなく、穏やかながら騒がしい航海を経てイオルコスに帰還していっていた。

 イアソンとイドモンを指して、捻くれ者が重なって真っ直ぐに見える、とテセウスが言っていたが、その意味はいまいちよく分からない。

 その航路の中、メディアは頻りにイアソンに求愛していたし、薬や魔術を駆使して振り向いてもらおうと頑張っていた。頑張り方が致命的にズレているが……メディアの感情の発信源と、その事情を知るイアソンはやんわりとメディアの求愛をいなし続け、時に顔を引き攣らせながらも、伯父上を盾にしてやり過ごしていた。盾にされる伯父上はなかなかに愉快な見世物だったなと懐かしくなる。何せ自分を前にすると固まるメディアに、自分まで固まるのだ。どうしたらいいか分からないのだろう。

 

 ……戯れに、何年かぶりに筆を執ったのだが、興が乗ってきた。あの時のことを思い出しながら書いてみようと思う。冗長な文となっているのは、構成を考えずに思いついたことを殴り書いているからだ。このわたしの手記を読み解いている者がいるなら気にしないで欲しい。所詮は老い耄れの手慰みの手記なのだから。

 

 あれは、わたしにとって輝かしい時代だった。何分昔のことなので不確かなこともあるが、わたしが関わった事柄に関してはなんとか書き記せる。

 あれはそう……戦神と伯父上の戦いが加熱していく中、次第に劣勢に追い込まれていく伯父上の歓喜の雄叫びを背にしていた時だ。メディアは無我夢中、一心不乱だった。何も考えたくない、後ろの戦いを見たくない、そんな感じで脇目も振らずに大魔術を連発していたと思う。火事場のなんとかというヤツだろうか? 戦いの経験なんてないのに、野に播いた竜の歯から生まれた強すぎるほど強い竜牙兵――多分だが戦神が間近にいたからその影響だろう――を相手に、ローブを翼のように広げて飛び、空間転移を連続して柱のような魔力砲撃を繰り返していた。それだけじゃなく、触れてもいないアルゴノーツ全員に強化の魔術を叩き込んで支援も同時に熟していたのだから凄まじい。

 後で聞いたがメディアはその時のことを覚えていなかった。むしろ戦神が現れたことも忘れていた。しかし朧げには自分のしたことを覚えていたのか、それに関しては我ながら神懸かっていたと述懐している。あと十年は研鑽を積まなければ同じことはできないだろうとも。

 

 眠らない竜が金羊の皮を護っていた。が、これはすんなり圧殺してしまう。眠らないはずなのにメディアの魔術で眠らされ、アルゴノーツの間隙のない波状攻撃で瞬殺されていた。正直わたしが剣を振る合間すら見いだせない、まさに数の暴力で。

 金羊の皮を手に入れたことをイアソンが宣言すると、戦神と伯父上の戦闘が中断された。鎧は無事だったが肩で息をし、鎧の下の皮膚は打撲痕を多量に拵えられ、疲弊している伯父上を見た時の驚きは、きっとわたしにしか分からない。無敵だと心の何処かで信じていた大英雄が、明らかに劣勢のままだったのだ。対して戦神も息は乱していたがまだ余力が残っているのを感じられる。

 わたしは戦神の『引き分けだな』という声に、勝者の余裕があるように見えて。『次があるならば更に御身の力を引き出してみせよう』という伯父上の台詞に敗者の潔さを見た。しかし形式上は引き分けだという。両者ともにそれで納得していた。戦神はまだ切ってない札があるだろうと伯父上を小突き、伯父上はなんのことか分かりかねると惚けて笑っていた。戦神は権能を使わず、伯父上は奥義を使っていなかったらしい。

 

(肩慣らしも済んだ。褒美だ、この後の航海では俺が貴様らの守護神になってやる)

 

 それにアルゴノーツは歓呼の声を上げた。強き者を奉ずる傾向のある英雄たちだ、戦神の力を知った彼らは戦神を崇拝し、わたしもその中の一人になっていたものだ。

 アルゴノーツの絆を語るのに欠かせないのはイアソンだが、解散後のわたし達が離れ離れになってもいつまでも同胞でいられたのは、同じ神を崇拝しているという共通項があったからかもしれない。

 アルゴー号が海の上を行っている時、船内でのメディアは常に男達に怯えているようだった。主に伯父上のせいで。

 

 彼女は常日頃からイアソンにべったりだったが、そのイアソンが気疲れして堪えられなくなると伯父上が現れる。するとメディアは悲鳴を漏らして逃げる。その後は暫く数少ない女性陣に加わって嵐が過ぎるのを待つ。というような光景が繰り返し見られた。

 わたしとしてはそんな女の集まりになんて興味はなかったわけだが、どうしてかアタランテとヒッポリュテはわたしをそこに引き摺り込んだものだ。個人的にはテセウスやテラモンと話したいことがあったので、当時はとても不満を覚えたものである。そしてその時のわたしはまだ若く、女達の話の肴にされるのは苦痛だった。

 覚えている限りの会話をとりあえず書き出してみよう。まず記憶にある限りだと、そうヒッポリュテが口火を切ったのだったか。

 

(イオラオス。ものは相談という。アルケイデスを振り向かせるにはどうしたらいいと思う?)

 

 伯父上のことが苦手なくせして、メディアも若い娘らしく恋に関しては関心が強く、興味津々にこちらを見ていた。

 

(とりあえず押せ押せでいいだろ)

(……その心は?)

 

 わたしの助言はだいぶ投げやりだったが、的外れではなかったと思う。

 ヒッポリュテは良い奴だ。ちょっと直情的で頭に血が昇るとうっかり口を滑らせたりする傾向があるが、裏表がなく、子供好きで、これと見定めたことに一直線だから。

 そういう点でアタランテとも気が合っていたようで、何かと二人で何事かをしている場面を何度も見られた。

 伯父上にほんとうの名を呼ぶように言われた三人の一人なのだから、わたしも彼女には気を許すことにして。一応は相談に乗ってやったものである。

 

(伯父上はあれで女に対しては奥手だからな。自分からは何もしないから、そっちが受け身に回ると何も成らないぞ)

(なるほど。分かった、では今度酒を――)

(酒はヤメロォ!)

(――すごいです。怖いですけど、ヘラクレスさんはすごく良い人なんですね)

 

 横でメディアがそう言った。

 彼女は伯父上を天敵とし、目にするだけで震え上がっていたが、嫌っていたわけではない。

 狂気に駆られたヒッポリュテを抱き締め続けた話を本人から聞かされたのもあるだろう。初対面の衝撃さえなければ案外良い関係を築けていたかもしれなかった。

 

(もっと怖い人だと思っていましたから、ヒッポリュテさんから聞いた時は誰のことかわかりませんでした)

(そりゃそうだろ。知り合ってまだ間もないんだから、お互いのことなんかまだ全部は理解できるもんか。伯父上にも怖いところはあるけど、それ以外の顔もあるんだって知っててくれたらいい)

(はい。――ところで、イオラオスくん)

(く、くん?)

 

 これまで誰かに()()()()で呼ばれたことのなかったわたしは、メディアからそう呼ばれて戸惑ったものだ。

 この頃のメディアはまだかなりの天然で、無自覚に火種をばらまくから始末に終えない。この時もそうだった。

 

(イオラオスくんは誰かに恋したことはないんですか? 恋はとっても素敵ですよ! 世界が変わるっていうか、何もかもが鮮やかに見えるんです!)

(ふ、恋か。どうなんだ、イオラオス。言って……ああ、そういえば童貞だったか)

 

 なんでかアタランテが反応した時は、わたしは顔を真っ赤にしたものだ。

 懐かしい。ほんとうにうぶだった。そういえばその時だろう、アタランテが口にした台詞にわたしは全力で言い返したものだ。

 

(童貞で何が悪い!? そ、それに恋ぐらいおれだってしたことある!)

(! 相手は……誰だ?)

(おまえには関係ないだろ!?)

(関係ならある! だって私は

 

 ――ああ、だめだ。思い出したら気恥ずかしくて、とても文に残せない。ここは割愛しよう。

 まったく、アタランテめ。ほんとう……迷惑な奴だった。今になっても老い耄れのわたしは彼女に勝てる気がしない。

 よそう。思い出せば、辛くなるだけだ。

 

 話を進めよう。アルゴー号がイオルコスの海岸に着いた時、わたし達はアルゴノーツを解散した。後の始末はイアソンとメディア、それと伯父上を筆頭とする英雄旅団がつけることになった。

 金羊の皮を持ち帰ったイアソンを迎えた時、イオルコス王ペリアスは愕然と見た。あんなものはただの口約束だ、王位を返す気はない。そう言ったペリアスを、伯父上は重い声で恫喝していた。ここを発つ前、私のした宣言を忘れたか? と。どうも熱さも喉元を過ぎれば忘れてしまう性質だったらしいペリアスも、伯父上に脅されてしまえば大人しくならざるを得なかったようで。

 式典が開かれた。ペリアスからイアソンへ王冠が渡され、イアソンは正式にイオルコスの王となった。その時、突然我に返ったメディアに、彼女に課せられていた呪いが完遂されて矢が抜けたのだと悟った。

 王になったイアソンは感激して、伯父上の手を取り、君はオレにとって無二の友だ! と感謝していたのをよく覚えている。何故ならその言葉に伯父上も感激し、アルケイデスと呼べとイアソンに言っていたから。そう、伯父上が自身をアルケイデスと呼ばせた生涯三人の者は、ヒッポリュテ、戦神、イアソンだったのだ。

 

 終生の友として、友誼を結んだ彼らは――

 

 だめだ。余計なことを思い出したせいで、気分が削がれた。わたしの、生涯でたった一人の妻、ああ、まったく……。

 一旦筆を置こう。気分が乗れば、またこの時のことを書き連ねようと思う。

 わたしの使命は、偉大なヘラクレスに関する記録を正確に書き残すこと。死ぬまでに後少し、後少しで完成する文を結ばねばならない。

 ……伯父に、アルケイデスと呼ぶことを許されても、英雄としての彼のありのままの姿を記録する使命を自ら帯びたわたしが呼ぶ資格はない。

 

 キリは悪いが、これ以上は文脈が滅茶苦茶になる。続きはまた今度だ。

 

 

 

   −イオラオスの手記・アルゴー号の冒険と英雄旅団−より抜粋』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……神秘に纏わる部分は添削しなくてはな」

 

 ――後世の時計塔の魔術師は、世界を賑わす世紀の発見を成した後、資料として写本を作りながら悩ましげにそう溢した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この世界のメディア

歌劇(オペラ)開闢のキッカケ。
・最古の歌劇(オペラ)の演目にされる。
・その中でマスメディアとかそういうのの語源にされる。
・演目の中で誰かが適当につけた【魔女】の呼び名が定着する。抑止力(余計な)仕事してメディアを魔女呼ばわりさせる。
・某国の某ジャンルの大きな友達たちに、少女時代を指して人類サイコの……もとい最古の魔法少女呼ばわりされる。
・リリィ時のサイコ度、イアソンに中和され、様々な受難の中でマイルドになり、原作に近い性格へ。
・世界的知名度は良い意味でも悪い意味でもヘラクレスに匹敵。
・【悲報】(お○ぱいも)大アイアス氏、母がメディアになった影響か女になる。あれれぇ、男児が生まれるはずだったのに……【てぃーえす】
  (原因、娘がほしいの!と細工したメディア)
・「ギリシア神話詳しくないけどメディアなら知ってる!人類最古の魔法少女でしょ」との証言が某国から多数挙げられる。
・某アイドル皇帝、ヘラクレスの真似をする。しかしメディアの真似もして「もちろん、余だよ☆」したりした。

メディア氏、無事発狂。


身内の相関図。
テラモン→アルケイデスを尊敬。仕える。
アルケイデス→テラモンに請われ彼の子供の名前を考える。
メディア→筋肉英雄トラウマ、テラモンと結婚、生まれた娘に男の名前のアイアスと付けられる。なお名付け親が筋肉と知って発狂。
アイアス→テラモン大好き。メディア大好き。筋肉も大好き。メディア発狂。

メディアはアルケイデスから逃げられない。



こんなハチャメチャなネタを先に出して大丈夫か? と思われるかもだが布石の一つなのでお気になさらず。

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