Fate/staynight~最強の筋肉、襲来~ 作:筋肉脳
これじゃあすぐ終わっちゃうな。
「さあ、帰るわよ」
「ああ、なんか有り難うな。遠坂みたいな奴俺は好きだぞ」
「なっ!まあ!それはそれ、次からは敵同士なんだからね!」
と、こんな痴話げんか?らしきものを始めたあたりで、何か大きな気配が近づいてくる。それは、セイバーと比べたら、圧倒的な力の塊であった。
「こんばんわ、お兄ちゃん。」
そんな声。それよりも目がいくのはその後ろ、3mはあろうか、そんな巨人だった。
「ヤバ、あいつ桁違いだ」
その言葉通り、凛は構え、士郎は呆然としている。しかし、雷夜は違う。この中で唯一冷静だった。いや、正確には唯、こう思っていた。
戦いたいと。
あの巨人も雷夜の危険性を僅かに残っている理性で分かっていた。だからこそと少女を守るために、いつか誓ったもののために、巨人は動く。
その体朽ちるまで。
両雄がここに激突する。
はじめに動いたのは雷夜、その動きは無拍子と呼ばれる業。
その異常な脚力で、巨人との距離5mほどを一歩でつめる。
しかし、その動きを予測してそこを潰しにかかる。
雷夜はその攻撃を受ける。威力を地面に逃がすという荒業で持って対処する。
そうして巨人の筋肉の鎧へと最大の一撃を。
異常な体のひねりによって回避する。
その勢いのまま、拳を打ち出す巨人。
雷夜はそれをもろに食らう。飛ばされずに踏みとどまる。
その次には、雷夜が一撃を入れる。
撃つ、避ける、撃つ、避ける、打つ、当たる、打ち返す、通す、打つ、なぎ払う、切る、蹴る、
俺のほうが強い。とでも体を使って表すかのように、これまでの研鑽を誇示するかのように。
何百と、拳を剣を打ち続ける。それは、本気で努力を重ねてきたもののたどり着ける境地。
それは見るものを魅了させる舞踏のようなものに見えた。
圧倒的な力の差を人は見せ付けられると、人は悔しさを通り越して、感動する。
しかし、それは長くは続かない。
実力は拮抗していないから、徐々にだが押され始める。
そもそものスペックが違う。
神様製と、神の子孫。
この差は絶望的なまでに圧倒的だ。
巨人の右上段の切り込み。
それをいなしての鎧通し、その最後の一撃によって勝者が決まる。
ただ、巨人が倒れ、少年が倒れなかっただけだ。
「俺の勝ちだ!このヤロウ!」
そう、勝鬨の声を上げる。
「バーサーカーが負けちゃった?」
少女は一人つぶやく。
しかし、バーサーカーは消えない。そもそも死んではいない。
これは宝具の効果ではない。バーサーカーは11回やられたところで、自分の敗北を悟った。
その潔さに止めはささなかったのだ。
そして、この選択が、この後おかしなことになることをこの時は誰も知らなかった。