ぶっちゃけただの説明会。
読み飛ばしても問題ない。
「えーと、魔力を集めるのが自分の仕事ってことなんですか? 」
「そうだ、我らが新しい兄弟よ。あと、敬語は不要だ」
目の前の巨大な悪魔、第666番ダンジョンコア『トライヘキサ』とそんな会話を行いつつ、俺は自分の置かれている状況を改めて確認していた。
「あ、わかりま・・・ わかった。で、俺はいったいなんなんだ? 」
「さっきも言っただろう9622番? 我らは、我らが父上様によって産み出された、魔力集積装置『ダンジョン』の頭脳にして心臓『ダンジョンコア』だ」
この世界には、魔素と呼ばれる物質が存在している。これが生物に取り込まれると、それは魔力へと変わり、生物の体外へ排出されることでゆっくりと魔素へと戻っていく。しかし、増えすぎた人類がどんどん魔素を魔力へと変えてしまうため、その対策として神が産み出したのがダンジョン、らしい。
「だいたい、わかったようだな? では、まず始めにお前のやるべきことを教えよう。『マップ』を開き、自分のダンジョンが有る場所を確認するのだ」
「・・・どう開くんだ? 」
「マップを開こうと考えながら『マップ』と
言われた通りに『マップ』と声に出す。すると、目の前に半透明のウィンドウのようなものが現れ、そこに地図らしきものが表示された。
「あー、なんか小さな山の中腹辺りっぽいな。えーと・・・ 『シール山』だって」
「ふむ、シール山か。そこは、元々鉱山があった場所だ。ならば、廃坑をそのまま迷宮の機構に取り込めるだろう。洞窟型のようだし、かなりポイントが浮くぞ」
「ポイント? 」
「あぁ、『ダンジョンポイント』のことだ。こいつは『魔力』を『魔素』へと戻したときに我らが父上様から与えられる褒賞のようなものだ。ダンジョンの守護者たる魔物を産み出し、ダンジョンを成長させるために、そして我々の娯楽のために使うことができるものでもある、我ら『ダンジョンコア』にとっての通貨のようなものだな」
「つまり、ダンジョン内部を形作るのに必要なポイントが廃坑を再利用することで節約できるってことか。だけど、そのまま利用するのは不味そうだな・・・ 」
廃坑ならば、鉱山時代の地図が有るかもしれない。
「まぁ、その前にお前のダンジョンコア系統を決めなくてはな」
「ダンジョンコア系統? 」
「魔物は『系統』と言うものである程度分類ができる。複数の系統を持つ場合もある。そして、我々ダンジョンコアは例外なく二つの系統を併せ持つ。そして、自分と同じ系統の魔物を産み出す場合、消費ポイントは半分となる。自分と同じ系統を二つとも持つ魔物なら4分の1だ。お前は洞窟型だから、洞窟が生息地の魔物であればさらに半分だな」
つまり、最大で8分の1と。これは重要だ。しかも、一度決めたら変えることは容易ではなさそうである。
「まずは、『メニュー』を『マップ』と同じ要領で出して、『作成可能魔物一覧表』を開くけ。そして、自分の作りたいダンジョンを思い浮かべながら、ゆっくりと自分の系統を決めればいい」
ざっと、100種類以上ものモンスターが記された一覧へと目を通しつつ、俺は思考を重ね続けた。
「決まった。俺の系統はーー」
『シール山』
ユグドーラ王国の首都である『王都ユグドラ』の南に位置する小さな鉱山。最も、すでに閉鎖されて久しく、モンスターがすみかにせぬよう狩人達が定期的に訪れる以外は人が来ることはほとんどない。