【今まで唯のモンジャラヘヤーNEETだと思っていた兄貴の財布に、諭吉さんが六十枚入って
いた】。
何をやってるんだと思うが、私も悪気はなかったんだ・・・
久しぶりに実家に帰ってきたら、台所に知らない財布があったから確かめただけなんだ。
まさか引きこもりにあんな理由があった何て、しらんかったんよ。
オタクだとか中二だとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねぇ。
ただ一つを極めた者の凄さを味わったお。
何が言いたいかと言うとだ。改めて偏見は良くないと学びました。
そして遅れてすみませんでした。
[ファイル:2/アリサの秘密/A]
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【アリサ】
「陽之輪・・・アラゴ」
海鳴市中央小学校に通う、私こと、アリサ・ローウェルは。いつもの様に授業を半ば聞き流し。
窓から伝わる、温かい日の光に微睡みそうになりながら、授業を受けている。
べつに内容が理解出来から、又、考えごとをしているから聞き流している訳ではない。
その逆。既に内容を理解しているから、聞き流しているのだ。
教材とは、問題を解りやすく教えるためのツールでしかない。
だが言い換えればそれは、問題の答えが教材に書かれていると言うことに他ならないのだ。
一言で言うのなら、退屈である。
私にとって教材とは。隠れた解を組み上げる、ジグソーパズルであり。
答えと言うウ○ーリーを探す、間違い探しでしかない。
我ながら実にふてぶてしいと思うは。
まぁでも、言っても変わるもの、変わらないものもあるわけで。
私の態度も教師の目から見ると、実に小憎らしく映るのだろう。
職務の怠慢である。
今日もそんな変わらぬ、虚ろな日常を過ごすと思っていたのだが・・・今日はすこし、違った。
今朝、食堂に誘ってくれた男の子のことが、頭から離れないでいる。
もっと上手い断り方が言えなかったのか、べつに一緒に食堂へ行くだけなら良かったのではない
か、嫌われてしまったのではないかと。
微睡みの中でさえ、私はあの男の子について考えてしまう。
「もしかしたら、あの子と友達になれたのかな」
そこまで口にして私は首を振る。
いやいや、駄目だ。こんなこと考えるのは止そう。気分が滅入ってしまう。
これでいい、これでいいのよ。
私に友達なんて要らない。
今までそうだったし、そうしてきたでしょ。だって私は・・・
「はぁ~、最悪」
マイナス思考のスパイラル。
気持ちの切り変えとは、思っていたよりも難しいらしい。
自分では早熟な精神を持っていると思っても、存外まだ子供の様だ。
こうゆうとこだけ人間らしくて、ホント嫌になる。
・・・そうね、子供は子供らしく。子供らしい、気分の変え方をしましょ。
子供は知的好奇心から感性が刺激されやすから。
動かないものよりも、動くものには興味が出来やすいと言う。
まあそう言っても、これは生き物の本能みたいなものなのだけどね。
こうゆうとき窓の側で良かったと思うわ。
窓の外では体育の授業だろう、白髪のあの子。
陽之輪くんが皆と楽しそうに、ボールを追いかけているのが見えた。
「・・・ 」
さっきの言葉を撤回したいわ。はぁ~、今日は駄目ね、鬱になりそう。
私は握っている鉛筆を放すと、鉛筆はまるで溶け合った様に、ノートにくっいていた。
鉛筆を握っていた手を見と、私の手から藍色の光りが溢れている。
それは私にしか見えない、悪魔の光。
「・・・化け物のクセに」
あぁ、ホント嫌になる。
私は、私が大っ嫌いだ。
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【アラゴ】
「アァ~―――ッメテェ、でもそれが良い! 」
「それビックリしない? 」
「なんっというか、カキ氷を食べてキィ~ンの爽快感」
「なにそれ」
「ごめん、言った俺も意味わかめダス」
「あれだろ、考えるな感じろってやつだろ」
「何処のブルースリーだ」
体育の授業も終わって、休み時間。
俺は水道で水を被りながら仲の良いクラスメイト。
大海 カケル、丘山 タクトと一緒に、くだらない馬鹿話をしていた。
「カケルて、もしかして水風呂は入れない人? 」
「え、水風呂ってなに? そんのながあるの」
「ああなるほど、カケルは銭湯に行った事がないな」
「うん」
「よし、今度の休み一緒に行こうぜ、スーパー銭湯。カケルの銭湯デビュー戦だ」
「ごめん、俺ちょと無理だ」
タクトの誘いは嬉しいけど、今月から俺のこずかいはかなり少ない。
事故で両親が他界して孤児院に入ったばかりの俺には、おこずかいの貯えがない。
両親の遺産も、俺が二十歳に成るまで役所の人が管理してくれる様で。
今そのお金を自由に使うことが出来ないんだ。
孤児院から月に貰えるお金は決まっているから、無駄づかい出来ないし。
悲しいかな、俺の財布は五百円しかないんだ。
今はこれでも多いんだよ。
小学高学年生のおこずかいは三百五十円って、孤児院で決まってるんだから。
「おいまてアラゴ、じゃあなんで財布に五百円有るんだ」
「アラゴ君、もしかして!? 」
「百五十円はもとから俺の財布に有ったんだよ、勘違いするなよ」
「でぇ~すよねぇ~」
「・・・ホントに? 」
「当たり前歯をクラッカーだ」
あとカケル。おまえが俺のことを如何思っていたか、よぉ~く分かったよ。
「あ、でも今は銭湯には行かないほうが良いかもしれないね」
少し無視してやろうと思っていたけど。カケルが言った何気ない言葉が気になった俺は。カケルを無視するのを止めて、カケルに話しかける。
「おいカケル、それってまた幽霊とかオカルトの噂か」
「そうだよ。でも僕が言うのもあれだけどさ。アラゴ君って最近、この手の話し好きだよね」
「うぅ~ん、キ・ブ・ン☆ だよ」
「・・・きもい」
お願いカケルくん。冗談をそんなガチで返さないで、けっこう傷つくから。
「ゆ、幽霊なんて、いい、居るわけんねぇーし! お前ら子供すぎだし」
「「・・・やーい、ビビリ~」」
「ビビッてねぇ!!」
タクトがビビリかどうかは兎も角、俺も他人が言うオカルトな噂にはとくに興味はない。
ただカケルの言う、オカルトの超常事件は別だ。
カケルはなぜかオカルトや超常現象の話しに限り、メチャメチャ勘が良い奴だ。
まえもそうだった。だからこそ気になる。
カケルが気にする程の話ならおそらくは・・・
「まぁタクト君が怖がりとかはどうでもいいけどね。「カケルさん! 」アラゴ君が聞きたいっ
て言う話はね、今海鳴で(湯場男)って噂に成りは始めている、都市伝説さ」
「湯場男? 」
「あ、俺はもうスルーなんだ。空気なんだね」
タクトごめん、でも今はこの話が聞きたいんだ。
あとカケルくん。そんなイイ笑顔で言い切るなんて。
やっぱお前おとなしそうな顔して、実はかなりのSだろ!!
お兄ちゃん、知ってるんだからね。
「そ、なんでも夕方銭湯に入った女の人が、突然誰かに湯船に引きずり込まれるてしまうらしい
んだ。でね、この事件の面白いとこは全員無事に助かっていて。なおかつ、溺れた人は皆同じこ
とを証言しているとこさ」
「同じことって、いったいなんって言ったんだ」
そう言うとやいなや、カケルは目を光らせながら嬉しそうに話してくれた。
・・・そんなに言いたかったんだろうか。
「ふふふ、それはね・・・湯場男が襲った人の耳元で囁くのさ『こいつじゃない・・・こいつじ
ゃない』て、被害に遭った女性は皆言うみたいだよ。だから噂もこんな早く広まったんだね」
「なるほど・・・--- ありがとうカケル、面白かったよ。ついでに何かほかの共通点はないかな
? 」
「他に? えぇと、確か殆どが小学生の女の子で髪が長かった子が多かったかな」
「それって唯の変態なんじゃね? 」
タクトぇ・・・お、思っても、そう言うことは言うなよ。
でも髪の長がい小学生の女の子か。多いな、だけどだいぶ絞れたかな。
「カケルありがt「あとは外国の人が多いかな」お・・・」
「アリさんはいいね、お友達いっぱいて」
「共通点さ。聞いた話だと唯一、女の子以外で被害に遭っているんだ。」
今分かっている事はそれだけかな。そう言って首を手で掻きながら教えてくれたヒント。
これはかなり貴重情報ではないか? 凄いよカケルさん、十分過ぎる情報Da。
「そっか、カケルありがとう。俺用事が出来たから先行くよ」
「あ、おい。ごめん、待て。アラゴまでスルーしないで。もう空気はイィヤャァァアあああああ
~!! 」
「ごめんタクト、来月には皆で銭湯に行こうぜ! 」
無視しされて落ち込んでいるタクトに謝って、今度一緒に銭湯に行くことを約束すると。後ろで
まだ騒いでいる、タクトの声聞き流し。俺は昼休みの校舎へ向かって走り出した。
「急がないと、まずはこの学校からだ」
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つづく。