衛宮ぐだ子(本名にあらず) 作:ぐだ男よりもぐだ子がすきだぁ!
素に銀と鉄。礎に石と契約の大公———
祖には我が大師×××××———
聖杯により簡略化された英霊召喚の術式に独自のアレンジを幾重にも重ねた魔法陣が光りだす。男は己が悲願が達成されるであろうことを夢想しながら、魔法陣の中央に置かれた二つの触媒が入った箱を見て、口角を吊り上がる。
これだけの用意をしたのだ。むしろ狙った英霊が来ないはずがない。詠唱の途中にも関わらず、彼の心は確信に満ち溢れていた。
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ———
降霊科随一の神童?
アーチボルト家の当主?
全てくだらない。結局、奴は前回の戦いで無様に死したではないか。
故に誰が評価されるべきかを知らしめるべく、男は戦いに馳せ参じると決めたのだ。こと降霊術において自分の横に出るものなどいなかったのだと宣言するために。
我は常世全ての善と成る者、我は常世全ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ———
光が一層神々しさを増したかと思えば、その場の空気が確かに震え出す。男の執念は、
埃が舞う中を、がしゃり、がしゃりと音を立て歩み寄る存在がいる。その英霊は周囲をゆっくりと眺めた後で、視線を男に向ける。
「まさか聖杯を求めるための使い魔として強制的に呼び出されるとは……失礼。驚くよりもまず先に挨拶を済ませておくべきだろう。
———サーヴァント・セイバー。召喚に応じ参上した」
騎士の静謐な佇まい。
反して騎士を呼び出した男は高らかに笑っていた。味方であるセイバー以外に誰もいないこの場所で、さながらそれは己の勝利を宣言するようだった。
「…時に魔術師よ。私の足元にある箱の中身は、貴様が掘り起こしたと見ていいのだろうか?」
箱の中には二つの触媒が入っている。男はその問答に頷いた。とある海辺の国に祀られていた
「———そうか」
かしゃり、と騎士は腰に掛けた剣を鞘から抜く。その眼光は、今まさに目の前の自分を斬り殺さんとする者の目だった。
魔術師はすぐさま令呪を使い、服従を命じる。しかし、
「悪いが
次の瞬間、男の視界は暗転した。
『一昨日、セイバーのサーヴァントが召喚されたことを確認した。もう枠は一つだ。早く召喚を済ませるのだな』
今朝方、留守電に入れられていた忌み嫌う神父のお告げに少女は苛立ちを募らせていた。神父自身に対する苛立ちだけでなく、主にはその内容に。
彼女———遠坂凛が最も優秀なクラスと睨んでいたセイバークラスが召喚された。触媒が手に入らなかった凛はギリギリまで待っていたのだが、それはどうやら裏目に出たらしい。
「はぁ……まぁいいか」
聖杯戦争はサーヴァントの質が勝敗を喫する最重要のファクターだが、マスターの質だって重要だ。その点で言えば奢りではなく、実力に裏打ちされた自信がある。
「見てなさいよ!私からセイバーを横取りしたこの恨み、きっちり十倍にして返してやるんだから!」
誰とも知れぬマスターに理不尽な恨み言を言い放ち、ずかずかと魔術工房へと足運ぶ。残る三大騎士のクラスの一つ、アーチャーを呼び出すために。
———そして、その二日後、一人の少女の運命が流転し始める。
タグからネタバレを防ぐべきなのか、最初から思いつく限り全部つけるべきなのかよくわかりません。