蜂蜜と餡子   作:Анна

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なかなか難しい。


口は頭とは違うことをするのが常

目覚めとしては最悪だろう。黒みがかったブラウスに青いジーパン、靴下だけでほっぽり出されたとしか思えない。私は死んだはずなのになんでこんな所に?

 

草原、平地。障害物、木や建物のひとつもない単なる平たく、背の低い草が生えた草原のど真ん中で寝っ転がってた。日本のじっとりとした暑さとは違うからりとした暑さに肌を撫でる冷たい風は心地いい。

 

いやそんなことはどうでもいい。髪を整えて立ち上がった。バランスを崩すが踏みしめる大地はなかなかに固くしっかりしている。

 

少なくとも日本では無いはずだ。日本はこんな気候ではない、それにこの草、日本では絶対生えない。てか私はこんな植物を地球上で見た事がない。見たくもない。

 

「紫…色…1面…紫…キモイ…」

 

キモイ。1面の草は全て紫が混ざったような色をしていた。食欲が失せる。

 

何を言うことも無い。風邪が涼しいとはいえ、夏の温度である。30分も歩みを進めれば汗も自然と出る。はっきりいって暑い。飲料が無い今行く宛もなくフラフラとしているのはなかなか危険なものがある。

 

地面が硬いぶんそこに対しての体力を取られることは無い。草がチクチクするのもそろそろ慣れたし、草の汁で湿ってきた足の裏の不快感さえ除けば…靴さえあればもう少し楽だったろうに。

 

幸い空腹感が今のところないのが救いなのかもしれない。そろそろ同じ景色(紫色の草)が続くのも飽きてきた。肉体的な疲労に加え、精神的な披露が加わって頭の中パルプンテ(何が起こるかわからない)状態が続いている。

 

と、少しナーバスになっているとガラガラと音が聞こえてきた。それに若い男女、年老いた男、しゃがれた声の男、中性的な声が聞こえてくる。旅人だろうか。こちらからは姿が見えない。

 

敵か味方か分からない。武器も防具も無い、丸腰でコンタクトしていいものか。些か危険性が高いように思える。が、ここがどこかとか、周りの状況とか、何より衣食住の確保をしたい。このままだところっと死んでしまってもおかしくない。というか紫色の草がある時点でまともだとは思えないし思いたくもない。

 

とりあえず襲われたらぶん殴って逃げようと腹を括り、音がする方向に行ってみることにする。

 

 

 

「ここら辺ってなんかあったっけ。」

「いやぁ、なんもねぇな、奴らも出なかったはずだし、ひと休みするか。」

 

どうやらここで休むようだ。言語は明らかに地球上の言葉ではない。が理解できる。なんとなくだが…どちらかと言えば分かってしまうような、少し不快感がある。無理矢理理解させられてる感じだ。

 

人数はわからない。まだ姿は見えないが…音は確実に近づいている。

一応念の為足音は最小限に…コソコソとする方が危ない気はするが、姿勢を低くして…ちょっとずつ近づいていく。

 

「っ!?」

地面が少し凹んでいたみたいで躓いてしまった。音がカサカサと草と体が当たって、私の存在を顕にしてしまう。

 

「なんだ!!!」

 

…バレてしまったようだ。仕方ない。さり気なく、危害を加える気がないことを明確にしながら、当たり障りのない笑顔を浮かべて、通る声で、一言。

 

「は…はろー… 」

 

何故その言葉を出してしまったのか私よ。20年近く付き合ってきた口に物申したくなる瞬間だった。

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