IS インフィニット・ストラトス ~世界を変える一人の傭兵~ 作:八神刹那
IS学園。ここは世界各国のIS操縦者が集うその学校はある極めて特殊な立ち位置の組織だ。
職員室。新学期を残り一週間後に控えたその中、織斑千冬と山田真耶は束の間の休息をしていた。
「いやー、でも、驚きました。あのニュース」
真耶が言った。
「あのニュース。ああ、入学試験の」
千冬がお茶を飲む。
「やっぱり兄弟だからですかね?」
「私にはわかりませーー」
千冬が言おうとした瞬間、
ドゴォン!!
巨大な衝撃音が鳴り響いた。
『第三アリーナに侵入者!対応を願います!』
職員室内に緊急事態を知らせるアナウンスが響く。
「お、織斑先生!」
「山田先生。緊急事態です。リヴァイブに搭乗してください」
「わかりました!」
第三アリーナ。
スーツ姿の千冬とフランスの第二世代ISラファール・リヴァイブをまとった真耶が第三アリーナに入る。
「侵入者ってどうやって侵入したんでしょうか」
「わかりまん。ですが、警戒はー-」
千冬が不意に空を見上げるとそこには黒い穴が開いている。目を凝らすとその穴から何かが落ちてくる。
「あれは・・・」
よく見るとISに乗った少女が落ちてくる。おそらく意識がないのだろうそのまま落下してくる。
「山田先生!」
「はい!」
千冬の命令に真耶はスラスターをふかせ、落下してくる少女を受け止める。抱きかかえながら千冬の近くに降りて少女を見る。年齢は15、6歳ほど、髪はセミロングの朱色で眠っているその顔は凛々しい男の子にも見える。
真耶はデータベースにアクセスし少女の乗っているISを検索するがマッチする機体がない。
「織斑先生。データベースにありません。どこの機体でしょうか?」
真耶が訊ねると千冬は機体をまじまじと見る。
黒を基調に朱色のラインが入ったその機体はどこか物足りなく感じる。まるで武装のない装甲だけの機体。そんな印象を受ける。
するとISが輝き、剣と天秤を模したペンダントになった。
「確かにおかしい機体だ。検査の前にこの子を医務室に」
千冬が真耶に指示すると
『その子をお願いします』
脳内に少年の声が響いた。あたりを見渡すが少年はいない。
(気のせい。なのか・・・?)
千冬は妙な感覚を受けたがきにすることなくその場を後にした。
IS学園。医務室。
ウルフ・アースが目を覚ますと見知らぬ天井が目に映った。
「ここは・・・?」
ウルフが上半身を起こし、今までの経緯を思い出す。
(傍観者とかいう少年が過去の世界にアニマの器があるとか言い出して、それで気がついたらどっかの医務室か・・・)
ウルフが頭を掻こうとすると自分の体の違和感に気がつく。
「あれ?オレの髪ってこんなに長かったっけ?それに胸がなんか重い・・・」
自分の胸のあたりを見下ろすとなぜか膨らみがある。そう、女の子のような・・・
「それに声が高い・・・」
ウルフはベッドから飛び降りて室内にあった鏡で自分の姿を確認する。
鏡に映ったのは15、6歳の女の子?
「はあー!?なんだよこれ!?」
鏡に映っているのは朱色のセミロングの髪に一見すれば男の子にも見えるような凛々しい顔つきの女の子。
「どうなってんだよこれ!まさか、あの傍観者の仕業・・・」
ウルフがブツブツと言っていると
「なにを大きな声を出している?ここは医務室だ。静かにしろ」
いきなりドアか開き入ってきた人物にウルフは目を丸くした。
「織斑千冬・・・」
「なんだ、私を知っているのか。それより、ベッドに戻れ。いろいろ聞きたいことがある」
千冬の指示にウルフはベッドに戻る。
「貴様はどうやってこのIS学園に侵入したんだ?」
「さあ。オレにもよくわからない。気がついたらここにいた」
ウルフの話を聞くと千冬は手に持っているウルフのIDを見る。
「名前はウルフ・アース。所属はPMCトラスト。第303独立部隊。階級は大尉か。その若さでたいしたものだといいたいが。このIDに組織は存在しない。それに貴様の生年月日が今から数百年後なのはなぜだ?」
千冬の質問にウルフは髪をいじる。
「オレが未来の人間で本当は男だって言ったら信じる?」
「どういう意味だ?」
「オレは今から数百年後の未来でISとESと呼ばれる機体に乗り、戦っていた。篠之野束が作り上げたISのせいで起きた戦争でな」
ウルフが言うと
「貴様の言っていることは本当のようだな。では、なぜこの時代に来た?」
「オレが奴さんの罠にはまって舞台ともども壊滅して最後に自爆したら、真っ白な空間にいた傍観者とか名乗るやつに依頼されてたんだ。厄介な連中がこの時代を変えようとしているからって」
「なるほど、事情はわかった。貴様はなにがしたい?」
千冬の直球的な質問にウルフは瞑目し答えた。
「未来を変える。あんなゼロサムゲームの未来はゴメンだ。そのためにIS学園に入れてくれ」
「何のために?」
「なんとなくだ。未来のことを言って良いのかはわからないが戦争の原因はあんたら兄妹だ」
ウルフの話を聞いた千冬は驚きの表情を見せるが
「わかった。では、明日、実戦的な編入試験を行う。貴様の専用機のスペックを知りたいしな」
「わかりました」
千冬が部屋をでた後、ウルフは窓から夕焼けを眺めていた。
「未来を変える。あいつらのためにも。オレ自身のためにも」
そう決意したのだった。