IS インフィニット・ストラトス ~世界を変える一人の傭兵~ 作:八神刹那
IS学園。第4アリーナ。
「おーい。3対1だぞー。もうちょっと頑張ったらどうだ?」
いつものように訓練を終えたウルフはグロッキーになっている一夏、セシリア、鈴の3人にこえをかける。
「セシリアと鈴は周りを見なさすぎ、一夏はバカの一つ覚えの特攻。もう少し、状況を見るなりできないのか?」
「そ、そんなこと言ったって、ウルフが速すぎるんだよ!」
一夏が非難の声を上げる。現にウルフはアシェルのモードF91を使用し、質量のある残像をフル活用し数的不利を圧倒したのだ。
「アホ。そんなんじゃ、これから勝てねぇぞ。はい。今日の訓練はこれで終わり。シャルとラウラはまた今度な」
「うん」
「わかった」
そんなことで、今日の訓練を終えた。
その日の夜。シャルロットはウルフの部屋を訪れていた。
「これが実体剣とビームサーベルを兼ねた51式フラガバッハ。それと、X1と同じ装備のシザーアンカー。これだけあれば十分だろ」
ラファールに武装データを送り、ウルフは背伸びをする。
「ありがとう。お姉ちゃん」
あの事件以来、シャルロットはウルフをお姉ちゃんと呼んで甘えてくる。特にウルフは気にしていないが言われると少しだけ照れる。
「さて、明日は休みだ。ひさしぶりにゴロゴロするかぁー」
とウルフがベッドに寝転がると、
「そう言えば、お姉ちゃんって臨海学校用の水着は?」
シャルロットが聞く。そう、後数日で一年生は臨海学校に行くのだ。
「臨海学校?ただの新装備のテストだろ?オレには関係ない」
「それで、水着は?」
「学校指定の。もしくは泳がない」
ウルフがしれっと言うと
「ダメだよ!そんなんじゃ!」
シャルロットが、かみついた。
「‥‥‥‥‥‥シャル?」
「夏の水着は大切なんだよ!みんな敵なんだよ!」
なぜ、怒る? とウルフが疑問に思うがシシャルロットは
「お姉ちゃんって女としての自覚ないの!? 部屋だって汚いし! 洗濯物は片づけないし! 私服だって男物だし! 何とかしないの!」
(‥‥‥オレ、元男だし)
と口に出したいがそんな空気ではない。シャルロットの言うことももっともである。現にウルフの部屋は私物やIS関係の資料で埋まっている。さらに、私服は私服で少ない。
「別にいいだろ。服なんて。制服あれば」
そんなことをいうと
「ダメ! 明日は僕の買い物と一緒にお姉ちゃんのかいものもするから!」
えーっと言うがシャルロットは一度いったら聞かない頑固な性格。ウルフはしょうがないと言って、買い物へ行くことなった。
翌日。
ウルフとシャルロットはショッピングモールレゾナントへ来ていた。
「相変わらず、人が多いな」
制服姿のウルフが伸びをするとシャルロットが遠慮がちにウルフの手を握る。
「どした?」
「はぐれちゃうといけないから握ってもいいよね?」
「‥‥‥まあ、良いけど」
素っ気なく答えるとシャルロットは満面の笑みを見せる。
「どこから行くんだ?」
「内緒」
とウルフはシャルロットに手を引かれ、向かったのは、
水着売り場
「‥‥‥オレ、帰っていい」
「ダメ!お姉ちゃんの水着と僕の水着買うの!」
その言葉にウルフが逃げようとするがシャルロットがそれを許さない。
「いやだ! 水着なんて絶対きない!」
「ダメ!」
ウルフの悲痛な叫びは虚しく。店内へ連れ込まれる。だが、そこには、
「アースにデュノアか」
なぜか、千冬と一夏の姉弟。どうやら、一夏が千冬の水着を選んでいたようだ。
「お前らも水着を買いに来たのか?」
「そうです!」
「オレは拉致されている」
ウルフがそっぽ向くと千冬が、ニヤリと笑った。
「一夏。アースにどの水着が似合うと思う?」
「「えっ!?」」
千冬のまさかの質問に一夏とシャルロットが目を丸くする。
「アースはあまり、自分から服を買わないらしい。選んでやったらどうだ? 訓練のお礼として」
(コイツは悪魔か‥‥‥)
ウルフはもう、どうとなれというように脱力している。
「でも、千冬姉。俺、どれが良いかなんて分からないし」
一夏が困惑していると
「じゃあ、これはどうだ?」
それから約1時間。ウルフは千冬やシャルロットに着せかえ人形にさせられたのであった。
「ハアー‥‥‥。これじゃあ、休日じゃねえ」
ようやく解放されたウルフは一人で楽器店周り、ギターを買い、プラプラしていた。
「とりあえず、新譜は買えたし、アンプは学園にある。後は」
何か買うものはないかと考えている。ウルフへ国家代表候補生ではないがこの数ヶ月で起きた事件の解決等で学園からそれなりの額の金をもらっている。と言っても今のウルフは高校生でしかも女の子。お酒は買えない。
「あの時は給料の1/10は酒に注ぎ込んでたしな。どうするか」
すると、
「相変わらずたね。君は」
聞き覚えのある声が聞こえた。声のした場所を、みると銀髪の少年がこちらを見ている。
「お前は‥‥‥!」
「ひさしぶりだね。ウルフ・アース」
ウルフが死んだ直後に出会った傍観者と名乗る少年だった。それを見たウルフは
「これはどういうことだ!?」
とてつもない早さで少年の元にかけより、胸ぐらを掴む。
「ち、ちょっと! 落ち着いて!」
「落ち付けだ!? てめぇ! なんでも俺が女になってんだよ! 説明しろ!」
ウルフが少年を締め上げると、少年はウルフの手に何かした。すると、ウルフ手に力が入らなくなる。
「とりあえず、落ち着いたら?」
「お前は一体‥‥‥」
ウルフが少年を睨むと少年は微笑んだ。
「言ったでしょ? ボクは世界の傍観者。あるべき姿に導くための存在。ボクことはケイオスって呼んで。以前はそう呼ばれていたから」
「ケイオス? 混沌か。で、なんで、過去に来てからオレの姿が女になったんだ?」
ウルフの問いにケイオスはゆっくりと答えた。
「まず、この世界は君のいた世界の過去じゃない」
「過去じゃない? じゃあ、どこなんだ?」
「わかりやすく言うなら、君のいた世界と同じ末路を辿るかもしれない平行世界だよ。まあ、過去の認識で合ってるよ」
「それで、なんで、オレが女の身体になったんだ?」
「世界の絶対指数の法則って知ってる?」
「絶対指数?」
「簡単に言うなら、世界に存在して良い、生命体の数は一定数を越えちゃいけないって法則なんだけど」
「その法則とオレの身体。どう関係があるんだ?」
「ぶっちゃけるとこの世界で生まれるはずだった君は女の子だったってことなんだよ」
「はあ?」
「だから、世界そのものは法則を無視しないために君の身体を女の子にした。大体理解できた?」
「要するにオレが女で存在するのは確定なんだな」
「うん。ほかに聞きたいことは? ボクの知ってる範囲。答えられる範囲なら教えるよ」
「‥‥‥オレはこれからどうなる?」
「さあ。でも、君らしくしていたら? できればの話だけど。違和感。感じてるんでしょ?」
ケイオスの言葉に黙ってうなずく。それは最近感じられるようになったことだ。
「たぶんだけど。君の精神は完全な女性のモノになるかもしれない。でも‥‥‥」
ケイオスの言葉にウルフは
「それだったらオレがこの世界にいる時点で行われるはず。にもかかわらず、オレがオレでいると言うことはアニマの器がそこにかんしょうしているってところか」
自分の直感を述べる。
「たぶんね。アニマの器はボクでも知らないオーパーツだからね。だから、君が使うしかない。鍵と王であるベオウルフのリアクターである君がね」
ケイオスはそう言うとその場から霧のように消えた。
すると、
「ウルフー!」
「お姉ちゃん!」
一夏たちがやってくる。
「わかってるさ。ハルファスだけは目覚めさせない。それが13番目の鍵であるオレの役目であるなら」