「それで私たちは付き合うようになったのです」
『おお!』
紗夜と彼氏との馴れ初め話を聞き終えたRoseliaメンバーは感動の声を上げた。
途中からまだ付き合ってない二人にじれったさを感じていた面々だったが、紗夜の彼氏が別の女性とキスをしたのを聞いた途端、悲嘆の叫びを上げた。
ツラツラと続き話す彼女を心配したものだが、ちゃんと結ばれて安堵する。
考えてみれば、現在進行形で二人は付き合っているので心配する必要などないが、感受性が高い青春真っ盛りな乙女たちは聞き終えるまで気が緩まなかったのだ。
「ふぅ、途中に惚気話が無駄に長かったけれど、紗夜の話が聞けて良かったよ。まるで少女漫画みたいな恋愛を小学校から続けれるなんて凄いね! 私の周りなんか付き合っては別れてが早い早い」
「私も色々と聞けて良かったわ。紗夜の男の趣味があれなのは参考にできないけど、もどかしさや熱意は伝わったわ。これは音楽に活かせる。やはり、身近な人間から学んだほうが映画よりも身になるわね」
「あこはこれを音楽に活かせるかまだ分かんないですけど、今日は紗夜さんのことをもっと知れて嬉しかったです! 聞いた感じ、紗夜さんの彼氏さんにも会ってみたいですね。ラスボスキャラみたいでカッコよさそうです! 異性としてはNGですが」
「私も……。漫画やゲームで耳にする話を身近な人間聞くのは生々しく、それ以上に流暢に話す紗夜さんが普段よりテンション高いので困りましたけど。でも、聞き終えればそれも微笑ましくて。とても素敵なお話、ありがとうございます」
「参考になれば話した甲斐があります……待ってください、皆さん其々変なこと言っていませんでしたか?」
「さてと、もう時間も遅いし解散にしましょう。私は紗夜の話を参考に帰って作詞をしてみたいわ」
紗夜が何か言いたげだったが、外を見れば暗い時間なので友希那の言葉通り解散するには丁度いい時間だった。
言われた通り、メンバーたちも帰り支度整えて帰路に向かう。
「そういえば、紗夜さん。Roseliaの活動や学校の委員会仕事や部活動。家でも勉強やギターの練習していますし、やること多いですよね?」
帰り道、沈黙が少し続いたのが我慢できなかったのか、あこが紗夜に微かな疑問を投げかけた。
「そうかしら? もう慣れたから分からないわ」
「あこも色々してるから分かるんですけど、時間がいくらあっても足らないと思うんですよ。その中で、いつ彼氏さんと会ってるんですか?」
(あ──)
二人の話を耳にしていた残りの三人はあこの失態を嘆く。
「学校がある日は待ち合わせして途中まで一緒に行っているわね。最近は日菜も一緒の時が偶にあるけど」
「へぇ、そうなんですか」
「でも、それくらいかしら。お互いにやることがあるから会う時間は減っているわ」
「それは寂しいですね」
「仕方ないわよ。直接会えない時間は朝昼晩、休み時間、食事前、食事後、就寝前、起床後などに携帯で連絡を取っています」
「は、はい。細かいですね」
「会える時間はできるだけ会っていますが、デート以外では二人とも何かの作業をしながら、触れ合うことしかできないわね」
「ソーデスカ、オアツイデスネ」
雲行きが怪しいと漸く悟ったあこは助けを求めるように周りを見る。
「じゃあ、友希那と私はここまでだから!」
「それじゃあ、三人とも気を付けて帰りなさい!」
まだ分かれ道は先だというのに、幼馴染二人組は脱兎の如く逃げだした。
なんと薄情なリーダーとお母さん的存在なのか、あこは絶望した。
「り、りんりん……」
最後の希望へ縋るように、あこは残った燐子に目を向ける。
燐子は何処までも慈愛に満ちた微笑みを浮かべた。
「あこちゃん。私は、何処までもあこちゃんと一緒だよ」
「りんりん!」
「その分、デートをする時は解消するように、聞いていますか宇田川さん? 白金さんも聞いてください」
その後。Roseliaの間で紗夜に彼氏の話題は極力聞かないことが暗黙の了解になったとか、ならなかったとか。
これにて今年の投稿終了。
次回から中学生編。
来年はRoseliaに更なる栄光あれ!
ではでは、皆さま良いお年を。
追伸、20時にゾンビランドサガの短編小説を予約投稿しているので興味があれば読んでください。
ゾンビランドサガ知らなければ、正月見て。