火星出発当日、戦闘服を身に纏いながらイザベラから貰ったリンゴを頬張りながら宇宙艦【アネックス1号】へ向かっている。
続々と入って行く乗組員に紛れ入り込むと、壁に備え付けられた椅子に座っていき、艦内にシートベルトを閉めていく音が鳴り響く。そして、緊張からなのか全員が静かに打ち上げられるのを待っていた。
そしてその時が来た。
鳴り響く轟音に浮遊感、そして圧し掛かるG。それを数分乗り越えれば…
≪あーあー…あふんっ えー乗組員諸君、シートベルトを外してくれ。あとは火星に着くまで居住エリアで過ごしてもらう。居住エリアは人工的に低重力を作り出してあるが任務まで体が鈍らない様にトレーニングを欠かさない様に!あと―――≫
後は簡単に禁止事項などをゆる~く話していた程度だ。俺はとりあえずトレーニング施設がどうなっているのか気になっていたので軽く見に行ってみようと思う。施設の方に足を向け歩き出そうとした時にガッと腕を掴まれ、その腕を辿って顔の方を向くと。
「イザベラか…ビックリしたじゃないか」
「驚いた?」
悪い笑みを浮かべながら俺の腕を離した。
そういえば、イザベラはエヴァと一緒にいたのでは?隣や周りを見てもいないのでどっかいったのか?
「ん?エヴァなら第1班の子と周ってるよ」
「なるほどね…で、お前はどうするんだ?」
「んー特に何もすることがないから、あんたに付いて行くよ」
「あいよ」
結局この日を含めほぼ毎日イザベラと行動を共にしたのであった。
39日目
≪こちら、艦長室 もうじき火星の大気圏に入る 総員2時間後にAエリアに集合すること! 装備を確認後、プラン
「もうすぐ…」
静かに呟く、静かだったが強い思いが篭った呟きだった。
「俺は特にやる事ないから早めに行くが、どうするイザベラ」
後ろでフルーツを食べていた、イザベラは手に持った食べ残しを全て口に入れ飲み込むと立ち上がり隣まで来た。
「そうだね、私も行くよ」
部屋を出て、Aエリアに移動しようとした時、イザベラが異変に気付いた。
「なんか、騒がしくない?」
「確かに、喧嘩か?」
なら見に行ってみようと言うイザベラを引き止めようとした途端、艦内が大きく揺れ始めた。
「「ッ!」」
「んだ今の揺れは!?」
「爆発!?」
やがて揺れが収まり、居住エリアから続々走ってくる乗組員の姿があった。
≪緊急事態発生!着陸プラン
プランδは、全滅を避けるため100人の乗組員を6つのチームに分け、高速脱出機に乗ってそれぞれ別の方向へ向けて本艦を離れ、着陸を終えたチームから各班、アネックス本艦を目指し集合するというもので、各班は各国代表の幹部乗組員が指揮をとり、40日後にやってくる救助船を待つ。それがそのプランδの計画だ。
「イザベラ、脱出機格納に急ぐぞ」
「あ…」
イザベラの手を引っ張り、先導する。
なんだこの胸騒ぎは、嫌な予感が…何も無いでくれよ。
≪こちら艦長!現在メインエンジンに支障をきたし、徐々に火星地表に下降している。本艦での安全な着陸が困難になったため、総員直ちに脱出機格納エリアへ移動する事!≫
そうこうしている間に脱出格納エリア前の扉まで来た。が先にきていた乗組員が開けようとしていた所に合流した。開けようとした矢先に後ろから青年の声が掛かった。
「待て!アレックス!そこにもゴキブリがいるかもしれねぇって艦長が!…みんな下がってろ」
「ゴキブリ!?」
「ゴキブリって、テラフォーマーのことだよな?」
イザベラの言う通り人間大のゴキブリの事だ。となると先程のメインエンジンもあいつらが!?
ていうか、あいつらがこの艦内に侵入してたのかよ!?
扉を開けた瞬間、目に映ったのはアドルフ班長がゴキブリと対峙している最中だった。
「アドルフ班長!」
「…下がってろ」
あぁ難しいですね。
さてさて、そろそろ戦闘シーンも考えなくては…
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