その者、闘神   作:アブマム

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4話

【ボクサー-boxer-】

 

ボクシングの選手のこと。ボクシング選手の中でも特定のスタイルで戦う選手を指すこともある。

 

ボクサーには大別して2つのタイプがあり、近距離におけるインファイトを好む選手を【ファイター】、相手から距離をおいて戦うことを好む選手を【ボクサー】と呼ぶ。さらに3つ目のタイプとして両方の戦術が出来る選手、あるいはどちらとも判然としない選手を【ボクサーファイター】と呼ぶ。

 

 

そして、彼はファイターである。実際に彼は、これまで対戦してきた相手、全員を近距離で粉砕してきた。時に、対策として徹底的にボクサーを貫く相手にだって距離を確実に縮めて倒してきた。そんな彼、カルロス・ナカサワには3つの武器がある。

 

1つ目【パンチ力】

 

相手をガードの上から粉砕するほどの圧倒的パンチ力

 

2つ目【ディフェンス力】

 

相手がいくら攻撃しようとも、全て避けられ、ガードされる。顔に当たったと思いきや、そのパンチが伸びる方向と同じ方向に顔を背けるようにして受け流す、高等技術を駆使するディフェンス力

 

3つ目【瞬発力】

 

相手にいくら距離をとられても瞬時に近付く事も容易に可能であった、爆発的瞬発力

 

 

これらの武器を身に纏い、彼は頂点に立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それは火星に行く事が決まった事でもう1つ増えていた。

火星に来る前に受けたM.O.手術。人為変態が出来る事により、彼は更に強くなった。

 

 

 

手に持った注射器から緑色の液体を首元に打ちこむ。

 

すると、額からは徐々に触角らしきモノが現れていき、身体の筋肉が大きく増強され、特に両腕、前腕がその生物を表したかの様に大きく変形していった。

 

その瞬間に攻撃しようと推定20匹いると思われるテラフォーマーがアドルフ、イザベラ、カルロスらに襲い掛かろうと走り出した瞬間、砕ける音と共に1匹の頭部が無くなっていた。

 

あまりの出来事に、双方の動きがピタリと止まった。

 

頭部の無いテラフォーマー前を見てみると、拳を振り戻した一人の人間が立っていた。

 

 

 

 

 

 

南米に位置するアンデス山脈東部の熱帯雨林地帯に生息する。

 

食性、肉食。

 

攻撃性、強し。

 

昆虫類に収まらずカエルなどの両生類、爬虫類をも捕食する。

そして、最強と謳われるパラポネラまでも襲い、捕食することもあり。

 

最強を食う最強。

 

 

 

M.A.R.S Ranking

 

---14位---

 

 

 

 

カルロス・ナカサワ ブラジル

 

24歳 ♂ 194cm 109kg

M.O.手術 " 昆虫型 "

 

- ディノポネラ -

 

 

 

 

 

 

「案外脆いな」

 

 

一言呟くと、そのまま右足を数ミリ浮かして左足で地面を力強く踏み込む。

踏み込まれた地面は抉れ、目標まで一気に到達する。

着地した右足から左足も着地すると、そのまま踏み込みの勢いを体重に乗せ、左足、腰、左肩、左腕の順に回転させていく。すると、先程まであったテラフォーマーの頭部があっという間に砕け散っている。

 

更に次は、近くにいたテラフォーマーが殴りかかろうと大きく振りかぶった右腕に合わせ、左半身に重心を落とし顔を左後ろに移動させると、右腕がカルロスの顔に当たらず通過した。瞬間、またもや頭部は粉砕されていた。

 

あまりに強烈、あまりに強力、それ故に現役時に付けられたニックネームは

 

 

【闘神】

 

 

人間離れした動き、力を持った彼を讃え、そう名付けられた。

 

 

そして、また次の標的に狙いを定める。

 

 

 

 

 

 

数分後には、先程いたテラフォーマーらはサンプルとして全て脱出機に装備されている虫籠の中へ入れられた。

 

 

 

イザベラがテラフォーマーの一部である眼球や肉片を摘み持ちながら観察しているので、汚いから捨てろと注意した所、投げつけて来たので追い掛け回していたら。脱出機からエヴァが顔を覗かせ、移動するから車内に戻ってと言われた。因みにアドルフ班長は戦っている最中に「お前らだけで十分だ」と言い、車内に戻った。

 

 

「では、移動を開始するぞ」

 

俺が最後に席に座ると、脱出機を発信させた。どうやら、アネックス1号へ移動する様だ。

 

 

数十分後、走行中に急に()()でイザベラが話し掛けてきた。

 

 

「なぁカルロス」

 

「なんだ、イザベラ?」

 

「カルロスって絶対に生け捕りが基準に無ければ絶対に14位じゃないよな、なあエヴァ?」

 

「う、うん。皆、すごいビックリしてたよ」

 

「いや、普通だrッ!?」

 

すると、脱出機が急に左折し始め、車内を揺らした。

 

左、右、また右と揺られる。少しアドルフ班長へ運転技術を疑ったが、何か理由があっての行動だと信じよう。

 

 

「離陸ぶぞ、掴ま―――ン!?おいおい…!?何でだッよッ!」

 

初めて聞くアドルフ班長の慌てた声に続くように、脱出機が横から大きな衝突音と共に衝撃が俺たちを襲い、脱出機が周りの悲鳴と共にどんどんクレーターの下に落ちていくのが分かった。その時、アドルフ班長が何かに気付き、声を上げた。

 

「ここはまずい!押し返すぞッ!」

 

フルスロットルで脱出を図ろうとした瞬間、爆音が聞こえ、後輪と恐らくエンジン部分だろう箇所がやられた。そして、数十分前に見た光景とアドルフ班長が第2班(日米第2)の班長と通信していた会話を思い出した。

 

第4班(中国)の焼死体の光景。

そして、アドルフ班長が通信していた会話で聞こえた言葉

 

 

 

『ただのゴキブリじゃない…"人間の裏切り者"か、若しくは"火器を得たゴキブリ"か…』

 

 

 

畜生!的中かよ!

 

そう思っている内に俺らが落ちたクレーター周辺には何処からそんなに出てくるんだって位の軍勢ともいえる程のテラフォーマーの数。そうして、先程俺らを突き落とした脱出機から片腕に3本ずつ計6本の縄を巻いた全身の筋肉が異様に増強されたテラフォーマーと周りから通常型のテラフォーマーが現れた。

 

 

「…カルロス、イザベラ」

 

「了解」

 

「…待ってな、いい子で」

 

イザベラがエヴァの頭をクシャっと撫でると俺らは脱出機の上に立った。

 

「…さて、やる事は1つだカルロス、イザベラ。あの無灯火運転のデブから4班の脱出機を奪え」

 

「ウス」

 

「お安い御用で」

 

「俺は向こうのどう見ても300匹近くはいる害虫共をやる」

 

 

 

あの時に邪魔さえなければアネックス1号へ直行出来たはずなんだがなぁ…あのデブのせいでかなりのロスだ。

ああ…アイツのせいか。

 

 

「イザベラはあのデブの周りを頼む」

 

「オッケィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺はデブをミンチにする」




お待たせしました。

戦闘シーンって本当に難しいですね。

さてさて、次回が激ムズだぉ…


誤字脱字感想お待ちしてます!

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