その者、闘神   作:アブマム

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5話

偉そうに逞しい両腕を組み、こちらを見下ろしている。そして、その周りには通常型テラフォーマーが囲っているが、どうも、動く気配が無いので適当に挑発してみる事に。

 

 

「そこのデブと三下共、汚いから消えてくれないか?」

 

すると、言っている意味を理解したのかは分からないがデブだけが歩いて来た。それを好機とみて、俺とイザベラは脱出機から降りて歩きだす。

 

「イザベラ、頼んだぞ」

 

「任せてときな」

 

俺らがデブとの距離が2mを切った時、イザベラが自身のベース能力を使い瞬時にデブの横を駆け抜けていった。

 

イザベラのベースとなった生物は"リオック"体長約65mm~80mmまである巨大コオロギだ。食性は肉食で非常に獰猛な昆虫であり、脚力も非常に強力である。その為…

 

「あーあ、いいの?あっちは大惨事真っ只中だけど」

 

瞬時に第4班の脱出機の元まで駆けつけ、テラフォーマー共を引き裂きまくってた。

声を掛けたテラフォーマーは無反応で、気付いた時には、腕を振りかぶって殴りかかろうとしていた。時遅し、そのまま顔にクリーンヒット…したと思われたが

 

「残念でsッ!」

 

もう一度殴りかかるテラフォーマーだが、またしても

 

「おい、喋ってる途中で殴rッ!」

 

当たらない、正確には当たってはいるが全て受け流されている。

混乱するテラフォーマーはもう一度殴りかかろうとした時だった、殴りかかった左腕が肘から先が吹っ飛んだ。

 

「ったく、人の話し聞けよ…今のは、お前が殴ってきたのを見計らって右アッパーで肘を狙った、一応カウンターってヤツ、お前らには無い技術だ。俺の顔にクリーンヒットしないのも人間の技術」

 

このデブのパンチはとても単調で、[腕を引く→殴る]とても簡単に見切れ、スリッピングアウェーでパンチを反らす事が出来た。カウンターを狙えたのもこいつの動きが単調だったから。ある意味、実験だったが無事に終えれたので早速もう片方の腕も吹き飛ばす事にした。両腕が無くなったデブは何やら「じょうじ!」と叫んでいるのでそろそろ終わりにする事に

 

「助けを呼んでいるのか?それは無駄だ、今から俺はお前をミンチにするんだから」

その言葉に続くように、左ストーレト、左右のフック。アッパー、ボディをテラフォーマーの身体に幾度も打ち込むと、周りには肉片があちらこちらに散らばり、目の前には下半身のみが残っていた。

 

「…やり過ぎた」

 

 

変異が終わり、頬を掻きながらイザベラがいる脱出機の方へ行ってみると、案の定彼女の周りには切り裂かれたテラフォーマーが数十体転がっていた。

 

「お、カルロス!はやかったじゃん」

 

「いや、ちょいっと実験してたからもう少し早く来れた。さてと…イザベラは動作確認しといてくれ」

 

「いいけど、カルロスは?」

 

「俺は…って終わってたわ」

 

アドルフ班長がいる方へ振り向くと既に焼け焦げたテラフォーマーの死体があちらこちらに転がっている。そして、更に奥を見てみると、もう一機の脱出機が煙を上げており、その隣にも死体が転がっていた。300匹を超える軍勢がいたのにも関わらず、周りの死体は100匹にも満たない。不思議に思ったが、とりあえず脱出機の確保ができた事を伝えにいこう。

 

「アドルフ班長、脱出機の確保が完了しました」

 

「そうか…よくやった」

 

「あいつらは逃げたんですか?」

 

「ああ…お前、デブを殺した時何か叫んでなかったか?」

 

殺した時…あ、もしかして…

 

「言ってました、じょうじって」

 

「恐らくだが、逃げろ的な合図、言葉だったのだろう。その言葉でやつらを統率していた奴が脱出機で逃げようとしていた。脱出機は何とか壊せたがそいつには逃げられた」

 

「え、統率してるやつって…ボスってことですよね!?」

 

「恐らくな…お前に話したい事があるが、それは移動してからする」

 

「了解です。おーい皆!薬、食料等必要なものを持ってイザベラがいる脱出機に移動してくれ!」

 

外から声を掛けると、中から安堵した班員らが言われた通りに薬、食料、水などをそれぞれ手に持ち移動を開始した。

 

荷物を脱出機の中に移し終えると、すぐさま移動を開始した。空での移動をしたかっのだが、翼部分が破損しているため飛行できず。そのため、周囲を警戒しながら陸路を進んでいった。

 

既に日は沈み、火星に来て初めての夜、先程の事もあったので精神的にも疲れている非戦闘員は眠っており。戦闘が可能である3人は2人で走行、周囲警戒、1人は仮眠をという交代制で休憩を取ることにした。

 

イザベラを先に寝かせたアドルフ班長は俺に近くに来いと合図を出し、小声で話し始めた。

 

 

「カルロス、お前がいなければ恐らくこの班は全滅していた」

 

「は?なに言ってるんですか?」

 

「冗談で言っている訳ではない。あの時、お前が殺したテラフォーマーが危険を察知、伝えた事でアイツらは逃走したと思われる。正直お前がこの班にいてくれて助かる」

 

「…なんか照れくさいですけど、そういって貰えると嬉しいですね」

 

「ああ…それと、これから本艦へ向かうが、その前に日米班のどちらかと合流したい」

 

「なぜですか?」

 

「恐らくだが…裏切り者がいる」

 

「…マジですか?」

 

「ああ、俺の推測だが、第4班(中国)第6班(ヨーロッパ・アフリカ)がその可能性が高い」

 

「でも、4班は全滅した筈じゃ…まさか、偽装ですか?」

 

「正解だ、そして第6班はジョセフが明らかに何か起こす。だから、これからは害虫だけでもなく、味方もしっかりと見ておけ…まぁこの班は大丈夫だが」

 

「…了解です」

 

 

正直、仲間の中に裏切り者がいるなんて考えたくも無かったが、恐らくその目的はサンプルをいち早く我が国に持ち帰り、他の国よりも上に立ちたいが為だろう。

 

 

 

 

あぁ…腹が立つ、そんなにも沢山の犠牲を払ってでも上に立ちたいのか。

胸の奥底から怒りが湧き上がってくる。そんな俺に気付いたのか、アドルフ班長が右腕をあて俺の胸を小突いた。

 

 

「この戦い、俺らが勝つぞ」

 

「はいッ!」

 

 

 

邪魔するやつは誰であろうと殺す、そして俺らが必ず勝つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じょうじ」




展開を考えすぎて遅れました
とりあえず今の所は5班は無事って事で。

それより戦闘が難しすぎます、助けてください。

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