橙/化け猫
レリーブル/本の妖精
リブラン/花の妖精
アネモネ/風の妖精
レンズロー/水の妖精
サーフィスウォーター/水の妖精
リップルアクア/水の妖精
フルードヴァッサー/水の妖精
レリーブルは、顎に手を当て考える。どうすれば橙の目的を聞く事が出来るのか。どうすれば裏の森から出る事が出来るのか。
考えて、考えて、考えて、考えて。その結果がこれだ。
「妖精ごときに教える事なんか無いわ」
橙の言葉である。妖精を下に見ているのが明らかに分かる台詞。胡座をかいた状態でふんぞり返る橙を見て、仕方ないとレリーブルは手段を変える。
最も手っ取り早い手段に。
「水の四妖精、頼んだ」
そう言ってレリーブルが指を鳴らすと、水の四妖精は橙を四方から囲む。しかし橙は動じずにまだ胡座をかいたままだ。
「四人なら私に勝てると思っているの?」
「もちろん、この四人はただの妖精ではない」
「へぇ、どんな妖精でも大して変わらないと思うけどね」
「そうでもないさ、その四人は水の妖精。 君は水が苦手なんだろう?」
レリーブルの言葉を聴いて、内心橙は戸惑った。高々妖精ごときであるレリーブルが、まさか自分の弱点を把握しているとは思っていなかったのだ。
(妖精ごときに負ける訳無いけど、万が一水を被って式神が外れたら面倒だし、妖精に式神を剥がされたとあっては、藍様に顔向け出来ないわ)
ならばと橙は考える。
(逆にこの妖精達を利用してやれば良い)
橙はレリーブルを見詰めると、心の中でレリーブルを嘲笑う。
(……まあ、妖精だからあまり期待は出来ないけれど)
こちらを見詰める橙に対して、レリーブルは不思議な顔で首を傾げ、その後口を開く。
「? ……で、どうする? 私としては橙の目的さえ知る事が出来れば、それで満足なんだけど」
レリーブルのその言葉に、困り顔を浮かべたフルードがおいおいと頭を掻く。
「いやいや、そんな事どうでもいいだろ。 おい橙とやら、あんたこの森から出る方法を知らないか?」
「そうよ! 森から出られなくて腹が立ってたんだから!」
「おー! 橙は知ってるのかー!?」
「? 森から出られないだって? 一体何の事?」
流れる様に続く言葉の弾幕を受け、橙は困惑する。そんな橙を見たレンズは、ジト目を橙に向けた。
「……役立たず~」
罵倒するレンズを一睨みした橙は、レリーブルに顔を向けて不機嫌な態度で口を開く。
「……どういう事か教えて頂戴」
「教えるも何も、フルード達が言っている事が全てだよ。 私達は今、この森から出る事が出来ないんだ」
レリーブルの言葉を聴いて橙は顎に手をやると、少しだけ考え込んだ。
(……森から出られない? それが異変? 私達が逃げれない様に誰かが結界を張っている? 一体何の為に? いや、そもそも……)
この森全体に結界を張る何て、それ程の力を持った妖怪相手に異変解決等、私の力で出来るのだろうか。そう考え俯く橙に、レリーブルは急かす様に語りかける。
「さあ早く、橙の目的を教えてくれ。 これ以上は我慢出来ない」
早く早くと急かすレリーブルを見て、橙は深くため息を吐くと、少し沈黙してから口を開いた。
「話しても良いけど、一つ条件があるわ」
『? 条件?』
そう言って首を傾げる妖精達を見て、橙はにやりと笑った。
「私の目的に協力しなさい」
少女説明中……。
「……成る程、つまり橙は主である八雲藍に命じられてこの森にやって来た……そういう事か」
「それで間違い無いわ」
レリーブルの言葉に橙は首を縦に振る。
「ふん! あんた役に立ちそうに無いわね!」
「はぁ?」
サーフィスの暴言に、橙は不満気に声を漏らすとサーフィスを睨み付ける。
「私達は今からあんたの異変解決に協力する、それは別にいいわ! 霧の湖に帰る為には異変を解決する必要がある、だから私達が協力するのも吝かではないわ! でもね!」
「何よ」
「あんたただの化け猫でしょ! 跳び跳ねるくらいしか出来ない癖に、何の役に立つって言うのよ!」
「妖精よりも私の方がよっぽど役に立つわよ!」
橙とサーフィスが言い合うのを尻目に、レリーブルはアネモネに話しかける。
「ところで、アネモネも協力してくれるかい」
「嫌よ、絶対に嫌」
ぴしゃりと、アネモネは苦い顔をしながら拒絶する。
「暇潰ししたくないのかいアネモネ? どうせ暇してたんだろう?」
「そうね、私は今暇よ? でも嫌」
「断られて私傷付いたのだけれど、理由を教えてくれないかい?」
「あなたが誘う暇潰しは、やがて面倒事に変わるからよ」
「……」
サーフィスと橙の喧騒、レリーブルとアネモネのやり取り、その二つを見て呆れたフルードが、手を叩きながら四人の会話を中断させる。
「はいはい、あんたら少し落ち着きなよ。 皆で協力して異変を解決するんだろ? じゃあ仲良くしなきゃ駄目じゃないか」
フルードの言葉にアネモネ以外は口を閉ざす。
アネモネだけは不満気な顔をしながら口を開いた。
「私は協力致しませんわ。 人の家の上で唸る猫がいるものだから注意する為に出てきただけで、別に森から出られなくとも私は困りませんし」
「まあまあアネモネ、良いじゃないか別に、少しぐらい付き合ってくれよ」
フルードの言葉を聴いて、アネモネは断る事を諦める。
(断っても駄目な流れね、……今日は厄日だわ)
アネモネはそう思うと、頭に手を当てる。
「……はぁ……少しだけ付き合いましょう。 少しだけ」
アネモネはため息を吐くと、呆れた様に首を振った。
二人のやり取りが終わったのを確認した橙は、割り込む様に口を開く。
「それで? これからどうするの?」
「はっ! これからの方針を自分で考える事も出来ないわけ!?」
「あんたさっきから五月蝿い!」
「ふん! 妖精を見下すあなたの態度が気に食わないのよ!」
橙とサーフィスの言い合いが始まる前に、まあまあと言いながら二人の言い合いを止めると、フルードはリップルにあるお願いをする。お願いをされたリップルは、おー!と言うと能力を発動してある妖精を探し始める。
リップルの能力発動を視認したフルードは、橙の方に向き直ると口を開いた。
「橙、異変の首謀者を探すのにうってつけの奴がいるんだ。 今からリップルが案内するからあんたも付いてきな」
「へぇ、そんな便利な妖精もいるんだ」
「いるんだよ、便利な妖精さんがな。 まあ、中々癖の強い奴だから、協力してくれるとは限らないけどな」
「……協力してくれなかったらどうするの?」
「そんときはそんときだ」
フルードはふははと豪快に笑う。そんなフルードを見た橙は呆れてため息を吐いた。
フルードが豪快に笑う横で、リップルは驚愕の声を出した。
「んー! 全然反応が無いぞー!?」
「……一回休み中?」
「それだー!」
リップルはレンズに指を差しながら同調する。
レリーブルはその様子を見ながら腕を組み、んー、と唸る。
「タイミングが悪いな。 仕方ないから家にお邪魔させてもらって、帰ってくるのを待とう」
「おー! レリーブルは誰に会いに行くか分かるのかー!? すごいぞレリーブルー!」
驚いているリップルに苦笑しながらレリーブルは頬を掻く。
「裏の森で人探しに最適な妖精といったらミラー達しかいないからね。 そうだろうリップル?」
「正解だー! でもそのミラーからの反応が無いぞー!?」
「ミラーの家で待ってれば会えるよ」
「じゃあミラーの家に行くぞー!」
リップルはそう言うと、ミラーの家に向かって飛んでいった。
「ちょっと待ちなさいよ!」
「待って~」
「相変わらず突拍子の無い奴だな」
サーフィス、レンズ、フルードはリップルの後を追いかける。
「それじゃあ橙、行こうか」
「……そうね」
「リブランも……リブラン?」
振り返ったレリーブルが見たのは、空中にも関わらず眠りこけているリブランだった。
「……ここには窓が無いんだけどなー」
「……窓?」
「いやいや、こっちの話」
レリーブルの言葉に首を傾げる橙。そんな橙に苦笑するレリーブルは、眠っているリブランを背負うと、リップルの方向に向けて飛び出した。
「うーん、後五分~」
「はぁ~」
リブランの寝言にため息を吐きながら。
橙
種族:化け猫
能力:妖術を扱う程度の能力
二つ名:凶兆の黒猫
レリーブル
種族:妖精
能力:本を生み出す程度の能力
二つ名:永遠の本棚
リブラン
種族:妖精
能力:汚れを落とす程度能力
二つ名:汚れ無き花妖精
アネモネ
種族:妖精
能力:風を送る程度の能力
二つ名:ささやかな微風
フルードヴァッサー
種族:妖精
能力:水を集める程度の能力
二つ名:浮遊する集水
サーフィスウォーター
種族:妖精
能力:姿を被せる程度の能力
二つ名:水面に映る虚像
リップルアクア
種族:妖精
能力:相手との距離を知る程度の能力
二つ名:緩やかに広がる波紋
レンズロー
種族:妖精
能力:透ける程度の能力
二つ名:自由奔放な水妖精