赤々と目に焼き付くような視界、実際に周囲は燃え盛る炎に包まれている。
顔を上げるので精一杯な程のダメージの中俺は目の前の背中に疑問と怒りを問いかける。
「き、教授!!・・・一体」
教授。そう呼ばれた長身の女性は振り返ることなく答える。静かに、しかし明確な感情を込めて。
「お前は、こちら側には来るなよ・・・」
そう言って彼女の姿は見えなくなった。痛みの奔流ととどろく爆発音に俺の意識は闇の底へ落ちていった。
「・・・っっ!!はぁ、はぁ、はぁ・・・」
目が覚めると同時に俺はベッドから跳ね起きた。着ていた服は絞れそうなほどに濡れている。あの夢を見た時の目覚めはいつもこうだ。
「嫌な夢だぜまったく・・・」
服を脱ぎ窓に近付きカーテンを開けると薄暗かった部屋に朝日が強烈に差し込んでくる。眩しさに目を細める。俺は、
太田学院は、
南北3㎞の巨大な教育施設。敷地内に複数の学校や競技場、商業施設、研究所まで備えている。
「ドーヴラエウ―トラ!起きてるか颯天!!」
ノックと共に男の声が廊下に響く。この暑苦しい声は・・・
「起きてるよ、カギは空いてるから入っていいぞ」
「おーう。相変わらず散らかってるし陰気な部屋だなあ」
言うが早いか浅黒い肌の男が入ってきた。
彼は、
180cmを優に超える筋肉質な男だが、ただの運動馬鹿と言う訳でも無くロシア語とドイツ語を解し、古今東西の兵器、武器、戦争背景を把握している所謂戦争オタクと言うやつだ。
「今日から始業式だが・・・大丈夫かお前?だいぶ汗かいてるが。またあの夢か?」
「心配すんな。お前の暑苦しい顔を見たら落ち着いた」
「解せぬ・・・人が心配しているのに。まぁいいさ早く着替えて行くぞ。今日は、
サージェスト・・・かつては超能力、魔術、妖術と呼ばれていたものである。研究が進みこれらの力は先天的にあらゆる生物がもつ神臓と呼ばれる内臓器官によって生み出されているものだと判明した。それまでは、神臓を持つ者は一千万人に一人の割合で生まれてきていたが、この十数年の内に爆発的に増加し今や三人に一人が神臓を持つと言われている。
「あぁそうだったな。取り敢えず食堂で飯だな、腹が減った。」
「おう!分かってるじゃねぇか。今日は色々大事な日だ、カツ丼の特盛といこうじゃねぇか!!」
こいつ昨日の夜ラーメン大盛りとチャーハン大盛りと餃子10個平らげてたよな・・・どこにそんな食料が消えてくんだ?
「しかし相変わらずでけぇよなここは、敷地の移動にバスだぜ?」
カツ丼の特盛を平らげた俺たちは、バスに乗って編入予定の太田南校舎へ向かう。翔の方は特盛だけでは足りないらしくデカいおにぎりを食べている掃除機か。
「東西2km南北3kmもあるんだ歩いたら結構かかるし面倒だろ」
「そうか?俺なら走って8分以内に南北横断できるぜ?」
「体力お化け・・・ん、着いたみたいだぜ行くぞ。」
何か言ったか?と睨んでくる翔をよそに俺はバスを降りる。真新しい校舎、校門から桜がトンネルをつくりその中を行き交う生徒たち
「ここが太田南校舎か。」
サージェストの為の世界最高峰の教育施設、俺たちの新しい学び舎であり、任務の場。そして。教授・・・俺の故郷を焼き払った俺の育て親が出没すると言われる場所。遅れてバスから降りてきた翔が俺に耳打ちをする。普段の暑苦しいしゃべり方やおちゃらけたしゃべり方ではない、底冷えするような威圧感のある声。
「オイ。気付いてるか?
「あぁ気が付いてる。さぁ行くぞ」
そう、俺たちは普通の生徒として編入してきたわけじゃない。なにせ俺たちは能力を悪用する人間に時として非合法的に制裁を加える