Kroneなヤツらのソード・ワールド 作:霧子のエビの天ぷら
GM:バルディンは最後の一撃を喰らうと大きく後ろに吹き飛ばされ、何かをうわごとのように呟いて、他の魔将たちと同様に消え去った。
カナデ:なんとか……勝てたみたいね。
ミカ:あーっ、つかれた……。
シューコ:お疲れさん。干し肉あるけど、食べる?
ミカ:食べる食べる。
アスカ:ご苦労様、さて、肉体労働組には少し休んでてもらって、頭脳担当のほうはもう少し働いてもらうよ。
シキ:え~っ。
アスカ:そういわないでほしいね……さすがにこの量はボクの手にはあまる。膨大すぎて時間が足りないんだ。
リリィ:それじゃ、シキちゃんは休んでて。アタシがやるから。
アスカ:……まあいいだろう。
GM:リリィとアスカは共同でデータを探していく。研究室の利用履歴、監視用マナカメラの映像などは残っていたが、研究内容に関すると思われるフォルダの中身は完全に削除されていた。
リリィ:ダメ、やっぱり消されちゃってるよ。
アスカ:その程度なら想定しているさ。データを消すだけならわざわざ戦力を割く必要はない。きっとどこかに……あった!
リリィ:見つかった?
アスカ:ああ、きっとこれだ。領域保護プログラム……?
【知識判定】リリィ (3,4)+50→57 プログラムの内容がわかった。
リリィ:なるほどね。コレ、指定した範囲の領域を不可視の結界で防護するもの見たい。原案としては大破局の再来に備えて、【セーブ・ザ・ワールド】を自動的に発生させられないかっていうのが始まりだったみたいだよ。
アスカ:なるほどね。そんなのがあれば、決死の突入作戦も無意味というわけか。勘が当たってくれてよかったよ。
リリィ:プログラム、さっさと止めちゃおう。
GM:リリィがプログラムの解除コードを入力すると……突然、外から大きな地響きが聞こえだした。
フレデリカ:あれ? 地雷踏みデリカ?
アスカ:なんだこの揺れは!?
シキ:【ディメンジョン・ゲート】っ!
GM:地響きで崩壊し行く研究所を、君たちは命からがら脱出した。
シューコ:ぜえ、ぜぇ……。
ミカ:た、助かったぁ……。
アスカ:くそ、なんなんだ一体……。………………。
リリィ:アスカちゃん?
アスカ:………………なんだ、あれは……?
GM:アスカが震える指で刺したほうには、巨大な奈落を抱くように、さらに巨大な黒い大樹がその根を下ろしていた。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
さかのぼること数刻……
リカ:うっ……こ、ここは……?
???:お目覚めですかな、お嬢様。
リカ:誰!?
ヴェルファウスト:私はヴェルファウスト……貴女様に仕える僕でございます。
リカ:……。ウソ。あんたからは、あたしをさらったやつとおんなじ匂いがする。
ヴェルファウスト:……。
リカ:ここはどこなの。あたしを早く解放しなさい!
ヴェルファウスト:申し訳ありませんがそれはできない相談です。御身はこれより大事な儀式にあらせられるお体……余計に動かれては、貴女様自身に危険が及びます。
リカ:オドシのつもり? ヘンだ。そんなオドシには屈しないんだから。すぐにお姉ちゃんが来てアンタをボッコボコにしてくれるんだから!
ヴェルファウスト:ほう、それはそれは。しかし、妙ですねえ。
リカ:?
ヴェルファウスト:貴女様の姉君……ミカ、と言いましたか。彼女はハールーンにて戦死したと伺っておりますが?
リカ:……ウソだよ。お姉ちゃんは生きてるもん。ちゃんとこの目で、お姉ちゃんを見たんだから。
ヴェルファウスト:なるほど。しかしかの報告は人族よりなされたもの。貴女の母君と父君もそれを認めているのですよ。
リカ:えっ……。
ヴェルファウスト:それに、貴女様はかれこれ1か月もの間眠りについておりました。しかしこの場には彼女は来ていない……もしあなたのおっしゃる通りに姉が生きていらっしゃるのであれば、いったいどこで油を売っているのでしょう?
リカ:そ、それは……。お、お姉ちゃんは、忙しいから……。
ヴェルファウスト:多忙であることが貴女様を切り捨てる理由にはならないと思いますがね。……ああ、今しがた連絡が来ましたよ。お姉さんの情報が。
リカ:っ!
ヴェルファウスト:どうやらあなたのお姉さまは、大陸外への移動準備をしているそうですよ。悲しいですねぇ、硬い絆で結ばれていると思っていたのはあなただけ……当の姉はあなたを見捨てて自分だけ助かろうと尻尾を撒いて逃げ出す始末。
リカ:……嘘だ。
ヴェルファウスト:ウソではありませんよ。お姉さんが登録している冒険者ギルドのメンバーから寄せられた情報です。ああ何たる悲劇か、硬い絆で結ばれていた姉妹は、いつしかその絆を風化させ、ボロボロに朽ちてしまった……。
リカ:嘘だ。
ヴェルファウスト:攫われた悲劇の妹はただけなげに姉の救出を待ち続けるも、姉は妹を見捨てて自らが安全な場所へと逃げだす始末。
リカ:嘘だぁ!
ヴェルファウスト:嘘ではない!! お前は、捨てられたんだよ!!
リカ:──っ!
ヴェルファウスト:だが貴女様は大変運が良い。貴女様には類い稀な非凡なる才能があった。私にお任せくだされば……この悲しき運命をも覆すことが可能……。どうです、我々に御身をお預けくださりませんか……?
リカ:……。
ヴェルファウスト:そう、それでいい……そのままじっと……。
ヴェルファウストが宙に浮かんでいき、リカのもとへと近づいていく。そして、そっと頬をなでようとしたとき、唾が吹き付けられた。
ヴェルファウスト:……。
リカ:フーンだ。あたしをこんな目に合わせておいて、騙そうっていってもそうはいかないんだから! お姉ちゃんは生きてる。絶対あたしに会いに来てくれる! あたしの誕生日には、絶対会いに来てくれたもん! どんなに忙しくても、必ず会いに来てくれたもん!
ヴェルファウスト:そうですか……。いやはや、さすが、と言ったところでしょうか。『器』となるほどの人格とはこれほどに強固なものとは。我が魔力のみでは御することもできぬとは……。仕方ない、少々乱暴な手を使わせていただきましょう!
ヴェルファウストは懐から黒い短剣を取り出し、それをリカの胸に向かって手ごと刺し貫いた。
リカ:ガ……ッ!!
ヴェルファウスト:『器』の意思などもとより興味はない。多少手順が変わるだけだ。それに……精神が反発する方が、より高純度の魔力を大量に引き出せる! 始めようか、ルミエルよ、イグニスよ!
上方に設置されていた2つの剣から莫大な魔力があふれ出す。本来まじりあうはずのない2種類の魔力がまじりあい、巨大な門を形成した。
リカ:やだ、やだやだヤダぁ! コワイ、怖い! 誰か、助け──っ!
次の瞬間、リカの体に、この世界のモノではない異質な魔力が注がれ始めた。彼女の体には今までに退官したことがないような激痛が貼りし、その涙と悲鳴は膨大な魔力の中にかき消されていく。
ヴェルファウスト:素晴らしい、素晴らしい魔力だ! 時は満ちた、さあ我らが神よ、贄を喰らい、この世界に降臨せよ!
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ヴァイス:な、なんだこの揺れは!?
アイリス:──っ! お兄様、外を、外を見てください!
ローヘリオン:オイオイオイ、なんだありゃぁ!?
パウロウィニア:……黒い、神樹……!?
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
数時間後。ハーヴェス王国では突如発生した黒い大樹に対するハールーンから帰国した《瑠璃色のチューリップ》も交えて緊急御前会議が行われることになった。
ヴァイス:……張り巡らされていた結界に、突如発生した神樹、か。
アスカ:発生したタイミングを考えて、おそらく地響きはあの大樹の発生に起因するものとみて間違いないだろうね。
魔術ギルド会長:あの大樹発生以後、ハーヴェス国内ではすでに未知の魔力が増大しつつあり、影響として妖精魔法が不安定になるなどの現象が確認されております。
冒険者ギルドギルド長:魔法だけじゃない。周囲にいる蛮族や魔神、それに動植物までかなり狂暴になっている。まるで理性を忘れたかのような暴れっぷり……すでに王国近郊の小さな村では被害が出始めている状態だ。これらすべてがあの大樹に原因があるとみていいだろう。
ヴァイス:しかしあれはなんだ? なぜあんな巨大なものが突然現れた?
アスカ:連中は、ここにいる《瑠璃色のチューリップ》のミカの妹、リカという少女を誘拐している。そして、ハールーンの地下研究所には彼女自身の培養シミュレーションの記録があった。
シキ:多分だけど、召異魔法の理論を用いて何らかの魔神を召喚しようとしているんだと思う。ただ、基本召異魔法に使うのは人間の死体だから、生きている人間を、しかも培養してまで数を増やそうとして、いったい何を呼び出そうとしたのかまではわからないかな。
アイリス:いかがなさいますか、兄上。
ヴァイス:……。仕方あるまい。向こうが何してくるかわからないが、何もしなくてもこのままでは人類は滅亡する危険性のほうが高い。ならば、反攻作戦と行くしかないだろう。アイリス、近郊の村落に国内への避難のほうを誘導してくれ。魔術ギルドのほうはコアは既にできているか?
会長:ええ。シキ殿とリリィ殿のおかげですでに。
ヴァイス:冒険者ギルドのほうは、戦力はどれほど残っている?
ギルド長:冒険者1206名、総計310パーティーがまだ健在です。その中で前線に出て魔神どもと殴り合えるのは、およそ50パーティーと言ったところでしょうか。
ヴァイス:上出来だ。魔神と殴り合えないものたちには国の警備につかせるよう依頼を出そう。50パーティーのほうは飛行艇に乗って陽動をしてもらいたい。
ギルド長:直ちに。
ヴァイス:聞いての通りだ。作戦の決行は明日の夜明けとともに行う。ほかの者で陽動を行うから君たちはヴェルファウストを討伐して欲しい。
ミカ:わかりました。
シューコ:最後の準備期間は1日かぁ。
アイリス:皆様には別途お渡ししたいものがございますので、《曙の黒槍亭》にてご準備をいただければと。
カナデ:渡したいもの?
アイリス:ええ。今回の決戦に向けて用意したものです。きっと気に入ってくださりますよ。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
GM:ま、こんなところでいいだろう。今回のセッションは終了だ、みんな、お疲れ様。
LiPPS:お疲れ様でしたー!
周子:やー、今回も疲れたね。
志希:にゃはは、やっぱり先制判定スリルある~。
奏:今までが要求値が低かっただけでしょ? こんなものじゃない?
GM:そうでもしないと変転すら切られないからな。与ダメージ量もだいたい把握できたし次ももっとスリルある戦闘にしたいな。せめて1ターンは行動させて欲しいが。
美嘉:だいたいシキが縛っていっちゃうから、厳しくない?
GM:ううむ……だいたい3ターンから4ターンぐらいで決着するのが理想なんだが……うまくいかないな。
奏:ところで、最後に何か言ってたみたいだけど、また何かもらえるの?
GM:ああ、いろいろ用意してあるぞ。防具とか、装飾品とかな。ただ……。
奏:ただ?
GM:防具のほうで調整が難航している。だいたいどんな能力にするかは固まったんだが……周子に渡す分だけちょっと違うものになるかな。
周子:まあメイン盾だしね。今回は《常闇の加護》もうまく利用できて楽しかったよ?
GM:まさか完封されるとは思わなかったよ。雑魚はともかく、ボスはもうちょっと達成値高くしないと通用しないな。
奏:私のほうは火力不足が目立ってきたわね。どうにも、弓の限界のような感じがするわ。
GM:カナデは根本的に手数が足りないからなぁ。アキレス腱だった防護点は克服したし、今後は気にしなくてもいいだろうが、手数による総計ダメージの増加はやはり難しいだろう。《狙撃》が発動できるかどうかも重要だしな。
フレデリカ:アタシも何かしら新しいのが欲しいなぁ。なんだか支援の内容が単調で~。
GM:まあ考えたよ。考えたけど結局ボツにしたんだ。
フレデリカ:へ~、どんなのだったの?
GM:こんなの。
・The Lotus of Black Blood カテゴリ:消耗品/マテリアルカード
効果:補助動作でのみ発動可能。任意の色、およびランクのマテリアルカード1種類を3枚獲得する。この効果を発動したターンの終了時、このカードによって作成されたマテリアルカードはすべて消滅し、このマテリアルカードは所有者のアルケミーキットに戻る。
・The Time Walker/時間旅行者 カテゴリ:賦術 要求:青×1、同ランクの任意色×1 対象:1体 抵抗:不可 射程:30m 時間:一瞬
効果:1Rに1度だけ発動できる。対象は手番終了後、もう一度追加で手番を得る。
・Cosmo Stream/逆巻く宇宙 カテゴリ:賦術 要求:青×2 対象:1体+自身 抵抗:不可 射程:30m 時間:一瞬
1Rに1度だけ発動できる。対象はHPとMPを全回復し、戦闘開始時の位置に再設置される。この効果の対象が【サモン・フェアリー】などで召喚されていた場合、対象は消滅する。この効果による移動は乱戦・遮蔽・障害物を無視する。
・Call of Powers/熾天招集 カテゴリ:賦術 要求:青×3、赤×3 対象:自身 抵抗:なし 時間:一瞬/特殊
1戦闘中1度発動できる。任意の種族:妖精もしくは魔法生物の魔物を1体、自身と同じ座標に召喚できる。この効果によって召喚された存在は戦闘終了時まで召喚者の指示に従う。召喚した妖精および魔法生物が所持している魔法、および戦闘特技は召喚者と同じになる。
フレデリカ:わお。
GM:MTGのようなナニカを追加してみようかと思ったんだが……主動作じゃなくて手番だから単純に手数2倍なんだよな。それでシキの手数でも増やされようものならもっとひどいことになる。《熾天招集》なんぞはもはや使い物にならないし、《逆巻く宇宙》も特に必要としてないだろう? だからボツにしたんだ。
美嘉:まあこれ以上はね。
周子:防具、期待して待ってるよ。
GM:それは任せろ。期待以上のものを仕上げてやるよ。さ、経験点とかの計算に入ろう。戦利品のほうはどうだ?
志希:アビスシャードを除いて合計97000G。残りは139012Gになったよ。
GM:結構な額だな。それなら別途金は積まなくても大丈夫だろう。経験点のほうは合計866Lv、86600点。成長回数は58回だな。
美嘉:うわ、またたくさん振らないと。
奏:報酬のほうは?
GM:それは今回の成長が終わったら適用してくれ。成長後、所持している全技能のレベルを+2すること。それに応じて一部数値も変わるだろうが、まあ問題ないだろう。……今日はかなり遅くなってしまったな。これで解散にしよう。成長が終わったらいつも通り連絡をくれ。じゃ、解散!
LiPPS:はーい。