僕物語   作:ソウルゲイン

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4・入試試験は燃え上がる。

『「今日は俺のライヴにようこそー!!! エヴィバディセイヘイ!!!」』

「「「「(シ――ン)」」」」

 

 マイク越しに響き渡るうるさい声、それを聞いていた人達は静まり返っていた。

 季節は年を越した二月の後半、まだ底冷えする寒さが続く日々、僕は高校入試試験を受けていた。

 受験している学校は当然、雄英高校ヒーロー科である。

 ヒーローに成る夢を諦めた僕がヒーロー科を受験しているのはおかしな事であると思われるかも知れないけど、これにはちゃんとした理由があった。

 

 僕はヒーローでは無く特殊資格を持ったヒーロー・・・・通称"特殊ヒーロー"に成ろうとしていたのだ。

 

 "特殊ヒーロー"、それはヒーローの中でごく一部のヒーローしか成れない特殊資格であり、通常のヒーローとは異なり、明るみには出来ない事件、出来事などを対処する人達の総称である。

 僕に助力してくれた忍野メメさんも、特殊ヒーローの一人だ。

 この『特殊ヒーロー』と言うのは成ろうとして成れるものでは無く、ヒーローの資格を持つ者の中から適任者を見定められて政府からスカウトされる事で初めて成れるものであるらしい。

 故に、この特殊ヒーローに成るために必要な第一歩がヒーローの資格を取得する事なのだ。

 

 ちなみにこの情報のソースは忍野さんである。

 

 そして僕がこの特殊ヒーローに成ろうとした理由は当然、僕のパートナーである忍・・・・忍野忍の為だ。

 忍は現在、力を失った事で無害認定を受けてはいるけど、実は彼女は意外と簡単に力を取り戻すのは事が出来るのだ。

 その方法は主に二つあり、一つは僕の血を吸う事、吸血鬼の能力の一つであるエナジードレインをする事で力を増幅させる方法。

 そしてもう一つが、僕が死ぬことだ。

 僕が現在、彼女とリンクしている状態でり一心同体だ。

 僕の存在が彼女を弱めている為、その僕が死んでしまったら、完全復活してしまうとの事。そう成ってしまったら彼女は再び有害認定を受けてしまい狙われる事に成ってしまい、僕に取ってはそれは断じて許せないことだ。

 

 彼女と・・・・忍と円満な人生を送るには僕自身が強く成り、確固たる立場を確立させる必要があるのだ。

 

 故に僕は再びヒーローに成る決心をしたのである。

 ちなみに忍は当然、僕の影の中に居る。

 

『"Plus ultra"!! それでは皆、良い受難を!!』

 

 説明が終わり受験生全員が移動を始める。

 僕も席を立ち移動を始めるが・・・・、

 

『ギラッ』

「(睨まれてるなぁ~・・・)」

 

 僕は隣に座っていた人物に睨まれていた。その人物は僕もよく知っている人物でり、僕の幼なじみでもある人物・・・・爆豪勝己であった。

 忍や忍野さんと出会ってから約、十ヶ月が過ぎているけど、その間は特に彼とは疎遠に成って居た。

 理由は簡単であり、この十ヶ月の間に忍や忍野さんと出会い、様々な事件に巻き込まれていた為、彼に構って居られるほどの暇が無かったのだ。

 僕はこの十ヶ月の間、忍や忍野さんの他にも色んな人と出会った。

 自らを"詐欺師"と称す不気味な男性や不思議な童女を連れた京都弁の女性。

 そして"何でも知ってるお姉さん"と名乗る謎過ぎる女性等々・・・・。

 ちなみにこれらの人達は皆、忍野さんと関わりのある人達だった。

 色んな変わり者達と巡り会えた事で僕の中の常識はどんどんと壊れて行ったけど、僕自身、精神面では大きく成長できたと自負しているから、これらの巡り会いは幸運だったと思って居る。

 

 ――話が逸れてしまったけど、つまりそんな訳で僕は幼なじみである彼・・・・かっちゃんとは係わらなくなってしまったのだ。

 でも今更、彼と係わろうとは思って居ない。僕は忍の為にヒーローに成ろうとしている為、オールマイトのようなヒーローを目指している彼とは完全に歩む道が分かれてしまったのだ。

 彼は彼の道を行き、僕は僕の道を行く。僕は僕の目的の為にひたすら突き進むだけだ。

 だから僕は・・・・・

 

『プイッ』

「っ!?」

 

 睨み付けて来る幼なじみを無視して歩くのであった・・・・・。

 

 

 

 ◇◇

 

 場所は変わって実技試験会場。

 会場は本物の街を再現した物であり、見た感じは本当に人が住めそうな物であった。

 その会場の入り口付近では僕を含めた受験生達がウォーミングアップをしていたり精神統一をして居たけど、僕は何時でも動けるように身構えていた。

 ――何故なら。

 

『ハイスタート!』

 

 始まりとは突然やってくる物だと理解していたからだ。

 スタート合図が鳴った瞬間僕は掛けだした。他の受験生達は当然出遅れる。

 しかしこれは当然の事であった。ここに居る受験生達の殆どは良き個性を持っているだけの一般人であり変凡な暮らしをしていた人達だ。このような唐突な出来事に対応できるような器量は持ち合わせていないだろう。

 対する僕はこの十ヶ月の間に戦闘、殺し合い等と言った事まで経験してしまった為、いかなる場合でも油断しないように心がけて居たのだ。

 

 

『標的補足!! ブッ殺ス!!』

 

 標的であるロボットが押し寄せて来た。まるでSF映画に出て来るような戦闘ロボット。見た感じは滅茶苦茶強そうに思えた。

 ――だが、

 

「はぁあっ!!」

 

 僕はそのロボットを難なく破壊した。

 昔の僕ならこのようなロボットを相手にしたら一目散に逃亡して居ただろうけど、今の僕は違う。

 僕はこの十ヶ月の間に死ぬほどの特訓を重ねてきたのだ。

 忍とリンクしていることによって常人よりも強い肉体を持ち、再生とまでは行かないけど回復力も凄まじく、死ににくい肉体を有している。

 回復力と死ににくい体質を利用して僕は死ぬギリギリまでの特訓を重ね続けた。そのおかげて僕はプロのヒーローに限りなく近い力を手に入れる事が出来た。

 だから、この程度のロボットの破壊も造作の無い事であったのだ。

 

「はっ! はぁあっ!!」

 

 僕は次々とロボットを破壊して行く。

 ロボットにはそれぞれポイントが定められていて、より多くのポイントを獲得した者が試験に合格出来る仕組みに成って居る。

 スタートダッシュに成功した僕は既に多くのロボットを破壊する事に成功した。ポイントだけを計算してみたら既に合格ラインに達しただろう。

 後は・・・・。

 

『GOOOOM』

 

 圧倒的な驚異に備えるだけだ。

 目の前に現れたのは巨大なロボット。説明で伝えられたポイントが定められていないお邪魔虫ロボットだ。

 

「逃げろぉー!!」

「あんなの勝てっこねぇ!!」

 

 それを目の当たりにした受験生の殆どは我先にと逃亡していく。

 身の危険を肌で感じた人間の行動は実に正直な物だった。相手はロボットであるけど、ヴィランと想定されて用意されている仮想ヴィランであるのに、ヒーローを志している筈の受験生が我先にと逃亡してしまっている。

 

 ――これが"ヒーローに憧れているだけ"の人間がする行動か。

 

 僕のかつてはこんな人間だったのだろうか? 何とも複雑な思いを抱いてしまった。

 目の前に居る巨大ロボットはポイントは振られて居ないため戦ってもメリットが無いけど、ヒーローとは損得で動く物では無いと理解はしていた。

 だから僕はこの巨大をロボットの気を引いて、他の受験生の身の安全を図ろうとした。

 

 ――だが、その時。

 

「いったぁ・・・・」

「!?」

 

 一人の少女が目に映ってしまった。

 その子は茶髪の平凡な女の子、転んでいるように見えたけど、よく見てみたら瓦礫で足が挟まれていて身動きが取れずに居たのだ。

 そしてその子の後ろには巨大なロボットが接近していた。

 このままでは彼女が押しつぶされてしまう。それはつまり、彼女の命が失われてしまう。

 そう思った瞬間、僕の身体が急激に暑く成って言った。

 そして。

 

『バッ!!』

 

 僕は飛び上がった。巨大ロボットに向かって飛び上がっていた。

 本来ならこれはあり得ないことだった。巨大ロボットと僕の間は二百メートルは離れて居り、例え人間以上吸血鬼未満の存在で常人よりも高い身体能力を有して居たとしても、普段の僕では絶対に届かないはずの距離だ。

 しかし今の僕は普段と違っていた。どう言う訳かは解らない。この時の僕は信じられない程のパワーが溢れているような感じがしたのだ。

 まるで全身から沸き出ているかのようなパワー、巨大ロボットまで一っ飛び出来るほどの大パワー。

 

 そして。

 

「吸血鬼スマッシュっ!!」

 

 僕は巨大ロボットに向かってパンチを繰り出した。僕の拳がヒットすると巨大ロボットは粉々に吹き飛んで行った。

 自分でも信じられない力だった。パンチのネーミングはダサいかも知れないけど、それでも凄まじい力を発揮した。

 巨大ロボットの破壊に成功した僕はそのまま僕は地面に着地し、直ぐに女の子の元に駆け寄り、瓦礫を退けていく。

 

「あ、ありがと」

 

 女の子はお礼を言って来た。驚いた表情をしているけどお礼を言ってきた。

 しかし、これはお礼を言われるほどの事では無い。人助けはヒーローの本分なのだから、これはヒーローを目指している者なら行って当然の行為なのだ。

 僕自身、別にお礼の言葉が欲しくて助けたわけでは無い。唯、気付いたら身体が勝手に動いていただけだった。

 しかし、それでもやはり人からお礼を言われたら嬉しい物だ。自分の存在に意味があると思えるからだ。例えそれがうぬぼれや勘違いであったとしても、己の心は救われるような気がする。

 僕はお礼を言ってきた女の子に軽く会釈をして済ませてた。

 そして

 

『終了~~!!』

 

 終了のアナウンスが流れた。試験の終了だ。

 仮想ヴィランの撃破は十分に出来た。筆記試験でも特に問題は無い。

 何事も無く無事に試験を終了出来た・・・・・・・・。

 

「うぐっ!」

 

 訳では無かった。

 僕は身体に異変が起きてしまい地面に膝を突いてしまい両手で身体を押さえてしまう。

 ・・・・・・苦しい!

 

「ど、どうしたの!?」

 

 女の子が急に膝を突き苦しみ出した僕に気付いたようであり、声を掛けて来。

 だが、僕は・・・・・

 

「近づくな! 離れろっ!」

「!?」

 

 そんな彼女を拒絶し強引に遠ざけた。その衝撃で彼女は尻餅を付いてしまっている。

 

「おい君! 何をしているんだ!! 女の子を突き飛ばす何てヒーロー志望の風上にも置けないぞ!?」

 

 近くでそれを見ていたメガネを掛けた長身の男が詰め寄って来た。

 どうやら正義感が強い人物みたいであり、女の子を突き飛ばした僕の行為を見過ごせなかったみたいだけど・・・・

 

「おい君! 何とか言ったらどうなん・・・・」

「離れろっ!! 危ないっ!!」

「っ!?」

 

 僕はその男子も突き飛ばした。彼も尻餅を付く。

 心配してくれる女の子の手を振り払い拒絶するのはとても酷い行いだ。それを正す為に僕に詰め寄ってきた彼を突き飛ばしたのも当然酷い行い・・・・最低な行いと言えるだろう。

 しかし、それでも僕は彼女と彼を遠ざける必要が合った。今僕の身体には異変が起きている。

 

 ――身体が熱いんだ。

 今僕の身体とてつもなく熱く成って居る。身体中から煙が上がっている。

 

「おい君! ど、どうしたんだ!?」

「身体から煙が出とる!?」

 

 突き飛ばした二人が心配そうに声を掛けてくるが、僕はそれに答える事が出来ない・・・・出来なかった。

 身体が熱い。

 熱い・・・・・・・・熱い!

 熱い! 熱い! 熱い!

 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱い! 熱いっ!!

 

「ぐわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

「「っ!!?」」

 

 僕が悲鳴を上げると供に僕の身体から火が吹き出した。身体が燃えている。

 これは心が燃えていると言うわけでは無く、本当に身体が火で燃えている・・・・豪火に焼かれていた。

 この感覚には記憶が合った。

 僕は以前にもこのように豪火に身体を焼かれる経験をしていた。

 僕が忍ぶと・・・・・キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードと出会って吸血鬼に成った次の日、自分が吸血鬼に成った事を知らずに太陽の下に出てしまい、太陽の光にこの身を晒してしまい豪火に焼かれると言う、痛ましい経験を・・・・・。

 

「ぐっ、ぐわぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

 しかし、そんな思い出話をしている場合では無かった。

 身体が燃えている。豪火に焼かれている!

 このままでは僕は太陽に焼かれて灰に成ってしまうっ!!

 早く日陰に行かなければっ!!」

 

「ぐっ! ぐわぁっ!!」

 

 全身を炎に包まれて居たけど、意識はしっかりと保てていて、目もかろうじて見えた。

 僕は燃え上がる身体を引きずりながら必死に建物の中の日陰を目指した。

 そして。

 

「ぶはぁっ!! はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」

 

 何とか建物の日陰に入ることが出来た。

 僕を纏っていた火は直ぐに消え去り、ようやく一息を付くことが出来る。

 

 危なかった・・・・・・本当に危なかった。

 あのまま燃え上がっていたら本当に灰に成るまで燃え上がっていた。

 身体はまだ熱いけど、それは異常を来す程の物ではない。

 僕は自分の手の平を見た・・・・。

 

「(君なのか? ・・・・・・忍)」

 

 僕はこうなってしまった原因を考えた。

 今に僕は吸血鬼にはほど遠い人間擬きの存在で在り、太陽の光で身体が燃え上がる事は無い。そんな僕が太陽に焼かれてしまう理由があるとすれば、僕が再び吸血鬼に成ってしまったと言う事に成ってしまう。

 僕が再び吸血鬼に成ってしまうとすれば、その理由はただ一つ・・・・・。

 

「(僕の血を吸ったのか・・・・)」

 

 忍が僕の血を吸う以外に無い。それは食事で取るような吸血では無く、眷属を作る為の吸血・・・・エナジードレインに他成らない。

 彼女が僕の血を吸ってエナジードレインをする事で彼女の吸血鬼としての力が戻り、それと同時に僕の中に在る吸血鬼性も強くなって行く。

 こう成った原因は彼女・・・・忍が僕の血を吸った以外に考えられない。

 僕は自分の影に目をやった。

 

「(僕の気持ちに応えてくれたのかい・・・・忍)」

 

 僕は心の中で影の中に居る忍に語りかける。

 どう言う理由で僕の血を吸ったのかは解らない。でも彼女のお陰で女の子を救うことが出来た。

 だから僕は・・・・・。

 

「(忍。君のお陰で僕はまた一人、誰かを救うことが出来たよ)」

 

 心の底から感謝の言葉を述べた。

 影の中にいる彼女に聞こえているかは解らないけど、それでもお礼を言った。

 事情は何だって良い。理由なんて何だって良い。身体が燃え上がった事なんて気にしない。

 彼女のお陰で僕は諦めていたヒーローとしての行いをする事が出来た。だから僕は心の底から彼女に感謝の心を抱いた。

 

「ありがとう。・・・・忍」

 

 最後に声に出して忍にお礼を言った。

 こうして僕の実技試験、雄英高校の受験は終えて行った・・・・・・。




中々、案が思い付きませんでしたが何とか書き上げました。
唯、これ以上書けるかどうかは解りません。
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