ーユーキスー
兄との別れに悲しむゼシカを置いて俺達は東の塔を出た。立ち寄ったリーザス村でこのような事実を知ることになるなんてな、ただ…情報が手に入ればいいと考えていたのに。…ドルマゲス、…奴は危険だ。
村へと戻ってきた俺達は、頼み事をしてきたポルクに報告をする。多少…内容を誤魔化したりしたが、ゼシカは無事であると言えば心底ホッとしていた。安心したポルクは俺達に礼を言い、ささやかな報酬として宿屋の部屋を取ってくれたとのこと。小遣いをはたいたとかって、…口は悪いけど良い子だねぇ~。
次の日、ゼシカは無事に戻ってきたのかを確認する為に屋敷へと行ってみた。行ってみればゼシカは無事に戻ってきていたみたいだけど、母親であるアローザさんと言い争いをしていた。サーベルトを悼む悼まない、家訓よりもサーベルトの仇を討つ方が大事。サーベルトは仇討ちを望んでいない、それよりも家訓に従いサーベルトの死を悼むべき。
最終的にはサーベルトの言葉通りに自分の信じた道を進む、サーベルトの仇討ちが自分の道と言い切ったゼシカ。それに対してアローザさんは、ゼシカをアルバート一族とは認めないから出ていけと言った。…見た感じ見事に決裂、ゼシカは怒り心頭のままに自室へと戻った。
暫くしてから私服? に着替えたゼシカが出てきて、ポルク達に謝った後…アローザさんに捨て台詞を吐いて出ていってしまった。…これからどうなるんだ? リーザス村は? ゼシカは?
多少の気まずさがあったが、俺達はアローザさんに挨拶をしてから屋敷を出た。ポルク達にも声を掛けてから村を出た、…行き先はポルトリンクで決まりだな。そこで船に乗って大陸を渡ろう、何となくだけど…この大陸には奴がいないと思う。まぁ船へ乗る前に情報収集はするけど、…というわけでポルトリンクへと向かおう。
一年ぶりぐらいになるかな、ポルトリンクへ来るのは。久々に鼻腔をくすぐる潮の香りが心地好い、ユフィールも鼻歌を口ずさんでいるし。…やはり海はいいよな、爽やかな感じがさ。…さて、定期船は…っと。
定期船乗り場へと行ってみれば、何やら揉め事が起きているよう。関わりたくはないが、定期船に乗らなければならないからな。仕方なしにそちらへと向かえばゼシカがいた、海の男と押し問答をしている。…あのお嬢さんは揉め事が好きなんか? …しかしまぁ退治がどうのって言っているようだけど。
遠巻きにその様子を見てどうするかって話し合っていると、何やらキョロキョロとしだして…って目が合った! 案の定…ニコニコしながら駆け寄ってくる、その時…ある部分の暴れっぷりが凄かった。………ごほん! 駆け寄ってきたゼシカが言うには、海に魔物が出る為に出航が出来ないようで。自分が出ようものなら周りが必死に止める為にそれが出来ない、だから代わりに倒すか追い払うかをして欲しいとのこと。
俺達も定期船に乗りたいからね、その頼みを了承して魔物退治へ。定期船に乗って沖へ出てみれば、海中から巨大なイカの魔物が出現した。訳の分からんことを言って襲い掛かってくるが、奴の炎の息はフバーハの前に微弱、一〇本の触覚からなる攻撃もピオリムとスカラで避けつつ防ぎきる。後は全員にバイキルトを、攻撃力が上昇した所でタコ殴りをすれば奴は沈黙。危なげなく倒せばゼシカは大喜び、
「みんな強いのね! …ユーキスと言ったかしら? 積極的ではないけれど、徹底したサポートを見れば分かる。貴方が一番なのね!」
と言って、俺の腕を取り興奮している。…因みに俺も若干ながら興奮していたりする、…だってゼシカの巨乳に俺の腕が挟ま………ってユフィール! メラミはやめろ!! 流石の俺も火傷するから!?
巨大なイカの魔物は正気を取り戻した。…操られていたんか、…殺さなくてよかった。…で正気を取り戻した彼が言うには、海を歩く道化師野郎に操られたとのこと。操られていたとはしても迷惑を掛けたのは事実、お詫びとして金のブレスレットを置いていった。こちらもベホイミで回復してやったら、お礼を言って海の中へと帰っていった。…悪い奴じゃなかったみたいだね、彼も災難だったな。
…にしてもドルマゲスの奴、やはり海を渡り別大陸へ行ってやがったのか。………パルミドは大丈夫だよな?