正直、びっくりした。殴られ蹴られで倒れていた人が、何事もなかったように立って、こっちにスタスタ歩いて来てる、こんな状況に
高校生「おい、鷹住、ふざけてんのか、あ?」
すかさず、アタシ達を囲んでいた高校生のうちの一人が、彼の胸ぐらを掴みにかかる
「先輩、胸ぐらって、ワンパターンですよね。そうだ、カミソリ仕込んだら掴まれずに済みますかね?」
高校生「はぁ?格好つけてんのかよ、お前」
「そう見えます?あー、いや、つけてるか。実際にこんな奴と対面したら多分引きますもん、自分」
話が噛み合ってない、というよりは、相手にする気すらないような、なんていうか、異様な雰囲気?
「でも、カミソリって効果的だと思いません?漫画ではそれで相手の意識を乱してましたし」
彼の態度への苛立ちがこっちに向くんじゃないかと思って、泣きそうになるが、それを必死に堪える
高校生「わかった。お前にも一発させてやるからよ、次から態度に気を付けな。餞別だよ、特別にな」
突然、自分たちの未来の恐怖を掻き立てられ、悪寒が走る。奴らの嗤う口元と目線が、とことん歪んで見えてくる
「そうですか?すいません、じゃあ一発」
彼は言い終わるのと同時に、躊躇う様子もなく、とてつもない速さで相手を殴り付けた。アタシみたいな殴り合いの喧嘩なんてのと無縁でもわかってしまうくらい、痛い音だった
高校生「あっ……つぅ…てぇ」
倒れた高校生があげる呻き声が先程までのとは違い、弱々しくなっている
高校生「てめぇ、殺されてぇのか?!」
すぐに別の一人が囲うように動きながら怒鳴り付ける。ビクッと震えたアタシ達を差し置いて、彼は
「だって、先輩が一発いいって言ってましたよ?」
高校生「はぁ?」
彼はちらっとアタシ達を見て
「ああ……そういう、日本語って難しいですね、なるほどなるほど…良い趣味してますね、とことんカスな考えですね」
高校生「お前、殺す」
「あの娘ら、可哀想ですよ?」
高校生「てめぇの腐れ脳みそも可哀想だよ。殺されて当然の真似するような体たらくじゃあな」
「先輩先輩、さっきからね…………黙って聞いてりゃ、口先だけで殺すぞ殺すぞだと?やってみろよ、頚筋の裂き方も知らんクソガキが」
唐突に、口調が変わり、目付きや気配、立ち方なんかまでが変貌した
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いかん。やらかした。おとなしくあそこにお巡りさん戦法であの二人担いで逃げたがよかったやもしれん
か弱い俺を助けてくれるやつはおらんのか?おらんか。自問自答とか昔流行った、中二病?だったっけ?とりあえず、どこまでしていいのかよくわからんが、とりあえず、自衛は大事
「野郎ぉ!」
長期的な軍役を積むと、やはり情報が最低限の認識にしかならない。実際は、視界正面右から左腕、殴りかかってきてる、と解釈すべきだが、来てる、程度にしか思わなくなった。
体重を軽く左半身にかけ、転けるような姿勢をとる。当然、避けるけど、倒れる。その衝撃を和らげる為、さっと相手の脚に左の足首をかけながら、左手を路地を形成する雑貨ビルの壁に置き、そして右踵を膝裏に落とす。
そのまま左足を引いて、固まっている阿呆どもの方に押しやりながら左手の5本の指をフル動員させ貼り付く。
阿呆どもにストライク……ならず…やっぱボウリングの才能ないな、俺
なんとなくだが市原悦子を思い出した…
あらやだ(激寒)
「ぷっ……」
いかん。やらかした(二回目)
高校生「なに笑ってやがる?!」
「すみませんね!(半ギレ)」
ギャクセンスが古いと一原に言われたのを思いだし、少しイラッと来た
あんなろ、実年齢は年下の上に若作りしやがって…五十路め
突然かもしれないが、頭お花畑はまぁ結構言われて長い。お花畑…頭は花園王国…悪くないな
高校生「本格的にやってやるからな」
複数だと…卑怯だぞ。卑弥呼って卑が入ってて色々可哀想なイメージがある
今度は、殴りかかってきたバイト経験ありの先輩の右腕を力を込めて掴み、横にふってあら危ない
高校生「あだだだだだ!」
高校生「ぶっ!」
頭を下げればぶつかりませんってね。用無しになった先輩の腹に膝蹴り、ついでに肩に手を失礼して、後ろに回りながら腰を落とし、一番後ろの腰ぬけに踵で蹴りあげる
どうやら、これで終わりみたいだ。あっけない
アドレナリンで、むちゃくちゃな思考回路をいつも通りの平常運転に戻して、二人組の中学生、ぐらいだろうか?に振り向く
「世の中物騒だし、まぁ、気を付けな」
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「世の中物騒だし、まぁ、気を付けな」
彼がそう言ってくれて、ようやくほっとした。その安心感からか、止めどなく涙が溢れだしてきた
「ぐっ……えっ……えぐっ…」
「え?ええ?え?お、俺、なんかやった?え?え?ご、ごめん!なんか気に障ったりしてたら悪かった、謝る!だからさ、泣くなよ、な?」
友希那「あなたって、自分を見直した方が良いと思うわ」
友希那がアタシの代わりに返事をしてくれた。少し、いや、かなりアバウトだったけど
「ご、ごめん……な…さい」
ようやく平静を取り戻しつつあった口から出た言葉は、言うつもりなんてなかった、全く場に合わない一言だった
その後は、どうしてそう思ったのかはわからないけれど、喫茶店でケーキを食べてる友希那と、水をひたすら飲んでる彼を、よく覚えてる
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「色々、濃かったなぁ…」
「リサちー、おばあちゃんみたいなコメントだね」