地上本部襲撃事件から一週間。
管理局本局に停留している次元航行船クラウディア。クロノが艦長を務めるこの艦に、現在はやてとフェイトが赴いていた。応接室に案内され、クロノを正面にはやてとフェイトが座る。内容は言わずもがな、今回の地上本部襲撃と、それと同時に襲撃を受けた機動六課についてだ。クロノは用意したコーヒーを口にしつつ、表示させた立体ディスプレイを見ながら口を開き、
「……状況は芳しくないな。先日の地上本部襲撃で、地上はかなりの被害を受けた。機動六課に至っては……」
そこでクロノが言葉を切る。はやては険しい表情を見せながらもクロノを正面に見据えてから口を開く。
「地上本部の襲撃に合わせて六課を奇襲……。ヴィヴィオ、そして保管されていたレリックを奪われた」
はやての言葉通り、地上本部はあくまで六課を引き付ける陽動であり、手薄になっているところを奇襲された。狙いはヴィヴィオとレリック。待機していた局員などが迎撃したものの、相手は召還魔導師と戦闘機人二人。召還魔導師によって転移されたガジェットドローンの群れだ。隊長陣が不在では防ぎきれない戦力だ。
結果、機動六課は壊滅的なダメージを受けた。シャマルとザフィーラが奮闘してくれたものの、戦闘機人の攻撃に耐えることが出来ず、防衛線は崩落。多数の重傷者を出す結果となってしまった。
現在怪我人は聖王教会の病院にて治療を受けている。怪我人には隊舎に居た局員の他に、前線で戦闘していたヴィータ、リインフォースも含まれていた。地上本部に接近して来た敵の魔導師と交戦になり、善戦するも相手がヴィータの実力を上回り、撃墜されてしまったのだ。
更に、地上本部内にて敵と交戦したスバルも───現在行方不明となっている。
被害状況は深刻だ。機動六課の半数が動けない状態であり拠点も失っている。行動を起こすにしても現状厳しい状況だ。だからこそ、先ずは現状の問題を確認する事が先決だ。はやてはディスプレイに表示されている情報に目を向ける。先ずはギンガが敵に攫われた事についてだ。フェイトが口を開き、
「スバルやギンガの事については、ナカジマ三佐から話を聞いたよ。やっぱり、昔に起こった事件が関わっているらしくて」
「やはり……そうなるか」
クロノは表情を険しくさせて、戦闘機人のデータと、過去に起こった事件の詳細を開いた。
過去、戦闘機人という存在が関わった事件がある。まだジェイル・スカリエッティという存在が知られていない時だ。当時、アンドロイドという技術は発展途上の技術だった。それは人型の機械というものに汎用性が利かなかった為だ。人工知能と機械の身体だけではどうしても安定せず、人間に近づけることは当時の技術では不可能だったのだ。
そこで新たに着目されたのが、人間と機械の融合化だ。元々医療用に研究されていたもので、人の身体を機械で補うという技術だ。しかし、生身の身体が拒否反応を起こしてしまい、結局研究は失敗に終わった。
だがそれを機械を弄るのでは無く、人間の身体の方を弄ることによって、人間と機械の融合化という存在は完成してしまった。その基礎を作り上げたのが、当時では不明だったが、間違いなくスカリエッティだ。
しかし人間を弄り、人工素体として扱うという倫理的観点から、これらの研究は中止され違法とされた。その後研究施設は取り締まられたが、各世界で秘密裏に違法研究が行われるのが後を絶たなかった。その為、地上管理局が研究施設の捜査を始めた。
当時の陸戦のエリート部隊を筆頭に、研究施設の捜索と制圧の任務を行っていた。その隊員の中に、ゲンヤ・ナカジマの妻、クイント・ナカジマが所属していた。彼女は任務の際に研究施設で発見した実験体の幼い子供二人。幸い危険性は無かったため、ナカジマ夫妻は二人の保護責任者となり、子供二人───スバルとギンガを自分の子供として育て、現在に至るという訳だ。
だが、クイントはその後、他の隊員と共に死亡し、事故で殉職となってしまった。当然、ゲンヤとしては不可解でしかなかった。任務中であり、何故、事故として処理されたのか。これらから考えて、敵との接触があって死亡したと考えて間違いないのだ。そこから考えてある可能性が浮かび上がる。
───この戦闘機人の研究に、管理局が関わっていた可能性だ。
当時から、レジアス・ゲイズは地上本部の戦力不足に嘆いていた。もし戦闘機人という戦力が手に入れば、間違いなく戦力は飛躍的に上がるだろう。だとすれば、何故違法研究が後を絶たなかったのか。どこから資金を得て研究を行っていたのか。それら全てに筋が通るのだ。事故で処理したのは、本格的な捜査に移行させない為と考えられる。
そして極めつけに先日の地上本部襲撃だ。ギンガが連れ攫われたのは勿論だが、スカリエッティは次いでとして、その事を隠蔽すべく襲撃を行った可能性もある。レジアスを始めとする協力者を消し、全て闇の中へ葬る。それが機動六課奇襲に次いでの目的の一つだった可能性がある。
しかし、これらはあくまで仮説の話だ。これだけでは容疑をかける事は不可能だろう。
だが、先日の襲撃が収まった直後。管理局の通信にスカリエッティからメッセージが送られて来たのだ。それをクロノは再生させた。
『───やあ、親愛なる管理局諸君。……いや、スポンサーと言った方が適切だな。どうだね、私からの演出は。気に入ってくれたかね? これらの技術は諸君達が今まで支えてくれたから完成できたものだ。素晴らしいだろう、実に感謝するよ。そして、もう一つ。君達に伝えなければならない事がある。今日という日を境に、世界は新たな時代へと移行する。新たなる秩序が幕を開けるのだ。今日の宴はいわばその前夜祭といった所だ! 最高だろう! さあ、祝おうではないか!』
高笑いし、映像が途切れる。スカリエッティの姿と共に発信されたこの映像。この映像で言われているとおり、管理局の事をスポンサーと呼んでいる事から、先の仮説の可能性が濃厚となったのだ。元より黒い噂が絶えなかったレジアスに容疑がかけられ、緊急査問が行われる予定であったが、事態はさらに動くこととなり、
「この映像が終わると同時に、世界各地で同時多発テロが起きた。現在各地で交戦中だが、どうやらスカリエッティによる魔導兵器を使用しているらしい。恐らく次元犯罪者に兵器をばら撒いたとされる」
地上本部襲撃から立て続けに起こった同時多発テロ。元より治安維持が十分に出来ていなかったのが原因で、各世界で犯罪組織がスカリエッティに利用された形になった。本部の復旧もままならず、レジアスの査問どころの状況では無い。
本局の方でも対処にあたっているものの、スカリエッティの兵器が思った以上に厄介で制圧に時間がかかっている状況だ。
クロノはスカリエッティの映像を見て、現在起こっている同時多発テロの状況を合わせて思考し、
「この同時多発テロが、スカリエッティの言う【新たな時代の幕開け】の全容では無いと思うが……。ともかく今はテロの鎮圧と、スカリエッティの身柄拘束が最優先となっている」
「スカリエッティのアジトの方はどうなった感じ?」
はやてが訊ねる。スカリエッティのあの通信で即座に逆探知に成功し、アジトに突入を仕掛けたのだが、
「生憎、そこはもぬけの殻だった。恐らくダミーをいくつか用意していたんだろう」
スカリエッティの通信は何十もの回線を繋いでおり、逆探知には困難を極めたが成功し、直ぐに突入部隊が制圧に出動したのだが。結果、そのアジト自体がダミーだったのだ。
だが、それはスカリエッティという人物に対してこちらも十分想定できた事だ。回線の情報からアジトの場所はある程度判明し、おおよその場所は判明。後はヴェロッサやシャッハの操作を待つのみだ。
しかし現状、機動六課は壊滅状態であり、動けるクルーは半分も満たない状態だ。はやて達が動くには厳しい状態である。その為、今回はやて達は本局に、クロノに合同捜査の願いを出したのだ。
「もうじきクラウディアは出航の準備に入る。はやて、動ける部隊のほうに連絡を」
「了解や」
今回ここに来たのは状況報告と同時に、このクラウディアへ異動する準備もあった為だ。クロノの部隊と合同となれば、このクラウディアの戦力として行動でき、はやても現場に出動して指揮を取ることが出来る。勿論エース・オブ・エースのフェイトと、強大な力を持つなのは。そして十分戦力として期待できるフォアード陣もいる。
スカリエッティのアジトに突入となれば、相応の戦闘が予想されるだろう。その為、今回の異動の提案は直ぐに通ったのだ。機動六課は臨時でクラウディアに配属される形となる。
クラウディアの最終調整がそろそろ終える。既に殆どの隊員をクラウディアに移したが、まだフォアード陣が来ていない為、はやては一度席を立って連絡する。
───と、その時だった。クロノとはやてに通信が入る。繋ぎ、その報告を受けた二人は驚愕した。
◇
管理局本局の廊下を、なのはとティアナは並んで歩いていた。現在本局のメンテナンスルームではマリエルが破損したマッハキャリバーと、捕らえた戦闘機人の治療を行っている。
互いに口を開く事が無く、表情も暗い。だがそれも仕方の無い事だ。
「……それにしても、状況は良くないよね。こういうのをボロ負けっていうのかな。スバルの行方も、結局分からないままだしね……」
「……そう……ですね。……本当に、どこに行ったのよ……あの馬鹿」
何か言おうとして出た言葉だったが、ティアナは返事をするものの、その言葉しか返せなかった。あの時、駆けつけた時には既にスバルの姿は無く、そこには激しい戦闘の傷跡と負傷した戦闘機人、そして破損したマッハキャリバーが落ちていただけであった。敵に攫われた可能性もあるが、それならば仲間の戦闘機人を放置するだろうかという話になる。どちらにせよ、スバルの行方も現在調査中だ。
はっきり言えば、ティアナは自分に責任を感じていた。あの時、スバルを止めていれば、自分がもっと早く駆けつけていれば、こんな事態にならなかったのではないか、そんな思考が頭を駆け巡っている。
また数歩歩き、今度はティアナが口を開く。
「……なのはさん、その……ヴィヴィオの事……」
「うん……。攫われちゃった……ね」
少し俯き、言葉を返す。ティアナがスバルの事でそうであるように、なのはもその事で頭が一杯だった。あの時、地上本部で迎撃を行っていた時に聞かされたフェイトからの通信。その内容は機動六課の隊舎が奇襲を受けているというものだった。
直ぐに駆けつけたが、その時には既に終わった後で、そこには悲惨な光景とヴィヴィオが攫われたという事実のみが残されているだけだった。
数秒沈黙が続き、足音だけが廊下に響く。互いに俯いていたが、なのはが顔上げて口を開き、
「でも、わざわざ攫ったって事は、ヴィヴィオはスカリエッティにとって必要な存在だったって事だよ。だから少なくとも、死んではいないと思う」
「そう、ですよね」
ティアナもやるせない気持ちで一杯で、なのはの言葉に頷く。ヴィヴィオは彼等にとって必要とされるならば、少なくとも命は無事の筈だ。それ以外の可能性など、考えたくも無い。
「ねえ、ティアナ。……私ね、見て分かるとおり、とても胸を張って生きていけるような人間じゃないんだ。小さい時から力を手に入れて、そのせいでどんどん性格が歪んで……その結果、何事にも無関心で感情が希薄してる人間になった。もう自分はこのまま、何にも関心を持たず、何にも心を突き動かされる事なく、そうやって一人生きていくんだと思ってた」
そこで一旦歩みを止める。ティアナも同じく歩みを止めて、此方に顔を向けた。
「だけどヴィヴィオに会って、そんな自分が少し変わっているって気付いた。正直、子供の世話なんかしたことなかったし、どちらかっていうと、そういうのって自分は面倒だって思ってた。でも、初めてヴィヴィオに会って、怖がらせないように、安心させるようにって自分なりに考えて、フェイトちゃんがしていた事を参考にしたりして接して。そして懐いてくれて、それがとても嬉しくて。ヴィヴィオと話すのも全然自然に出来たし、寧ろそうしてると、どんどん自分の中で失っていた何かが蘇っていく気がして」
「なのは……さん」
ティアナはなのはの表情を見た。その表情は彼女が今まで見たことの無いくらい、悲壮に溢れていて、そこにはなのはの感情というものが明確に表れていた。
「だから正直、今、凄く不安なの。こうしている間にも、ヴィヴィオは酷い目に遭っているかもしれない。泣いているかもしれない。……そう思うと、ジッとなんてしていられない。助けたいんだよッ!」
まるで感情を爆発させるように、なのはは叫んだ。今すぐ助けに行きたい。単独でスカリエッティの元へ突撃してしまいたい。だが、自分は所詮力を振るうことしか出来ない。もし自分が迂闊に行動を起こして、それでヴィヴィオに何かあったら。そう考えて、今ははやて達の指示に従うのだ。確実に、絶対に助ける為に。
そんななのはに、ティアナはいつの間にか震えていたなのはの拳を両手で握り、その双眸に合わせて言った。
「助けましょう、絶対!」
「───うん。助けるよ、絶対!」
今までの自分ではない、孤独ではない。絶対に助けるために、この力を使うんだと、なのはは瞳に決意を露にした。
◇
「「失礼します」」
「あ、なのはちゃん! ティアナも」
室内にはディスプレイを見て操作するマリエルの姿があった。此方が入って来たのに合わせて視線を向けてくる。
「マッハキャリバーの具合はどうです?」
「いやぁ……さすがに破損が激しいからね。辛うじて残っていた映像データとか抽出したはいいものの、それも戦闘機人の戦闘の途中で機能停止したせいで途切れちゃってるから」
言って、マリエルは両手を肩まであげて手を広げた。
部屋の中央にはデバイスメンテナンスようにあるポッドがある。その一つにマッハキャリバーが浮いていた。遠めでも見て分かるほど破損が激しい。だがシステムは生きていたので、そこからどうにかスバルの手がかりを探ろうとしたが、それも望めない様子だった。
「確保した戦闘機人のほうは?」
「ああ、あの娘ね。外傷はそんな無いけど、脳の機能にすこし異常が出てた。多分振動的に攻撃を受けた感じかな、あの損傷具合から見て。でも大丈夫、命には別状はないよ」
現場に残されていた戦闘機人。彼女は意識不明の状態で、直ぐに治療とメンテナンスに連れられた。現在は本局のメンテナンスルームにて、監視されながら眠っている。
「それで、彼女のデータを見た時にね、スバルとの戦闘の記録を見つけたんだ。これなんだけど……」
言って、マリエルはコンソールを弄って立体ディスプレイを表示させ、そこに映像が映される。それは戦闘機人の視点から見たスバルとの戦闘の様子だった。怒気迫る勢いで攻撃を仕掛けてくるスバルに、戦闘機人の攻撃が命中する。だがそれを物ともせずに何度も攻撃を仕掛けるスバル。正直に言って見ていられないような戦い方だった。
その映像を観て、ティアナは眉根を寄せて悲痛な思いを寄せる。
「この映像でも、スバルがどうなったかは結局分からず仕舞い。最後の方を見ると、とても活動できる状態には見えないよね」
最後に映ったスバルの姿は全身が酷い怪我を負っており、関節など機械の部品がむき出しになっていた状態だ。もし一人であの場から去ったとしても、長く活動できるとは到底思えない。
以上の事から、スバルは地上本部からそう遠くへは行ってないと推測し、捜索が進められてはいる。状態から見て、早く治療しないと命に関わる。
「地上も地上で大変な状況だし、早く見つかれば───と」
その時、はやてからなのは達に通信が入る。立体ディスプレイが表示され、はやての顔が映し出される。
『なのはちゃん、今どこに居た?』
「本局のメンテナンスルームだよ。ティアナも一緒」
『そか。それなら一度クラウディアに来てくれるか? ───非常事態や』
その言葉に、なのはとティアナに緊張が走り、直ぐ行くと伝えてから通信を閉じ、マリエルに一言言ってから転送装置へと足を運んだ。
◇
クラウディアが出航し、艦隊の指揮を取りつつ次元の海を航行し、現在ミッドチルダへと向かっている。
会議室では、クロノ。そしてはやてを筆頭に六課のメンバーが集まっていた。ディスプレイの前にクロノとはやてが座り、それに向かうようになのは、フェイトを始めとした六課のメンバーが座る。
ディスプレイが光り、そこに現在の状況が表示される。そこにはスカリエッティのアジトがあると思われる森林地帯。そしてクラナガンの街中。最後に、巨大な船が映された。
「皆にも先ほど伝えたとおり、クラウディアが出航してから事態が急速に動いた。スカリエッティのアジト周辺から突如高エネルギー反応が現れ、地中から巨大な船が出現。それに合わせてクラナガンには、廃棄都市から現れた戦闘機人とガジェットドローンが襲撃。現在巨大船には航空魔導師が交戦にあたり、地上は陸戦魔導師が防衛線を張ってくれている」
クロノが説明する。それはつい先ほどの出来事だった。アジトを探っていたヴェロッサとシャッハがアジトを発見すると同時に、地中から巨大船が姿を現し、上昇し始めた。
「この巨大船は、解析の結果と、聖王教会の調べによってその正体が判明した。古代ベルカにあったロストロギア───聖王のゆりかご。戦乱の時代のベルカの伝えられた巨大兵器や。その脅威は戦乱の時代に終止符を打つほどのもの。これがこのままミッドの上空まで上昇すればもう手が付けられない。なんとしてでも阻止しなければならない」
はやての言葉どおり、聖王のゆりかごはその存在そのものがロストロギア。巨大な力を誇っており、これによってもたらされる被害が甚大だ。なんとしてでもゆりかごにダメージを与え、クラウディアの艦隊の一斉砲撃で沈められる状態にしなければならない。
「聖王のゆりかごはその名の通り、本来聖王が制御しなければ機能しない兵器や。だけど聖王はとっくにこの世には居ない。だからスカリエッティは聖王の存在を人工的に作り出した。それが───」
「ヴィヴィオ……だね」
はやての言葉に、なのはが口を挟んだ。はやてはなのはに視線を合わせて頷く。
「せや。ヴィヴィオの特徴から、聖王教会が調べて、そこから聖王の血族の特徴と一致した。あの巨大船に、ヴィヴィオがいるのは間違いない。恐らく何らかの方法でヴィヴィオを使って船を制御してるんやと思う。だとすれば、ヴィヴィオを救い出せばあの船は機能を失うっちゅう訳や。その為に、なのはちゃん」
「うん、任せて。絶対に助けるよ」
真っ直ぐはやてに向き合い、なのはは頷く。はやては頼んだと一言言ってから、
「なのはちゃんが突撃し、ゆりかごの外部からは私が支援を行う。現場の航空魔導師と合流して指揮を取る予定や」
ディスプレイの映像が切り替わる。そこには森林地帯の画像だ。
「アコーズ査察官とシスターシャッハの調べで、スカリエッティのアジトは判明してる。フェイト執務官には二人と合流し、アジトの制圧にあたって貰いたい」
「了解」
次に、地上の映像が映し出される。まだ避難も間に合っていないのか、逃げる市民を防衛する陸戦魔導師の姿。防衛線を張り、必死にガジェットドローンの攻撃を食い止めている様子だ。だが、その中でも戦闘機人の攻撃が凄まじく、迎撃にあたった魔導師が撃退されている。
「シグナム副隊長を筆頭に、六課のフォアード部隊は地上の迎撃にあたって貰う。基本的に地上は大混乱や。現場の指示に従いつつ、戦闘機人の撃墜を最優先にしてほしい。───間違いなく、これが最後の戦いや。皆、無事に帰ろう!」
「「了解!」」
皆が一斉に返事をする。作戦会議は以上だ。時間も惜しいため、直ぐに出撃の準備に入る。会議室を後にして、六課の皆は転送装置へと向かった。