異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について 作:水無飛沫
お目汚し失礼します。
「これはまた、厄介な現象だねぇ。厄だけに」
雛が相談を持ち掛けているのは河城にとり。
川をくだった先にテリトリーを持つ河童である。
濡れた碧の髪と瞳。
緑色の上着とスカートは対水仕様なのか、光を反射させる滑り気を帯びていて、
背負った鞄は、どことなく小学生のそれを連想させて、ちょっと興奮してしまう。
いや、俺はロリコンではない。断じて違う。
にとりはJSよりは成熟していてどちらかというとJKぽいのだ。
そんな彼女がラン〇セルを背負うことによって醸し出す背徳感はハンパない破壊力を持っているのである。
しかも!! しかもですよ、お客さん!!
その鞄は胸の前でクロスさせるタイプの紐……つまり、ダブルパイスラーである!!
なんだこれ。いやらしい!! っていうか犯罪でしょ。
河童恐るべし。
いや、大丈夫。俺は雛一筋だから。
「これあとで 一つ貰って 行きましょう
雛に背負って もらいたいんだ」
いかんいかん、一句読んでしまった。
頭を振り、意識を二人のやりとりに戻す。(厄に頭なんてねーだろ、ってツッコミはよしてくれよ。賢明なる読者の皆様)
「それで、あなたのあの……怪しげな道具(?)でなんとかならないかしら……」
自信なさげに「道具?」と語尾が上がる雛は最高に可愛い。
「怪しげな道具じゃなくて、機械だよ。まっすぃーん」
にとりに続いて「まっしーん」って発音しちゃう雛、滅茶苦茶可愛い。俺の嫁。
「それでね、道具もそうなんだけど、機械ってのは使い方を定められて作られるんだけど……」
ちょっと真面目な顔をしてにとりが説明をする。
歯切れが悪く、目が泳いでいるのは罪悪感とかそういった類の感情のためだろうか。
「じゃあ厄を散らす機械はないの?」
機械に疎い雛にも、にとりの言いたいことは伝わったようだ。
「本来は雛には必要のないものだからねぇ。こんなことになるだなんて思いもしなかったよ」
無念そうに話すにとりに、雛はただ「……そう」としか言うことが出来ない。
ちょっぴり気まずい雰囲気に、俺の方がオドオドしてしまう。
やっぱり一度雛から離れたほうがいいのだろうか。
けど、こんな可哀そうな雛を見ていると、俺が守ってやらなければ、とか思ってしまうわけで。
(よし。大丈夫だぞ、雛。お前に憂いをもたらす全てのものから、俺が守ってやる!!)
と意気込むものの、原因は俺だったりするから、もうどうしようもない。
「なんてね。嘘だよ」
「え?」
「こんな事態も想定して動くのが、真の科学者なのだよ」
ドヤァとにとりが胸を張る。
ただでさえ強調されてるんだから、そのおっぱいが強調されるポージングやめなさい。
ハイエースでお持ち帰りしたくなっちゃうでしょ!!
「おーっ」
にとりの演説を聞いて、雛はパチパチと手を叩いて驚嘆の声をあげた。
その顔は素直に賞賛と尊敬に満ちていた。
「それに……」とにとりが少し照れ臭そうな顔をして続ける。
「大事な親友のことだからね。それくらいは考えちゃうよ」
見てるこっちまで心がほっこりするようなデレである。
当事者の雛にはその威力はハンパないはずである。
そう思い雛を見ると、案の定すでにボロボロと泣いている。
「にとりーっ」
手を広げ、にとりに抱き着こうとする雛であったが
「あーーー、それ以上こっち来ないで!! 」
にとりが慌てて両手を前に出して「止まれ」のジェスチャーをする。
キョトンとする雛(かわいい)に、にとりは小声で「あんまり近づくと、そのえげつない厄が移りそうだから」と
照れ隠しなのか本音なのかわからないトーンで告げる。
「にとりぃぃぃ」
今度は別のニュアンスで雛が泣いている。大丈夫、俺はいつまでも傍にいるよ!!
「そんな顔しなさんな。ちょっと待ってて。今、『厄取りホイホイ一番星くん』取ってくるから」
「す、すごいネーミングね」
「まぁね。期待しててよ」
そう言って河の中へと沈んでいくにとり。
……って、機械を水の中に仕舞っておいていいものなのか?
一抹の不安を残したまま後編へ続く。