異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について   作:水無飛沫

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おまけ:紫苑と爛れた三角関係編 第6話

 

妖怪の森の奥深く、そこには家が建っている。

リビングと寝室と風呂場しかないような、小さな家である。

 

(まぁ、この中は河童の発明品で溢れているのだけれど……)

 

自動でお湯を沸かしてくれる装置なんかは、正直持って帰りたいぐらいに羨ましい。

いや、それよりもどこかの金持ちに売ってしまった方がハッピーだわね。

 

そんなどうでもいいことを考えながら、扉の前に降り立つ。

ふぅ、とため息をひとつ。

 

ここは私にとって決して来たかった場所ではない。嫌な思い出が多すぎる。

ブンブンと頭を振って、なにも思い出さないように意識を別のことに向ける。

 

コホンとひとつ咳払い。

扉をノックをすると、奥の方でバタバタと慌てふためくような気配があった。

少しして、勢いよく扉が開けられる。

 

姿を現したのはこの家の主――鍵山雛――であった。

雛の浮かべていた安堵の表情は、私を認めると一転して落胆したそれに変わってしまう。

 

「あぁ、霊夢さんですか」

 

あからさまに表情を変えた雛に

 

「悪い?」

 

と、思わずケンカ腰になってしまう。

 

「別にそういうわけじゃ……」

 

慌てて弁解を始めた雛に、反射神経でケンカを売ったことを申し訳なくなる。

はやく本題に入ってあげないと、彼女がどんどん可哀そうなことになってしまいそうだった。

 

「なんで私が来たかわかる?」

 

「……なんで霊夢さんが?」

 

雛は茫然とした表情で、私の言葉を繰り返す。

頭が回ってないのだろう。

気が気でない日々を過ごしていたのだと、手に取るようにわかってしまう。

 

(まったく、帰ってこないあのバカをどれだけ心配してるのよ……)

 

「はぁ……あんたがあいつの面倒をしっかり見てないから、村が大変よ……」

 

「あいつ……村……」

 

そこまで繰り返して雛もピンと来たらしく、顔に生気が蘇る。

元は人形だというのに、薄っすらと頬を染めて、笑顔まで浮かべている。

 

「私はもう二度とあいつに近づきたくないから、よろしくね」

 

それだけ言うと、私は雛に背を向ける。

 

もともと二人は繋がっているのだ。

村まで行けば、自ずとどこへ行くべきかはわかるだろう。

 

「あぁ、それと……貧乏神が一緒だから、何か食べ物でも持って行ってあげるといいわ」

 

飛び立つ前に、それだけ伝える。

厄と貧乏神がくっついて、今現在どういう事態になっているかは私も知らない。

ただ、紫苑は餌付けしておけばなんとかなるでしょ。

 

それじゃ、と言い放ち私は宙へ上がる。

 

「あの、ありがとうございました」

 

そんな私の背中に雛の声が乗る。

いつもみたいに小さな声じゃなくて、大きな声が。

 

思わず唇が釣り上がってしまう。

けど、これはお人好しな行為なんかじゃないわ。

私があいつに会いたくないのは本当。

 

それに……雛の笑顔を思い出す。

 

(どうせ祓えないのだから、せめて大人しくあるべき場所に収まっててほしいわね)

 

「……バカね。ほんと、大バカ野郎よ」

 

私を見て落胆した時の、雛のまるでお通夜のような表情を思い出して、思わず悪態をついた。

 

 

 

……そういえば、と思い至る。

(これで雛が上手くやってくれれば、働かずして依頼料丸儲けなのでは????)

 

「……お酒買って帰ろ♪」

 

今日の私ってばメッチャハッピー!!

 





次話から分裂後の話に戻ります(土下座
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