異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について   作:水無飛沫

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おまけ:紫苑と爛れた三角関係編 第8話

 

ふふん、と胸の前で腕を組んだにとりが立っていた。

 

恐らく雛からここに来ることを聞かされていたのだろう。

 

 

「に、にとり!!」

「お前もヒロインの座を狙いに……」

 

だがごめんよ、我々は2人しかいないから、正ヒロインは2人になってしまうんだよ……(悔し涙)

 

「んなわけないでしょ!!」

 

『でも大丈夫。ハーレム要因として……』

 

「死ね!!」

 

はぁ、とため息を吐いてにとりが外を指さして言う。

 

「雌雄を決するなら、いい方法があるよ」

 

そのテントを出てにとりの指し示すものを見ると、そこには2つの大きな球体と、発射装置らしきものが置かれている。

……嫌な予感しかしない。

 

「チキチキ、巨大な葛籠(つづら)と巨大な葛籠、花火大会ー!!」

 

いつのまに握ったのか、にとりが謎の鳴り物をパフパフと鳴らしている。

随分と楽しそうな顔である。

……変なもの発明しやがって。

 

ん? 花火? 花火っつったか、こいつ。

 

「今回の為に、8尺玉厄流し君を2つ用意したよ」

 

いやいやいや、おかしいだろ。

ツッコミどころが多すぎる!!

 

「現代日本だって4尺玉までしかないのに、8尺玉とかもはや核弾頭でしょ!!」

「なんで分裂のこと知らないのに、2つ用意してあるんだよ!!」

 

それぞれ被らないように、1度でツッコミを終わらせる。

さすが俺s。

 

「君の厄で壊されちゃったときの予備に2つ持って来たんだけど、結果オーライだったね。

まぁ、機材は無事だった代わりに、ここまで来るのに酷いエロトラップの数だったけど……」

 

ちょっとなにそれ、お兄さん、興味津々なんだけど!!

15話くらいかけてその話やろうぜ!!!!

 

 

「最低」

 

にとりが吐き捨てるように言う。

おっと、心の声が漏れてしまっていたらしい。

 

「さぁ、好きな方を選んで。チキンレースで自らの勇気を証明せよ!!」

 

「馬鹿でしょ!!」

「勝ち負けの基準ないやん!!」

 

 

これ、絶対チキチキもチキンレースも関係ないやつじゃん。

葛籠って、小さいほうを選んだ方が得をする昔話でしょ??

なんで小さいのが存在しないの? 両方同じ大きさとか、橋の女神がブチギレるぞ!!

 

 

「大丈夫大丈夫。どっちも電離層で爆発するように仕組んでるから。

より高く飛んだ方が勝ちでいいんじゃない?」

 

死ぬ。まじで死ぬって!!

 

仮に死なないとしても、下手すると成層圏漂うことになるやん。

いや、もしかしてそれが狙いなのか? もう帰ってこれないように??

俺がにとりだけのものにならないなら、いらないって??

 

このヤンデレちゃんめ!!

 

 

「選ばないの?

 

……じゃあ」

 

ニヤリとにとりが笑う。

それはそれは、大層邪悪な笑みであった。

 

「ランダム設定するね。運は神のみぞ知る、ってね」

 

運命の女神そこにいますけどぉぉぉ!!

 

 

「逃げるぞ、兄弟!!」

「おうよ、兄弟!!」

 

シュダダッと駆け出したものの、身体が前に進まない。

進まないどころか、身体が8尺玉の内部へと吸い寄せられていく……。

 

「もう設定しちゃったもんねー」

 

にとりが高笑いをしている。

相変わらず腕を組んでいるにとりを眺めて、あぁ、腕をほどかない理由をなんとなく察してしまった。

 

「わかった!! わかったから、とりあえずバンザイしてみよ? ね、にとり!!」

「落ちてきちゃうんでしょ? ねぇ、全部落ちてきちゃうんでしょ??」

 

我々の言葉に、一瞬無表情になるにとり。

そしてペッと凄まじい表情で唾を吐きだした。

 

本当に吐き捨てやがった!! お行儀悪いのはダメですよ!!!!

 

「火薬には特別な厄取りホイホイ成分を添付してるから、ぜぇーったいに逃げられないよぉ」

 

ニタァ、と地獄のヤクザどもですらしないような表情を浮かべて、にとりが発射スイッチに手を伸ばす。

 

『おに、あくま、てんぐ、ダブルパイスラー!!!!!!』

 

「うっせぇ、死ね!!!!」

 

ポチっとな、と奇声を上げながらにとりが発射台のスイッチを押す。

 

「あ、死ねって言いました? ねぇ、死ねって言いました?」

「チキチキ要素どこ?? 助けて、雛!! ひなけてーーーーーー!!!!」

 

そうして我々は電離層めがけて打ち上げられたのであった。

 

 

 

 

 

「また随分と汚い花火ね……」

 

巫女が上等な酒を飲みながら、そんなことを呟いたとか呟かなかったとか。

 

 

 

 

 

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