異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について   作:水無飛沫

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電離層より愛を込めて


おまけ:紫苑と爛れた三角関係編 第9話

 

……そもそもだ。

紫苑は空腹を満たしたので一時的に元気になったけれど、俺と一緒にいるべきではないのだ。

 

電離層を漂いながら、わずかに残った自我で考える。

 

一緒に居ればいるだけ、彼女の身体には負担がかかる。

それは一緒に居るあいだに彼女がどんどん弱っていったことからも明らかだった。

 

誰かを救おうだなんて、思い上がりも甚だしい。

 

――俺は、どうしたいんだろうな。

 

雛に笑っていてほしい。

これは絶対だ。俺がここにいる意味でもある。

 

じゃあ紫苑は捨てるのか?

 

……知ってしまった。関わってしまった。

もう忘れることなんてできようはずがない。

 

じゃあどうする?

 

問いかけを繰り返す。

堂々巡り。既にどれくらいの時が過ぎたのだろう。

 

宇宙空間と大気圏との境目に散り散りになっていた厄が、徐々にかき集められていく。

 

――どうしたい?

――どうする?

――どうあるべきだ?

 

ここには不幸にするべき相手もいない。

ただただ、思考だけが加速していく。

 

雛の引力も電離層までは届かないようで、いつまでも漂い続ける。

覚悟はまだ、決まらない。

 

雛は心配してくれているだろうか。

 

紫苑のテントにやって来た雛は「心配していた」と言ってくれた。

そして俺の手を引いてくれた。

 

頭が徐々にすっきりしてくる。

 

ああ、そうだ。俺は帰らなければならない。

未だ散っている厄を寄せ集めて、高度数百キロから一気に落ちる。

 

 

――どうしたいかだと?

 

 

答えなんて決まっている。

 

俺が欲しいのは……

 

どうしようもない厄という存在になってしまった俺が欲しいのは……

 

 

 

この世界における完全無欠のハッピーエンドだ!!

 

 

 

雛も、紫苑も、ふたりとも幸せにしてみせる。

 

どうするかなんて、後で考えればいい。

 

 

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

「あああああーーーーーーーー、死ぬ、死ぬ、これ絶対死ぬやつううううううう!!!!!」

 

 

絶叫を上げながら、加速し続ける俺の身体。

実体化した俺は、質量がある。重力が俺をメッチャ力強く抱いてる。

 

へへっ、地球を擬人化して女の子に見立てると、この加速度も悪くない。

 

そうニヤついた瞬間、目前に地面が迫っていて……

 

 

ズドン!!

 

 

――俺は地球に自らを突き立てた。

 

 

妖怪の森にちょっとしたクレーターができる。

着地の衝撃で俺の厄は半分以上持っていかれてしまって、身体のあちこちが痛む。

 

それでも足を引きずりながら、彼女のもとを目指して歩く。

しばらく歩くと見慣れた小屋が見えてくる。

 

 

「ただいまー!!」

 

ドアをどんどんと叩く。

 

俺だよ!! 雛!! 寂しい思いをさせたね!!

今夜はたくさん可愛がってあげるよ!!!!

 

ドアが開かれる。

 

出迎えてくれた雛の瞳は、喜びと愛情の為に潤んでいる(ように見える。俺には)。

なんだか今日は行けそうな気がするぅぅぅぅ!!!!(あると思います!!!!)

 

「おかえりなさい」

 

腕を広げて、微笑む雛を抱きしめる。

 

「ただいま、雛!!」

 

行け、厄!! そのまま抱き上げて、ベッドインだ!!

 

「ヤクチュ!!」(※薬物中毒の意味ではありません)

 

掛け声とともに雛の膝裏に手をかけて、お姫様だっこ。

突然のことに頬を染めながら狼狽える雛。

 

あぁーもう、可愛いなぁ!!!!

 

足はそのまま雛の寝室へと向かう。

 

「ちょっと、どこへ行くのさ」

 

「どこって、このままどこまでもめくるめく官能の世界へ……って、ん?」

 

背後からかけられた声に視線を向けると、4つの目が俺を睨みつけていた。

 

 

 

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