異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について   作:水無飛沫

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おまけ:紫苑と爛れた三角関係編 第12話

 

……紫苑と別れた俺は、雛の下へと帰っていく。

妖怪の森の奥深く、雛の住まいに到着するころには既に日も暮れてしまっていた。

 

「ただいま」

 

家の扉を開けると、まだ夜も浅いと言うのに明かりがついていない。

出かけているのかな、と考えていると

 

「おかえりなさい」

 

暗闇の中から雛が出迎えてくれる。

明かりをつけてから彼女に向き直ると、安堵したように微笑む彼女の表情に胸の奥がチクリと痛んだ。

 

「帰ってこないとでも思った?」

 

おどけるように、そう彼女に問いかける。

 

「別に……そんなことないけど……」

 

目を逸らし、唇を震わせる雛。

不器用な彼女の強がりが、いじらしく愛らしい。

 

「帰ってこないほうがよかった?」

 

彼女に少し近寄って、畳みかけるように意地悪なことを言う。

 

「そんなわけあるわけないじゃない。……バカ」

 

伏せた彼女の瞳は、赤く揺らいでいた。

 

「ごめん」

 

さすがに言い過ぎたことを詫びて、

 

「ただいま」

 

と耳元で囁く。

 

「おかえりなさい」

 

こくりと首を揺らして、雛が応える。

 

その仕草が愛おしくて思わず「愛してるよ、雛」と語り掛ける。

 

「なによ、急に」

 

おどおどする彼女ではあったが、唇が緩んでいる――嬉しそうだ。

 

「愛してる」

 

もう一度耳元で囁きかける。

 

「うん」

 

耳まで真っ赤にして雛が応える。

俺はその額に優しく口を付ける。

 

まるで人の肌のように、温かくて優しい感触が俺の唇に伝わってくる。

 

「ありがとう」

 

雛がポツリとつぶやく。

 

「なにが?」

 

「私を見てくれたこと。

ずっとそばに居てくれたこと。

 

 

……私を(あら)わしてくれたこと」

 

 

まいったな。

伝えたつもりはなかったんだけど……

 

「知っていたわ。ちゃんと私も見ていたもの……」

 

雛の指が俺の指に絡まる。

雛の頭が俺の肩に乗る。

雛の体が俺の体にくっついた。

 

「これからも、ずっと私の傍に居てね」

 

熱に浮かされたような雛の声が脳髄に甘く響く。

 

「離すものか」

 

目の前に差し出された雛の首筋に唇を這わせる。

 

「愛してるよ」

 

そう囁くと

 

「――わたしも……」

 

雛が恥ずかしそうにつぶやいた。

 

 

甘く蕩けるような瞳、湿り気を帯びた唇。

俺は吸い込まれるように……って、

 

「わたしも……なんだって?」

 

カーっと雛の顔が一段と赤く染まる。

 

「な、なんでもないわ」

 

いや、無理。聞きたい。

雛の口からちゃんと聞きたい。

 

「わ……わ……わ……」

 

慌てふためく雛がかわいすぎて鼻血(厄)が出そうだ。

 

「ほら、なんだって??」

 

「あー、あー、あ……」

 

「あ????」

 

「あーーーー!!!!!!!! バッチこいやぁーーーー!!!!!!!!」

 

恥ずかしさの限界に達した雛が、後ろ手に持ったにとり印の釘バット(厄取りホイホイ一番星くん)をフルスイング。

見事俺の頭を砕いてお星さまにしてくれました。

 

いや、まぁ自業自得だからしょうがないんだけど。

 

でも、暗闇の中でずっと釘バット持ちながら待ってたって考えると、なかなかのホラーじゃない?

あんまり深く考えないようにしながら、俺という厄は再び千々に流れていくのであった。

 

 

 

…………

 

 

愛おしい日常を積み重ねる。

その先にあるものがなんだとしても、俺は雛を愛している。

彼女の為に生きる。その決意は永遠に揺るがない。

 

雛の厄で不幸になる人が増えないように、俺は今日もエッチな厄を振りまきまくる。

(ガチ切れしたにとりにボコボコにされるまでがワンセット)

 

その後も地底ヤンデレ編やキノコ編など、なんだかんだで慌ただしい日々を過ごすことになるんだけど、それはまた別の話。

 

厄神様の厄になった俺の無限に続く約束された恋の歌(アンリミテッドラブソング)

 

俺と雛の厄い生活は、まだまだ始まったばかりだ。

 

 

 

 

 

 

 

――完。

 

 

 






これにて完結でございます。
3年もダラダラと間隔を開けながら書いてしまいました。

ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
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