異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について 作:水無飛沫
沢山の初めてを奪われる貴重な体験。心は真剣。(ちぇけら)
長いので分割です。
「それで、私に声がかかったというわけね」
にとりに連れてこられたのは、紅をベースとした巫女服のようなものを身に纏った少女だった。
彼女の名は博麗霊夢。
妖怪退治・異変解決で名をあげている博麗神社の巫女である。
「それにしてもこれは……妖怪なの? それとも異変?」
俺を指さす霊夢の笑顔が引きつっている。人を指さすだなんて失礼しちゃうわね。ぷんぷん。
苛立ちを収めるために、にとりのブラのホックを外す。
「!?」
一瞬表情を堅くするにとりであったが、もう慣れてきたのだろうか、無言で背中に手を回すと器用にホックを付けなおした。
……こいつ、服の上からっ!? テクニシャンめっ!!
「さぁ、妖怪ではないと思うのだけれど……。
上手く流れてくれない上に、どんどん重くなっていくのよね」
はぁ、と雛がため息を吐く。頬に手を当てたアンニュイな表情が少しそそる。
「厄自体の性質が変わってるんじゃないかな」
こいつ、なんかエッチだし。小声でにとりが吐き捨てた。
「まぁ仕事だって言うならなんだっていいんだけど……」
つぶやきながら巫女が酒と塩をテキパキと並べていく。
おぉ、流石は本職だな。手慣れてらっしゃる。
小さな盃に酒を注ぐ、袖から覗く細い手は神事の前の緊張感と少しだけ背徳感が織り交ぜられている。
控えめに言って神秘的な光景だ。特に露出させている腋のあたりが。
(一体なんのために……体の一部を露出させているんだ。そういう特殊なアレなのかな?)
形而上学とも言える考察を並べていると、巫女の口が小さく動いた。
「厄払いは大事な食い扶持だったのに、最近は厄払いの仕事も他に流れ気味だし……
あいつらまとめて焼き打つしかないな」
さらっと怖いことを言う巫女だな。逆らわない方が良さそうだ。
なおも準備を続ける霊夢であったが、俺の好奇心が日本酒に引き寄せられてしまう。
ちょっとだけ……舐めるだけだからっ!!
黒いモヤの一部が盃に触れると、そこから体に酒が流れ込んでくる。
(ピリッとした辛口で……澄んだ水で作られているのだろう、とても飲みやすい……)
こんな旨い酒を飲まないのは勿体ない。
もう一口飲もうと意識を集中させたところで霊夢が手に持った御幣で払われてしまった。ぐぬぅ。
「さて、厄を祓えばいいのかしら?」
準備を終えた巫女が改まった口調で尋ねる。
「いいや、祓ったところで同じ状況になるんじゃないかな」
と、にとり。さすがに聡い。
「じゃあどうする? 」
キョトンとする巫女に「滅してくれ」と、にとりがひと言。
「わかったわ」
そう言った時の巫女の表情を俺は一生忘れないだろう。
ニヤリとほほ笑んだその顔には、邪悪と暴力と狂暴性がマリアージュしたような表情が浮かんでいたのである。
「祓い給え 清め給え 守り給え 神ながら 幸い給え」
シャリ、シャリ。
御幣を振りながら巫女が祝詞を唱える。
「高天原に神留り坐す、皇親神漏岐、神漏美の命以て――――」
手を動かすたび、巫女の腋から胸に巻いたサラシが目に付く。
(こいつ……ブラじゃなくてサラシ派か……)
腋から覗くサラシのライン。ブラと違い、腋と胸の境界を曖昧にしたユートピア。
これはもはや、とか腋や背中、二の腕さえも胸と言うことになるまいか!!(反語表現)
「此く聞こし食してば 罪と言ふ罪は在らじと――――」
祝詞はなおも続く。
俺の体には未だ異変はない。
神妙な面持ちで正座している雛に、俺は大丈夫だと語り掛けるように纏わりついている。
役得? いいえ、厄得です。(ドヤァ)