異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について   作:水無飛沫

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足と手を痺れさせて、あんなことこんなこと(したいです)
(あれ? 前書きってそういうことを書くところって認識であってますよね????)


伍、異変解決☆巫女²霊夢 ~中編~

 

 

「天清浄、地清浄、内外清浄、六根清浄と、祓給う―――」

 

巫女のいつ終わるとも知れぬ祭事は続いている。

始めこそ物珍しさに緊張や興奮したものだが、正直言って少し退屈である。

 

正座して聞いている雛とにとりであったが、にとりがモゾモゾし始める。

(ん? これは、もしや……)

最適な居住まいを探索するような動作。

(くくく、そうか。ついに足に限界が来たか!!)

背中のリュックを降ろさないから、その分足に負担が来ているのだろう。

(亀……じゃなかった。河童としての矜持なのかな? そういえば室内なのに帽子も被っているし。

帽子の中身は……まぁ女の子には触れられたくないこともあるよね。ステキな紳士is俺)

 

とは言え、モジモジしているにとりを見ていると、嗜虐心が湧き上がってくるのも事実。

ふふん、俺を滅するだなんて酷いことを考えた罰だ。

足をさすってあげよう。

にとりの足にモヤをかけ、意識を集中させて撫で上げる。

 

「!!!!!!?」

 

声を押し殺して、涙目のにとりが俺を睨みつける。

その反応は十二分に可愛らしかったが、少しだけ罪悪感が芽生える。

ただちょっと……イケナイことをしている気分になって、再び痺れている足をさすってあげたくなってしまう。

 

女子の足をさする……。文字にするとそれだけのことかもしれないが、結構すごいことだぞ、これ。

向こうからは存在を認知されていないのだから、やらない理由がない。

 

再び手(モヤ)を彼女に伸ばしたところで、俺の体に異変が起こった。

 

(くっ、なんだ……これ……)

 

視界が白い色に覆われて、世界が徐々にフェードアウトしていく。

 

「罪と言ふ罪は在らじと、祓へ給ひ清め給ふ事を、天津神國津神八百萬神等共に、聞こし食せと白す」

 

これが巫女のお祓いの力なのか?

にとりに粉々にされた時の流されていく感覚とは違う。

これは……消滅、か。

 

あっさりとした幕切れには、後悔や未練などといった感慨を抱く暇すらなかった。

ただ、己の存在が薄れていき、もうすぐに消えてしまうのだという実感だけがのしかかる。

 

(雛……どこだ……?)

 

せめて最後は彼女の傍で迎えたい。

意識を集中させて彼女を探すが、見つからない。

 

(雛……)

 

ひとり……か。

俺は、ひとりで消滅するのか。

彼女を残して?

 

この世界に生まれてから今までのことを想う。

 

………………

 

…………

 

……

 

 

(……)

 

 

 

 

 

「さぁ、厄滅の儀はこれにて終了よ」

 

爽やかな声が言う。

 

「ひゃあ、もう限界。足がジンジンするよぉ」

 

愛らしい声が言う。

 

「ありがとうございました」

 

愛しい声が言う。

 

「これで今まで通りに過ごせるはずよ」

 

「よかったね、雛」

 

「ええ……」

 

「それにしても、なんだったんだろうね……あれは」

 

「誰かの意思か、突然変異か……」

 

まぁなんにしても、と声が言う。

 

「あなたに憑いた異変は解決したわ」

 

 

 

 

 

異変。

その女は確かにそう断言した。

 

俺を異変だと言うのか? 博麗の巫女よ。

俺がここにあるべき存在ではないと?

 

もし本気でそう考えているのなら……

 

残念だったな。お前に、俺は、祓えない。

 

「えっ、なに? この気配……」

巫女の表情が一気に引き締まる。

 

 

さぁ、宴を始めようではないか。

 

 

 


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