異世界転生した俺が厄神様の厄になっていた件について   作:水無飛沫

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捌、あーかい巫ぃ女と みどりの巫ぃ女(リズムよく) ~前編~

 

「というわけで、あんたを消しに来たわ」

 

巫女がお祓い棒を肩にかけて、高圧的に宣言する。

 

「言うても巫女はん、あんたはん前に失敗してますやん」

 

「あぁん? 誰がなんだって?」

 

腕を組んでギョロリと斜め四十五度からの威圧的流し目(通称シャフ怒)

 

「いえ、なんでもないです」

 

つい委縮してしまう。

くそぅ、今度隙を見てあの脇に厄を挟んでやろう。

え……、厄を挟む?? 俺が挟まる……。

ちょっとイケない香りがプンプンするんだけど、描写的に大丈夫だろうか。

いや、やってやれないことはない。頑張れ、俺!!!!

バレないように、薄く伸ばした自分の一部を一路ユートピアへと……。

 

ゴォォォォ。

にとりの操作する扇風機(旋風くん)が俺の触手をダイレクトアタック!!

巫女の脇に到達する前に霧散してしまった。がってむ!!

 

「今日は助っ人が居るから、楽勝よ。楽勝」

 

自分の脇を賭けた高度な戦いに気づかなかった霊夢が、自らが入ってきた入り口を示すと、

そこには青い袴に緑色の髪をした巫女いた。

緊張した面持ちで中の様子をうかがっている姿が、なんだか小動物みたいで可愛い。

 

「あ……あの……よろしくおねがいしますっ」

 

霊夢と同じように脇を解放した巫女姿ではあるが、どちらかというと清楚な印象を受ける。

 

「厄さんには特に恨みはありませんが、消えてもらいます」

 

ぎこちない笑顔で宣言する緑の巫女は、名を東風谷早苗と名乗った。

その宣告だけで萌え死ぬに値するのだが、俺とて厄神さまの厄。

簡単に消えるわけにはいかない。

具体的には……

 

「ぷるぷる。ボクはいい厄だよぉ><」

 

演技力で乗り切るしかない。

さすがに巫女ふたりは分が悪い。

 

「え? あ、そうなんですか」

 

ほら見ろ。俺の完ぺきな演技力の前に、緑の巫女はたじろいでいるぞ。

 

「騙されないで、早苗。そいつは厄の風上にもおけない男よ!!」

 

赤い巫女が即座にフォローに入る。

……厄の風上ってなんだ?

 

「あと、どうしようもないスケベだね」

 

にとりによる援護射撃が俺に炸裂。

イラっとしたので、ホックを外しておこう。

 

「あらら、本当にどうしようもない人みたいですね。

では慈悲は不要ですね。

神の名のもとに消えてもらいましょうね。あぁ、久々に合法的に人……げふんげふん、厄を払えます」

 

うん? 最後の文は聞き間違えかな? なんか物騒な言葉が聞こえた気がする……。

 

「信じれば救われる……信仰は人のためにあるんだよね」

 

なんだか神に祈りたい気分だなー。

 

「人を不幸にする厄に、人権……厄権はありません」

 

それはあれだ。俺だけじゃなくてすべての厄に対する侵害じゃないのか?

(いや、今この世界において、全ての厄は俺なんだけれども!!)

とはいえここまで貶められてしまっては俺も黙ってはいられない。

今こそ、真の厄の力を使うべき時っ!!

 

さぁ、混沌(ケイオス)の滾々たる力よ、今こそ我より解き放たれんっ!!!!

 

「ひゃぁ!!」

 

早苗が素っ頓狂な声を上げてしゃがみ込む。

……さすがにやりすぎたか?

 

「何したのよ、あんた」

 

霊夢が訝しげな眼でこちらを睨んでいる。

 

「流石にブラのホックを外すだけだと芸がないと思ったので……」

 

「で?」

 

「パンツの紐をゆるめました」

 

一瞬時が止まったような沈黙ののち

 

「最低だな」

「最低」

「それは流石に……」

「うわぁぁぁぁぁぁ」

 

三者三様の声が発せられた。

 

「悪かった。俺が悪かったよ」

 

退治されそうだから自己防衛したのに、酷い言い草だ。

まぢゃみ。

仕方がないので元に戻してやる。

 

「絶対ゆるさなえ!!!!」

 

紐の強度が戻り気力も戻ってきたのか、守矢神社の巫女がメラメラとやる気を燃やしている。

現神人と謳われる巫女の実力は、霊夢とは違った方向に秀でている。

 

本気でヤバいかもしれない。

誰かに助けを求めようにも、ここに味方はいない。

にとりと霊夢はお茶を飲みながら「やっちゃえー」などと勝手な野次を飛ばしていて、

雛はハラハラした様子で成り行きを眺めている。

 

 

あまりのピンチさ加減に、俺は……

 

 

俺は自然と笑っていた。

 

 

 

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