お父さんになったら部屋にサーヴァントが来るようになったんだが   作:きりがる

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 キャラや設定が確りと把握できている自信が皆無なので、ふんわりとした感じで進めていきます。

 取り敢えず迷ったのが、おとおさん・おとーさん・おとうさんのどれにするかだよね。
おかあさんなんだからおとおさんでええやん?って思うかもだけど、私自身の違和感が拭えなかったからおとうさん呼びにしてみた。異論は認める。直すとは言ってない。

 なんでジャックが懐いたのかは内緒だゾ☆ 
 じゃないと進められないから(真顔)

 この作品は特異点攻略を目指したり、レイシフトしたり、戦闘メインというわけでもなく、原作沿いに進むわけではないことが前提ということをご了承ください。故に、特異点がどこまで攻略されたのかなどの詳細は記載しません。攻略されたとあっても、どこが、というのは想像でお願いします。
 


01 娘が可愛すぎる件について

 とてつもなく大変なことになった。

 今、カルデア内でイベントのときよりも騒々しい、大混乱が生じている。いや、混乱と言うよりも大捜索と犯人探しと言った方がいいかもしれない。

 

「おとうさん、大丈夫…?」

 

「ああ、うん、大丈夫だから」

 

 そんな中、俺は自室にてベッドに座り項垂れていたのだが、その顔を覗き込むようにして銀髪の美少女が心配そうに声を掛けてくる。

 

 露出多めの服装に整った顔立ちは俺が以前見たアイドルなんかよりも断然可愛らしい。ふっくらと小さく自己主張をする胸に女性らしい腰つき。しかし、その小さな体躯からは考えられないほどの力や速さを生み出し、相手を解体しちゃうやべー奴。

 

 ジャック・ザ・リッパー。ジャックと呼ばれる少女だった。

 

 や、ちょっと困っていたところをビクビクしながら助けてあげただけなんだが、彼女の何を刺激したのかはわからないが懐かれた。

 

 以前、絵本を持ってきて『おかあさんにはおとうさんがいるんだって。だからおとうさん!』と若干わけのわからないことを言って、俺はめでたくジャックのお父さんになってしまった。お母さんはマスターちゃんらしい。

 

 俺は突然の爆破事件から生き残った数少ない事務員であり、しかし割と生き残っているしぶとい職員の下っ端も下っ端ゆえにサーヴァントは情報として知っているが、サーヴァントの個人情報だったりマスターの情報だったりと機密情報は知らない。

 

 区間も離れてるから用事がない限りサーヴァントたちが居るところまで行かない。言い換えれば、完全なる裏方というわけである。見えないところで働いている仕事なんて当たり前のようにあるだろう…そして、それはここも例外じゃない。

 

 適材適所。例え、どこぞの身体が子供になった死神探偵のところのように突然爆破が起こってしまったとしても、俺には俺の仕事がある。レイシフトでもなく、マスターのサポートでもなく、それらが上で行われてからの様々な情報を処理する。その他はこのカルデアの整備だったり、他からの要望に応えたりと雑務も多い。

 

 それは置いといて。つまり、何が言いたいのかと言うと。

 

『ジャックちゃんを誑かしたクソ野郎が居るらしいぞ!』

 

『殺せ! 消し飛ばすのだ!』

 

『もし、取り返しの付かないようなことをしていれば……魚の餌にしてやるぜ』

 

 俺の命はあと少しかも知れないということだ。

 

 やべぇよ…外が騒がしすぎて迂闊に出れねぇよ…。ジャックと一緒にいるところを見られた瞬間に魚の餌として売られてしまうだろう。ここ、雪山なのに。

 

 幸いなことに俺はマジで雑用などをこなす下っ端なので、俺が行ったとかは誰も考えていないところだろう。

 

「なぁ、ジャック」

 

「うん?」

 

「お前、周りの奴らになんて言って俺のところに来たんだ?」

 

「えっと…おとうさんの所に行ってくるっていうのと…何でって聞かれたから、お父さんはいつも激しく攻めてくるし、やめてって言ってもやめてくれないけどそれでも楽しいからって言ったよ?」

 

「それあかんやつ」

 

 まるで聞かれたから答えましたと言わんばかりにきょとんと首を傾げてそう答えてくるジャックは可愛い。おっと、毒され始めてきた。

 いやまぁ? 俺のほうが強いから確かに攻めまくったけど? 勝てるなら勝つほうが楽しいし?

 

 はぁ…とため息を吐いて落としてしまっていたコントローラーを拾い上げる。

 

「今度は勝つ…!」

 

「まだまだ負けてやれんよ!」

 

 fight!の合図とともにジャックが動き出し、下段攻撃を仕掛けてくるが、しゃがみ込んでガードする。

 

 ゲームの話なんだよなぁ、それ……。

 

 俺の部屋にはゲームを始め、漫画や映画なんかも多数揃えており、これは俺の趣味である。なんなら防音をいいことに機材を出せばカラオケも出来るようにした。

 

 趣味の合間に人生。ゲームだけが全てではないのでNO GAME NO LIFEとまではいかないが、俺の生き方はこういったものだろう。 

 

 こんな隔絶された俺の部屋であるため、好奇心旺盛で恥ずかしがり屋でもあるジャックは俺の部屋に入り浸るようになってしまった。恥ずかしがり屋のくせになんで俺の秘蔵の本を読んだり、普通にべったりくっついてくるのだろうか。くぁいいからゆるしちゃう!

 

「あっ、またハメ技!」

 

「馬鹿め、端に追いやられたことが貴様の敗因よ!」

 

「ううぅッ…!」

 

 画面端に誘導からのハメ技を行って気分良くなっていた所に、突然来客を告げるコールが鳴る。その瞬間、ジャックも微かに反応するが敵ではないので動きもしなかった。

 

 しかし、現状、俺にとっては全ての人物が敵になり得るのだ。まさか、家宅捜索に入り始めたのか…!?

 

 扉に近寄って確認。その瞬間、俺は絶望に襲われた。

 

『やぁ、突然で悪いんだけど、今、とあるサーヴァントのことで全員の部屋をチェックして回ってるんだ。少し部屋を見せてもらってもいいかな? アルン・ソルシエ君?』

 

 終わった……。かの有名なダヴィンチちゃんと呼ばれる方じゃないですかやだー! 隠し事なんて出来ないんじゃないだろうか。

 

「少々お待ちください」

 

『うん、わかったよ』

 

 ぷつんとモニターを切ってジャックの元へ。

 

「ジャック、緊急事態! 下手すりゃ俺が死ぬ!」

 

「えっ、おとうさん死んじゃうの…? やだよ……誰が敵? 解体してあげる」

 

「うん、そうじゃないんだよ。これから気配を消して、俺がいいと言うまで目を瞑ってること? いいな? ジャックはいい子だから出来るよな?」

 

「できるよ! やるね?」

 

 目を瞑ったジャックが気配を消していく。すぅっと消えていくように錯覚するが、俺には視えている。当たり前だが、これだけじゃ危ないのでもういっちょ細工を施す。

 

『スキル付与を発動。とりあえずスキル気配遮断、絶音、隠蔽、透過の効果を付与しておきました。これで突破されたら…諦めましょう』

 

 潔いな。いやまぁ、これで完璧に隠すことが可能だと思うんだが。スキルは魔術ではない。故に俺にしか解除はできないのだ。

 

 ぺたんと座っているジャックにもう一度だけじっとしているように告げ、俺はダヴィンチ女史を迎えに行く。小さな駆動音と共に扉が開けば、そこには絶世の美女とも言えるべき女性が佇んでいる。

 

 もうこれだけでテンパりそうだが、ボロを出す訳にはいかない。

 

『そうですね。では、ギャンブルで荒稼ぎした時のスキルを……スキル鋼の精神を発動致します。並びにスキルポーカーフェイスを発動』

 

 ナビが俺の不安を感じ取ってスキルを発動してくれたらしい。自分の中が一気に冷静になるのを感じ取り、揺れ1つない水面のように平静を保つ。俺はこのスキル+ほかのスキルでチート行為をしてボロ勝ちの後に、稼ぎ過ぎて出禁になるという伝説を作り出した男である。

 

「はじめまして、ダヴィンチ女史。アルン・ソルシエと申します」

 

「うん、よろしくね。私のことはダヴィンチちゃんと呼んでもらって構わないよ」

 

「ありがとうございます。それで、私の部屋に何か用でしょうか?」

 

「ああ、さっきも言ったんだけど、とあるサーヴァントのことで少し騒ぎがあってね…探すために部屋を回ってるのさ。流石に部屋の中を見るのは誰でもいいというわけにも行かないから、私がこうして回ってるわけだよ」

 

「そうでしたか。しかし、私は職員の中でも下も下。それにここは皆さんの居られる場所とは遠いため……余り意味はないかと」

 

「それでもさ。実はこの区画で見たという情報もあってね…どこに居るかはわからないからこうして探してるんだよね。他人に見られるのは嫌だろうけど、少しの時間、いいかい?」

 

「どうぞ。汚い部屋ですが、見ていってください」

 

「それじゃ、失礼するよー」

 

 にこやかに話す俺にダヴィンチちゃんが探るように対応してくるが、目を見るにそこまで怪しんではいないっぽい。流石に覚えてもない職員にそこまで疑いは掛けてないのかね? とはいえ、生き残った職員は事故前と比べれば数少ないので把握はしていそうだ。油断はできない。

 

 中に入ってくるダヴィンチちゃんは俺のゲームや漫画の多さに驚きながらもさっと目を通す。この部屋で隠れられる場所なんて、シャワールームとかくらいしかないから、確認も早いだろう。

 

 現にダヴィンチちゃんはシャワールームへと、ジャックをすり抜けながら向かっていった。

 

 ちょっとドキドキしたが、どこぞの幻想殺しの上条さんのような存在ではないので大丈夫だったようだ。気配を消すと同時に施したスキル透過。その名の通り、こうしてすり抜けることが可能である。ちなみに、物理限定な。ファイヤーボールとかは普通にぶつかる。

 

 もうわかるだろうが、俺の魔術は魔術らしくない。どちらかと言えば魔法よりであり、まるで物語やゲームのステータスのような能力なのだ。ステータス値というよりもレベル制であり、スキルや魔法スキルなどを行使できる。

 

 このスキルは経験すれば高確率で取得できる。擬似的なものでも何でもいいから試してみれば出来るというヌルゲーだ。料理をすれば料理スキルを得られるとかな。

 しかし、このよくわからない能力のおかげで自分の趣味に打ち込めたり、ある程度自分の好きに行動することが可能なので、とてつもなく便利なのは間違いないだろう。

 

「アルン・ソルシエくーん! シャワールームにとんでもないものが落ちてるんだけどー?」

 

「なんですかー? って、確かにとんでもねえ!? なんでエロ同人誌落ちてんの!?」

 

 だが、これは本当に魔術とは外れた別物。融通の効かない根本から魔術師の連中や魔術協会にバレればどうなるかなんて想像に難くない。封印指定待ったなしになるかも知れないものだ。故にそういった連中にはばれないようにするし、大勢の目につく場所で確実にバレてしまうような事は行わない。

 

 ああ、バレなければ犯罪じゃないように、バレなければ何ら問題ないのだ。

 だが、全てを隠すわけではない。信用、信頼足り得る人物には俺のことを話してもいいと考えている。現状、このスキルについて知っているのは俺を含めてジャックのみ。サーヴァントにバレるイコール魔術協会に情報が流れていくというわけでもないので大丈夫だとは思うのだが…いるかはわからないが、いたずらにバラすようなやつにはもとより近づきもしない。

 

「なんか隅っこに頭落ちてたんだけど…」

 

「ハッ!? それは一ヶ月前に無くした夕立(改二)の頭!!! おかえりわんこ、会いたかったぞ!」

 

 確かに俺のスキルはあらゆることが行えるかもしれない可能性を秘めた万能な能力だ。だが、未だにレイシフトの適性を得るようなスキルが現れたわけでもなければ、俺は人理修復を行うために大々的に動くことはない。今の所、俺的にはサーヴァントよりも強いとは思ってもいない。

 

 力があるから助ける義務がある。力があるから何が何でも救わなければいけない。そう考える主人公気質のやつもいるかも知れないが、俺はそうではない。ヒーローでもなければ正義の味方でもないのだ。

 

 俺は俺の守りたいと思ったやつだけ守れればそれでいい。力を持って、出来ないことが出来るようになって、ちょっと嬉しいだけの一般人なのだ。俺は世界や人類を救うために身を投げられるほど強くはない。だからこそ、今こうして生きていられる。事が起こるなら幼少期に既に起こっていただろう。

 

 現マスターである人物はやらなければいけない状況とは言え、最後に決めたのは自分自身だろう。どんなに怖くても、決心したのであれば、そいつに頑張ってもらう他ない。そいつだからこそ生み出せるサーヴァントとの絆もあるだろうし、そいつだからこそ進められるストーリーというものがあるに違いない。下手に俺が正義感丸出しに入り込んだとして、今までの関係も状況も崩れるようなことがあれば、どうしようもなくなるだろう。

 

 だから、俺は俺の趣味の間に仕事をこなして裏から一職員としてサポートすればいい。細かいあらゆる仕事は俺達がしているから、カルデアは未だに稼働しているのだ。そう思えばいい。それは確かなことなのだから。 

 

 おっと、ダヴィンチちゃんが帰ってきた。同人誌の件はごめんなさい。ジャックによく言い聞かせておきます。頭はありがとう。一ヶ月間首無しでポーズ取ってる夕立にパイルダーオンしておきますね。

 

「どうやら居ないようだね。ごめんね、無駄な時間を取らせてしまって」

 

「ははは、貴女のような美しい方のためなら構いませんよ。大変でしょうが頑張ってください。あぁ、よければこれをどうぞ」

 

「これは?」

 

「私の趣味で作っているお菓子です。余っていたのでどうぞ。疲れている時は甘い物ってね。珈琲もありますので、無理なさらないように、適度に休憩してください」

 

 そう言って先程入れていた珈琲を魔法瓶に入れて、お菓子と一緒に手渡す。

 別にこれは好感度アップのためのアプローチではない。嘘ついてごめんなさいという小さな罪滅ぼしである。

 

 ジャックを隠してごめんなさい!

 

「へぇ…ありがたく貰っておくよ。それじゃあ、失礼するね。お菓子、ありがとう」

 

「いえいえ、それではまたいずれ…」

 

 カシュン…と扉が閉まり、索敵スキルでダヴィンチちゃんが消えるのを待ち、俺の部屋の周りに誰も居ないのを確認してから…力を抜く。

 

「くはぁ……疲れたぜ…。そして何があった俺の口調。おーい、ジャックー、もういいぞー?」

 

「もういいのー?」

 

「もういいのー。疲れたし、お菓子でも食べるか?」

 

「やったぁ! じゃあ、紅茶をいれてくるよっ!」

 

「頼んだ」

 

 俺の許可にジャックは目を開け、喜んで紅茶を入れに行く。以前、漫画を読んでいたジャックが紅茶を入れられるようになりたいと言ったので、つきっきりで教えてあげたのだ。その他にもいいのか悪いのか、様々な影響を受けて、俺が教えているわけだ。

 

 俺も影響されやすいタイプの人間なので色々齧っていたしな。スキルがあるからと言って全てスキル任せの訳でもない。出来ることは自分でやってみて楽しみを見出だし、身につけられたら儲け物というやつだ。これも趣味の一つだろう。

 

 それにしても、これからはジャックに色々対策をさせてから部屋に来てもらわないとな。

 

 ジャックの入れてきた紅茶(今日はダージリン)を飲みながら、くっついてくるジャックを構ってやる。ここはマジで娘をかまう感じで行かないと理性が飛ぶので頑張りどころである。それを除いても天使なんだけども。

 

 後頭部を俺の胸元に擦り付けるために頭頂部は鼻先に来ており、ジャックの甘い香りが常に漂ってきている。シャンプー何使ってんの?ってレベルのさらさら具合を頬で感じながら、細身ながら確りとした肉付きの太腿や殿部を俺の胡座の上に座ったジャックからあばばばば…。

 

 片手はすべすべの柔らかなお腹に回し、もう片方はむにむにと柔らかなほっぺを弄ってうぐぐぐぐ……。

 

 ……。やーじゃっくはかわいいなー。

 

「おとうさん、おもくない? だいじょうぶ?」

 

「全然重くないぞ? それよりも、ジャックこそ大丈夫なのか? 外でジャックのことを探し回っていたが…」

 

「うーん、だいじょうぶじゃないかなー? それに、おとうさんと一緒にいるとわたしたちも嬉しい!」

 

「そうだねー。お父さんも嬉しいぞー。……ちなみにお母さんは?」

 

「……最近、おかあさんは他の人たちと一緒にいるから…邪魔しちゃだめだと思って…」

 

「そうかい。別にその中に突入してもジャックなら大丈夫だと思うけど…ジャックがいいなら別にいいさ。いつでも俺の所に来な」

 

「うん! おとうさん、だいすき!」

 

 マジで天使か。

 普段は仕事で魔術的介入はしてないが、雑用や書類仕事でヘトヘトな俺にとっては癒やしである。掃除とかもスキル使えば楽だが、如何せんこの施設は広い。こなしてもこなしても減らない雑用は、職員の数が減ってしまった事件があったためだろう。

 

 ……ジャックもレイシフトで戦いに行くんだもんな。強いとは言え、戦場で油断はできないだろう。既に俺の出来る限りのスキルや魔法をこっそりと付与しているが、それでも心配だ。

 

 ふと気づけば、ジャックは完全に俺に凭れ掛かって寝ていた。

 幸せそうな顔で寝ているジャックを見れば、本当に何もかもが吹き飛んでいく。女神やな。

 

 ぷにぷにのほっぺを指でつついてみれば、ふにゃりと表情を緩ませるジャック。本当に子供のようだ。

 

「んー……」

 

 少しの間、ジャックのほっぺたを味わっていたら、小さく顔を動かしてきた。頬ではなくぷるんとした瑞々しい小さな唇の端に指先があたった瞬間、ぱくり。まさかの指チュパである。

 鋭い八重歯でカリカリと甘噛してくるのは小動物のようで、唇で確りと指を咥え、熱く、ぬるりとした舌でねっとりと絡め取られた指はふやけるんじゃないかと思うほど舐められている。ただ子供が親指を咥えるのとは違い、舌で指を巻き取るように絡め、適度に強弱を付けながら吸い付いてくる行為はどこまでも官能的だった。

 

 いかん、俺のジュニアがクッパまで大進化する。抑えるのだ……そうだ、母親の裸でも思い浮かべ……母親の顔が思い出せん。ぼやけてらぁ。じゃあブサイクな女芸人の裸でも想像して――ぐああぁあぁぁぁあッッッ!!!

 

 死ぬ。萎えた。破壊力しゅごいのぉ……。

 

「さて、外も騒がしいし、送り届けるか」

 

 ジャックの部屋は知らないし、どこがいいだろうか。誰もが集まるところと言えば、普段俺は使ってないが食堂とかなら直ぐにでも見つけてくれるやつが居るだろう。

 手を出す男が居ればスキルが殺してくれるだろう。最強のセコム。

 

『スキル気配遮断、絶音を発動します。マスターの抱える仲間にも同様の効果が得られます』

『スキル索敵を発動。周囲に気配はありません。動き出すのであれば今です』

 

 もっと伏兵に合図するみたいにお願い。

 

『今です!』

 

 サンキュー。ついでに、食堂までの案内も頼めるか?

 

『はい。食堂までのルートを検索……終了。部屋を出て右へとお進みください』

 

 了解。

 ステータスの声は高性能ナビゲートも出来る優れものであり、俺の意図も組んでくれる万能さんでもある。

 

 ナビさんの声に導かれ、抱えたジャックを起こさないように食堂へと進む。途中、何人かの職員とすれ違ったが、誰にも感づかれることなく到着した。

 

 食堂に入ると既に何名かの職員もいて食事を摂っているが、時間的に早めの夕飯と言ったところだろう。調理場では噂のオカンと呼ばれるエミヤ?だったかが居たが、そこそこ忙しそうだった。

 

 さて、ジャックを置く場所だが…丁度良さそうな所に椅子があったので並べてそこに寝かせておくことにする。

 俺の手が離れるとスキル効果が消えるので、誰もこっちを見ていないときにそーっとおき……

 

「ん~…おとうさん…?」

 

 ダッシュで逃げた。

 

 ジャックも俺のことを分かっているし、何度かこういった事もあったので大丈夫だろう。でもやばい、食堂で、しかも人のいるところでジャックが喋ってしまったので絶対にジャックに気づいたってあれ。

 

 ダッシュで逃げて食堂を出る。通路を更にダッシュしようとしたところで、曲がり角から現れた人物にぶつかった。

 

「きゃっ!?」

 

「おっと、マジですまん! 大丈夫か?」

 

 思わず気配遮断を解いてぶつかった相手に手を差し伸べる。尻もちをついてしまったのは、褐色肌の艶めかしい超絶美少女。やだ、通学路じゃないのにラブコメの神様が……ないな。

 

 その美少女は俺の手に反射的に掴まって一瞬固まる。なんだろうか。

 

「あっ……!!」

 

『スキル全状態異常耐性を発動。マスター、即座にそのサーヴァントから離れてください。異常を検知しました』

 

 何故か状態異常系のスキルが発動し、その際に目の前の美少女が俺の手を振りほどこうと力を入れるが、立ち上がらせてからでもいいかと思って、少々悪いが力ずくで立ち上がらせる。

 

 引っ張る際には丁度美少女が力を入れていなかったためか簡単に起き上がらせることに成功したが、勢いのままに美少女が抱きつくようにして凭れ掛かってくる。

 

 胸元の柔らかな感触と危ない香りにくらくらするが、相手はサーヴァントであり互いに知らない。殺される前に速攻で離れるが、美少女は大きく目を見開いたまま動かない。ちなみに手も離してくれない。なに? なんなの? まさか俺に……ないか。

 

「ジャック!?」

 

 やばい、背後でエミヤとやらの声が聞こえる。ジャックが見つかった!

 

 後ろを見るが誰も来てはいないが、このままここにいては危険だろう。申し訳ないが手を優しく離してから逃げることにする。

 

「本当に申し訳ない。失礼します」

 

 ぺこっと頭を下げてからダッシュ。あらゆる音を絶つスキル絶音と気配遮断を使用し、加速のスキルにより瞬時に部屋へと。完璧である。

 

 ただ、俺が消えて加速する瞬間を先程の美少女に見られていたということには、気づかなかった。

 

 

 




 取り敢えずはこんな感じです。なにかん?あれ?おぅ!?的なことがあれば教えてくだせえ。

 ぐだぐだと追加してしまったので、途中で適当なことぶちこんでおきました。

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