お父さんになったら部屋にサーヴァントが来るようになったんだが 作:きりがる
私は夜中に衝動的に作って食べたのでもういいかな。
ちなみに、この人は部屋に入り浸るなんてことはないのであしからず。
丸半日、ぐっすりと眠った俺は、隣で眠っていたジャックといつの間にかくっついていた静謐を起こさないようにベッドから離れる。伸びをすると共に冷蔵庫の中から紅茶のペットボトルを取り出して、一気に三分の一ほど飲み干せば、冷たさに目が覚める。
「おとーさん……」
ジャックがむにゃむにゃと寝言を言いながら細い腕をフラフラと彷徨わせているが、このままでは静謐に抱きついてしまいそうなので、アイテムボックスから抱きまくらを取り出して差し出せば、ぎゅっと抱きしめた。これでいいだろう。
さて、今は何時かね。
『現在の時刻は午前8時32分です』
なるほど、つまり、朝からゲームができるということですね。最近は徹夜で仕事が多くてゲームする暇も碌になかったが、休みがあるのであれば、むしろやらなければ失礼というもの。
もはや皆が座ってゲームしているのでぺったんこになりつつある駄目ソファに座り込んで、ゲームを起動する。二人ほど未だに寝ているのでヘッドホンをつけてすることになるが、ヘッドホンはヘッドホンの良さがあるので嫌いではない。
かつてはオンラインもできて楽しめていたのだが、今ではオンラインができないので楽しさも半減と言ってもいいのかもしれない。一人でするゲームもいいし、友人と対戦するのもいいのだが、やはりオンラインで知らない奴らと戦ってドキドキしたり、悔しくなったりと高揚感も楽しいのだ。
とはいえ、それでもゲームは嫌いではないので一人でもやっていて楽しい。俺が集めたゲームはこのカルデアにあるものよりも遥かに多いし、種類も豊富なので幾らでもできるところが自慢。しかも、機種を変えれば更に多くのゲームができるのだから更にドン! フリゲもあるからドドン! あぁ、世界はゲームに溢れてる…。
今日は実況動画見直してのびハザの気分になってしまったので、アイテムボックスから机とデスクトップを取り出してちゃちゃっと設置。大画面でやるゲームは最高である。
確か、このデスクトップパソコンにのびハザのファイル諸々をダウンロードして解凍してあったはず…。数多とあるファイルをさっと見渡せば、確りとのびハザのファイルが有るのを確認。よし、やるか。
前に実況を見て知っているが、自分でやると割と難しいというのを実感したことを思い出した。初めてしたときは難しかった…懐かしいものだ。
久しぶりのゲームに止め時など無いに等しく、ぶっ通しで昼までしていたのだが、いつの間にかジャックは用事でもあったのか居なくなっており、静謐は俺の背中にぴっとりとくっついてゲームを眺めていた。……いや、ゲームをしている俺を眺めていた。横顔に視線が集中している…。
「………いつまで俺を見てるんだ」
「…勿論、いつまでも、です」
「いや、流石にずっと見られていると落ち着かないんだが…」
「大丈夫です。私がとても落ち着いていますので」
俺が良くないから駄目に決まっているだろう。
ため息一つ、一時停止してヘッドホンを外せば、伸びをして固まった体をほぐす。腕を下ろせば、肩を回す前に俺の肩に静謐が手を置いてゆっくりと揉んでくる。
「お疲れ様です。お昼、ですか?」
「そうだな、いい時間だし、昼飯でも食うかー」
たまには食堂でまともなものでも食うか。
もういいぞ、というように肩を揉んでいた静謐の手に俺の手を重ねれば、逆に俺の手を両手でそっと握り、微笑みと共に俺の手の感触を確かめるように握ってくる。少しだけ乾燥した俺の手に比べ、静謐の手はしっとりと女性らしく柔らかな手だ。
こいつとこんな関係になっていつでも触れると言うのに、静謐はいつまで経っても俺に触る度に確かめるように、存在するのを確認するかのように、嬉しそうに触るのだ。
まぁ、俺も少なからずこいつのことは知っている。見ていればわかる。だからこそ、好きにさせている。嫌ではない。嫌ではないからこそ、いろいろと困るのだ。
「……ほら、先に出ろ」
「できれば…ずっとお傍に……」
「いつでも部屋に来れるだろう?」
「それでも……それでも、足りないくらい、ですから…」
そう言った静謐は儚げに微笑む。そして、手を更に強く握るようにしながら抱きつき、頬を俺の腕に擦り付けてくる。ここまで想われて無碍にできる男はいるのだろうか。たまたまだったかもしれない。俺じゃなくても、いずれマスターちゃんが静謐を救ったかもしれない。
静謐の今までの苦しみや悲しみは、静謐自身にしかわからない。それでも、俺が傍にいることでこいつの胸の内に潜むなにかを和らげる事ができるのであれば、ジャックとは違えど、こいつの思うように愛してやってもいいかもしれない。
ただ、取り敢えず、今は…
「今は別だ。うん、腹減ったもん。さっさと出ていきなさい。俺が出られないでしょーが」
「うきゃんっ」
ペシンとデコピン一つ。手を引き抜いて腕を柔らかな双丘から逃しつつ、静謐を扉へ追いやる。
頬を膨れさせつつ、おでこを抑えている静謐だが、まったく……わかっててやっているのだから質が悪い。ま、それでも確かに本音だから良いのだが、それを利用しつつ迫ってくるのは流石というかなんというか……結構、やり手である。自分の魅力をしっかりと把握しつつ、利用しているのだから。
「シッシッ」
「アルンさんは酷い人です……おでこ、赤くなってませんか?」
「褐色だからわからん」
「むぅ…!」
あっかんべーと真っ赤な舌を小さく出しながら、最後に花の咲いた様な笑みを見せながら部屋から出ていった。
やれやれ、今度、ジャックナイフの刑だな。ちなみに、このジャックナイフはテニスのことでも、牽引車の現象でも、プロレス技でもない。我が娘、ジャックのナイフの柄で強打の刑ということである。一度、静謐は寝ぼけたジャックにこの技を喰らっている。さぞ痛いだろう。
少しばかりの時間が経ってから俺も部屋を出る。昨日、お粥を食べたとはいえ、一晩ぐっすりと眠れば休息に必要な分のエネルギーを消費したのか、何気に体が重くて腹も減っている。ガッツリ行きたい気分だ。つまり、肉ですね。
食堂に行くに連れ、少し遅いとは言えども昼時ということもあってか、がやがやと五月蝿い。その殆どがサーヴァントというのだからどうも俺には居づらい場所である。
こそこそと影に忍ぶように、されど迅速に移動して列に並ぶ。注文からの配られるまでが異常に早いこの調理要員だが、これで最高に美味いというのだから英霊は凄い。料理に関する何かを残した人たちなのだろうか。
本当に気配を消して並んでいたらいつの間にか自分の番が来ていたのだが、俺ってもしかして忍びか何かだったのか。ジャックのお父さんなのでアサシンになっているのかもしれない。というか俺が最後だった。
それよりもカツドゥーンだ。
「はいはい、ご注文は何かな?」
「カツ丼一つ」
「カツ丼ね。ちょっと待っててね、今作ってくるからさ」
そう言って赤髪の美女が厨房に戻っていく。昨日作ってくれたエミヤは他の人の対応をしているし、猫っぽいナニカも元気に対応中だ。というかなんだろうか、あれ。キャラブレブレと言うか…でも、嫌いじゃないわ! モフってみたいものである。
のんびりとカウンターに肘を付きながら食堂の中を見てみるが、改めて見渡せばなんともまぁ、こんなにもサーヴァントが集まって、誰も彼もがマスターちゃんラブ。どいつもこいつも何らかの形で世に名を残した人物ばかり……。
「マスターちゃんのコミュ力は化物か」
俺とは真逆の人間だな。マスターちゃん、英霊にでもなるんじゃないだろうか。
そのマスターちゃんは現在、いつの間にか居なくなっていたジャックとその他お子ちゃま達と昼食を食べているところのようだ。お父さんとしてはお母さんにも確りと甘えているところはポイント高いぞ。
アイテムボックスからパックのカフェオレを取り出し、ストローを咥えて飲んでいると、好き嫌いもせずにトマトを食べたジャックと目が合った。ちなみに俺は生のトマトは大嫌いである。お父さんに似なくてよかったね…いい子に育っておくれ。
俺と目が合ったジャックは満面の笑みを浮かべて机の下の方でぶんぶんと手を振っていたので、俺もカフェオレを持っていない左手でひらひらと振り返してやる。おっと危ない、マスターちゃんがこっちを見てきた。
何食わぬ顔でカフェオレを飲み、マスターちゃんが再びジャック達の方を向いたところで娘の観察に入る。可愛い。
そんな俺の背後から声が聞こえてくる。どうやらカツドゥーンができたようだ。
「なーにそんな優しい笑みを浮かべてるのかな?」
「いえ、なんでもないです」
「ふーん、そんな風には見えなかったけどね…私としては、とても良い顔だったと思うけど? 慈愛の笑みっていうのかな? 男の人がそんな優しい笑みを浮かべるなんて、中々できないことだよ」
「そんな顔してません…それより、料理の方は…」
「ああ、はい、おまたせ。サービスで量を増やしておいたんだ。はいっ、ダブルカツ丼!」
そう言って渡されたのは、普通のカツ丼に更にカツが斜めに立てかけられていた。二枚分のカツということか…なんというお得感。出汁のいい香りにとろとろの卵と三つ葉、見ただけで美味いとわかるのにこれだけガッツリ行けるとは、男にとっては嬉しいに違いない。
「ありがとうございます」
礼を言って、半分ほど飲んだカフェオレをストローで咥えて、両手にカツ丼を持ってさあどこで食べようかと振り返れば、あまり座れそうな場所はない。一人で座れそうな場所がないので、これはもういつだかのアストルフォのように持って帰って食べるしか無いのでは?
しかし、この状況を俺の後ろで見ていたこの人…
『古代ブリタニアの女王、ブーディカです』
なるほど。ブーディカさんは頭を掻きながらしまったという風に声を出す。
「あちゃー…人でいっぱいじゃんか。どこかに座らせてもらう?」
「いえ、これ持って帰ります」
「それだと冷めちゃうよ?」
「仕方ないということで…」
「駄目だったら! せっかくなんだから、君には暖かくて出来たての状態を食べてもらいたいの! ……よし、お姉さんに任せなさい!」
ドンと自身の胸を叩くブーディカさんだが、その揺れる豊満な胸に視線がいかなかったのは奇跡に近い。あっぶね、もうちょいで胸ガン見して叫び声挙げられて捕まっちゃうとこだったぜ…って、誰に捕まるんだろうか。
その頼もしいお姉さんはどこかに行ったと思うと、直ぐに戻ってきたようだった。そのまま調理場へ戻り、俺のいるちょうど反対のカウンターの裏、そこに折りたたみのテーブルと丸イスを置き、カウンターの上のダブルカツ丼を折りたたみテーブルへと置いた。
まさか、そこで食えというのだろうか。
「さっ、即席だけど食べるところ作ったから、こっちおいでよ」
マジだった。
流石に躊躇う俺の手を何の躊躇もなく掴んだと思ったらカウンター越しにひっぱるものだから、そのまま引きずり込まれるのかと思った。それはなかったが、手を引かれるがままに連れ込まれ、丸椅子に座ればカウンター裏ということもあって、外からの目は無いに等しい。
しかし、端っことはいえ内なのでエミヤにはガッツリ見つかった。
「君は昨日の……何故、ここで食べているんだ…?」
「いや、俺もさっぱり…」
「あ、私が連れ込んだんだよ。いやぁ、どうも他の子達と混ざって食べるのを躊躇ってたからさ、美味しいご飯を食べに来たのに嫌な気持ちで食べたくないじゃん? だから、一人で食べれるようにってね」
「そ、そうか……その、なんだ……ゆっくり食べていってくれ」
「うす……」
なんか同情の視線を貰ってしまったが、まあ、それよりも飯だ。未だに湯気の上がるカツ丼だが、まずは味噌汁からだ。ネギと豆腐の味噌汁をゆっくりと啜れば、濃くもなく、薄くもない、丁度良い俺の好きな味加減。インスタントとは全く比べ物にならない風味にホッと落ち着くかのようだ。日本人じゃないのに故郷を思い出すレベル。
お次はカツ丼。まずは増量されたカツの方を箸で取って噛じる。サクリとした衣と肉厚な食感に先端についていた出汁と卵が絡みついて、カツだけを食べているんじゃないということを実感させられる。
なにこれ、どうやって揚げればこんなに肉汁を閉じ込めたままサクサクに揚げられるの? どんな分量で出汁をとってんの? 卵はなんでこうもいい感じにふわとろなんですかね?
俺だって料理スキルがあるのでこれくらいのものを作ることは作れるのだが、やはり人に作ってもらったほうが美味いに決まっている。
「美味い…」
「ほんと? それはよかった」
「ああ…もう自分で作ったのは食べれないレベル」
「へぇ、君は料理できるんだ」
「え? ああ、はい、そうですね。別に難しいことでもないですし、余計なことしなければ大抵は何でも作れますし…やろうと思えば誰でもできるのでは?」
「う、うん、そうだね……余計なことしなければ、誰でも作れると思うんだけどねぇ…」
まあメシマズヒロインとかいうジャンルもあるので一概に誰でもというのは流石にないのかもしれない。作れたとしても、盛り付けとかはセンスで決まりそうだし。
その後は割と夢中で静かに食べ進めていったのだが、いつの間にか目の前で丸イスを持ってきて座り、両肘をついて手に顎を乗せながらニコニコとこちらを見ているブーディカさんがいた。その目はまるで子供を見るような優しさがあり、見守るかのようであった。
だが、両腕の間のテーブルの上にのしっと乗っかっているその凶悪な2つの山とそれが織りなす谷は目に毒なので止めてほしい。
途中で水を飲もうと思ったが、どうやらセルフのようで水はなかった。仕方ない、ポケットから取り出すように見せかけたアイテムボックス内の野菜ジュースを飲むとしよう。
ストローをさして飲むのはいいが、なんだろう、これ、目の前の人にもなにか出したほうが良いのだろうか。俺一人だけ飲んだり食べたりしているので、なんか居たたまれないのだが…。
………追加で取り出すことにした。母指と示指の間にカフェオレ、示指と中指の間にいちごオレ、中指と環指の間にフルーツオレを挟んでブーディカさんの前に差し出す。
「……飲みますか?」
「え? あ、うん、せっかくだし、貰おっかな。なんかゴメンね、本当なら私が水かお茶を出さないといけなかったのに…」
「いえ、気にしないでください」
「それでも気になるんだよ。それとね、いつまでも敬語は禁止! もう他人じゃないんだから、普段通りの君みたいに喋ってくれたら、お姉さんは嬉しいなぁ」
うーん、なんだろうか、この近所のお姉さん感。それと近所のお姉さん…ではなく、ブーディカさんはカフェオレを取っていったが、残りの2つはどうしようか。
そのままアイテムボックスにでもしまうかと思ったところで、気配察知スキルが3つの小さな気配を感じ取った。一つはとても慣れ親しんだ、ジャックの気配だ。三人分には一つ足りないので、複製スキルでいちごオレを2つに増やし、3つを持って少しだけ腰を上げてカウンター越しに見てみれば、丁度ジャックが目の前に居た。
ジャックもここでお父さんと呼んではいけないということはわかっているので、俺と目があってもそこまで騒がない。ほれ、三人でお飲み。
「ありがとうッ!」
「あら? 何を貰ったの?」
「それは…紙パックのジュースですか?」
「うん! 親切な人に貰ったの。好きなの選んでいいよー」
これでよし。
仕事は終わったとばかりに腰を下ろせば、やっぱり満面の笑みを浮かべたブーディカさん。今度は何なの?
「優しいんだ」
「余ってたので」
「わざわざ一つ増やしてまで?」
「三人居たので。手品ですよ」
「敬語。それにしても、三人いるなんてよくわかったね。しかも子供が」
「足音が子供のそれで3つ分あったからですy「敬語」……あったから、だ」
「ふーん…? それでも三人分ちゃんと用意して上げるなんてやっぱり優しいじゃん。偉い偉い」
そりゃ娘とその娘の友だちなんだから優しくするのは当たり前でして……だからあんたも偉いといいながら頭を撫でてくるんじゃあない。善意でやっているため無理に払えないし、腕を伸ばしてくるから目の間に胸が来て揺れているので眼福でございます。
その後、撫で続けられながらカツ丼を頬張る俺がいたとかなんとか。
ア「これは『獣肉に穀類を纏わせ高温の油に浸したもの。鳥類の卵をグチャグチャにしてそれを上に掛け 魚汁をもって更に加熱したもの』である」
エ「喧嘩を売っているのかね…?」
ブ「間違ってないけどなぁ…言い方に野生感が感じられるんだよねぇ」
キャ「言葉通りのものを作ってみたゾ! さあ、喰らうがいい!」
ブ「うわ…これは…」
猫で狐な獣の彼女がドンッとテーブルに置いた料理は、恐らく牛…ステーキ肉に穀物であろう粉っぽいなにか。これは…
エ「飼料用じゃないか!!」
キャ「ナハハッ! 獣ゆえな、穀物ならばとこれにしてみたのだ。だが安心めされよ、一応、食えるぞ♪」
そう、動物の餌に使われる穀物がまぶされてこんがり油で揚げられていた。普通なら肉に火が通る前に周りが焦げてしまうに違いないが、予め謎の肉に処理がされていたのか見た目はカツである。ステーキ肉っぽい見た目ではあるが、カツにかろうじて見える。
さて、お次は卵をぐちゃぐちゃにしてかけるのだが、卵は、卵なのだ。
つまるところ、この卵は一体何の卵を使っているのかわからないのだが、卵の量がとんでもなく多い。それはカツもご飯も隠してしまうほどであり、黄身の量が多く、白身も溢れている。鶏卵ではありえない量に、ダチョウかエミューなどの大型の鳥類の卵でも使っているのではないかと予想させる。
エ「これは…何の卵だ」
キャ「ワイバーン」
エ「ワイバーン!?」
もしかしなくてもこれ、親子丼の間違いでは……? エミヤとブーディカは気づいてはいけない事実に気づき、ゴクリと喉を鳴らして汗を拭う。
ブ「じゃあ…出汁は一体……」
キャ「ヤドカリと海魔を煮詰めてみたワン。思った以上に濃厚な出汁がとれたナ。この味のパンチ力にはワンパンでノックアウトも余裕だろう!」
エ「エネミーを使うんじゃない!!」
米以外、エネミーで構成された眼の前の料理に、もはや湯気ではなくオーラでも溢れ出ているのではないかと錯覚に陥りそうだった。
このコンボ技で作られたカツ丼もどき。何が怖いって出汁が一番怖くて二人は手が出せなかった。
だがそこに、何のためらいもなく丼を持ち上げたと思ったら、躊躇なくカツを齧ってご飯をかきこむ猛者が居た!
ア「美味也」
キャ「貴様、見どころがあるではないか! 人参をやろう!」
ア「美味也。我人参よりモフりたい也」
キャ「ふんっ、このキャット、ご主人以外に引かぬ、媚びぬ、省みぬ! …だがしかし、貴様のテクニックはなかなかのものだとアタシの獣の勘が告げている…少しだけなら許可しようではないか!」
ア「誠美味也。カツは五枚也。おっぱいはニ也」
エ「これやられてないかね? 悟りを開いてる気がするのだが…!」
キャ「海魔とヤドカリの出汁が決め手だな!」
ブ「というか、どこからおっぱい出てきたのよ…」
キャ「む? アタシのおっぱいをモフりたいのか?」
翌日、アルンは腹と精神を壊した。