お父さんになったら部屋にサーヴァントが来るようになったんだが   作:きりがる

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遅くなりました。日々が疲れる……。書き上がったので今から寝ます。

今回は適当に繋ぎと少しのナニカを入れておきましたが……男、元男、男の娘。
男しかいねえ……!
何故だ!
ジャック達は直ぐにちゃんと出しますので(日にち的な直ぐとは言ってない)


07 黒猫が不幸をお届けします(速達)

 

 

 

「アルン君、いつまで寝てるんだい? 朝的にギリギリだよ、起きなって」

 

 寝ている俺の体を誰かが揺さぶりながら何か声かけてきているのを感じ取れた。ただ、寝ぼけているので誰なのかまではわからない。鬱陶しいと思っていると、それに反応したナビさんが話しかけてくる。こいつの声は耳から入るわけではないので聴覚を必要としない。どれだけうるさかろうと、ナビの声だけは聞こえてくるのだ。

 

『レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチより接触を確認。マスターの睡眠を妨害中。自動迎撃システム作動。弱プラズマ砲のシークエンスに入ります。エネルギー充填、最終ロック解除。発射まで3、2、1……』

 

 ストップ! 待て待て待て! Wait!!

 

 ナビの迎撃について聞こえてきた瞬間に一気に目が覚めた。一体この子は何をしようとしていたのだろうか。例え非殺傷設定だとしてもプラズマであるなら何かしらの欠損は免れん。つか死ぬ。

 

 いくら弱設定だとは言え、旧式ターミネーター位なら余裕で破壊できるほどの威力や殺傷性がある。この間の小さなミスともいえないミスから張り切りすぎている気がしないでもない。一緒にターミネーター見たからか? 

 

『とても参考になりました。面白かったですね』

 

 そうですね。

 

 ということで、俺も目が覚めたからシステムはシャットダウンしましょう。

 

『命令を受諾。自動迎撃システムを停止します』

 

 ほっと一息、これで殺気を持った誰かが俺を殺そうとすれば、一瞬の間に迎撃されているだろう。目を開ければダヴィンチちゃんが俺の顔を覗き込んでいるところだった。先程まで死にそうだったことなんて知りもしない本人は、俺が目を覚ましたのを確認したら離れてくれた。

 

 俺も上体を起こす。

 

「おはよう、アルン君。遅刻ギリギリまで寝るなんて、仕事は大丈夫?」

 

「おはよう…仕事は…やることはやってある。この時間なら遅刻しないし…急ぎじゃない追加で出てきたものは後で時間でも止めて纏めて済ませる…残業案件だろうし」

 

「うわ、せこい。けど、時間停止中に何でも出来るっていいなぁ…あ、まさか時間停止中に悪戯とかしてるんじゃないだろうね?」

 

「ぶっちゃけ出来るけど…時間停止自体をそこまで使わないからな」

 

 ザ・ワールドさせなくてもやりたいことは出来るし。

 

「それより、なんの用だ」

 

「いや、ただ3日も会ってなかったから会いに来ようと思ってさ。あと……アルン君は布団の中に何を隠してるのかな? 見られちゃヤバイもの? 大丈夫、私も元は男だから理解はある方だぜ! さあ、見せちまいなよ!」

 

「いや、何の話…」

 

 何の話だとダヴィンチちゃんに突っ込もうと思ったが、言われて気づく。確かに、俺の布団の下半身部分が盛り上がっている。ただ、それは男の生理現象によるものではなくて、本当に何かを入れているかのように大きく盛り上がっているのだ。

 

 何だと思ってみたが、俺の下半身に伝わってきているのは温かな感触。何かが…というか、誰かが俺の右脚に抱きつきながら寝ているような感じがする。あと、絶対に涎垂らしている。湿っている部分が生暖かいのだ。

 

 ダヴィンチちゃんがいるけども、普通に誰がいるのか気になったので布団を捲ることにした。静謐?

 

「ん~……んぁ…? ぁ、アルンおはよー……くぁ~…ふぅ……もう朝?」

 

「朝だとよ。ちなみに時計はあちら」

 

「え、ほんとに? あはは、ボクもアルンも寝坊だ! ま、いいか! おはよう、アルン!」

 

「おはよう、アストルフォ。お前、自分の部屋に戻って寝たんじゃなかったのか?」

 

「まあまあ、いいじゃん! ボクがキミと寝たかっただけだよっ」

 

 布団を捲れば涎を垂らして俺の脚に抱きつき、丸くなって寝ているアストルフォだった。結局、あのあと自分の部屋に戻るのではなく、こっちに戻ってきて寝てしまったようだ。起き上がった拍子にアストルフォの顎先から俺の太腿まで涎の橋がとろりと光る。最悪だ。

 

 随分と懐かれたものだ。やはり、ゲームというのはただ話すだけとは違い、仲を深める効果があるのかもしれない。互いが楽しければ誰でもそうなるか。

 

 そんな俺達のやり取りを見ていたダヴィンチちゃんは驚いたようにアストルフォの方を見ていた。つい最近、召喚されたばかりのサーヴァントが俺のような職員のもとにいればそうなるかも知れない。だが、その表情もすぐに崩れてやっぱり増えたみたいな表情になる。

 

「やっぱり増えたね、アルン君のもとに来るサーヴァント」

 

 本当に言いやがった。

 

「でも、なんで彼なんだい?」

 

「あー…尾行されててな。ダヴィンチちゃんよりも下手くそな尾行」

 

「なんで尾行してたんだっけ…? えっと、とりあえずなんかゲームの話になって実際にさせて貰ったのさ!」

 

「そゆこと。で、今に至る。この三日間はずっと篭ってゲームしてた。男同士だからわかるノリがある」

 

「外見は美少女だけど?」

 

「理性は強い方なんだ。最近は自分自身のことを信じられないけど」

 

 アストルフォを退けて涎で汚れたズボンを着替えるために立ち上がると、アストルフォはシャワーを浴びてくるとシャワールームに駆けていった。俺は俺で綺麗なズボンを取り出して履き替え、長い髪を手ぐしで適当に整えた。

 

 昼飯は適当にポテチでいいかなぁなんて考えていると、ダヴィンチちゃんが話しかけてきた。

 

「アルン君、今日の予定は?」

 

「んー…久々に身体でも動かしたい気分だったが…普通に仕事で雑用案件」

 

「それもそうか。でも、今日のアルン君はいつもよりも疲れてるね。大丈夫かい?」

 

「連日ゲーム漬けのときは大体こんなものだ。これでもミスを犯すようなヘマはしない程度に体調は整えてあるし」

 

 答えながら腰をバキバキと鳴らして捻りを加えていると、アストルフォがシャワーを浴び終わったのか、俺の服ではなく初めてあったときの衣装で戻ってくる。流石にずっと俺の服を着ているわけじゃない。

 

 ところでダヴィンチちゃんとかずっと同じ服だけど、それってどういう風になってんの? 魔力的なアレだから洗濯の必要とか着替えもないとか? でも、決まった服装でずっといるというのはある意味楽ではないだろうか。今日は何を着なければと言う悩みもないのだから、制服は割と楽なものだ。

 

「ほら、さっさと出た」

 

「わわっ、急に押さないでよっ」

 

「はいはい。わかったから押さないでおくれ」

 

 ダヴィンチちゃんが起こしてくれた時間的にもギリギリだったのでさっさと自分のデスクに行かなければ遅れてしまう。今日の朝食はなしだが、俺は朝にしっかり食べられる体質ではない。菓子パン一つでも割と気持ち悪くなるタイプなので朝は食べないことが多く、なにか飲むだけが常。

 

 ああ、でもあれは良かったな。朝アイス。冷たいし、甘いし、腹にたまるわけじゃないがカロリーは得られるので結構続いたものだ。カルデアに来てからはアイス食べてないな…。

 

 部屋から出てロックをかければ、後は解散なので二人の背中から手を離す。

 

「はい、解散」

 

「まったく…ま、アルン君の姿も見れたし、また夜にでも来るとするよ。君はどうするんだい?」

 

「ボク? んー…別にやることもないし、アルンについていっちゃ駄目かな?」

 

「なんで俺のとこだ。好きにどこにでも行けばいいだろうが」

 

「うん、好きにアルンのとこに居るよ! 大丈夫、ボク、アルンのこと大好きだしっ」

 

 いい笑顔で真正面からそう言われて嬉しくないやつはいないだろう。少なからず、俺にも嬉しいと思う気持ちはあった。

 

 アストルフォがどんなやつなのかはある程度、この三日間で感じ取ることはできたし、嘘じゃない事もわかっている。随分と懐かれたようだ。

 

 口角を上げ、息を吐くように小さく笑いながらアストルフォの頭を撫でてやると嬉しそうにすり寄ってきた。こいつは犬みたいだな。

 

「わお、情熱的だね。でも、彼、男だよ?」

 

 ダヴィンチちゃんの言葉につい、そっちを見てしまう。

 おう、そうだな。可愛ければ問題ない。お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないのと同じなのだ。

 

 それに、お前が言うなと言うやつである。今は美女だが元男。お前どっちなの? 女としてみてもいいの? 歴史や偉人にそこまで詳しくもない俺からすれば、俺のダヴィンチ像は目の前の人物なんだが。

 

 そんなことを考えながらじっと見つめていれば、何やらダヴィンチちゃんが頬を赤くしながらもじもじしだして、口を開く。

 

「あー、その、なんだ……わ、私も、アルン君のことは好き、だぜ…?」

 

 自分の手をその豊満な胸の前に持ってきて、右手で左のデカイ機械の指を弄りながらそんな事を言う。

 

 突然どうした。

 

「好きなだけなの?」

 

「えッ」

 

 そしてアストルフォも俺に抱きつきながら顔だけ向けてそう言えば、ダヴィンチちゃんはあーうーと言葉にならない声を出しながら視線を左右へと右往左往させる。

 

 お前もどうした?

 

「わ、私もアルン君は大好きだよっ! こ、これでいいね!?」

 

「うん、ばっちし!」

 

 だからなにが!?

 

 意を決したように顔を真っ赤にさせながら俺の方を涙目で睨み、大声で叫んでくるダヴィンチちゃんだが…こんな姿初めてみたぞ。何が何やら訳がわからないが、これはアストルフォが凄いのだろうか。

 

「こ、この私がまさか勢いでこんなことに……」

 

 俯いて何やらしょんぼりとしているが……ああ、わかった。アストルフォと同じように頭を撫でてほしいということだろうか。あのダヴィンチちゃんの超絶かわいい姿が見れたのだし、お礼を込めてしっかり撫でるとしよう。

 

 なんだ、アストルフォが羨ましかったんだな? 言ってくれればいくらでも頭だけではなくどこでも撫でてあげるというもの。頼もうにもキャラじゃないから無理だったのかもしれない。

 

 そっと空いている手を伸ばしてダヴィンチちゃんの頭に置き、艶々でサラサラの髪を撫でてやれば、何事かというような顔をして勢いよくこちらを見てくる。そして、俺が頭を撫でていることを認識し、それが自身の頭であることを確認し、徐々に顔が赤くなったかと思えば、

 

「~~ッ!!」

 

 言葉にならない声を叫ぶようにして出し、俺が縮地したときみたいな速度で一瞬にして消えていった。

 残されたのは宙にさまよう俺の手だけ。

 なんだあの可愛い生き物。

 

 というか、どうやら色々と違ったようだ。

 

「何しに来たんだろうな」

 

「ねー」

 

 

 

 ◇ ◇ ◇ 

 

 

 

 時間停止を使ってスキルも使ったせいか、他の職員含めて今日は意外にも早めに仕事も終わり、結局一日中俺の側に居たアストルフォが暇だ暇だと五月蝿いのでトレーニングルームとやらに行くことになった。確かにゲーム漬けなのは楽しいが、体が鈍るというか、運動不足に陥ることは目に見えているので、こんな俺でもたまに鍛えることくらいはしている。

 

 割と他の職員とかとも筋トレしたりしてるのだ。俺から誘ったり、向こうから誘ってきたり。体を動かして調子を整えたりしておかないと体調が悪くなったり風邪をひいたりするのは誰だってそうだろう。たとえそのときにならなくても将来的に何らかの病に発病する確率は上がるってもの。魔術が全てどうにかしてくれることなんてないのだ。

 

 しかし、今回はアストルフォが俺の呟きを拾って体を動かしたいと言ったのであって、俺がトレーニングをするわけじゃない。俺は結局体を動かすのをやめて付き添いみたいなものだ。

 

 結局、ダヴィンチちゃんは俺の部屋に来ることはなかったので、二人でペ○ングを食べてから向かうことにしたのだった。ペ○ングの辛いやつってマジで辛いんだけど、あれなに? 俺の中の辛いランキングで今の所上位に君臨してるんだけど。甘いカフェオレ飲んでも消えないんだけど。

 

「うーん、なにするかな。遊び感覚で色々しようかな?」

 

「言っておくが、体を動かすことは専門じゃないから戦えと言われてもガチ戦闘はできないぞ」

 

「大丈夫だよ、ボクも弱っちい方だから!」

 

「何も大丈夫じゃないよな、サーヴァント」

 

 やろうよーと腕を引っ張ってくるアストルフォを無視しながらトレーニングルームへ到着。ここは機械を操作すれば仮想の敵を色んな条件で出現させることが出来るらしいが、使用したことないのでイマイチ分からん。

 

 さて、アストルフォを送り届けることができたので、俺は隅っこでゲームして待ってますね。

 

 壁に背をつけながら座り込み、アイテムボックスの中からペットボトルのカフェオレとゲームを取り出してゲームスタイル。そしてもう片方には無限ポップのように次々と追加されてきた仕事をするために大量の書類と宙に展開させた空間ディスプレイを複数。

 

「ほんとにここでもゲームするの!? 来た意味ないじゃんっ」

 

「仕事もする。それに付き添いだからな」

 

「えー…あっ、じゃあさ、せめて色んな武器でも出してよ! それ使って遊ぶから!」

 

 まぁ、それで絡まれないのならいいかもしれない。

 一時期、刀の格好良さと綺麗さに憧れて自分で必死になって作っていた時期があった。設備がスキルや魔法で用意できるからこそのことだが、今思えば長いことバカなことしていたと思う。影響されやすいというのも考えものだ。

 

「しゃーない。それで我慢しろよ」

 

 アイテムボックスの中から金の装飾が施された黒い鞘に収まる一本の刀を取り出す。柄と鍔も金であり、ちょこっと抜いてみれば抜いた刃が光を反射しており、前回使ったときと何ら変わってないことを確認する。刀身は黒いが光の当て具合では深い青が見え隠れし、刃紋も金となっている。全体的に黒と金により構成された刀。銘は景光。

 

 俺のお気に入りの一本でもあり、これを作るのには本当に苦労した。何度諦めようと思ったことか…。日本人凄い。鍛冶師しゅごい…侍ちゅよい…。

 

 もう一本は同じような姿かたちをしているが、青白く光っているもの。銘は吉野。第二作だ。

 

「おお…綺麗だね……他は?」

 

「刀だけじゃ不満なのかい…仕方ないなぁ、アス太君は」

 

 刀だけじゃ不満だったアストルフォに促されて、俺は徐ろに立ち上がって懐から複数個のダイスを取り出す。それを地面に落とせば、コーンッという音ともに花弁が散り、様々な武器が出現する。

 

 ロングソード、ツヴァイヘンダー、レイピアスウェプトヒルト、ショーテル、ソードブレイカー、エクスキューショナー。

 

 西洋武器が俺を囲むように床に突き刺さっている。

 

「才能、英雄の証!?」

 

「良い演出だろう?」

 

「かっこよすぎかよっ!」

 

 テンション高く、お目々キラキラでエクスキューショナーを持ち、重ッといいながらも軽々振り回しているアストルフォきゅんを見て、怪力だなって思いました。こっち向けないでね…? かの有名なモーニングスターも置いとくからどーぞ。

 

「現代兵器は!?」

 

「へいへい」

 

 FPSとかしてればさすがに言ってくるだろうとは思っていたけども、壊れかけのカルデアの武器庫から応急処置の際にちょいと拝借したくらいなので、そこまでの種類を持っているわけじゃない。なので空飛ぶ日産マーチ置いときますねー。

 

 銃器は無難にベレとかガバメントとか置いておけばいいか。FPSでもよく登場するようなM16、AK、レミントン、PSG1、MP5、P90…え?BARも欲しい? 確かにお前も見た目性別わかんないもんな。ドタマぶち抜かれないように気をつけることだ。

 

「よーし、色々試してくるね!」

 

「いってらー」

 

 俺はゲームと仕事してるから。

 片手にツヴァイヘンダー、片手にBARを持ったアストルフォが笑顔で機械を操作して出現させたキメラにダッシュで向かっていく。お前のスタイルがわからん。

 

 暫くして、部屋中に射撃音と斬撃音、咆哮に笑い声が聞こえてくるが、俺は現在ナビさんと協力プレイ中である。

 

「あ、やべっ、それ取り忘れた」

 

『お任せください、マスター』

 

「流石ナビさん。痒いところに手が届く。サンキュ」

 

『…有難うございます』

 

 照れたな。

 ナビさんは俺が意図的にスキルを使用するだけではなく、自身の判断で俺のためにスキルを使用するのは毒云々のくだりでもわかるだろう。それと同様に、どこぞのバロットのようにスキルによる電子撹拌能力で遠隔操作も可能であれば、ゲーム機をもう一つ用意すれば二人で対戦なんかも可能なのだ。

 

 とはいえ、ナビさんは機械のように正確なのでミスがなくあまり面白みがないが、暇だったり気分で相手してもらうことはそこそこあった。

 

「にしても、こうして二人でするのは久しぶりか」

 

『サーヴァントと関係を持つようになりましたから』

 

「それもそうか」

 

 ちらりとアストルフォを見てみれば、吉野とベレでダブルサーキューラーを決めているところだった。P90もあるんだし、57でも出しておくべきだったか。俺が一番最初に好きになったハンドガンがFive-seveNだったのだが、GGOで出て来た時は何気に嬉しかったのを覚えている。あれ、ベレッタ90-Twoだったっけ? ベレッタM93Rだったかもしれん…この3つのどれかだったはず。

 

 さて、そろそろいい時間だし、帰るとしよう。

 

 遊んでいるアストルフォを止めるために機械の元へ行ってキメラを消そうと思ったのだが、どの項目をタップすればいいのだろうか。少し悩んだ結果、端っこにあったものを押して見る。

 

『それ…強化ボタンですね』

 

「あ…」

 

「えッ!?」

 

「GURUA!」

 

「へにゃぁ!?」

 

 あ、猫パンチ。

 突如強化されて強くなったキメラ(黒)に猫パンチをお届けされたアストルフォが吹き飛んでいく。

 そして、キメラは次の獲物として俺のことをロックオンしたのか、低い唸り声を上げながらジリジリと近づいてくる。

 

 嘘やん…俺今丸腰……。

 

「GOAAA!」

 

 凄まじい速度で突進してくるキメラに、すぐさま景光とP90に飛びついてローリングしながらバラ撒く。5.7x28mm弾が弾幕のようにキメラに迫るが強化されたからなのかは知らないが貫通しない。

 

「ううっ…イテテ……」

 

 アストルフォー! 早くー! 早くこいつぶっ殺してー! 

 

「ごっふぁ!?」

 

 こいつの猫パンチは世界を狙える。

 

 




「GURUAAAAA!!」

「来る! また攻撃が来るよ、アルン!」

「チッ、どうする…!!」

 あれは…!? これしかないのか…!

 ヒュッ!
 
 カッ! コロコロ…。

「GUA? GU~、GURUA~~」

「あ、危なかった……また猫パンチを届けられるところだった…」

「え、まさかのボールに反応って……猫かな?」

「猫だな」

「ていうか、あれ手榴弾だけど!? ねえ、大丈夫なの!? 大丈夫だよね!?」

「安心しろ、アレはベースボールと呼ばれているからな」

「呼称の心配じゃないけど!?」

「他にもパイナップル、レモン、同じだけどアップルがあるぞ。どれがいい?」

「全部手榴弾!」

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