お父さんになったら部屋にサーヴァントが来るようになったんだが 作:きりがる
少ないです。
でも、ジャックの武器をローソンという迷宮から得たので書かなきゃ(使命感)
眼の前でエレちゃんとイシュタルが見てるから書かなきゃ(確信)この二人、色んな意味でとても、イイネ!(視線下)
どこかで見たシチュエーションを書いたけど、どこで見たのかはマジで覚えてません。忘れててもいいって死にかけの脳みそが言ってた。
それにしても、難産でした。サブタイが。適当につけておきますね。
一時停止。流石にこの距離感はおかしいだろうという俺の正常な判断に従ってゲームを一時中断する。
「あれ? 止まりましたよ? どうしたんです?」
そんなことを聞いてくる沖田だが、ゲーム自体は知っているんだろうがこの手のゲームをしたことはないのだろう。だからこんなにも……いや、自分でプレイしているわけでもないのにここまで楽しんでいるというのは素直に嬉しいことだけども。
近いんだよなぁ…。
なんで俺が右耳右側でお前は左耳左側なわけ? 確かに反対につけると違和感が物凄いから正規道理につけたいという気持ちはわかる。反対に来ればええやん。そうすれば余裕できるやん? わざわざ俺の左隣に来る意味!
「どうしたんですかー? ねー、つーづーきー!」
「五月蝿いぞ血反吐美少女」
「血反吐美少女!? 褒めてるのか貶してるのかわからない!」
「褒めてねえよ。そうじゃなくてだな……近いんだが……」
「……あー……うん、まぁ……そうですね……離れます」
流石にこの近さは気づけば恥ずかしくなる。言葉からはあまり気にしていないですよーという感じを出しているのだが、顔は真っ赤で少しだけ震えている。イヤホンを外しながら正座なのにホバー移動の如く距離をあける。何その謎歩法。どこぞの魔術師殺しさんの心臓をSMASHした外道神父も吃驚。
それにしてもいつの間に隣に居たのだろうか。治癒魔法を掛けたからと言って寝ていたくせに起きるのが早い。鑑定した結果からも今現在は無理していることもなく体調は良好のようで直ぐ様戦闘してもいいくらいにはコンディションも整えられている。魔法って凄いと再確認したわ。
「で、なんで俺の隣で騒いでたんだ?」
「いやー、目が覚めたらなにか面白そうなことしてるなーって思いまして。私が起きたのにも気づいてなさそうだったので、こっそり参加してたら夢中になっちゃいまして…」
「起きたのを報告しないと」
「言えば追い出されると思いまして…てへへ」
頭を掻きながらてへへじゃねえんだよ、可愛いじゃねえかこんちくしょう。
男ではなく女だった沖田の純粋な可愛さに内心悶えながらもコントローラーを一旦置いて立ち上がる。突然立ち上がった俺を不思議そうに見上げてくる血反吐美少女こと沖田だが、その沖田にまるで泣いている子供を安心させるような微笑みを向け、そっと両手を差し伸ばす。
何故か少しだけ頬を染めた状態で首をかしげるが、しゃがみこんだ子供を立たせるときのように両腋に手を差し込んで立たせる。
「ひゃあっ!?」
……腋、露出してるの忘れてた。柔らかくも、腋窩であるため他の部分よりも温かいので沖田の熱をよりダイレクトに感じられた。
敏感な部分をいきなり触られたこともあり、反射的にきゅっと腋を締めて力を入れ、恥ずかしそうに可愛らしい悲鳴を上げるが……手がより挟まれて色々ともう大変である。緊張しているのか汗によりしっとりと、しかし、強く柔らかさも感じられるのだ。
立たせるまでの数瞬の出来事。スキルで平静を保つ俺と、恥ずかしさに真っ赤になって身を固めている沖田。
そう、お気づきだろうか。
身を固めて身動ぎもしないので俺の手は未だに沖田の腋に挟まれており、より熱い彼女の熱を感じたままなのだ。
なんだろう、この意味のわからない光景。傍から見ればとんでもない状況だというのはわかる。変態呼ばわりもされるだろう。俺が。
あー…俺が腋フェチとかだったら危なかっただろうが、スキルもあるので過ちを犯すこともない。ないが、この状況を打開しないと今後どうなるのかわかったものではないので、事を進めよう。
俺が手を引っ込めようと体に力を入れて小さく動いた瞬間。
「んぁぅ……」
動いた振動が伝わってしまいくすぐったかったのか、目の前の彼女は無意識的にだろう、小さく開いた桜のように色っぽい唇から艶気の含んだ声を漏らした。
小さな声だったはずなのに、ゲームも中断されて俺と沖田のみの部屋は物音一つない静謐な世界であったため、よく響いた。
自分の声を自覚したからなのか、沖田は身を縮まらせるように俯く。
だが待って欲しい、わかっているのだろうか? その腋には未だに俺の手が挟まれていることを。
初対面から数時間の関係で何を間違えればここまでの状況になるのだろうか…俺は、俺の知らないところでなにかおかしなスキルを所持しているのではないか、疑問に思った。
これはスピードがものを言うだろう。手を引き抜いてから沖田を逃がすまでの時間。
きっと…いや、絶対に沖田もこの部屋から出ることが出来る状況を作れば、一目散に逃げることを選ぶに違いない。俺と沖田の思いは一致していると言ってもいい。
ならば、俺がどうにかするしかないだろう。
腋というのは人間にとって本当に敏感な部分だ。自分で触ってもそうでもないが、他人に触られるとよく分かるのは擽られたときなど。指先に力を入れれば他人に不快感を与えるため、掌全体で力を入れるか、そのまま持ち上げるのがベスト。
いくぞ!
不快感を与えない程度に力を入れて持ち上げ、一歩で扉まで移動し、開けた瞬間に誰も居ない通路に沖田を置く! 魔力糸で取り寄せた刀を放り投げる!
瞬時に状況を理解した沖田は一瞬で俺の視界から消えてどこかへダッシュで去って行った。まさかの俺にも感知できなかった。まぁ、だろうな。俺でもそうする。誰でもそうする。
残された俺の手には、俺と彼女の汗がべっとりとついており、それをみるとどうしても思ってしまうのだ。
――俺も彼女も何をしていたんだろうか。
ただ一つ言えることと言えば、俺は今日、たったの一日だけで二度も女性にダッシュで逃げられたということだ。
◇ ◇ ◇
沖田ダッシュを見送ってから落ち着くためにもう一度シャワーを浴びたあと、景光を手入れし終えたところで部屋の扉が開いた。俺の部屋に勝手に入れるのはジャック、静謐、ダヴィンチちゃんにアストルフォだけなのだが、気配的にジャックだというのはわかっていた。静謐だとそれが当たり前なのか、気配が薄いのが特徴だからある意味分かりやすい。
景光をアイテムボックスの中にしまって横を向いた瞬間、黒と銀色の小さな塊が俺の腹に突っ込んでくる。わかっていたが、やはりジャックだった。
「疲れたー」
「お疲れさん。なんのレイシフトだったんだ?」
「ずっと周回だった。おとうさんに会えなくて寂しかったよ…」
「うんうん、俺もジャックを抱きしめられなくて悲しかったぞー」
「わたしたちもー。おとーさーん」
「ジャックー」
ぎゅーっと互いに抱き合えば、嬉しそうに笑いながらぐりぐりと俺の胸に顔を押し付けてくる。普段とは違って静かに甘えてくるジャックに、ふと思い立って胸からジャックを剥がす。
よく見なくてもジャックも露出過多であり、あちこち出ている……確か別に好きでこの姿なわけでもないので、今度ジャックに別の服を着せてみるのもいいかもしれない。
ジャックの腋の下に手を差し込み、ぶらーんと目の前に持ち上げてみれば、ジャックは不思議そうに首を傾げるだけで特に抵抗もしてこない。
うむ、ジャックとの接触は今ではなんとか慣れることができたため、別にこの程度であれば問題ないだろう。多分、静謐でもなんとか…うん、多分、きっと出来ると思う。ダヴィンチちゃん? ぶち転がされそう。
「おとうさん? どうしたの?」
「なんでもないぞー。ほれほれ」
「ふふっ、くすぐったいよー」
プラプラ揺らしてやれば笑いながら身動ぎする。うん、やはりジャックは天使だということを再確認できたことだし、今日はもう寝よう。まだ2時だがジャックも疲れてるだろうし、一緒に寝ることにする。
持ち上げたまま立ち上がってベッドに一緒に倒れ込めば、バフンとベッドが二人分の体重に軋み、跳ね上がって俺達を受け止める。
寝転がったところで手を離して仰向けになれば直ぐ様、ジャックが俺の上に乗ってきてうつぶせで俺の顎下から上目遣いで見上げてくる。
鳩尾くらいに小さくも柔らかな弾力、脚に絡められる細くしなやかでありながらとても柔らかな太腿、首筋に掠めるはサラサラの銀髪であり擽ったさを感じさせる。
穏やかな時間に寝ることも忘れて腹の上のジャックに構ってやっていたが、気づけば三十分経っていたようだ。
「そろそろ寝るかね」
「そうだね。わたしたちも眠くなってきちゃった」
「それでは私も失礼しまして……」
「静謐か? いつ来やがった…」
「ッ!? …びっくりした。ちゃんと気配出してくれないと、つい、解体しちゃうよ?」
「それは怖いですね…次からは気をつけます」
確かにそれは本当に怖い。
いつの間にか部屋に入っていた静謐が、俺と可愛らしく欠伸をしたジャックの隣に寝転がっており、そっと寄り添うように手を俺の腕に当て、脚を絡めていた。やめろ、お前は普通にエロいから眠れなくなる。ジャックも居るんだぞ。
いつもいつの間にか入り込みやがって。セコムしてますか?
「私がアルンさんのセコムです」
俺よりマスターちゃんのことをセコムってあげてくれない? それよりもジャックに触れないように気をつけてくれよ。でなきゃジャックが痙攣して真っ青になる。
まぁ、流石にそれは注意しているのか、ジャックに触れないように俺にべっとり抱きついていない。
「すみませんが、もう少しアルンさんをくれませんか?」
「んー…じゃあ右半分だけね」
「ありがとうございます。これで、沢山アルンさんのことを感じられますね…」
言い方。
しかしこの状況、どう見てもベッドで両サイドに女を侍らしているクソ野郎にしか見えないのはなぜだろう。幸いなことに二人共自分から来てくれているからいいのだが、片や毒の暗殺者で片や解体の暗殺者だかんな。どれだけヤバイのかは聞いただけでわかるだろう。
どっちも色んな意味で天使だが。
『バイタル的にも深い安心感を得ているようです』
それは俺のか? それともこの二人のか?
ナビさんの言葉に、あながち俺のことを言っていても間違ってないなとは思う。
一人では考えられなかったことだ。
大体の事が一人でなんでもできていて、ほぼ全てのことが周りとは違っていた俺が家でも外でも浮いていたのはなるべくしてなったようなものだった。
ナビを除けばぼっち野郎だった俺が、まさかサーヴァントとは言えこうしてここまで親密な関係になれたことに驚きだ。仕事仲間である職員も一癖も二癖もある奴らばかりなので、変なのは俺だけじゃないためにそこそこ仲良くしているのは、まあ、そういうものだ。
初めに出会えたのが純真無垢で可愛いジャックだったのは、俺にとっても良かったに違いない。
「んー…………はむっ」
ただ、反対の静謐はやっぱりエロいんだけどなぁ!
寝てるのか寝てないのかはわからないが、俺の耳を咥えて甘噛をしてくる静謐。寝ぼけて親指を咥える子供もいるのだし、抱きまくらがないと寝られないという人もいるため、寝ていて無意識ならまあ耐えればなんとか…。
と、思っていたのだが、生暖かい舌がにゅるりと入ってきて舐めてきた瞬間、俺は静謐の太ももに挟まれていた手で内腿を抓ってやった。
「ひにゃあ!?」
「やっぱ起きてんじゃねえか…!」
「な、何するんですか…! そこは痛覚が勘弁ならないとこ……痛ぁッ!」
もう一度抓ってやれば痛みに悲鳴を上げる静謐だったが、静かな空間にそれはよく響いた。いつものようなちょっとした痛みに甘く鳴くのではなく、普通に痛かったから反射的に出たという感じだ。
しばらく抓ってやろうかと思っていたのだが、突然、反対から細い腕が伸びてきて静謐の頭を叩きのめした。
「五月蝿い……じゃま…」
ジャック!? お前素手で静謐殴ったら…!
心配してジャックを見てみれば何事もなかったかのように寝ているが…その手に握られているのは、鞘に収まったナイフだった。寝てるのに毒を警戒して鞘付きのナイフでぶん殴ったのか。何この子、ちょっと凄い。
勿論、不意打ちでぶん殴られた静謐は声もあげずにダウン。
ジャックもナイフ放り捨てて再び抱きついてきた。
……ナイフ捨ててもいいんだ。
「じゃま………」ペイッ
――――ジャックのランドセル姿か。愛が溢れる。