グレーの冒険 〈PIPE DREAM〉   作:DOFO

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書き方は童話風です。なので長ったらしい文章です。


第二話「来客者」

 目が覚めたグレー。カーテンから日が差し、時計を見るともう朝の10時でした。リビングに降りると家族は皆出掛けています。グレーはお腹が空いていていたのでダイニングに行きました。テーブルの上にはお母さんが作ってくれた朝食がありました。フレンチトーストとベーコンエッグです。グレーは朝食を食べる前に顔を洗いに行きました。

 顔を洗い終わり早速朝食を食べようとダイニングに戻ると、なんと三毛猫のマロンがベーコンを食べているではありませんか。

 

「あっ、こらっ!」

 

 マロンは、グレーに気付くと食べかけのベーコンを咥え、逃げて行きました。まったくもう、とグレーは呆れてしまい、残ったフレンチトーストとベーコンなしベーコンエッグを食べました。「甘ぇ…」と呟きながら。

 

 

 

 朝食を食べ終わったグレーですがベーコンを取られたことが気に障り、少し不機嫌です。それに退屈で仕方ありません。そんな時、インターホンが家に響き渡りました。グレーは誰かな?とドアホンから覗くと、なんと数少ない友達のフィオレンティーナです。普段は長いのでフィオと読んでいます。何故ここに居るのか尋ねました。

 

『ふふっ、グレーは暇かなって思ってね』

 

 フィオは、この辺では有名なお金持ちです。フィオは他の子とは違い、白の魔女と恐がりはしません。グレーは、フィオがどうせまた貴族の社交?をサボったのでしょと言いました。

 

『だって退屈で仕方ないんだもの。それに今の時代、貴族なんて言い方しないわ。華族よ』

 

「・・・」

 

 華族は今の時代に存在しないと思いながらフィオを家に上がらせました。リビングに着くとマンチカンのベイスが挨拶をしにやって来ました。

 

「あら、ベイス♪挨拶だなんてお利口だわ」

 

 フィオは、ベイスを持ち上げ、ソファーで一緒に座りました。グレーはフィオとベイスが遊んでいる間にお茶菓子の用意をしに行きました。

 

「あら?この飲み物…」

 

 緑茶です。グレーのお父さんの友達が日本人でお土産として貰ってきたものです。他の飲み物がなく、家にはこれしかありませんでした。グレーもあまり好みではありませんが大人になった気分になれるので時々飲んだりしています。

 

「oh!ジャパニーズティーってやつね!」

 

 フィオは一飲みすると、苦い!と舌を出してしまいました。

 

 グレーは、そういえば奥様?最近面白い事ありました?とフィオに尋ねました。

 

「そうそう!うちの弟ったらもう7歳にもなるのにおねしょをしたのよ!それも、と・く・だ・い・の!」

 

 グレーは答える様に、あらあら、大変だわ。うちも今朝からマロンが私の朝食を盗み食いしたのよ。それで今朝からお腹ペコペコ。いやになっちゃうわ、と返しました。

 

「まったく、皆さん仕方ありませんわよね」

 

『おーっ、ほっほっほー!』

 

 最近二人は大人びた会話に、はまっています。少し大人に背伸びをしたい年頃なのでしょう。そんな会話を苦いお茶と甘いお菓子を食べながらしばらく話していました。

 

 

 

 話題が尽きた頃、グレーは夢の話しを持ち掛けました。不思議で変な夢を。

 

「夢?どんな夢?」

 

 夢の詳細について語りました。知らない子が出てきて、一緒に遊ぶ夢。花が喋り、ヘンテコな頭の紳士が現れる。その他に夢で栗鼠にどんぐりを当てられ、起きても栗鼠にどんぐりを当てられた。など、寝ても起きても疲れていると話しました。身近にいる“人の友達”はフィオしかいませんでしたので、今日訪ねてきたのはちょうどよかったと思いました。

 

「ふふっ、面白いわね。私は昨日、お姫様になって王子様と結婚する夢を見たのよ」

 

 グレーは、羨ましがりました。自分は変な夢を見ている間にフィオが呑気に素敵な夢を見ている事が。今夜も変な夢を見るんだろうなと口から漏れました。

 

「夢ってのは、未来の予言や前世の記憶を見たりするものだって本で見たことがあるわ。もしかしたらグレーの夢もそうなのかもしれませんよ」

 

 前世、そんなことがあったのか考えましたが直ぐに諦める事にしました。何故なら前世ですから覚えている筈がありませんもの。

 

「そうだ!私の家に来ませんか?夢に纏わる本や安眠の本があるかもしれませんよ」

 

 フィオの提案にグレーは少し悩みました。今日は、夢のせいで疲れていて、家から出たくないという気持ちがありましたが、しかし安眠のためには背に腹はかえられないという気持ちで、グレーはフィオの家に行くことにしました。

 

 

 

 歩いて15分ほど、フィオの家が見えてきました。外見はとても大きく、周りは塀で覆われていて、豪邸と言ったところでしょうか。グレーは昨日の夢とここまで歩いてきたことで疲れてへとへとです。もう歩きたくないと駄々をこねています。

 

「ちょっと歩いただけじゃない」

 

 二人は正門へ着くとフィオがインターホンを押しました。しばらくすると門が開きました。門の中は広く、庭を覆い尽くすほどの綺麗な芝生が生い茂っています。中央には噴水までありました。眺めていると邸の方から若い男の執事がやって来ました。

 

「お嬢様…今まで何処へ行ってたんですか?家中探したんですよ」

 

 呆れた様子でフィオに尋ねました。この執事の名前はフォルテッツァ、フィオの家の中では一番新しい執事です。グレーは何度か来ていますが初めて見る執事でした。

 

「友達の家に遊びに行ってました。いいでしょ?このくらい」

 

「まったく、せめて置き手紙くらいしたらどうですか?主様も主様で甘いんですよ。子供は元気が一番とかぬかして、もしお嬢様の身になにか起きたら…」

 

 グレーは、軽いお辞儀をしながら挨拶をしました。

 

「グレー、彼のことはフォルって呼んでね」

 

「聞いていますか、お嬢様?」

 

 

 

 グレーは、フォルと軽い挨拶をし、邸の中に入り、書斎まで案内されました。書斎の中は沢山の本が並び、二階が吹き抜けていて、階段まで付いていました。こんなに沢山の本を見たのは図書館くらいだと。ちょうどメイド達が本の整理しています。

 

「本を探して欲しい時があったらメイド達に聞いてね。私はちょっと用事を済ませてくるから」

 

 そう言って書斎から出て行きました。

 

「まったく、お嬢様ときたら…。グレー様、大変お見苦しい所をお見せ致しました」

 

 キリッとしたお辞儀をするフォル。グレーは畏まられる態度に少し動揺して、先程の様な対応でいいと返しました。するとフォルの気が緩み

 

「あはっ、そうですよね。少し畏まり過ぎました」

 

 と笑顔で返してきました。

 

「グレー様、そういえば何かお探しになっていると言ってましたが」

 

 グレーでいい、と返しました。

 

「いえいえ、お嬢様のお友達と言えどその呼び方ではあまり宜しくないので」

 

 グレーは、あまり畏まった雰囲気は少し苦手と説明しました。

 

「ではグレーさん、でよろしいですか?」

 

 グレーは、その呼び方で妥協することにしました。フォルに夢について書かれている本が欲しいと尋ねるとそこまで案内してくれることになりました。

 

「この書斎の本の半数ほどが、主様が読んで集めた本なんですよ。と言っても漫画が多いんですけどね」

 

 この家の主がそんなに本を読んでいることに驚きました。しかし、もう半分は読んでいないのかと気になり、尋ねました。

 

「もう半分は辞書や地図帳、歴史の本などが置いてあります。富豪層は威厳を出すためにこういった家の内装や装飾品で見栄を張るんです」

 

 お金持ちの世界は大変だなと思いました。私だとお菓子を沢山用意する事くらいしか思いつかないと。

 

「この世界は気を使うことが多いので私達の様な使用人は考える事が多いんですよ。ところで何故夢に関しての本が欲しいのですか?宿題にでもお使いになるんです?」

 

 グレーは、事情を話すことにしました。夢の中であった事、それが現実で起きた事。なるほど、とフォルは本棚から二つの本を取りました。一つは夢占いの本、もう一つは夢の物語の本です。グレーは夢の物語の本を借りる事にしました。本を受け取るとフォルは、お探しの本がありましたらまたお声掛けください。メイド達もいますので、と言って書斎から立ち去りました。これで夢の秘密が分かるわ!っと、さっそく受け取った夢の物語の本を一階にある机で読む事にしました。




不定期で更新します。

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