至高の兄(骸骨)と究極の妹(小悪魔)   作:生コーヒー狸

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例の2人のその後です。
あとはナザリックの現状確認です。


ハゲとキチのその後

「こいつらが首謀者のハゲと女か。女の方はまだ生きているな?」

 

「大丈夫です。《フォックス・スリープ/偽死》を施したうえで、最低限の回復とスキルでの束縛をかけておきました。」

 

 事件の首謀者の遺体としてエ・ランテルの衛兵に引き渡された2人は、官憲による調査が一段落した時点でシャドウデーモンによってナザリックの氷結牢獄へと連行された。

 

「まずは女を回復させるか。ニューロニスト回復してやれ。」

 

「了解したかしらん」

 

 回復したクレマンティーヌだが、スキルによる束縛は続いている。辛うじてだが動かせる頭をあげると、目に入ったのは豪華なローブを纏った骸骨、南方の衣服であるスーツ姿で、銀色の尻尾の生えた男、タコのような青白い怪物だ。

 

「こ、ここは……おまえらは?…」

 

「さて、拷問する手間が面倒だな。さっさと情報を吐かせるか。ニューロニスト、頼む。」

 

「残念ですわぁん《ドミネート/支配》。さっ、洗いざらい話してもらうわよん♪」

 

 クレマンティーヌの口から語られるのは自らの事に始まり、事件の詳細、スレイン法国に隠された歴史、数々の秘匿事項。自分の意志とは関係無しに、あらゆる事を答えていく自分の口に、彼女は心の底から恐怖して、プライドも何もかも完全に圧し折られた。

 

「あ、あたしはどうなるのですか?」

 

「フム…有益な情報を得られた事だし命は取らん。そうだな……妹の尻拭いは兄の役割だろう。お前の処遇は兄に任せるとしよう。(仲の悪い兄妹の橋渡しをしてやるか)」

 

「は?兄貴!?何で……いや、兄を知っているのですか?」

 

「会った事は無い。だがお前の兄は漆黒聖典のクアイエッセという男だろう?その男ならあと数日もすれば、このナザリックへとやって来る事になっている。他にも土の神官長や漆黒聖典の隊長、あとはこの前のニグンとかいう男もいたな。他にも――」

 

 まったく意味が分からない。このナザリックと言う場所が何処なのかは不明だし、法国から何の目的で彼らがやって来るのかも判らない。隊長や神官長という面子を考えれば只事でないというのは判る。そして自分が仕出かした事を考えれば、この骸骨の言う通り法国、それも兄に引き渡されれば最悪の運命が待っているだろう。

 

「待って、待って下さい!何でもします!これでも戦闘には自信がありますっ。貴方様の配下……奴隷でもかまいませんから!だから兄へ引き渡すのだけは許して下さい!あいつは絶対に私の事を許さないですっ。」

 

「ハッハッハッ心配するな。お前が考えているよりも、家族の絆というのはずっと固いものなのだ。(兄が妹を見捨てるなどありえないだろ)」

 

 普通に考えれば国の重要人物を殺害したあげく、国宝を盗み出した犯罪者を家族だろうと庇いだてするはずがない。

 

(なに言ってやがるんだこの骸骨。このままじゃアタシは破滅だ!!)

 

「とりあえずは捕虜と言う事にさせてもらうが心配するな。牢には入ってもらうが拷問などはしない。食事もしっかり出してやるから、安心して兄を待っているがいい。(妹を救う為に戦う兄…燃えるシチュエーションだ。クアイエッセには特別な試練を与えてやろう。)」

 

(心配しかねーよ!何とか逃げ出して……は無理だろうな。ちくしょうが……)

 

「次はハゲか……普通に復活させるも面白みが無いな。大体の事情はクレマンティーヌから聞いているが……死の宝珠?そんなアイテムがあったとは聞いていないが?(ホーリースマイトで消滅しました)とりあえずアンデッドの媒介にしてみるか?たしかエルダーリッチになるのが夢だったらしいな?」

 

「おお!このようなハゲにも慈悲をお掛けになるとは!」

 

(ハゲハゲって…ハゲだけど。そういえばあいつ等もハゲとしか呼んでなかったっけ)

 

「まあ、エルダーリッチなら一日で12体まで作れるからな。スキル《中位アンデッド作成》――死者の大魔法使い」

 

(は?エルダーリッチ12体!?どうなってるのよ?ヘタすればアタシもそうなってたのか?)

 

 カジットの死体が黒い霧に包まれ、そしてエルダーリッチとして生まれ変わったが……

 

「……こ、これは!!遂にやったのか!これで長年追い求めた事がっ!!」

 

(オイオイどうなってんのよ…こんなにあっさりと。コイツは本物の化け物だ!)

 

「ほほう。これは珍しいな。アンデッド化した場合は、生前の記憶は失われるはずだったが……」

 

 アインズのスキルによってアンデッドになった者は生前の記憶を失っているはずだった。しかしカジットの死ぬ瞬間まで想い続けていた妄執ともいうべき物が奇跡を起こしたのだろうか?

 

「ああっ…儂は何と言う事をっ!そうだ……そうだったのだ。お母さん…ごめんなさい…」

 

 まるで懺悔をするかの様なカジットの様子に、クレマンティーヌは「きれいなカジッちゃん」という言葉を思い浮かべる。

 

「むむっ!?ああ~ハゲ…だったか?何やら事情があるようだが、詳しく話してみるがよい。」

 

 カジットの言葉に思うところがあったのか、アインズも態度を軟化させる。

 

「おおっ!貴方様こそ偉大にして至高なる死の支配者にして我が創造主アインズ・ウール・ゴウン様!私はカジット・デイル・バダンテールという…いや、だった者でございます。私の事は只のカジットとお呼び下さい。」

 

「ハ…カジットよ。お前に起こった事はとても興味深いが、まずは事情を聞かせてくれ。」

 

「ははっ。まずは事の起りですが――」

 

 こうして語られたのはカジット・デイル・バダンテールの人生、そして母への忘れえぬ想いだった。少年時代に母を亡くした彼は、その多感な年齢もあって母の死に強い責任を感じてしまった。それから彼の人生は一変した。そして只一つの目的の為に捧げられる事になった。

 

 それは「母を蘇らせる」と言う事。この世界に存在する復活魔法では、一般人だった母では復活時の消耗に耐えられない。それなら自分が全く新しい魔法を生み出すしかない――その為に寿命の無いアンデッドになるという、狂気じみた結論。だがそれはどんなに時間がかかろうともやり遂げるという、強い決意の表れでもあった。

 

「愚かな……(だがその想いは尊敬するかもな)」

 

 アインズ…鈴木悟も幼くして母を、そして父を亡くしている。当然深く悲しんだし、その死を理不尽だと嘆いた。だがここまで…30年以上も想い続けられただろうか?妹との暮らしで精一杯で、両親を悼む気持ちが年を経るごとに薄れていった。リアルの世界には魔法など存在しなかったので「蘇らせる」など思いもしなかったが、もしも両親が生き返ってくれたら…と思った事はある。

 

「はい…私は愚かでした。死の意味も理解出来ずに罪を重ねて…」

 

 骸骨とハゲがしみじみとしているのを見てクレマンティーヌは…

 

(キモッ!!アンデッドになってでも果たす事があるとか言ってたけど……ハゲでマザコンで、しかも今じゃアンデッド!アンデッドになってもマザコンとかキモすぎ!)

 

「アンデッドと成る事で死を理解し、そして受け入れたという事か。」

 

「貴方様にはどれだけ感謝してもしたりません。」

 

 カジットの不幸は母の死んだ時期が悪かったのだろう。良い時期というのも無いのだが。人には誰でも少年や少女の時代がある。この干からびたハゲにも瑞々しい果実のような少年時代があったのだ。そんな時に最愛の母を失ったカジットに、その死は受け入れがたい事だった。

 これがもう少し年長であれば、育った身体と心で受け入れる事が出来た。年少で物心もつかない幼子であれば影響も小さかっただろう。人生でもっとも多感な瞬間に母を亡くした事が最大の悲劇だった。カジットはアンデッドと成った事で死から解き放たれ、そして死を理解する事で初めて母の死を受け入れたのだ。

 

「お前の人生に……かける言葉も無いが、これ位はしてやるとしよう――《ワードオブデッド/死者の言葉》」

 

 ユグドラシルにあったイベントで必要だった魔法で、効果はそのまま死者の声を家族に届けるという者だ。そのイベント以外では使い道のなかった魔法だが、こういったニッチな魔法まで取得しているところは、さすが死霊系魔法のスペシャリストたる所以だろう。

 

 カジットの前に半透明の人影が浮かび上がる。忘れもしない、あの日の母の姿だった。

 

「お、おおおお!?お母さん……」

 

「カジット(ハゲたわね)…ありがとう――」

 

 2人は幾つかの言葉を交わすが、周りの誰も口を挟んだりはしない。

 

(試しに使ってみたが、上手くいったな)

 

(こんな事まで出来るのかよ!いったい何者だこいつら…)

 

(これでハゲは文字通り身も心もアインズ様に捧げる事になる。それにユグドラシルにない珍しい症例…そこまで見越していたとは流石はアインズ様!)

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!この身の全て――魂の一片までもアインズ様の為に、磨り潰すまでお使い下さいっ。」

 

「う、うむ。お前の忠誠を受け取ろう。(やけに忠誠心が高いが…アンデッドの癖に感情も豊かで……レアというやつか?)」

 

 

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

 

 

「お兄ちゃんただいま~!色々あったけど面白かったよ♪」

 

「よくぞ帰った!さっちんよ。冒険者のスカウト、ナザリックへの誘導、さらに優秀なポーション職人の囲い込み、現地の強者の捕獲、強力なタレントの習得、様々な情報、それに可愛いペットも捕まえたみたいだな!数々の功績、兄として誇らしいぞ!」

 

「ええ~!そうかなぁ?ナザリックの役にたてた?」

 

 大戦果を挙げて帰還した妹にアインズはご満悦だ。玉座の間にはアインズや守護者一同、さっちんと同行したNPCが集まっている。。

 

「勿論だとも!そうだなデミウルゴス?」

 

「はいアインズ様。さっちん様の為された数々の成果に感服しております。それに何と言っても……スレイン法国の件も、元を辿ればさっちん様の発案があってこそ。まさに端倪すべからずという言葉が相応しいと。」

 

「そんなに褒められると照れちゃうな~♪でも皆が手伝ってくれたからだよ。」

 

「その通りだな。さっちんに同行した者達には改めて感謝を――??ナーベラル・ガンマよ、その姿はいったい?」

 

 さっちんの後ろで跪いているプレアデスの中に1人だけ仲間外れ?の格好をしたナーベラル・ガンマがいた。

 

「ハッ!これは我が創造主で在らせられる弐式炎雷様が御造りになられた「くのいちセット」を、畏れ多くもさっちん様より下賜されまして、こうして「くのいちメイド」として任務に就いております。」

 

 ナーベラルの姿はザ・くのいちという言葉が似合っていそうだが、忍者系のクラスを取得していないので、刀や手裏剣といった武器は装備出来なかったのだろう。愛用しているスタッフを背中に担いでいるのが何とも言えない、コレジャナイ感を醸し出している。何故かコキュートスが「オオッ!コレガクノイチ!」と感嘆の声をあげている。

 

「特別任務を達成したご褒美にプレゼントしたんだよ!似合ってるよね~♪」

 

「ハッ!非常に困難な任務でしたが、これほどの褒美を戴き、姫様には大変感謝しております!弐式炎雷様の名に恥じぬ様、忍びの道を邁進いたします!」

 

(何でメイドが忍びの道なんだ?弐式炎雷さん……ナーベラルってこんなにポンコツだったんですか?)

 

「う、そうだな…今後も精進するがよい?…それとハムスケだったか?新しいペットを紹介してくれないか。」

 

「うん!ハムスケーこっちおいで。」

 

「はわわ…姫ぇ大丈夫なのでござるか?どなたも恐ろしく強大な力を感じるでござるよ。」

 

 怯えた様子のハムスケが、のそのそと前へ出てくる。かつては己の縄張り内で最強を誇っていた自分が、いかに井の中の蛙だったかをペットになって以来、痛感している。

 

「大丈夫だよ~。みんな凄くいい人ばかりだから!ほらっ挨拶しなさい♪」

 

「うぅ…それがしはハムスケでござる。姫の忠臣として今後も精進するでござる。殿も他の皆さま方も宜しくお願いするでござる。」

 

(姫…忠臣…殿?ナーベラルはコイツに影響されたのか?話し方が気に入ったので真似している?)

 

「うむ。今後もさっちんに尽くすのだぞ。それでは詳しい報告は円卓の間で聞かせて貰おう。お茶とお菓子を準備させているから、それらを楽しみながら話してくれ。」

 

「わかったよお兄ちゃん。ぷーにゃんはハムスケを連れて第六階層で遊んでていいからね!」

 

「ニャーン!(わかったぜ。おいハムスケ行くぞ!)」

 

「わかったでござるよ。兄者は案内をお願いするでござる。それがしに乗るでござるよ!」

 

 

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

 

 

 ナザリック地下大墳墓第九階層にある円卓の間。かつては42人のギルドメンバーが揃って様々な話し合いが行われていた場所だ。この神聖な場所に足を踏み入れ、あまつさえ至高の方々が座していた椅子を使うなど畏れ多いと畏縮していたNPC達も、アインズの「彼らが帰って来るその日まで、お前達は彼らの分身、名代でもあるのだ」という言葉に感激、恐縮しつつ、今は誇らしげに其々が円卓に座している。

 円卓なので上座がない為、アインズとさっちんが並んでいる場所を中心に、そこを挟むように階層守護者、パンドラ、セバス、プレアデス、その他の順番でアインズ達から離れていく。壁際にはメイド長であるペストーニャを筆頭に複数のメイド達が給仕として控えている。

 

「まずはナザリック外での行動についてセバスから詳しい報告を聞かせて貰おう。その後はデミウルゴスから近日中にナザリックを訪れる者たちについて説明して貰う。ではセバスから頼む。」

 

「まずは冒険者についてですが、エ・ランテルでも上位の6チームを依頼という形でナザリックへと派遣しました。その者達はこちらの想定通りに帰還後、他の冒険者達にナザリックの事を喧伝しております。」

 

「後から来たミスリル級だというチームが全滅した影響か、その後はナザリックへ挑戦する者が激減したが、今後の法国と帝国の事を考えれば丁度良かったな。」

 

 ミスリル級チーム「クラルグラ」の全滅はエ・ランテルの冒険者にとって衝撃だった様で、それ以来ナザリックへやって来る冒険者は途絶えている。

 

「今後は、ある程度は見逃す事も視野に入れる事を検討する必要がありますね。挑んで来る者が居なくては本末転倒という事になります。多少の飴も必要という事でしょう。」

 

「人間は弱っちいからね~。ホント使えないな~。」

 

「お、お姉ちゃん…」

 

「脆弱ナ者二ナザリック二挑ム資格ハ無イ。間引キモ必要ト思ウガ?」

 

「その辺りは今後の課題だな。」

 

 鶏を全て食べてしまえば、卵を産むものがいなくなる。バランスを取らなければならない。

 

「次にナザリックのアンダーカバーとして活動させる冒険者ですが、漆黒の剣という4人の銀級冒険者チームを確保しました。当初は実力が不足しておりましたが、さっちん様の御力とエヌスリー殿のスキルで現在のレベルは20程度。ミスリル級に昇格済みです。さらにメンバーの一人であるマジックキャスターの少女は、魔法習得に関するタレントを所持しており、現在のレベルでは習得不能なはずの第四位階魔法を行使可能です。」

 

「さすがニニャ!最初は変な人かと思ったけどね。」

 

「それは非常に興味深い。近いうちにナザリックへ招聘して調べる事としよう。」

 

 ニニャは生れ持った才能とタレントがしっかりと噛み合った、とても恵まれたケースだ。もともと長じれば帝国の逸脱者に匹敵するポテンシャルさえ秘めていた。それをナザリックの力で促進させてやれば近い将来、近隣に名を轟かせるマジックキャスターになるだろう。

 

「それとエヌスリーのスキル「エインヘリヤル・ハイアル」は非常に有用だ。今後も使徒を増やす事は可能か?」

 

「我が能力で使徒として使役可能なのは6人までです。今後も使徒を増やすのであれば、姉達の協力が必要です。」

 

「身体の一部の外見が著しく変化しますので……あまりそういった者が増えますと、目立ってしまう恐れが…」

 

 あんなのが彼方此方に現れたら怪しすぎるだろう。

 

「まずはその漆黒の剣(白)に注力するべきだと思うね。許可が戴けるのであればナザリックからアイテムを融通してもいいかもしれない。そして必要であれば――」

 

Juffu(フフフ)…こちらで適当な脅威をでっち上げ、Braves(勇者たち) はそれを打ち破るという偉業を達成する……まーさに、ナザリック随一のKluger Mann(知 者) であるデミウルゴス殿の知某っ!わたーくし、Aufregung(感 動)いたしました!」

 

「オホンオホンッ……2人の言う通りだな。その漆黒の剣(白)には最高位というアダマンタイト級くらいにはに成って貰わないとな。せっかく投資をしたのだからたっぷりと働いてもらうとしよう。」

 

 漆黒の剣(白)に理不尽な試練が立ちはだかる事が決定した。

 

「次はエ・ランテル最高のポーション職人であるバレアレ一家についてです。既にカルネ村に建設された秘密研究所(仮称)に移住済みです。資材や設備についてはアインズ様に腹案があるという事で手付かずになっております。こちらについては担当であるパンドラズ・アクター様にお願いします。」

 

「ドイツ語は禁止だ!」

 

「ウヒャヒャww」

 

「……えー、彼らにつきましては、当初のこの世界の材料と調合法による、ユグドラシル産ポーションの再現という計画は破棄とします。」

 

「それはどうしてでありんすかえ?」

 

「そうだよね?何でだろ?」

 

「必要性が低い為です。ポーションの材料はナザリックで自然発生する資源で自給可能であり、ポーションの生産に問題は無いと生産部門から報告が来ております。それでしたらこの世界特有――ユグドラシルに存在しないポーション作成を研究させるべきと考えました。」

 

 わざわざ木を使って鉄の剣を作る事に労力を割く必要は無い。材料の鉄はたっぷりとあるのだ。それに鉄を使えば簡単・確実に作れるのは自明の理だ。

 

「この世界特有のポーション……なんだろうね?お姉ちゃん。」

 

「う~ん、全然判んない。」

 

「この世界特有というよりは、ユグドラシルで再現不可能というべきでしょうか。既にさっちん様が入手した「叡者の額冠」という実例がございます!まあ叡者の額冠は効果に対して凄まじいデメリットがある不良品でしたが……この事からもユグドラシルで存在しなかったアイテムの作成が、可能と実証されたのです!」

 

「おお~凄い凄い!」

 

「まっこと凄いでありんす(何がすごいのかは解っていない)」

 

 ポーションといってもHPを回復する為だけの物ではない。攻撃に使うポーション、他にもバフ・デバフ効果のあるポーションだってある。そして多くのプレイヤーが必要性を感じながらも、最後まで実装されなかったものがある。

 

「よってバレアレ一家にはユグドラシルに存在しなかった「MP回復ポーション」の開発に挑んでもらいまあす!可能な限りの設備・資材を用意して開発に専念してもらいます。まああずは――」

 

「そういった訳でバレアレ一家、そして研究所のあるカルネ村は非常に重要な扱いとなった。さっちんから言われていたゴブリン達へのアイテム供与の他に、私が作成したデスナイトを警備兵として派遣する。村人に配慮して外装を偽装してだがな。そして警備責任者として先日、シモベとして転生させたハゲ…ではなくカジットを任命する。現地採用者だから適任だろう。」

 

「…………」

 

 もしMP回復が可能なポーションの開発に成功すれば、その恩恵は計り知れない。充分に投資する価値がある案件だ。

 

「さっちんが入手したタレントはどうだ?色々と試してみたのだろう?特に悪い影響はなかったと聞いているが?」

 

「もうバッチリ!クソギフトが消えちゃったけど、多分上書きされたんじゃないのかな?やっぱりタレントとギフトは同じ能力だと思うよ!」

 

「そうであるなら……人間以外にもタレントが発現している可能性が高いな。タレント能力の調査には今以上に注力せよ。」

 

「かしこまりました。」

 

「了解しました!」

 

 ちなみに伝説の大魔獣と云われたハムスケはタレントを持っていない。

 

「サンチャンに剣の使い方を教えてもらったけど、スキルはちっとも使えなかったの。だから武器が得意なコキュートスさんに弟子入りしようかなって!お願いしてもイイ?」

 

「ハハッ!身二余ル光栄デアリマス!只、剣ノ道ハ厳シイデスゾ姫様。コノ爺ノ修行二耐エラレマスカナ?」

 

「うん!頑張るからよろしくね!」

 

(爺?こいつもちょっとおかしくないか?)

 

(彼は良き友人なのですが、少し妄想癖があるんですよね…)

 

「それでは一休みしてからデミウルゴスの説明を聞こう。ペストーニャよ、全員に例のナザリックブレンドを頼む。フフフ、副料理長の渾身の一杯だぞ。皆もぜひ味わってくれ。」

 

「かしこまりましたワン。」

 

 

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●

 

 

「ところでアルベドさんの具合はどう?もうすぐ生れるんでしょ?この後で挨拶にいきたいんだけど。」

 

「……あー、アルベドの事なんだが、その…ペストーニャ?」

 

「アルベド様はご出産を間近に控えて、とてもナーバスになっているのですワン。ですので無事に出産を終えるまでは、そっとしておいて欲しいとの事ですワン。もちろん警備や準備は万全ですワン(あの姿(ゴリラ)を見られるのは同じ女性としても気の毒ですからね)」

 




土壇場でのアインズポイント獲得で
奇跡の復活を遂げたカジッちゃん!
そしてこのままでは絶体絶命のクレマンさん
貴方には「兄妹」という凄く強力な属性があるのですから
それに気が付ければまだワンチャンありますよ。
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