「フハハハハハ♪素晴しい!素晴しいぞ!まさか七色鉱の一つを採掘可能とは!?それなら睡眠・食事不要のリング・オブ・サステナンスを全員に装備させて――いやいやそれではブラック過ぎるな。やはり労働者には気持ちよく働いて貰わねばいかん。」
「ビックリだよねえ~。料理の事があったから、採掘スキルが無くてもある程度はいけるんじゃないかと思ってたけど……」
「まさに!かつてナザリックより失われたワールドアイテムを再び手にする大チャンス!」
「ここまで見越しての御考えだったとは!?さすがはアインズ様とさっちん様!!」
第八階層の鉱山から発見された正体不明の鉱石――その正体が七色鉱の一つである事が判明し、アインズ達は狂喜していた。第八階層の鉱山は設定上では「レベルに応じた確率であらゆる鉱石が採掘可能」となっていたが、高レベルの鉱石になるほど確率は下がっていく。
ナザリックのNPCで最も採掘スキルが高い「ヨンゴー」でさえレベル70までの鉱石しか採取出来ない。それも最高レベルの鉱石を採掘できるのは100回に1度有るか無いかの確率だった。もちろん採掘スキルのないNPCやシモベでは、最低レベルの鉱石さえ採掘不能だ。
そしてさっちんの「現地人はスキルが無くても料理が可能」という報告を聞いたアインズが、ワーカー達を鉱山で働かせてみる事にした。鉱山の担当者であるハンチョウから人手不足を報告されていたからだ。初日の報告では「採掘効率は悪く、低レベル鉱石しか採掘出来なかった」という物だった。アインズとしても想定通りの結果だったので、特に問題視する事も無かったのだが、3日目に報告された正体不明の鉱石で状況は一変した。
スキルや魔法を何度も使って鑑定を繰り返したが、何度やっても結果は同じだった。パンドラズ・アクターとハンチョウも交えた調査で判明したのは、スキルの無い現地人は設定を無視してアクティブスキルを実行可能という事実。
ただし効率は悪いし特殊な効果も発生しない。料理なら失敗も多いし、同じ材料を使ってもバフ効果は発生しない。鉱石の採掘であれば、効率が悪いが理論上はどんなレベルの鉱石でも採掘出来る可能性があるという事実だった。
現地販売用アイテムの材料確保の関係や、鉱山の規模の問題があるので、これ以上の増員が難しいのがネックではあるが、それでも超希少金属が入手可能となった鉱山とワーカーの重要度は一気に上がった。何せギルメンでもっとも採掘スキルが高かった者でも七色鉱の採掘などした事はなかったのだ。
ちなみにワーカーの中で唯一、低レベルであるが採掘スキルを持っていた戦士職の男は、そのレベルに応じた作業しか出来ない事が判明したのでリストラ対象となっている。本来であればスキルを持つ者が優遇されるべきなのだが、それが仇となってしまう珍しい現象だ。
彼はハンチョウから「アンデッドはいいぞ」「第二の人生を頑張ろう」と連日のように諭され、就労支援プログラムの申し込みを真剣に考えるのだった。
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「うーむ…アレを使いたいのか。しかし、いくらさっちんのお願いでも
いくら私には激甘のお兄ちゃんでもワールドアイテムの中でもレア中のレアアイテム「二十の一つ」をホイホイと使わせてはくれないみたいだ。こうなれば…ススッ(ハンドサイン)
「この計画が成功すればナザリックとしても計り知れないメリットがございます。アインズ様!ここは漢の…兄の度量を見せるべきでは!!」
うーん、デミウルゴスさんの説得だけでは弱そうだ。ササッ(ハンドサイン)
「アインズ様の♪ちょっとイイとこ見てみたい♪二十!二十!二十!二十!」
「お兄ちゃんお願ーい♥(キュンキュン)」
「二十!二十!二十!二十!」
「ハイ!ハイ!ハイッ!ハイッ!」
デミウルゴスさんの進言、メイド達の二十!コール、そして私のお願ーい♥、トドメのデミウルゴスさんのハイ!ハイ!ハイッ!ハイッ!で、ようやくお兄ちゃんも財布の紐を緩めたようだ。(ヨッシャ!)でも、あのタンバリンやマラカスはどこから来たんだろう?
「しょうがないなあ~さっちんは♪今回だけだぞー(バリバリ)」
お兄ちゃんから使用する権利を貰ったのはワールドアイテム「もしもケータイ(プリペイド)」だ。破格の性能を持つ二十の一つで、「もしも~~なら」という願いを叶えてくれる凄いアイテムだ。使い方は願い事をメールで送信するだけで、願い事が受理されれば了解した旨の返信メールが届く。プリペイドなので願い事に応じた残高が消費されるが、どれ位消費されるかは使ってみないと分からないし、18禁行為に触れる内容や、あまりにも無茶な内容だと「メーラーダエモン」という悪魔が現れてプレイヤーをボコってしまうのだ。その場合は問答無用でアイテムは消滅する。
私が要求するのはもちろんスキルや装備についての仕様変更だ。料理や採集などのアクティブスキルを現実に即したもの…現地の人間の様にスキルが無くても「やる気と熱意?」さえあれば出来るようにして欲しいのだ。今のままでは焼肉もよそって貰わないと食べられない!過程をすっ飛ばして肉が焦げたという結果だけが残るのはおかしいと思う。
お兄ちゃんだって《パーフェクト・ウォリアー/完璧なる戦士》を使わなくても戦士の格好が出来れば喜ぶはずだ。あの格好、けっこう気に入ったみたいだし。
改善要求メールを送ると直ぐに返答が来た!どうやら大丈夫だった様だ♪残高も半分近く残っているので大した要求じゃなかったみたいだ。返信にはナザリック関係者以外には影響が出ないとあったしね!これならあと1回は同じ様なお願いも可能だろう。でも返信してきたのは誰なんだろう?神様?運営?
「やったよ!大成功♪これで料理にもチャレンジ出来るし、お兄ちゃんも色んな装備を試せるんじゃない?」
「そうかそうか♪色々と検証してみないとな!それじゃあ早速――」
「焼肉!」
「しゃぶしゃぶ!」
「焼肉が宜しいかと。」
「焼肉ですね!」
「焼肉にしましょう!」
「焼肉の準備に取り掛かります。」
「……(お、俺ギルド長なのに…)」
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漆黒の剣(白)は現在のエ・ランテルで最も有名な冒険者チームとなっていた。純白の英雄譚と謳われるアンデッド大量発生事件の解決で鮮烈なデビューを飾りミスリル級へ昇格、その後はエ・ランテル合同冒険者チームを壊滅させた盗賊団の討伐を成功させて見事にオリハルコン級へと昇格した。エ・ランテル史上初のオリハルコン級チームの誕生だった。
さらにオリハルコン級に昇格したタイミングで「謎の剣士(白)」が新メンバーとして加入した事で一気に戦闘力をアップさせた。加入当初は謎の剣士の実力を疑問視する声もあったが、彼の正体がブレイン・アングラウスと判明すると、そんな声はあっという間に消えて行った。彼が王国戦士長と戦った、あの御前試合以降の経歴は一切不明で謎に包まれているが、本人は「山に籠って修行していた。あまりに過酷な修行でこう(白く)なった。」とだけ語っていた。
そしてブレインが加入した直後にギガント・バジリスクの討伐を達成した事で、漆黒の剣(白)のアダマンタイト級昇格も間近では?という噂が業界中に流れるのだった。
「トブの大森林の奥地にある伝説の薬草ですか?」
「ああ。なんでも王国のボロ何とかという貴族が、原因不明の症状で苦しんでいるらしくてな。神官の魔法も効果が無く、スレイン法国へ治療を要請したが門前払い。藁にも縋るという事で王都の組合から話が回ってきた。」
エ・ランテル冒険者組合の応接室で漆黒の剣(白)は、組合長のプルトン・アインザックから、王都からの依頼について説明を受けていた。
「お断りします。(キッパリ)」
当然だが、王国貴族に深い憎しみを抱く彼らが、そんな依頼を受ける筈も無い。
「まあ話しは最後まで聞いてくれたまえ。そのボロボローププーという貴族はこう言ったらしい――「この依頼を成功させれば、エ・ランテルの反逆について王に取り成してやっても良い」と。」
「でもそれって僕達に関係ありませんよね?むしろお嬢様やアインズ様の邪魔になりますが、そういう事でしたら……」
普段はこういった場ではあまり発言しないニニャが、組合長へ詰問ともいえる口調で反論する。彼女はメンバーの中でも特にさっちんやアインズへの忠誠心が高い。その理由は彼らがミスリル級に昇格してしばらく経った頃に遡る。
○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●
黄金の輝き亭で待機していた漆黒の剣(白)に、雇い主のお嬢様から連絡が入った。
「お兄ちゃんが会って話を聞きたいそうだから準備して~。40後にゲートが開くから支度してね。」
常在戦場の彼らにとって、支度など40秒もあれば十分だ。そして彼らの前に転移のゲートが開かれて、彼の地において、雇い主の正体とバックにある存在を知ったのだ。
既に悪魔に魂を売り渡していた4人は、
「お前達はその代価に何を望む?金・力・地位……望む物を言ってみるがいい。」
ニニャの他の3人の視線が集中する。ニニャは3人に頷くとアインズに懇願した。金も地位も必要無い――只、姉を取り戻す力が欲しいのです…と。
「ニニャと言ったな。少しお前の記憶を覗かせてもらう――《コントロール・アムネジア/記憶操作》」
どれ位の時間が経ったのだろう、気が付くとニニャはベッドの上に居た。周囲では3人が心配そうにニニャを見守っていた。特に疲労はないが、心の中に何かが居たような、あやふやな感覚がある。仲間に聞いても何があったのか分からないと言う。只、アインズが少し借りて行くぞ…と彼女がいつも肌身離さず持っていた小さな人形を持っていったと聞かされた。
「あれは姉さんが作ってくれた大切な人形……何故それを?」
「理由は判りませんが、何かに必要だという感じでしたね。それにアインズ様は非常にお疲れ…疲弊しているようでした。」
「魔法でニニャの記憶を見ていた時、凄まじい怒気を見せていたのである。死ぬかと思ったのである。」
「記憶を覗く魔法……そんな魔法は聞いた事も無い。」
「お嬢様も、「お兄ちゃんに任せておけば安心だから」と言っていたから、心配はいらないと思うが――」
ドアをノックする音で、彼らの会話が中断される。入って来たのは彼らとも面識があるセバス・チャンであった。
「目を覚まされた様ですね。アインズ様がお呼びですので御同行願います。」
「セバス様…どういう事でしょうか?」
「ニニャさんに会って頂きたい方がいるのです。まずはアインズ様の元へ。」
「僕に……ですか?いったい誰…」
セバスに案内された部屋では、ベッドの上に横たわる女性が居た。女性の外見に外傷はないが、とても疲れた…あらゆる苦しみを味わったかのような苦悶の表情で魘されている。
「う…そ…姉…さん」
「お前の姉、ツアレニーニャ・ベイロンに間違いないか?」
ベッドの側に立っていたアインズが問いかける。隣には造り物の犬の頭部をしたメイドが控えている。
「はいっ…はいっ…。間違いありませんっ…姉さん、僕の姉さんです。でも、どうして……?」
「お前の記憶とこの人形を頼りに魔法で位置を特定。その後は我が配下に命じてお前の姉を救出させた。」
ちょっとそこまで……という感じで答えるアインズだが、いったいどれ程の力があれば、このような奇跡ともいえる事を成し遂げる事が可能なのだろう。
「はぁ?あれから1時間ちょっとしか経ってないぞ!?」
「す、凄まじいですね…いったい何がどうなって…」
「神のごとき所業である。」
あまりの急展開に全員が驚愕する。何を言われているのか理解できない。それでもニニャの反応を見れば事実は一つだ。そしてニニャも目の前で魘されているのが姉に間違いないと確信している。
「姉がどのような境遇にあったのかを知りたいか?」
ニニャは黙って首を縦に振る。魔法による映像を交えた説明は筆舌に尽くし難い凄惨なものだったが、ニニャは一言も聞き逃さず、一瞬たりとも目を背ける事は無かった。
「復讐したいか?姉を傷つけ、辱めた奴らに。」
「勿論です。許さない…絶対に許せない。」
「では着いてこい。ペストーニャはこの女を見ていてやれ。」
「かしかまりました、ワン。」
アインズの魔法によって転移した先は、地獄というのも生ぬるいようなおぞましい空間であった。魔法によって上空に浮かんでいる彼らの眼下は黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、人、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、人、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒、黒――黒い濁流の中で絶叫する男達…
「あヴぁぐぎゃじゃば」
「おボギャじょぎゃくべびゃ」
「もがびゃォしゃコにゅばヴぁ」
「うぇっぷ……こ、これは?」
「ここはナザリック地下大墳墓五大最悪の一つ――拠点最悪。お前の姉を苦しめた者達は恐怖公の眷族によって、生きながら貪り喰われるが……決して死ぬ事は許されない。少しは気が晴れたか?」
そう告げるアインズは、目の前で生き地獄ともいうべき状態の男達に一欠けらの憐憫も感じてはいない。そしてニニャも…
「彼らはどうなるのですか?このまま永久に…(そうなれば素晴しい事だ)」
「残念だが、彼らにはこの後に大事な役割がある。しかしお前も自らの手で復讐をしたいだろう?元凶である貴族の男と何名かは、お前が直接罰を与えてやれ。但し命までは取るな。」
「命を取るな!?や、奴らを殺すなと言われるのですか?」
「お前は優しいのだな。このナザリックにおいて、死はそれ以上の苦痛を与えられないという意味で慈悲なのだ。それに五大最悪と言っただろう。まだ4つも残っているじゃないか。」
生きながら貪り喰われ、それでも意識を失う事も死ぬ事も許されない男達はアインズの言葉に絶望――今までもそうだったのだが、さらに深く深く絶望する。
ニニャは非常に充たされていた。だがまだ足りない…もっともっと…次は何をしてやろうか?この「蓑踊り」が終わったら「鉄の処女」を試してみようか?それとも……
「おススメはこの「ファラリスの雄牛」かしら♪」
ニューロニストさんは頼りになるな。そう思いながらニニャは隣に立つ醜悪な見た目の怪物を見つめる。彼女?に対してニニャは少しの嫌悪感も抱いていない。何せ手取り足取り、懇切丁寧に指導してくれるのだから…
「本当はもっと時間をかけてじっくりとたっぷりと御持て成ししてあげたいけれど、アインズ様から1日しか時間を頂けなかったのが残念だわあん。」
「まったくです。ですがアインズ様には感謝しかありませんよっと――」
「おぎゃぎゃぎゃ…たすけて…やめ…」
ニニャは笑いながら目の前の男の眼球をくり抜く。この男は目の前で姉を連れ去った家臣の男だ。主人が愉しんだ後に、おこぼれで姉を辱めた事を聞いている。既に全ての爪は剥いでしまったので次は歯を抜いてやろう。前歯から抜くと舌を噛み切って自害するのを防げるとアドバイスされている。もっとも彼に死は許されていないので不可能な事なのだが。
「あばばひゃくじゃぎゃ」
元凶である貴族の男は煮えたぎる油の中で悶えている。取り付けられたマジックアイテムのおかげで死ぬ事は無い。全身が焼け爛れながらも即座に回復し、終わる事の無い地獄を味わっている。この男は姉の事などすっかり忘れていた。なぜ自分がこんな目に遭うのかすら理解出来ていない愚物であった。今も必死にもがきながら何かを訴えているが、聞いてやる気は全くない。
「こいつらは最後にはどうなるのですか?」
「ウフフ…最後に行き着くのは第六階層の蟲毒の大穴。外見最悪の餓食狐蟲王に苗床にされちゃうのよん♪」
「苗床…ですか?」
「生きながら蟲達の養分兼住処にされちゃうのん♪本来なら意識も感覚も無くしちゃうのだけれど、特別な計らいで意識も感覚も保たれたままで苗床にされちゃうのよん♪」
「へええ~、それはどのくらいの期間ですか?」
こいつらに相応しい末路だ。さすがアインズ様は話しが分かる!あとは少しでも長い間苦しめばいいのだ。
「あのアイテムがある限り寿命以外で死ぬ事は無いから……死ぬまで一生としか言いようがないわぁん♪」
「ぞんなあ゛ぁぁ」
「な゛んでえぇぇ」
「ごろじでぐれえぇぇ」
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「だから話しは最後まで聞いてくれと言っているだろう!それだけボロボローププーが追い詰められているという事だ。そしてアイツは手段を選ぶ余裕も無い。君達が依頼を断れば王国のアダマンタイト級チームである「青の薔薇」か「朱の雫」が派遣されるだろう。どちらも貴族出身の者がリーダーだから、彼らはその関係で断れないだろう。」
「なるほど……俺達が依頼を受けて、わざと失敗する。伝説の薬草は入手不可能って寸法かい?でも、それじゃあ時間稼ぎにしかならねえだろ?」
「いいや、君達には是非とも薬草を入手して欲しい。この薬草は30年前に当時のアダマンタイト級チームと補佐のミスリル級2チームが入手したのが最後だ。貴重品には違いない。その功績をもってアダマンタイト級に推薦する。」
「それでは向こうの希望通りになるのでは?それなら私達は依頼を受けた冒険者の妨害行為に徹する等、他に採れる方法があると思うのですが。」
かなりえげつない提案をするペテル。ワーカーでもここまで咋な汚れ仕事はしないのでは無いだろうか?
「あくまで依頼は薬草の入手だ。その薬草がボロボローププーに渡される必要は無い。報酬を支払えない相手に商品を渡す必要はないだろう?」
「六大貴族のトップが報酬を支払えない?さすがにそれは無いでしょう。」
アインザックがニヤリとしながら答えるが、ボウロロープ侯は貴族派閥のトップだ。いかに高額の報酬であろうと支払いに困るような事は無いはずだ。
「クックックッ……知っているかね?貴族派閥を中心に、王国中の悪徳貴族が謎の盗難事件の被害に遭っている事を。」
「ああー、そんな噂もありましたねえ♪我々のような冒険者には縁のない話しですから失念していました♪そういえば「国境なき神官団」でしたっけ?貧困に喘ぐ王国民に対して炊き出しや治療といった援助をしている謎の集団は。とても素晴しい話しですね。」
盗難被害に遭った貴族達の多くは、その損失を埋める為に領民への収奪を強化した。そんな虐げられた民を救っているのが「国境なき神官団」だ。彼らは領民に対して様々な援助をしていたが、そんな事を黙って見ていられない貴族達は、彼らへの妨害や物資の接収を目論んだが、その事如くを阻止・撃退されている。ある貴族の私兵は魔法で召喚された天使によって追い払われ、精兵と言われたボウロロープ侯の兵団はたった一人の若い神官?に数千名が殲滅される憂目に遭った。
帝国側の国境に近い領地の幾つかは、ジルクニフ皇帝による「人道支援」という名の侵攻によって、帝国軍が駐屯している状況だ。すでに行方不明となった貴族も少なくない。
その結果、貴族派閥の体制はガタガタになり、破産したり王都や他の貴族の領地へ逃げ出す者が続出している。もう一方の王派閥でも、比較的被害が少ないものの同様の状況である。この事態にランポッサ3世は、王都へ流入した貴族の保護以外に為すすべがなく、事態を憂慮するというコメントを発表するしか出来なかった。
「そういった訳で漆黒の剣(白)には頑張って貰いたい。万一でも青の薔薇や朱の雫が薬草を入手した場合、王の命令でボロボローププーに薬草が譲渡される可能性も否定できないのだ。いくらアダマンタイト級チームといっても貴族の柵と無関係ではいられないからな。それに青の薔薇は第三王女の私的な依頼を請け負っているという噂もある。」
「でも…ぶっちゃけた話し、俺達だけで大丈夫なのか?以前はアダマンタイト級チームとミスリル級2チームで達成した依頼だろう?それに俺達は攻撃に特化したチームだ。採取とかはあまり得意じゃないだろ?」
今まで黙って話しを聞いていたブレインが問いかける。彼が言うとおり漆黒の剣(白)はかなり攻撃に偏ったチーム構成だ。例の事情で回復手段をあまり必要としない事もあり、サーチ&デストロイが方針となっている。
「そんな心配が必要かね?君達のバックには「お嬢様」が付いているじゃないか♪いざとなれば……」
アインザックは彼らが失敗するなんて、これっぽっちも考えていなかった。
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突如、感じた違和感にツァインドルクス=ヴァイシオンは一気に意識を覚醒させる。忘れもしないこの感覚――間違いなく奴らの仕業だと確信する。
「どうしたんじゃツアーよ?お主がそんな表情をするとは……」
巨大な竜の前に佇むのは老婆だ。真っ白な髪と皮膚に刻まれた皺が年齢を感じさせるが矍鑠としている。腰には剣を下げており、只者ではない気配を漂わせている。彼女こ伝説に謳われる十三英雄の1人で「死者使い」の異名を持つリグリット・ベルスー・カウラウだ。
「リグリット…たった今、
「!!それはっ…ぷれいやーの仕業か?」
「こんな事が出来るのはぷれいやー以外に存在しないよ。この感覚は忘れもしない。八欲王の時と同じだ…」
白金の竜王とも呼ばれるツアーは、この世界に複数いる竜王の中でも別格の存在だ。特に知覚・感知能力には凄まじい物があり、地底深くの洞窟にいながら世界に起こる異変を感じる事が出来る。
「先日訪れていたカイレの話しでは、世界を滅ぼす様な存在ではないという事じゃったが…」
「どこまでいってもぷれいやーは世界にとっては異物なんだ。リーダーの様な存在は例外だよ。恐るべき力を持つとは聞いていたが…躊躇いも無く世界を改編するとは…」
最強の竜王として悠久の時を生きてきたツアーは「世界の均衡を守る事」を何より重んじている。そんな彼にとって100年毎にこの世界へ紛れ込み、良くも悪くも様々な影響を引き起こすぷれいやーは招かれざる存在だ。誰もが凄まじい力を持っていて、あの八欲王のように世界の法則さえ捻じ曲げる力を持つ者さえ存在する。
こちらから敵対するつもりは無かったが、己の欲望のままに世界を創り変える(焼肉したかっただけなんです)というなら話は別だ。何せ八欲王が齎した位階魔法は世界を一変させたのだ!今回はどんな影響(ナザリック関係者以外に影響はありません)が齎されたのか不明だが此のままにはしておけない。
「どうするんじゃ…戦うのか?」
「まずは会って話しを聞いてみる。もしこれ以上世界を乱すというなら…」
さっちんのおねだりが原因で竜王がアップを始めた模様です。