トブの大森林に住む?生えている?ドライアードのピニスン・ポール・ペルリアはとても焦っていた。このままでは世界が危ない!そして自分はもっと危ない!何故ならトブの大森林の奥地に封印されていた「破滅の魔樹ザイトルクワエ」の復活が迫っているからだ。ザイトルクワエは完全に復活すれば世界を滅ぼすと伝えられる恐ろしいモンスターである。
今を遡ること太陽が数え切れないくらい沢山昇った頃、ザイトルクワエの触手の一部が復活して暴れた事がある。その時は周辺の森に物凄い被害があったのを覚えている。だが森の外からやって来た7人組が触手たちを倒して、森と仲間達を救ってくれた。彼らがいなければ自分だって殺されていただろう。そして彼らはピニスンに約束してくれた。魔樹が再び蘇ることがあれば助けに来てくれると。
~太陽がなかなか昇った頃~
「なんか最近やばそうな雰囲気を感じるんだよね…小鳥さんは何か感じない?」
「ピーチクパーチク(知らんがな)」
~太陽がけっこう昇った頃~
「やっぱり変だ…ミツバチ君は何か知ってる?」
「ブーン?ブーン?(さあ?気のせいじゃないっすか?)」
~太陽がそこそこ昇った頃~
「絶対におかしい…そういえば最近、小鳥さんを見てないなあ…シマリス君は何か聞いてない?」
「キキィーッ!キキィーッ!(こんな所にいられるか!俺は森から逃げるぞ!)」
~太陽がちょっと昇った頃~
「誰も居なくなっちゃった……何でだろう?」
~太陽が少し昇った頃~
「まさか魔樹が復活!?あわわわ…どうしよう!?……あっ、そういえばあの7人組がいたじゃん♪」
~太陽がほんのちょっと昇った頃~
「早くきてよ~!魔樹が復活したら助けてくれるって言ったじゃないかあぁぁ~」
~太陽がほんの少し昇った頃~
「どどどど、どうしよう?このままじゃ世界が…その前に僕が!?」
~太陽が1回昇った頃~
「7人組――!!早くきてくれ――っ!!!」
~現在~
「動け、動け、動け、動け、動いてよー(僕の根っこ)!今動かなきゃなんにもならないんだ!今、動かなきゃ、ぼく死んじゃうんだ。そんなのやなんだよ!だから、動いてよー(僕の根っこ)!」
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王都でも最高級の宿として知られる「王国ホテル」に併設された酒場。そこで王国が誇るアダマンタイト級チームの一つ「青の薔薇」の面々が、今後の活動について相談していた。
「それじゃボウロロープ侯からの依頼は、エ・ランテルのオリハルコン級チームが受けたんだな?あそこはミスリル級が最高だったはずだが、どんなチームなんだ?ティアとティナは何か知らねーのか?」
チームの頼れる兄貴役ガガーランが尋ねる。
「私達も知らない。エ・ランテルについては情報が殆ど入って来ないので困っている。」
「未確認情報ではアンデッドが大量発生して壊滅的被害を受けたとか、王国に反旗を翻して、王都からの使者を殺害したらしいとかあるけど、とにかく情報が錯綜している。」
ティアとティナは元イジャニーヤの忍者姉妹である。その前職の経験を活かした諜報活動も今回は上手くいっていない様子だ。
「本当に困ったわ。只でさえ八本指による貴族への盗難事件が続発しているのに。」
チームリーダーのラキュースが溜め息をつく。彼女自身は冒険者であるが、アインドラ家の令嬢でもあるので、貴族関連と無関係ではいられない。
頻発している盗難事件には、王国で暗躍する犯罪組織「八本指」の関与が疑われていた。被害に遭った貴族の邸宅には「八本指参上!」と記された領収証がばら撒かれていた。もちろん八本指は「我々は潔白だ!」というコメントを発表していたが、他に手掛かりが全くないこともあり、一部というか大部分の貴族と蜜月な関係であった八本指の立場は急速に悪化していた。
「トブの大森林には用事が無いわけでもなかったんだがな…」
そう呟いたのは仮面で素顔を隠したマジックキャスターの少女だ。彼女はイビルアイ――その正体はかつて一国を滅ぼした恐るべき吸血鬼「国堕とし」であり、伝説の十三英雄とも知己がある。その実力は他のメンバー全員を相手に互角以上に戦える程であり、この世界でも屈指の強者である。
「何だ?ちびっこ。昔の知り合いでもいるのかよ?」
「誰がちびっこだ!知り合いの知り合いだ…ガガーランも知ってるババアの知り合いだ。」
「あの婆さんも顔が広いからな。どんな奴なんだ?」
「私は直接の面識がないが…ドライアードの少女という話しだ。何かあったら(現在、大変に困窮した事態に陥っています)力になってやって欲しいと言われていたんだ。」
「ドライアードねえ…」
さすがのイビルアイも100年以上も昔の記憶はあやふやになっている様だ。
「それよりボス…例の依頼はどうする?」
「絶対にお断りよ!貴族によって苦しめらた王国民を助けている「国境なき神官団」を討伐しろだなんて!本当に腐りきっているわ!」
「冒険者は国同士の問題には手を出さねえからな。まあアイツ等とは色々あるが、今回は感謝というか応援するぜ。」
「貴族達はあくまで「不法入国した謎の集団」と言い張っている。」
「いや、どう考えても法国の連中だろ。」
青の薔薇は、人間に無害な亜人まで迫害するスレイン法国に強い隔意を抱いている。過去に亜人の集落を襲撃中の部隊と交戦した事さえあり、法国とは因縁浅からぬ関係だった。
「まあ法国も色々とあるからな。決して一枚岩ではないというか…」
「何だよ、ちびっこ?何か知ってるのか?」
「イビルアイは秘密主義。もっとオープンになるべき。色々な意味で。」
「知らないほうが幸せと言う事も世の中にはあるんだ…(あんなふざけた組織、言っても信じられないだろうからな)」
ツアーやリグリットと関係が深いイビルアイは、法国のタブーだった組織の事を知っていた。彼女としても複雑と言うか、言葉では言い表せない感情を抱いている。
「王女様は何て言ってるの?」
「ラナーは、今は迂闊に動かない方がいいと言っていたわね。貴族派や八本指の影響力が弱まっているから悪い事だけではないし。」
ラキュースは王国貴族として強い愛国心を持っており、同時に腐敗した王国を何とか立て直したいと憂いていた。だからこそ第三王女のラナーの指示で色々と活動していたのだったが……
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「うわっ!?すごい!!貴重な薬草ばかりだ!これはニュクリ…あっちにはアジーナが群生している!」
「某は草など食べないのでよく分からないのでござる。」
ハムスケの案内により比較的スムーズにいくと考えられていた、トブの大森林での行軍は思わぬ妨害?を受けていた。一行は大森林北部のリザードマン村を目指していたのだが、ンフィーレアの薬草採取に付き合う形で度々その歩みを止めていた。
「これで何度目だ?雇い主の意向に逆らう訳じゃないが、いくら何でも限度ってもんがあるだろ?」
「ブレインさんの言う事はもっともですけど、これは仕方ないでしょう。これだけの貴重な薬草なんて滅多にお目にかかれないですから。」
ニニャの言うとおり無理もないだろう。一行の現在地はかつてハムスケがナワバリとしていた場所だ。人間はおろかモンスターや獣さえハムスケを恐れて、足を踏み入れる事がほとんど無かったので貴重な薬草がそれこそ雑草の様に生えまくっているのだ。
「このエンカイシを採ったのは誰ですかぁー!?」
「え、エンカイシですか?私には名前までは分からないのですが…もしかしてコレの事でしょうか?」
「何をしてるんですかペテルさん!このエンカイシというのはですね!ごく限られた期間しか採集出来ない貴重な薬草で!根に近い部分に薬効成分が溜まっているんです!だから根を残しておけばまた生えてくるので、根っこごと引っこ抜いたりしたらダメなんです!常識じゃないですか!」
「も、申し訳ありません。少しでもお手伝いを、と思ったのですが…」
「チッ…ド素人が。」
「おお!ベベヤモクゴケまで見つかったのである!」
「さすがダインさん!それに引きかえ…」
この様に、あちこちに群生している薬草を見つけるたびに、ンフィーレアの抜き取りチャンスが発生するので予定の半分程度しか進めていなかった。彼らの中ではドルイドのダインくらいしか採取スキルを持っていないので、下手に手伝おうとすると、かえって邪魔になってしまうのだ。結局リザードマン村に到着したのは、予定を大夫オーバーしてからだった。
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トブの大森林北部にある湖の南側の湿地帯に、部族ごとに分かれて暮らしていたリザードマン達は、彼らの新しい支配者の命令で「鋭き尻尾」という部族の村があった地域に、大規模な部族連合村を築いて暮らす事になった。
元来リザードマンは排他的な閉鎖社会であり、部族間の交流すら殆ど無かったのでトラブルも懸念されていた。しかし神を否定し祖霊を敬い強者を尊ぶリザードマンにとっては、ドラゴンという圧倒的強者をさらに支配するダークエルフ姉弟すらも支配するオーバーロードの存在は、リザードマン達が躊躇い無く宗旨替えするのに十分過ぎる理由だった。
「ようこそリザードマン村へ!私は部族連合長のシャースーリュー・シャシャと申します。」
「これはご丁寧に。私達は人間?の冒険者チーム漆黒の剣(白)です。今回はお世話になります。」
「ンフィーレア・バレアレです。」
「ハムスケでござる。」
リザードマン達は、彼らにとって初めての客人を快く歓迎した。かつてのリザードマンからは考えられない様子だ。
「あの魔獣と剣士…凄まじい強者だな。」
「……おう、お前も気になるか?それに他の連中もかなり強えな。それにしても連中…クルシュの親戚じゃねえのか?」
「いや…それはない、と思うんだが??(否定できない白さだ)」
リザードマンでも屈指の戦士であるザリュースとゼンベルは、強そうな客人に興味津々だった。
「こちらはさっちん様から届けるように言われたポーションです。」
「おお!これは忝い。我らにとって人間が作った魔法のポーションは貴重品でしてな。今夜は盛大な宴を催させて頂きますぞ!」
「それはありがたい。期待させてもらいますね。」
同じナザリックに関係する者同士、彼らは交流を深め合うのだった。そしてリザードマン村でしっかりと休息して英気を養った漆黒の剣(白)はトブの大森林のさらに奥深くへと向かうのだった。
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「なあ?あのドライアード…何やってるんだ?」
「どうしたんでしょう?何か必死と言うか鬼気迫るというか…」
漆黒の剣(白)の目の前では、本体と思われる樹木を懸命に引っ張ったり、押したりしているドライアードの少女の姿があった。
「も~う!遅いじゃないかっ!ずーっと待ってたんだぞ!」
「???????」
「さあっ!世界を滅ぼす魔樹の復活が迫っているんだ。一刻も早く魔樹をやっつけて森に平和を取り戻してくれ!」
当然だが漆黒の剣(白)には何の事か分からない。何やら不穏な単語が聞こえたが、もしそれが事実なら、そんな物騒な場所からはさっさと避難する必要がある。
「ですから!何度も言っている様に人違いです。私達は薬草採集にきた通りすがりの冒険者であって、その7人組とは面識も無いのです。私達に言われても困るんですよ。」
他の種族にも言える事だが、ドライアードのピニスンにとって人間と言うのは見分けが付き難い。漆黒の剣(白)一行がハムスケとンフィーレアを併せて7人?という事もあり「これで勝つる!」となったのも無理はない。
「某も長く森で暮していたでござるが、そんな魔樹の話しは初耳でござるよ。」
「でもピニスンさんが言っている事が事実なら放っておけませんよ。世界を滅ぼすなんて言われても信じられ――」
「まあ世界を滅ぼせる御方には心当たりがあるけどな…」
彼らにとって「世界を滅ぼせる化物」というのはけっこう身近な存在だったりする。
「どうするんだ?とても俺達の手に負えそうにないぞ。」
「とりあえずお嬢様に報告するしかないでしょう。メッセージの魔法で連絡しましょう。」
ニニャはメッセージの魔法を発動させるが、特に慌てた様子は無い。彼女が崇拝する主人達であれば魔樹の1本や2本が復活したところで、鎧袖一触だと信じているからだ。
<<プルルル…プルルル…プルルル…プルルル…>>
<<あれ?なかなか繋がらない>>
<<只今、メッセージに出る事が出来ません。しばらくたってからお掛け直し下さい>>
「あの…どうします?」
「これってヤバくないか?」
「戦略的撤退を進言するのである。」
時として冒険者というのはその名に反して「冒険」しない。勝てない相手からは逃げるというのは恥でも臆病でもない。合理的判断だ。
「そんなぁ~!?置いてかないで!」
「落ち着けって、別に今すぐ復活するとかいう話しじゃないんだろ?」
「とりあえず魔樹の姿だけでも確認しておきます?」
「全員で行く必要はないだろ?フライの魔法を使えるニニャが、植物に詳しいンフィーレア君を連れて様子を見てくればいいんじゃないか?」
「樹木系は専門外ですけど…まあ見るだけなら。」
「それなら私達はピニスンさんの本体を掘り起こすとしましょう。」
「えっ!?助けてくれるの?」
何だかんだ言ってもお人よしな漆黒の剣(白)であった。
「さすがに放置するのも寝覚めが良くないしな。」
こうしてペテル達はピニスンの掘り起こし、ニニャとンフィーレアは魔樹の調査に向かう事になった。
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「すごーい!羊さんがいっぱい居るよ♪あっちには牛さんも!」
「そうだな。さすがはデミウルゴス牧場だ。(何とか間に合ったか…)」
スレイン法国とローブル聖王国の間にあるアベリオン丘陵に造られたデミウルゴス牧場。ここでは大自然の中で家畜達が伸び伸びと育てられている…という事になっている。
元は魔法を込めるスクロールの材料になる「聖王国両脚羊」という家畜を扱っていたのだが、情報収集と研究が進んだ結果、他の羊皮紙でも代用が可能となった事もあり、一時は存続が危ぶまれる事態となっていた。
しかし牧場長が新規事業の開拓に成功し、現在では家畜の品種改良や食肉業を中心に業績をあげている。特に人気なのが「地産地消」をモットーに営業するレストランだ。
そんなデミウルゴス牧場の噂を聞いてしまったさっちんが「牧場を見てみたい!あとジンギスカン♪」と言ったのが今回の発端である。当然だが牧場の実態を知られる訳にはいかないので、突貫工事でデミウルゴス牧場の改装(偽装)が行われたのだ。
「こ、これはこれはオーナー様。ようこそいらっしゃいました。私は従業員のバザーと申します。」
「わぁー♪お兄ちゃん、山羊だよ!山羊のおじさんだよ!」
「ご苦労…今日は世話になる。」
ペコペコしながら挨拶するのはバフォルクという亜人だ。オーバーオールに身を包み、頭に被った麦わら帽子からは立派な角が飛び出ている。非常に立派な体躯で只者ではない雰囲気を漂わせているような気がするが、服装のおかげで農家のおっさんに見えなくもない。
彼の正体はアベリオン丘陵で複数の部族を率いるバフォルクロードであり「豪王」や「破壊王」の二つ名で恐れられ、ローブル聖王国の名だたる聖騎士を何人も討取ってきた猛者だが、現在は牧場の一従業員(臨時採用)にすぎない。
バザーがこんな事をさせられているのも、アベリオン丘陵に君臨する大悪魔ヤルダバオトによって部族全員を人質にとられているからだ。特にオーナーの妹君に粗相があれば「アベリオン丘陵で暮らすバフォルクを一匹残らず殺し尽くすぞ」と通告されているので、彼の一挙手一投足に全バフォルクの運命が掛かっている。
「えー…この牧場ではたくさんの羊や牛が、明るい太陽の下で伸び伸びと育てられています。ヤル…ゲフンゲフン、デミウルゴス様からお預りした大切な牛や羊ですから、一頭一頭、心を込めて大切にお世話しております。」
牧場の牛や羊はヤルダバオトの号令一下、亜人達が聖王国各地から掻き集めて来たものだ。たったの一日で千頭近い家畜を集めて来た事からも、亜人達がいかにヤルダバオトに心酔しているかが伺える。
「ふーん…山羊だから羊に詳しいんだ。ピッタリだね!」
「はっ!お褒めに預かり光栄であります。(そんな訳あるか!でも逆らったら殺される…)」
「バザー君はこれでなかなか優秀でして、私も頼りにしております。<<その調子だ。そのままさっちん様をレストランへ案内しろ。失敗すれば…分かっているだろうな?>>」
「ヒィィーッ<<ははは、はいー>>」
バザーは心の底から恐怖していた。デミウルゴス(ヤルダバオト)の恐ろしさはイヤと言うほど身にしみている。アベリオン丘陵で名を馳せた亜人の猛者達を、言葉一つで平伏させたのだから。
「どうしたのかな?いきなり鳴き声なんてあげて?」
「バザー君?<<部族全員ミンチになりたいのかね?>>」
「メェーメェー!メェーメェー!こ、これはバフォルク特有の感激の仕草でございますぅ!」
デミウルゴスとしても苦肉の策であった。アベリオン丘陵には多種多様な亜人が生息しているが、その中でも従業員役が務まりそうなのが、このバザー位しか居なかったのだ。
牧場という事で獣人系中心に面接をしたのだが、挙動があまりにも不安定だったり、知性や品格が著しく不足している種族や、外見上問題のある種族が多く選考は困難を極めた。多少は粗暴な面があるものの、堂々とした物腰や、そこそこの知性と教養を身に付けていたのがバザーの不幸であった。
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「家畜の盗難が多発している?それは聖騎士の仕事とは違うだろう。どこのコソ泥の仕業か分からんが、一般兵に任せておけばいい!私は不穏な動きを見せる亜人の動向を注意せねばならん!」
ローブル聖王国聖騎士団団長レメディオス・カストディオは、部下からの報告に簡潔に答えた。乱暴な物言いにも聞こえるが、これは決して彼女が横暴という訳ではない。聖王国最強の聖騎士であるレメディオスには他にも重要な使命があるのだ。
聖王国では少し前から村ごと住民が失踪するという事件が多発したり、国土に隣接するアベリオン丘陵から定期的に攻め入ってくる亜人の対策があったりして多忙を極めていた。最近は亜人達に組織的な動きが観られ、何か不吉な前兆では?と国民の間にも不穏な空気が漂っている。
「それがですね姉様。家畜を連れ去ったのは亜人の連合軍という話しです。人間には一切目もくれずに連れ去っていったそうです。」
彼女はケラルト・カストディオ。聖王国神官団団長にしてレメディオスの妹である。第五位階の信仰系魔法を行使可能な最高峰の神官で姉とともに聖王女カルカ・ベサーレスを支えている。
「どうして亜人が家畜を?さっぱり意味が分からないぞ。」
「食べるために…でしょうか?普通に考えれば牛や羊の方が美味しいはずですから。」
そう答えたのはローブル聖王国聖王女カルカ・ベサーレス。某皇帝曰く「八方美人、不愉快」との事だが、愛らしさと凛々しさを備えた美貌(補正あり)は「ローブルの至宝」と評されている。彼女もまた優秀な信仰系魔法の使い手で、高い戦闘力を持っている。
「成るほど!カルカ様の言う通りだ!亜人共もパンやケーキを食べればいいのだ!」
「何とか亜人の食生活を改善出来れば良いのですが…そうすれば争いも減って、悲しむ民も…」
「いや、その理屈はおかしい」
レストランのメニューは秘密です。