未来機動戦士エレメントガンダム   作:七霧孝平

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エレメントガンダム第1話 レイガンダム立つ!

1つの時代。それは戦争の時代――

MS(モビルスーツ)を用いた地球と宇宙の戦いは果てしなく続いていた。

続く戦争に地球と宇宙はMS『ガンダムタイプ』を投入。互いに戦局を変えようとした。

 

しかしそれは破滅の手であった。

強力なガンダムタイプでの戦況はさらなる混迷を極め地球、宇宙共に滅びの光に包まれた――

 

 

 

それから約1000年の月日が流れた。

滅びの光によって壊滅した地球は復興し、再び宇宙に進出した人類。

だが人は同じ過ちを繰り返す。地球と宇宙は再び戦争に包まれていた。

 

 

新歴――1016年

地球の1部と宇宙コロニーは、領土、権力、その他の理由から戦争を続けていた。

一方、平和、友好的に暮らす、地球と宇宙コロニーも存在していた。

 

 

コロニー1、宇宙港。

そこでは1人の少年が見送られていた。

 

「おばさん、それじゃあ行ってきます」

 

「あいよ、がんばってきな」

 

少年がシャトルに乗り込むのを見届けながら、女性は1人呟く。

 

「クロノ坊やが、地球留学とはねえ。両親も喜んでるかねえ」

 

 

クロノ・ゼンキはシャトルの中で本を読んでいた。

彼の読み物は歴史学の本、今では未知とされている1000年以上前の歴史の研究本であった。

 

(地球と宇宙。戦争の歴史か……)

 

彼は16という歳で考えていた。

戦争。その終わらない歴史について――。

 

 

 

それから3ヵ月……。

 

 

1機のMSの撃つ弾丸の嵐を、もう1機のMSはまるでそこに存在しないかのように躱かわすと、

一気に接近し持っていた剣で相手の銃を弾き飛ばす。そしてそのままコックピット目前に突き付けた。

 

「そこまで!」

 

声とともにMSの周りの風景が一転、何もない空間に置き換わる。

そこにMSのコックピット――を模した機械から、少年2人が降りてきた。

 

「やれやれ、瞬殺かよ」

「ごめんね、グラット」

 

少年――クロノは、もう1人の大きい少年グラットに謝る。

グラットはやれやれと呆れながらクロノの背中を叩く。

 

「そう思うなら、少しは手加減してくれ」

 

「でもすごいね。ゼンキくんこれで何連勝?」

 

コンピュータをいじっていた小柄の少年が興味津々に聞く。

 

「コーダ。俺の13連勝かな」

「オレの12連敗だ! 水増しすんな!」

「あまり変わらないよ。グラット……」

 

グラットが手を出すのをクロノはかわしつつ、一方コーダは呆れながら見ていた。

 

「でもよ、クロノ。その腕なら軍にだって志願できるんじゃないか?」

 

「あ、グラット。その話は――」

 

コーダがクロノの方を見ると、彼は難しい表情をしていた。

 

「あー、そうか。クロノはコロニー出身だったな」

 

「いや。気にしてないよ……」

 

あからさまに気にしている表情で呟く。

 

 

「あ、ゼンキくん、メールなってるよ!」

 

「教授からか。ちょっとデータ届けてくる」

 

「うん。(いいタイミングだよ教授)」

 

 

 

クロノは学校を抜けると、教授が別枠で仕事をしている研究棟へ向かう。

 

「しかし……」

 

クロノは研究棟の方を見ながら、気になることがあった。

それは自分も他の生徒、さらには他の教師も、教授の別枠の仕事を知らないのだ。

 

データを入り口で守衛に渡す。届けてもらうため中に入ることもできない。

 

「帰るか……」

 

振り向き学校に戻ろうとした時だった。

――重厚な音が響き渡る。

 

「なんだ!?」

 

クロノが見上げるとそこには――

 

「モビルスーツ!?」

 

MS『スペモス』

宇宙コロニー軍が使用する汎用MSである。

 

「スペモスが複数……。これは――」

 

地球にも地球派と宇宙派が存在する。クロノが留学した地は中立な立ち位置でMSなどは基本的に存在しない。

そこに押し寄せたMS群。武装をしておりどうみても友好的な雰囲気ではない。

 

「研究所の者に告ぐ」

 

1機のMSから音声が響く。

 

「この研究所で、地球軍のガンダムタイプが研究されていることは調べがついている」

 

「ガンダムタイプ!?」

 

研究所の方を振り返る。守衛も何が起こっているのかわかっていない様子でうろたえている。

 

「おとなしくガンダムタイプを差し出せばよし。さもなくば――」

 

MSのマシンガンから数発弾が発射され近辺を破壊する。

 

「っ! ここにいたらヤバい。どうする……?」

 

「君! とりあえずこっちに来なさい!」

 

守衛もさすがに状況が危ないと感じ、クロノを建物に入れる許可を出す。

研究棟に避難するクロノ。その中で――

 

「教授!」

 

「ゼンキ君!? なぜここに?」

 

特別に避難させてもらった旨を伝えると教授は。

 

「やむをえんか……。ゼンキ君。MSの操縦が上手かったね?」

 

「え、シミュレーターではですけど……?」

 

「構わん。来てくれ」

 

教授は強引にクロノの手を掴むと、エレベーターに乗り込ませた。

 

「教授、説明を!」

 

「奴らを追い払うために」

 

「え?」

 

エレベーターから降りるとそこはMSの研究所であった。

中央には1機のMSが眠りについている。

 

「ゼンキ君。今、ここにはパイロット候補がまだ来ていない。わしらでは操縦は無理じゃ」

 

「これに乗ってスペモスと戦えと言うんですか!? 俺は宇宙コロニー出身なんですよ!?」

 

故郷側である宇宙コロニー軍と戦う。そんな気はクロノにはなかった。

 

「降伏して差し出せばいいじゃないですか! なぜ――」

 

「わしが地球軍側の人間だからじゃよ」

 

「――!」

 

クロノも薄々気づいていた。

宇宙コロニー軍の襲撃。研究所のMS。

中立のはずのエリアで地球軍はMSを製造していた。

そしてそこにいる以上、教授は地球軍側の人間だと。

 

「クロノ君。このままではこの研究所ごと、わしらも君も死ぬだけじゃ。

放置していたら、町にも被害が出るかもしれん。学校の皆も危ないかもしれんぞ?」

 

「それは脅しですか……?」

 

クロノと教授はしばしにらみ合う。

だが建物の揺れが酷くなると、クロノはあきらめたようにMSの方を向いた。

 

「乗ればいいんでしょう? 教授、あんたロクな死に方しませんよ!」

 

MSのハッチを開け、コックピットに乗り込む。

 

「ガンダムタイプ――『EARTH-03 レイガンダム』地球、3番のガンダム?」

 

(地球の1番と2番のガンダムがあるということか……?)

 

「ゼンキ君! 開けるぞ!」

 

「わかってますよ!」

 

 

 

「隊長、応答ありませんね。情報間違いでは?」

 

「いや、確かな筋からの情報だ。でなければ世間の批判を気にせず中立地帯に来ないさ」

 

「そうですか。……! 隊長、反応が!」

 

研究棟の無駄に広い駐車場が開く。

そこから起きあがされMS『レイガンダム』は起動した。

 

「隊長、出ました! 情報どおりガンダムタイプです!」

 

「わかっている! マシンガン構え!」

 

MSスペモスが一斉にマシンガンを構える。

だがレイガンダムに乗ったクロノもただ見てるだけではない――つもりであった。

 

「教授! 武器は!? 何も持ってない気が」

 

「武器はない」

 

「え!? どういうこと――」

 

言い終わる前にスペモスのマシンガンが発射される。

クロノは慌てて、シミュレーターと同じ要領で回避行動に移る。

 

「ぐっ……」

 

シミュレーターとは違い本物のGの負荷がクロノを襲う。

それでもマシンガンの雨を全て避け切るが、その後の手がない。

 

「器用に避ける!」

 

「隊長、俺が行きます」

 

1機のスペモスが剣を抜きレイガンダムに迫る。

 

「う、うわあああっ!?」

 

初めての実戦。MSの迫りくる恐怖がクロノに突き付けられる。

そのままスペモスの剣が振り上げられた時――。

 

「――!」

 

クロノに突然閃光のような感覚が走る。

何かが見える。戦闘などしたことない。しかし脳内にイメージが走る!

 

クロノは瞬時に操縦桿を動かす。

スペモスの剣の動きよりも素早く異常な速度で。

 

「な、なにいっ!?」

 

剣より速く、レイガンダムのタックルがスペモスをグラつかせる。

そしてそのまま押し込むように飛び掛かり、スペモスを組み伏せた。

 

「隊長、あいつが!」

 

「ガンダムを撃てえ!」

 

マシンガンがレイガンダムを襲う。だが今度は避けもしない。

弾丸の嵐がやんだとき、そこには無傷で組み伏せたままのレイガンダムがいた。

 

「無傷だと!?」

 

「ガンダム……なんという硬さだ」

 

スペモスの驚きをよそにレイガンダムのクロノは何事もなかったかのように

 

「教授――」

 

「な、なんじゃ。怖い声をだして」

 

「武器、あるじゃないですか」

 

クロノは1つのボタンの手をかける。

 

「い、いかん! それはまだ秘密に――」

 

「今、使わなきゃ、こっちがやられるでしょう!」

 

ボタンを押す。

レイガンダムの頭部からビームのバルカンが発射されスペモスを襲う。

 

「ひっ!? ぎゃああ――!?」

 

悲鳴がバルカン音に消され霧散していく

ビームバルカンはコックピットを貫き1つの生命を吹き飛ばした。

 

「はあ……はあ……はっ!?」

 

レイガンダムを起き上がらせると共にクロノの感覚が戻る。

足元ではスペモスが爆発し、レイガンダムを炎が包む。

 

「俺は……」

 

炎の中ガンダムは立ち尽くしていた。

 

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