受験生なのに。
「リッチーがこんなところにノコノコ出てくるとは不届きな!成敗してやる!」
リッチー。それは、ヴァンパイアと並ぶ、アンデッドの最高峰。魔法を極めた偉大な魔法使いが、魔道の奥義により人間を辞めた姿。通称ノーライフキング。簡潔にいうとアンデッドの王のような存在…らしい。
「やめやめ、やめてえええええええ!誰なの!?いきなり現れて、なぜ私の魔法陣を壊そうとするの!?やめて!やめてください!」
街から外れた丘の上。
そこには、お金のない人達がまとめて埋葬される共同墓地がある。
俺達はその墓地に発生したゾンビメーカー討伐のクエストを受けていた。
そしてゾンビを発生させていた元凶と思われる者は今。俺、サトウカズマが転生者特典として連れてきた駄女神ー魔法陣をぐりぐりと足で消そうとするアクアの腰に、泣きながらしがみついていた。
「黙りなさいアンデッド!どうせこの怪しげな魔法陣でろくでもないこと企んでるんでしょ!」
「やめてーやめてー!この魔法陣は成仏出来ない迷える魂を天に返してあげているんです!見てください!沢山の魂が天に昇っていってるでしょ!?」
なるほど、見れば確かにそのようだ。
だが、アクアはそれがむしろ気に触ったようで。
「アンデッドの癖に生意気よ!そんな善行は私がやるから、あんたは引っ込んでなさい!見てなさいよ!私が墓地ごと浄化してやろうじゃないの!」
「えっちょっと待っ」
リッチーの静止も聞かずにアクアが手を広げ、大声で叫ぶ。
「『ターンアンデッド』ー!」
墓場全体がアクアを中心に白い光に包まれ、周辺のゾンビ達の存在を消失させる。
その光はもちろんアクアにリッチーと呼ばれた黒いローブの女性にも及び、徐々にその身体が薄くなっていった。
「やめてえええええええ!消えちゃう、私消えてなくなっちゃう!やめて、誰か助けてえええええええ!」
そんなリッチーの声が届いたのか。
勝ち誇ったように高笑いするアクアの腹に、どこからともなく高速で飛んできた“何か”が潜り込んだ。
アクアが「ぐえ!」という、女神らしくも、女らしくもない声を出しながら弾け飛ぶ。
アクアを弾き飛ばしたそれの正体は、黒ベースにオレンジのラインが施されたパーカー。
自由自在に浮遊するそれは墓地を飛び回り…いつからかリッチーと俺達の間にいた誰か…いや、“何か”にまとわりつく。
『レッツゴー!覚悟!ゴゴゴ・ゴースト!』
俺達からリッチーを守るかのように目の前に立ちはだかったそれは頭からフードを外し、一本の角を持ったその顔を顕にする。
墓地に鳴り響いた軽快な機械音とは裏腹に…その浮遊する存在は不気味なオーラを放っていた。
なるべく早く更新出来るように命燃やして頑張ります。
プロローグなのでめちゃんこ短いですが、次回からはもっと尺ある(予定)なので安心してください。