「これもですね…これも、アクア様が駄目にしちゃってます」
「まったくアイツは、いつもいつも…」
相変わらず客がちっとも来ないので、俺はウィズと一緒に商品棚の整理をしていた。
正確に言うと、アクアが駄目にした商品の廃棄作業をしていた。
アクアは水の女神で、液体に触ると自分の意志と関係なく浄化してしまう体質らしい。ついでに、触り続けていると聖水にまで出来るんだと。
と、本人が自称しているだけなので、本当かどうかはちょっと疑わしいのだが。
そんな感じでアクアが来ると、ポーションだのなんだのがいくつか駄目にされていたりするのだ。
「触るなって言ってんのに…」
忌々しげにいくつもの駄目になったポーションを見ていたその時。俺はとある案を思いついた。
うーむ…もしかすると、この水に変えられたポーションを再利用することが出来るかもしれない。
そう考えた俺は。
「ウィズ、いいこと思いついた。これちょっとアクアんとこに持ってってもいいか?」
「はい?いいですよ、気をつけて行ってらっしゃい」
そんな、優しい言葉をかけてくれるウィズを尻目に、俺は街へと繰り出した。
~~~~~~~~~~~
街の中は雪が積もっていて、人通りもさほど多くはなかった。
おそらくこの寒さのためだろう。なにも、用もなく寒さに身を晒すこともない。
こんな寒さの中、わざわざ外へ出るようなのは俺みたいに外出する理由があるやつか、よほどの暇人か…。
もしくは、俺の前方で不審な動きを見せている、俺の知り合いぐらいなものだろうな。
俺は道の往来でコソコソしながら、路地裏を覗いている二人に声を掛けた。
「よう、キースにダスト。何見てんだ?何か珍しい薬草でも生えてるか?それなら採取してうちの店にでも」
「「うおっ!?お、おう…」」
背後から声をかけられ、キースとダストが飛び跳ねた。
「なんだライか、驚かすなよ。あと、さすがに薬草はこの辺には生えてないと思うぞ…」
キースが俺を見て安心したように言ってくる。
「よう、あれか?今日はおっぱ…今日は一人か?」
おっぱい店主とでも言いかけたダストが、俺に睨まれ尋ね直してきた。
「今日は一人だぞ。で、こんなとこで何して…」
「よおっ!」
「「「うおぉっ!?!?」」」
また突然声を掛けられ、キースにダスト、俺まで驚いて飛び上がった。
「なんだカズマか。驚かすなよ。まったく、これだから潜伏スキル持ちは、まったく…」
「悪い悪い。で、お前らこんなとこで何やってんだ?」
カズマが、俺の聞きかけたことを代弁してくれる。
「あれか?お前も今日は一人か?」
ダストが、気にしたようにカズマの周りをチラチラ見ていた。
「今日は俺一人だよ。家にいるのも飽きたから、散歩してるんだ。アクアが内職の邪魔してくるしな。誰の借金だと思ってるんだか、まったく…」
カズマが愚痴り出す。こいつも普段から苦労してるんだろう。おっと、話がズレだしたな。軌道修正するか。
「で、お前らは結局ここで何してんだ?」
俺の質問に、キースとダストがこくりと頷き、周りに聞こえないように静かな声色で言った。
「カズマ、ライ。この街には、サキュバス達がこっそり経営してる、良い夢を見させてくれる店があるって知ってるか?」
「「詳しく」」
俺とカズマはダストに即答していた。
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「なあ、聞いたか?最近この辺に緑色の目をした仮面ライダーが出没してるんだと。しかもなかなかの強敵で、あのミツルギも負けたんだとか」
「ミツルギって、あの魔剣の勇者ミツルギか?そりゃ俺たちの手に負えるもんじゃねえな、ただでさえ冬で良い仕事がねえってのに、しばらくクエストは控えるに越したことはないか…」
俺はギルドの机に座り、ダスト達を酒を飲んでいた。
そこまで得意な方じゃないから、飲むと言ってもほんとにチビチビだが。
緑色の目をした仮面ライダー?
俺の他に仮面ライダーがいるっていうのか。
なんだろう、凄く気になる。
「で、サキュバスのお姉さんの話をそろそろ」
「そう急かすなって。いいかお前ら、この話は他言無用だぞ。特に女に対してはな」
早々にジョッキ一杯分を飲み切ったカズマが急かすと、ダストが顔を近づけて話し始めた。
俺とカズマが静かに頷く。
「この街にはサキュバス達が住んでるんだ。っていうのも、サキュバスってのは男の精気を吸って生きる悪魔だろ?ってことは、当然彼女たちには人間の男が必要不可欠だ」
ダストに続けるように、キースが口を開いた。
「ほら、俺たちは基本馬小屋暮らしだろ?そしたらほら、いろいろ溜まって来るじゃないか。でも、周りには他の冒険者達が寝てる。ムラムラ来たってナニすることも出来やしないだろ」
「そうだな」
カズマが同意する。こいつはちょっと前までアクア達と馬小屋暮らしだったから、尚更分かるんだろうな。
「で、さっきのサキュバス達の出番だ。こいつらが、俺たちが寝てる間に良い夢見させてくれるってわけだ。俺たちはスッキリできて、彼女たちは生きていける。この街では、そんな共存共栄の関係が築かれてたってわけだ」
ダスト達の話を聞いて、俺はただただ感心していた。
これならサキュバス達が人を襲う必要もなくなるし、男達も危ない橋を渡る必要もなくなるだろう。
なんて素晴らしい関係なんだ!
そんな俺達を見て、ダストが言った。
「実はその店の事を教えてもらったのって、俺たちも最近なんだ。それで今日初めてその店に行こうとしたところでお前たちと出くわしたってわけだ。どうだ?お前らも一緒に行かないか?」
勿論俺たちも乗っからせてもらうことになった。
~~~~~~~~~~~
先程の路地裏に戻ってきた俺たちは、そこにある小さな飲食店に入った。
「いらっしゃいませー!」
それは一見ただの店だが、一度中に入ると、多くの男の理想を具現化したかのような、魅惑の身体をした女性の出迎えを受けた。
中には不自然なくらいに男性客しかおらず、その客達は皆テーブルで何かの用紙に一心不乱に何かを書いている。
俺たちは空いてるテーブルに案内され、サキュバスのお姉さんがアンケート用紙を渡してくれる。
「お客様は、こちらのお店は初めてですか?」
用紙を受け取りながら、俺たちがこくりと頷くと。
「では、ここがどういうお店で、私達が何者かもご存知でしょうか?」
俺たちは再び無言で頷いた。
そこまで聞いたお姉さんは、テーブルにメニューを置く。
「ご注文はお好きにどうぞ。何も注文されなくても結構ですよ。…そして、先程渡したアンケート用紙に必要事項を記入して、会計の際に渡してくださいね?」
アンケート用紙に目を落とすと、『夢の中での自分の状態、性別と外見』と書いてある。
首を傾げる俺を見て、お姉さんが説明してくれた。
「夢の中では王様や英雄になってみたい、等があれば記入していただければ。性別や外見というのは、たまに、自分が女性側になってみたい、というお客様がいらっしゃいますので」
なるほど。そんなことまで設定出来るのか。
そっか、夢だもんな。
キースがおずおずと、お姉さんに質問するように片手を挙げた。
「…あの、この相手の設定っていうのはどこまで指定できるんですかね?」
「どんな所までも、です。性格や口癖、外見やあなたへの好感度まで、何でも、誰でもです。実在しない相手だろうが、何でもです」
「マジですか」
「マジです」
すげえなサキュバスサービス。他の店とは比べものにならないじゃん。
「ただ、出来ればお酒等は控えてくださいね?泥酔されて、完全に熟睡されていると、さすがに夢を見させることができませんから」
俺たちは会計を済ませ、そのまま解散することになった。
「おかえりなさい、ライさん!見てくださいこれ!」
家に帰ると、いつになく機嫌の良いウィズが出迎えてくれた。
ウィズは機嫌はいつでも良いが、というより何やらテンションが高い。
食卓を見ると、そこには豪華な厚切りのステーキと、高そうなお酒が置かれていた。
「三人前の白毛洋牛とお酒を、商店街の福引きでゆんゆんさんが当てたらしくて!一緒に食べようって持ってきてくれたんですよ!」
見ると、料理が置かれたテーブルの隅でゆんゆんが恥ずかしそうにしていた。気付かなかった…とは言わないでおこう。
「…急にお邪魔してしまってすみません。一人じゃ食べきれないし、せっかくだから食べてもらえれば、と思って…やっぱり迷惑でした?」
ゆんゆんが小さな声でそう言い、俺の顔色をうかがってくる。
「迷惑なわけないだろ。来てくれて嬉しいよ。凄くありがたいんだけど、その…料理は…」
俺はゆんゆんにかける言葉に詰まり、助けを求めようとウィズを見た。
俺は今ゴーストだ。眼魂のおかげで身体の機能はほとんど元と変わらず動いているんだが、何かの拍子に透過したりすると、消化途中のものがそのまま身体を透けて落ちてしまうことがわかっていた。
なら透過しなければいいんじゃないかと思うのだが、この前そう思って食べたいだけ食べたら、寝てる間に透過してしまったらしく、翌朝シーツが消化途中のドロドロの食べ物達で大惨事になっていた。
幸い、食べなくてもお腹が空くことはないのでそれ以降飲み食いは避けていたんだが…
「せっかくゆんゆんさんが持ってきてくれたんですし、今日くらいいいんじゃないですか?」
普段より顔色のいいウィズが、そう言ってくる。
俺はしばし考えた後。
「そうだな、頂くよゆんゆん」
俺がそう言うと、ゆんゆんはとても嬉しそうな顔をした。
「「「いただきまーす!」」」
「なにこれ!うまっ!」
白毛洋牛のステーキを頬張った俺は、思わず声を漏らしていた。
それくらい美味い。やばい、箸が止まらない!
「それはよかったです…!」
ゆんゆんが安心したような表情をみせる。
「んっ…これも美味しいですよ!ほら、ゆんゆんさんも!私が注ぎますから!」
「え、あっえっと…ありがとうございます…」
ウィズに酒を注いでもらったゆんゆんが、いくらか迷いながらもおっかなびっくりそれを口にする。
酒を飲むのは初めてなんだろうか?
どうも、ゆんゆんはめぐみんと同年代の14歳らしいと、先日聞いて驚いた。
発育の差は、こんなにも人間に違って見せるものなのか。
初めての酒の味をどう感じたのか、ゆんゆんは少し微妙な顔をしていた。
「さあ、ライさんも!」
「ありが…」
ウィズに酒を注いでもらいかけ、寸前で思い留まる。
あぶねー、俺は酒に弱いから、少しでも飲んだら夢は見られなくなってしまいそうだ。
「さ、流石に酒はやめておくよ。ほら、こんな時間に飲んで、もし寝てる間に透過しちゃったら大惨事なんてもんじゃないだろ?」
「そうですか、残念です」
そう言ったウィズは酔ってきたのか、ゆんゆんにしきりに酒を勧めはじめた。もう少し見てたい気もするが、今日はちょっと早めに寝ておきたい。
俺はステーキを完食し、立ち上がると。
「ゆんゆん、ごちそうさま。凄く美味しかったよ。今日はちょっと疲れちゃってさ、悪いけどもう寝ることにするよ。二人ともおやすみ」
そう言って食卓を後にした。
背後からゆんゆんの「やっぱりほんとは迷惑だと思ってたんだ」という泣きそうな声が聞こえてきた気がしたが、今日は幻聴だと思っておこう。
そうして布団に潜ってから、一時間くらい経つ。
俺は妙にドキドキしてしまい、眠れなくなっていた。
そもそもゴーストだから普通は寝ないんだが、ウィズが睡眠薬の代わりに、ゴーストでも眠れるようになる魔道アロマ機を入荷してくれたので、最近はそれを焚いて眠るようにしていた。なので気付けば部屋が煙だらけなのだが。
それでも今日は眠れる気がしない。
どうしよう、指定した時間までに眠らないとサキュバスの人に迷惑がかかってしまう。
俺は改めて目を閉じ、眠れることを祈りながら羊を数え始めた。
どのくらい時間が経っただろうか。
「羊が3561匹、羊が3562匹…」
一心不乱に羊を数えていると、わずかに扉が開く静かな音がした。
もうサキュバスが来てしまったのだろうか。扉は再び閉められ、煙の中に誰かの影がうっすらと見える。
「んー…」
「え…?」
扉を開けて部屋に入ってきたその影が、俺の入っていたベッドに身を投げてきたのだ。
そのまま布団に潜り、俺の隣に寝転がる。
顔が間近にきて、それがゆんゆんだということを確認することが出来た。
というか顔が近い!
「スースー…」
穏やかな表情で眠るゆんゆんの吐息が、俺の顔に微かに当たる。
どれくらい飲まされたのだろうか。少し酒の匂いがした。
それより、何故ゆんゆんがここに?泥酔して、ウィズに泊まってけと言われて部屋を間違えたとか。それは都合良すぎるか…
…わかった、これは夢だ。俺は実はとっくに眠っていて、サキュバスに夢を見せられているんだ。そう考えれば納得がいった。
というか、なんでゆんゆんなんだ?俺は美人で胸が大きなお姉さんをアンケートに書いたはずだが。
確かに、美人だし胸は大きいが、ゆんゆんは年下だ。
いや、少し前まで同年代だと思ってしまっていたから、その影響かもしれない。
ともあれ、せっかくの夢だ。楽しませてもらうとするか。
そう思った俺は、隣で添い寝してくるゆんゆんに手を伸ばした。
ゆんゆんの服越しに、俺の手にその柔肉の感触が伝わってくる。これが…
物心ついて、初めて触る女性の胸の感触。
なんだろう、思ってたより堅いな。あっ、これブラ入ってるのか。
ゆんゆんはさっき見たままの服装だった。さっきウィズに酒を飲まされて酔ったゆんゆんがそのまま俺の部屋に…というシチュエーションなんだろう。
それにしても、眠ったままなのがすこし残念だな。勝手に進めていたら起きるだろうか。
そう思った俺が、緊張で震える手でゆっくりとゆんゆんの服を脱がせていくと、ゆんゆんの上半身を守るものは薄い黒地のブラジャーのみとなった。
「う…ん。…ライ、さん…?」
身体が火照ってきたので俺も服を脱ぎ、更に脱がせようとしたところでゆんゆんの目がうっすら開き、眠たそうで、どことなく色気のある声で俺の名を呼ぶ。
「ああ、やっと起きたか。さすが夢だな、タイミングが完璧だ。さて、可愛い反応を心行くまで拝ませてもらうとするかな」
「え…?えぇ!?ライさんなんで…!?ちょっとあの、だっていきなりこんな」
少しきょろきょろして状況を理解し、頬を赤らめて驚いているゆんゆんを抱き寄せた俺は、その耳元で呟く。
「静かにしてくれ、夢の中とはいえウィズを起こしたりしたら不味いだろ?ほら、続けるぞ」
そのままゆんゆんの背中に手を回した俺はブラのホックをなんとかスムーズに外すことができ、ゆっくりとその布をゆんゆんの肌から遠ざけていく。
その美しくも綺麗な上半身が余すことなく露わになった。
顔を真っ赤にしたゆんゆんは両腕で自らの胸を隠すが、隠す対象が大きすぎて全く意味をなさない。
「ライ…さ…んっ」
俺はゆんゆんの腕をゆっくりほどいていき、大きく実った果実を外側からなぞるように、優しく、その中心にゆっくりと指を向かわせる。そこに指が当たると、ゆんゆんの身体がピクっと痙攣し…
「ら、『ライトニング』ッ!」
そこまでいって、ゆんゆんが突然魔法を放った。
その魔法は、俺の肩を掠め。
客に指定された住所に来たものの、何かが勝手に進行していて困惑していたサキュバスの頬も掠めて、窓ガラスを割っていったー
なんということでしょう。
「あ、あなたはサキュバス!さっきから何かライさんの様子がおかしいと思っていたら、あなたの仕業だったのね!」
ここにサキュバスがいるってことは、
「あ…えっと、」
俺はまだ夢を見ていたわけではなかったようだ。
「あなただけは絶対許さないわ!我が名はゆんゆん!紅魔族随一の上級魔法の使い手にして、やがて村の長となる者!大方ライさんを狙ってきたんでしょうけど、この私がいたのが運の尽きね!私がここで断ち切ってあげるわ!」
サキュバスに話す暇も与えない、今まで見たゆんゆんの口上の中で一番勢いに溢れた名乗り。どうやら俺が狙われたと思い込み、怒りで我を忘れているようだ。俺を庇うようにサキュバスと対峙する姿は、最高にカッコよかった。
「あの…せめて服を…」
ただ、上半身裸でなければ。
「え?…きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
サキュバスに指摘されて自分の状態に気付いたゆんゆんは飛ぶように俺の布団の中に隠れ、己の肌を隠しながら俺によって脱がされた服を回収していく。
「あなた、もう許さないんだから!」
「私のせいじゃないですよね!?」
ゆんゆんが上半身裸だったのは俺のせいだが、服を着直したゆんゆんは更にサキュバスに敵対心を露わにし、魔法を放とうとする。
「問答無用!『ライトニン』ッ…!」
サキュバスに飛ばしかけた魔法は、咄嗟に前に出てサキュバスを庇った俺によって中断された。
「ライさん、退いて下さい!その子はサキュバスです!ライさんに悪いことをしに来た悪魔なんですよ!?…まさか、ライさんはもうサキュバスに操られて!?」
「ちょ、お客さん!?」
何か都合のいい解釈をしてくれようとしていたので、俺はサキュバスを庇ったまま思いきり頷いた。冤罪が増えたサキュバスの悲痛な声が背中から聞こえてくるが、許せ。
「なんて非道な…あのサキュバスさん、とりあえず、せめてライさんに服を着せてあげてください…」
そう言ってゆんゆんが目を逸らす。おっと、俺も今裸でした!
「ライさんどうしたんですか?何か騒がしいですけど、大丈夫ですか?開けますよ?いいですか?」
この騒ぎで起こしてしまったのか、ウィズの声が扉の向こうからしたと思うと、扉が開く。くそ、どうすればこのサキュバスを逃がせる!
その瞬間、ゆんゆんの魔法によって割られた窓を見つけた俺は。
「そこだ、今すぐそこから逃げろ!」
ウィズが状況を確認する前に、素早くサキュバスをそこから脱出させたー
「ゆんゆん悪かったって!あれはサキュバスのせいなんだから仕方ないだろ!?ていうか抵抗しないゆんゆんもゆんゆんじゃないか?」
「確かに流されそうになった私も悪いですけど!まさか、あんなこと…」
翌朝。
ウィズに説明を迫られるも、黙秘を貫き通したゆんゆんに出来る限りの謝罪を見せ、やっと口を聞いてくれるようになった。
「…秘密ですからね」
「え?」
「き、昨日のことは!私とライさんだけの秘密ですからね!」
「あ、ああわかった、約束するよ」
俺とゆんゆんの中に沈黙が走る。
どうしよう、やっぱ気まずい。
静寂に耐えきれなくなった俺は、朝食の目玉焼きにフォークを刺すと、
「キュー…」
活きのいい目玉焼きの最後の叫びが、この静寂を破ってくれた。
…目玉焼き、ナイス。
「ところでライさん、昨日は何しに外に出たんですか?」
「あっ」
忘れてた。
覚醒した眼魂:6個
ライが所持している眼魂:6個