この商才無しの店主に幽霊を!   作:漆黒のマッハチェイサー

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かなり遅くなりました
ピンクです。強いです。コピー能力持ちです。


第十話 ピンクの悪魔

サキュバスの騒動の翌日。

 

 

俺はめぐみんに誘われて、カズマ達のパーティに臨時で入り、朝はやくからゴブリン退治に駆り出されていた。

 

 

ちなみにカズマの所は、アクアが張っていた結界にサキュバスが捕まり、間一髪のところでカズマが逃がしてやったらしい。

 

今度サキュバスサービスを頼む時はカズマと一緒にどっかの宿に泊まることにしよう。

 

 

そして、何故俺がめぐみんから招集を受けたかと言うと。

 

 

「すごいです!ほんとに浮いてます!想像以上に楽しいですこれ!」

 

 

俺はめぐみんを背中に乗せ、浮遊していた。

 

なんでも、めぐみんが俺に乗って上空から爆裂魔法を放てば、射程を気にする必要もなくなるし、隠れている敵も見つけやすいと思いついたんだと。

 

 

思い立ったらすっかり我慢出来なくなってしまったらしく、朝イチで食卓に飛び込んできた。ついでに、ゆんゆんに勝負を挑まれて泣かせていった。無慈悲である。

 

 

「頭いてぇ…」

 

「うぅ…寝不足で視界がはっきりしない…」

 

 

カズマとダクネスは昨夜サキュバスの件でいろいろあったらしく、あまり眠れていないらしい。聞いた話では、一緒に風呂入ったとか。それだけなら俺よりマシじゃないか?とも思えてしまうが、死んでも口には出さない。昨夜のことは俺とゆんゆんだけの秘密のまま墓場まで持っていかせてもらおう。

 

 

「ねえライ、めぐみんのワガママを聞いてもらってるとこ悪いんですけど…」

 

 

そんな考えを巡らせていると、アクアが俺の足元から話しかけて来る。

 

 

アクアはめぐみんを背負って浮遊する俺を見上げながら。

 

 

「もうちょっと高く飛んであげることは出来ないのかしら…?」

 

 

地上50cmほどだけ浮いている俺に、そんなことを言ってきた。

 

 

「そうですね。もうちょっと高さがないと、歩いてるのとあまり変わらない気がします」

 

 

背中のめぐみんもそう言ってくる。

 

 

「悪いが、これが限界だ。ていうか今ですら結構つらい。どうやら筋力や体力と浮力は別物らしいな…」

 

 

「そうですか、それは残念です。今後、もっとレベル上げしてステータスが上がったらまたよろしくお願いします」

 

 

ちょっと残念そうな顔をして、めぐみんは俺の背を降りる。

 

 

「さて、と。ゴブリンの目撃情報はこの辺なのですが。あっ、そこから岩場ですね。カズマ、敵感知をお願いします」

 

 

めぐみんの指差す方を見ると、平原と岩場の境目が見える。

 

 

「え?めぐみんもダクネスに背中流されたいって?女同士なんだからそれくらい帰って本人にやってもらえよ」

 

 

「誰がそんなことを言ったのですか、敵感知スキルを使ってくださいって言ったんですよ!」

 

 

「ああ…」

 

 

カズマは普段から徹夜には強いと言っていたはずだが、アクア達に袋叩きにされたのがよほど応えたのだろうか、先ほどから生返事ばかりでなかなか会話が成り立たない。

 

 

「敵感知敵感知…ん?ほんとにここにゴブリンがいるのか?何も引っかからないが…。ん、一体だけ何かが敵感知に引っかかってるな、かなり強敵の気配がするが」

 

 

敵感知スキルを発動させたカズマがそんなことを言う。

 

 

「一体だけですか?それなら初心者殺しでしょうか。あのモンスターはゴブリンを餌に低レベル冒険者を狩りますから」

 

 

「いや、そんなちゃちなもんじゃない。前に戦った、ベルディアに匹敵するくらいの…いや、下手すればもっと強そうな強敵の気配が…」

 

 

ベルディアとは、以前俺が店番をしている間にカズマ達が討伐したという魔王軍幹部。もちろん相当強かったらしい。それに匹敵するとなれば…

 

自分で言っててことの重大さに気付いたカズマが、徐々に顔を引き攣らせてくる。

 

 

「おいお前ら、やっぱ帰るぞ!まだ正体がわかったわけじゃないが、敵感知に引っかかるってことは少なくとも現時点では俺たちの敵なわけだ!この前は運良く倒せたが、そう何度も魔王軍幹部と渡り合えるとは…おい聞けよ!」

 

 

「それほどの強敵ですか…いいでしょう!ベルディア戦では私がベルディアに直接攻撃を加えることはなかったのですが、今度こそ魔王軍幹部レベルの強敵をこの手で屠ってやります!」

 

 

そう威勢よく言うと、大きな岩の影から飛び出すめぐみん。

 

 

「その強敵が繰り出す攻撃とは、どのようなものなんだろうか…!い、いや、そんな危ないものを放置しておくわけにはいかないだろうカズマ!ああそうとも!冒険者として、街の人々を守るために戦うべきではないか!行くぞ諸君!」

 

 

そうして顔を火照らせながらいそいそとめぐみんに着いていくダクネス。

 

 

…カズマも苦労してんだな。

 

 

出ていってしまった二人を見てため息を吐きつつも、自分だけ逃げようとするアクアを引きずって岩の影から顔を覗かせたカズマ。俺も岩場から身を乗り出して様子を見てみると。

 

 

「あなたは…」

 

 

「ピンクの、仮面ライダー…?」

 

 

無数のゴブリンの死体。その真ん中にある背中を見て、めぐみんとダクネスが固まっていた。

 

 

「ピンクじゃない、マゼンタだ」

 

 

ピンク…いや、マゼンタの仮面ライダーはそう答え、こちらを振り向いてくる。その顔は黒い縦線がいくつも突き出るような形に、緑色の目。腰にはこれまたマゼンタ色?のベルトが巻かれている。

 

 

緑色の目…

なんだろう、最近そんな噂を聞いた気が…そうか!!

 

 

「二人とも下がれ!」

 

 

その仮面ライダーについての情報を思い出した俺は、二人を庇うようにそいつの前に飛び込み、ゴーストドライバーを召喚して眼魂を構えた。

 

 

「お前が最近冒険者を襲ってる仮面ライダーだな?」

 

 

「さあ…なんのことだか」

 

 

マゼンタの仮面ライダーはわざとらしく頬に手を当て、思案するような仕草を取った。

 

 

「とぼけるな!変身!」

 

 

『開眼!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴゴゴ・ゴースト!』

 

 

オレ魂に変身した俺がガンガンセイバーで横薙ぎの一撃を繰り出すと、マゼンタの仮面ライダーはバックステップでを回避し、四角い銃で俺を狙撃してくる。すかさず浮遊し、銃撃をやり過ごす。

 

こちらも上から狙撃し、それを奴が避ける隙を狙って懐に飛び込んで突きをいれるが、刀身を抱え込まれ、逆に四角い剣で腹にダメージを食らう。

 

 

『KAMEN RIDE KUUGA』

 

 

剣や銃になる四角い箱からカードを出した仮面ライダーはベルトの端を引き、カードをバックル部分に入れると端を押し込んだ。機械音が鳴り、奴の姿が全く別の、赤い筋肉質なものに変わる。

 

俺の放った銃撃をかいくぐり、急接近して強烈なパンチを放つ。

 

 

フォームチェンジか…それなら。

 

 

『開眼!ロビン!ハロー!アロー!森で会おう!』

 

 

ロビン魂になった俺は奴と距離を取り、ガンガンセイバー 弓モードで狙撃。矢が当たり、ダメージを負った奴は新たなカードをバックルに入れた。

 

 

『FORM RIDE KUUGA DRAGON』

 

 

紫色の姿になった奴は剣をを振り回し、俺の矢を弾きながら接近してくる。俺は三人に分身し、三方から矢を撃つが全て弾かれた。ロビンじゃ相性が悪いことを悟った俺は、眼魂チェンジをする。

 

 

『開眼!ベンケイ!アニキ!ムキムキ!仁王立ち!』

 

 

『KAMEN RIDE OOO』

 

 

俺がベンケイ魂になるのと同時、その仮面ライダーは新たな姿になった。頭部が赤、胸部が黄色、脚が緑の派手な姿だ。俺がガンガンセイバー ハンマーモードを振ると、奴はそれを避けて腕の爪で俺の腹を抉ってくる。

 

 

「がっ…!?」

 

 

「どうした?もう終わりか?」

 

 

奴の挑発に、俺は姿を消して奴の背後に回り込み、懐からハンマーで一撃を叩き込んだ。弾けたように飛び、その身体が大きな岩に激突する。

 

 

「やったか…!?」

 

 

しばらくして砂煙が収まると…そこに奴の姿はない。

 

どこに行った…!?

 

 

「上です!」

 

 

めぐみんの声に、頭上を見上げれば奴が目前に落下してくる。異型に変化していた脚で着地すると、鋭い爪でアッパーを加えてきた。

 

 

俺はたまらず数メートル飛ばされ、踏みとどまる。

 

 

『ATTACK RIDE OOO』

 

 

機械音と共に奴は剣を召喚し、こちらに大きく振りかぶってくる。

間一髪のところで避けると、背後から何かの呻くような声がしてきた。

 

 

それは、生き残っていた一匹のゴブリン。

 

 

ゴブリンを真っ二つにした斬撃は周囲の木や岩をも切り裂いたかと思うと、斬撃の後に沿って空間さえ真っ二つに。

 

かと思いきや、斬れたはずの空間が元に戻り、巻き込んだゴブリンだけを爆殺させた。

 

 

その威力に、傍から見ていたカズマ達をも震え上がらせる。

とてつもない力を前に呆然としていた俺は、気付けば奴に問いかけていた。

 

 

「お前は一体…」

 

 

「通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ」

 

 

「通りすがりの…仮面ライダー…」

 

 

「ねえやっぱりあなた本物!?本物のディケイド?」

 

 

急にアクアが俺とマゼンタのライダーの間に入ってきて、向こうに話しかける。

 

 

「おい馬鹿戻ってこい!今の攻撃見たろ、お前じゃ耐えきれない…ってお前この通り魔ライダーのこと知ってるのか!?」

 

 

「もちろんよ!彼は世界の破壊者仮面ライダーディケイド、門矢士。私達女神を介さなくても自由に平行世界を行き来できちゃうとんでもない人なの!私も初めて会ったわ!」

 

 

「そういうことだ」

 

 

アクアの嬉々とした説明とともに、ディケイド…門矢士が変身を解く。

 

 

「世界の破壊者ですか!なかなかいい二つ名をお持ちで」

 

 

「そいつはどーも。ただ通り魔ライダーはいただけないな」

 

 

「通り魔は通り魔だろ。お前のことだろ?最近出没してる、緑の目をした仮面ライダーってのは」

 

 

「だからなんのことだ?俺はたまたまここを通りすがっただけだし、冒険者とやらを襲った覚えはないぞ。第一、俺だったとしたら緑じゃなくてピンクの、と伝わるはずじゃないのか?」

 

 

「あ…」

 

 

「言われてみればそうですね」

 

 

「そういうことだ。ま、せいぜい頑張れよ。仮面ライダーゴーストくん」

 

 

「おい、まだ話は終わって…」

 

 

身を翻した門矢士はあっという間に茂みの方へ行ってしまった。

 

 

「なんだったんだあいつ?」

 

 

「あんな攻撃を受けたら、一体どんな感覚に襲われるのだろうか…」

 

 

「腹を世界ごと斬られる感覚だと思う」

 

 

 

 

 

 

とりあえずゴブリンは門矢士に倒されてしまったので、仕方なく受付のお姉さんにそのことを話したところ、これは別に問題ないんだそうだ。ちゃんと報酬を貰い、今日のところは魔道具店に帰ることにした。フォームチェンジを繰り返したせいか、魔力を消費しすぎて身体が重い。おのれディケイド…

 

 

「ただいまー…!?」

 

 

「なんだ、さっきのゴーストくんじゃないか」

 

 

俺が家に戻ると、店内の椅子に腰掛け、我が物顔でお茶を啜るその男。

 

 

「ライさんおかえりなさい!なんだ、ライさんのお友達だったんですね!どうぞ、粗茶ですが」

 

 

「こりゃどうも」

 

 

「門矢士!なんでお前がここに!?」

 

 

「なんでって、店の商品見に来たに決まってるだろ。ほら、オススメを教えてくれよ店員さん?」

 

 

門矢士はそう言って手に持ったポーションをこちらに見せてくる。

そういうことなら仕方ない…おっとこれは。

 

 

「なかなかお目が高いじゃないか、それは飲むと一定時間笑いが止まらなくなるポーションだ。試してみるか?」

 

 

「よ、よりによって笑わせてくるポーションだったか…じゃあこっちは?」

 

 

「そっちはいつでもどこでも子供のあとを延々とついて行く人形です。これで迷子になる心配はありません!どうですか!?」

 

 

「お、おう…悪いがストーカーは間に合ってるんでな…もう少しまともな商品はないものか…」

 

「まともじゃない奴に言われる筋合いはないんだが…」

 

 

門矢士は特に何も買う様子もなく、店を出ようとする。

 

 

「なんだ、何も買わないのか?」

 

 

「まあな。これからやることもある。お前達だって、そうのんびりしてる場合じゃないんじゃないか?」

 

 

門矢士がそう言うのもつかの間、

 

 

『デストロイヤー警報!デストロイヤー警報!機動要塞デストロイヤーが、この街に向かって接近中です!冒険者各員は、装備を整えてギルドへ!街の皆さんは、直ちに避難して下さい!!』

 

 

「ほら、な」

 

 

いつの間にかこの街に危機が迫っていた。




オ、オファーするのに時間がかかったんです!遅くなったのはそのためです信じてください
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