この商才無しの店主に幽霊を!   作:漆黒のマッハチェイサー

3 / 13
さて、「この商才無しの店主に幽霊を!」本格スタートです!自己満足と言えばそこまでですが、出来ればたくさんの人に見て頂ければ幸いかと思います!
では本編どうぞ!


ああ、駄女神様
第一話 開眼!俺が幽霊?


「あなた、ゲームは好きでしょ?」

 

 

目の前の青い髪をした女神様がそう囁く。

 

なんでも、若くして死んでしまった不幸な人間を任意で異世界に送ることになっているらしい。

 

 

そう、つまり俺は齢18にして日本での人生をもう終えてしまったらし い。なんてこった、こんなことならもっとやりたいことをやっておけばよかった、と軽く後悔する。

 

 

しかし重要なのは今、この瞬間だ。そして俺には…幸運なことにまだ未来があるらしい。

 

 

「えっと、異世界語とかは?ちゃんと喋れるようにしてくれるんですよね?」

 

 

「もちろん、脳に負荷をかけて一瞬で向こうの言葉を習得させてから送り出す決まりよ。運が悪いとパーになっちゃうかもだけど」

「いま運が悪いとパーになるって」

 

「言ってない」

 

「言いましたよね」

 

「言ってない」

 

 

絶対言った。まあいいだろう、ハイリスクハイリターンだ。こうして俺は異世界行きを決意した。

 

 

「それで、行ってもらうのはいいんだけどすぐ死なれちゃ送り出す意味がないから、何か一つ好きな物をなんでも持っていってもらうことが出来るのよ!何か特殊な能力でもいいし、強い装備でもいいわ。何か一つ、あなたの望むものをなんでもひとつだけ与えます」

 

 

望むものをなんでも、か。すぐにとあるものが思いついた。やれやれ、これも特撮好きの性ってやつか…

 

俺はそれを目の前の女神に告げる。

 

俺はそれを女神から受け取り、そして、異世界への扉が開かれた。

 

 

「向こうに行ったら、アクシズ教をよろしくね!」

 

 

女神様の言葉を背に受けながら、俺は胸を高鳴らせていた。日本での生活に後悔はいくらでもあるが、そんなものを引きずる俺ではなかった。そして、別に異世界で活躍したいわけでもなかったし、生きることに対する執着も特にない。

 

 

これは、いわばボーナスステージだ。もしかしたら一日で死ぬかもしれないし、もしかしたら魔王を倒すかもしれない。というか、この転生者特典なら絶対に死ぬことはないのかもしれない。でも、そんなことはどうでもいい。

 

 

この俺が変身出来るという期待。このゴーストドライバーで仮面ライダーゴーストになれるという期待に、それだけに心を踊らせていた。

 

せっかくだ、名前も変えるとするか。向こうではきっとタケルと名乗ろう。

 

 

そんなことを考えながら、俺は異世界へと旅立った。

 

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

 

ここは始まりの街、アクセル。

 

冒険者になったばかりの人達はここでクエストをこなし、力を付けてから冒険の旅に出る。そんな街だ。

 

 

そんな街のとある店の前で俺は…店に入るでもなく、ただうろちょろしていた。

 

この店はウィズ魔道具店、その名の通りいろいろな魔道具を売っている店だ。

 

店主はウィズという二十歳ほどの女性で、凄腕の魔法使いだったらしい。

 

そして、ウィズさんは俺の憧れの人でもあった。

 

 

俺の名はライ。齢16にしてやっと冒険者になることが許され、新米冒険者としてこのアクセルの街にやってきた。

 

 

とは言っても、この場合の冒険者は職としての冒険者を指す。別に他の職に就けなかったわけではない。

なんといっても、俺の特技は狙撃。なろうと思えば狙撃手にもなれたが、もし、もし仮にだぞ?俺がウィズさんとパーティーを組むようなことがあったとして、後衛が二人いるより俺が前衛であった方がバランスが取れる。そんな思いもあり、とりあえず最弱職についてみたわけだが…

 

 

果たして、俺は最弱職の新米冒険者のまま憧れの人と再会して本当にいいのだろうか。

 

 

俺は自分が女の人から好かれていると思い込むような自意識過剰な男ではない。ウィズさんはきっと俺のことをどうとも思っていないだろうことくらい簡単に想像がつく。だから最弱職の新米冒険者のまま顔を見せたところで幻滅されるようなことなどないとは思うのだが…

 

 

それでも。彼女は元凄腕魔法使い。そんな彼女の前にレベル1のままノコノコ出ていくなんてことがあっては男がすたる。

 

 

そんなことを脳内でまとめた俺は、冒険者ギルドに向かうことにした。

 

 

 

 

簡単な装備を身につけ、無事パーティ結成をすることが出来た俺は、早速初クエストに挑むことになった。

 

パーティ編成は俺と同じ最弱職の新米冒険者が一人。名はタケルと言うらしい。

 

 

身につけているのは俺とほぼ同じような簡単な装備だが、ひとつだけ俺と違うものがあった。

 

それは腰に付けた謎の装備。パッと見は目玉のような形状をしている。大きくて邪魔そうだったが、タケル曰く『ゴーストドライバー』と呼ばれるこの装備が彼を大きく強化させてくれるアイテムだそうで。

 

 

そのゴーストドライバーをはじめ、眼魂やら世界偉人録やら戦闘に使うらしい装備を一式見せてもらったが、どんな使い方をするのかと聞くと「クエストに行ってからのお楽しみだ」と自信満々で飛び出して行ってしまった。

 

 

今回のクエストは街の近くに沸いたゴブリンの討伐。この程度なら新米冒険者2人でもなんとかなるだろう。

 

今はその道中。

 

タケルの懐から、何かの紙がひらひらとこぼれ落ちる。

 

 

「おいタケル、なんか落としたぞ」

 

「ん?ああ、ゴーストドライバーの説明書か」

 

 

俺から受け取るやいなや、タケルはそれをくしゃくしゃに丸めて道に投げ捨てた。

 

 

「おい、それ捨てて大丈夫なのかよ?」

 

 

「問題ねえよ、説明書を読まないのが俺のプレイングスタイルだ」

 

 

何やら訳の分からないことを言い出したタケル。

自信満々なその背中を見て、俺は一種の不安感を覚えた。

 

 

 

 

目的地に着くと、聞いていた通り岩場に小さなゴブリンの群れがあった。数は10体ほど。遠距離攻撃してくる奴には注意が必要だが、まあ囲まれなければなんとかなるだろう。俺は腰に付けていたダガーナイフを手に取る。

 

 

大丈夫だ、初期スキルポイントは片手剣スキルに使った。安物のナイフだが、ゴブリンごとき、簡単に切り伏せることが出来るだろう。

もしナイフが駄目になったとしても、ちゃんと予備は持ってきた。

 

心を落ち着け、俺は小声でタケルに話しかける。

 

 

「タケル、お前はあっち側に回り込んでくれ。挟み撃ちにー」

 

 

そこまで言った時だった。タケルがおもむろに飛び出したのだ。ゴブリンが一斉にこちらを向く。

 

 

「ちょ、何を」

 

 

「まあ俺に任せとけって!」

 

 

そう言ってタケルは懐から白い球体の、先ほど眼魂と呼んでいたものを取り出し、右手でそれを持って左手の平で側面の突起を押し込む。どうやらそれがボタンのようだが…

 

 

それは、なんの反応も示さなかった。

 

 

「!?何故だ!」

 

 

何度もボタンを押すが、それに反応はない。

だが今はそんなことをしている場合ではない、ゴブリン達が次々と襲い掛かってくる!

 

俺は一匹が振りかざした棍棒をかろうじて避け、その脇腹を切り伏せる。

 

 

「おいタケル、今それを使うのを諦めろ、ゴブリンをなんとかするぞ!」

 

「これがあると思ってたから武器は持ってきてねえんだよ!」

 

 

マジかよ!

 

タケルはゴブリン達の攻撃を器用に避けながら、眼魂をゴーストドライバーに装填していた。お前そんな身体能力高いなら普通の武器で十分戦えたぞ!

 

タケルはゴーストドライバーの右に付いているレバーを押し引きするが、それでもドライバーは何の反応もない。

 

なんでお前さっき説明書捨てたんだよ!

 

タケルの背後にゴブリンが回り込み、木の棒を振りかぶる。

俺は咄嗟に予備のダガーナイフを投げ、叫んだ。身体能力の高いタケルなら、咄嗟に避けられるだろうと。

 

 

「しゃがめタケル!」

 

 

ダガーはまっすぐタケルの元へ飛んでいった。タケルが避けさえすれば、タケルを狙っていたゴブリンの頭を貫ける軌道だった。しかしその時のタケルは、ドライバーが起動しないことに焦っていた。注意が散漫になっていたのだろう。

 

 

「え…?」

 

 

タケルは避けず、ダガーがゴブリンに辿り着くことはなかった。

 

 

俺の放ったダガーはタケルの胸に突き刺さり、その上、タケルは後頭部をゴブリンに強打されていた。

 

タケルはその場に倒れ伏した。

 

 

倒れた衝撃で俺のダガーがより深く刺さったのだろう、背中から赤く光るナイフの先が少し出ている。

 

 

タケルはこれをどうやって使おうとしていたのだろうか、白い眼魂を装填したままのゴーストドライバーがタケルの腰から外れ、転がっていた。

 

 

「タケル!」

 

 

俺はタケルの元へ駆け付けようとする。今ならまだ間に合うかもしれない。助かるかもしれない。

 

そして俺は、周囲にあと5匹も残っているゴブリンのことを完全に視界から消し去っていた。

 

 

自分の左側から微かにヒュッという音がした。

俺が頭を音がした方向に向けた時、

 

 

 

矢は既に目の前まで迫っていた。

 

 

 

完全に自分のミスだ。

俺がタケルに向かってダガーを投げなければタケルが死ぬことはなかった。

どのみちゴブリンの攻撃はタケルに当たったのかもしれないが、タケルを殺した決定打はきっと俺のダガーだった。

タケルが倒れた時に俺のダガーが深く刺さっていなければ、きっとアイツはまだ生きていた。

 

 

タケルへの後悔だけじゃない。タケルが倒れた時だって、俺がちゃんとゴブリンを見ていたら、あの攻撃を受けることもなかっただろう。

 

俺は、一番警戒していたはずの弓矢にやられたんだ。

 

俺は…死ぬのか?死ぬんだろうな。ここに都合良く他の冒険者が通りすがってくれるなんてありえない。

俺は…一度ウィズさんに助けてもらった命を…無駄にしたんだな。

絶対ウィズさんには恩返しをしたいと思っていたのに。

 

 

いや…恩返しなんて大層なもんじゃない。ただあの時からウィズさんに魅入られて…あの人の近くにいたいと思った、それだけだった。

俺はそのためにアクセルの街に来たんだ。

 

 

こんなことになるなら、さっさと会っておけばよかった。

 

 

…こんなところで死にたくない。

俺は、もう一度ウィズさんに会いたい。話がしたい。あの笑顔をもう一度見たい。

 

願わくば…あの笑顔をこの手で守りたい。

 

俺はウィズさんに、もう一度…

 

 

 

生きたい、と思う気持ちが最高潮に達したその時、俺の視界はもう一度開かれた。

 

 

 

それは、初めはぼやけた視界だったが、徐々にはっきりしてきた。

うつ伏せに倒れたままのタケルと、頭に矢が刺さり、タケルの近くで倒れている俺、そしてその屍の周りを生き残った五匹のゴブリンが囲んでいる。

 

 

俺は…自分がさっきまで戦っていたその場所を、上から見下ろしていた。

 

ということは、やはり俺は死んだのか…

と、考える間もなく。

 

 

俺の視線は、落ちていたゴーストドライバーの放つ光に釘付けになった。

 

 

謎の光に、意識まで吸い寄せられるような感覚がする。なんだろうこの光は。すると、たちまち俺の死体が光の粒子となり、ゴーストドライバーに吸い込まれていく。

 

 

不思議なことはまだ続く。ゴーストドライバーの中に装填されたままの白い眼魂が輝きを増し、黒っぽい球体へと姿を変えていた。

それと共に、俺の意識までもが本当にドライバーに吸い寄せられ…

 

 

次に目を開けた時には、俺はゴーストドライバーが落ちていたはずのところに足をつけて立っていたのだった。

 

 

俺の死体がなくなったことに困惑するも、すぐに俺を見つけて威嚇するゴブリン達。

腰に軽い違和感を覚えて見てみると、そこにはタケルのゴーストドライバーが巻きついていた。

 

 

先ほど黒く変わっていた眼魂はゴーストドライバーから飛び出し、俺の手の中に収まる。

眼魂は先ほどまでの白い姿よりいっそう目玉に近づいた形状をしていた。

 

 

もしかして、これが眼魂の本来の姿なのではないだろうか。この状態なら、この道具を使用することが出来るかもしれない。

そう思った俺は、黒い眼魂を両手で構え、タケルがやっていたように左手の平でボタンを押した。

 

俺はタケルの動きを思い出しながら、ゴーストドライバーに眼魂をセットし、カバーを閉じて右サイドのレバーを引く。

 

 

『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』

 

 

どこかふざけた機械音と共にゴーストドライバーから何かが勢いよく飛び出し、ゴブリン達を弾き飛ばす。

 

 

やっぱりだ!これが本来の使い方!

俺は胸を高鳴らせながら、ドライバーのレバーを力強く押し戻す。

 

 

『開眼!オレ!レッツゴー!覚悟!ゴゴゴ・ゴースト!』

 

 

最早喧嘩を売っているかのような音声と共に、上から先ほどの何かが覆い被さる。

 

 

俺が着たそれは、黒とオレンジの、一般的に『パーカー』と呼ばれているもの。

 

 

正面の五匹のゴブリン達はしばし目をぱちくりさせたが、直ぐに棍棒をふりかざしてくる。

 

咄嗟に左腕で防いでしまった俺に、ダメージはない。本来なら腕が折れていたであろうその攻撃は、俺の腕に軽い衝撃を与えただけで終わったのだ。

 

 

その時、初めて自分の身体がどうなっているかを知る。

目に映った自分の腕は黒いアーマーに覆われている。全身が同じ鎧を纏ったような状態だったが、通常の鎧を着ているような動きのしづらさ、違和感などは全くと言っていいほどない。

顔を触ってみると、額には一本の角らしきものが伸びていた。

 

あと、フードは脱げるようだな。邪魔になりそうだから良かった。

 

迫ってきていた目の前のゴブリンの一撃を躱す。それは軽く飛びのいただけのつもり。なのに、身体はその場で浮遊していた。

 

 

「俺…どうなったんだ!?」

 

 

次々と俺を襲う新しい感覚。俺は混乱した。だが、それは後でいい。まずはあのゴブリンを…

 

 

「えっと、武器武器…」

 

 

すると、また不思議なことが起こった。気づくと、ドライバーから剣が生成されている。

よくわからないが、これでゴブリンを倒せる!

 

 

俺は浮遊したまま、空中からゴブリンを切りつける。一匹、二匹倒した。

 

 

「っと、危ねぇ!」

 

 

遠くからゴブリンが飛ばした矢を剣で受け止める。

そして、何かを感じた俺は手に持っていた剣の、柄と刃の境界あたりから折り曲げた。

この形状は…

 

 

俺が折り曲げた剣の先をゴブリンに向け、柄に付いていたトリガーを引くと、剣の先から何かが発射され、ゴブリンを一撃で仕留めた。

なんだ、これ。矢を飛ばしたのではなさそうだが…トリガーを引くだけで玉を飛ばせるパチンコのようなものか…

 

 

残るはあと二体。どうやって倒すか…

 

しかしこのゴーストドライバー。まだ隠された機能があるんじゃないのか?ふと、そんなことを思い立った俺は、試してみることにした。

 

地上に降り立ち、迫って来る二匹のゴブリンを待ち受ける。

俺はすかさず、ドライバーのレバーをもう一度引いて、押す。

 

 

『ダイカイガン!オレ!オメガドライブ!』

 

 

俺と意思とは別に俺の身体は自然と浮遊し、左足が熱くなる。瞬時に全てを理解した俺は、左足に集まる強いオーラを受け入れ、はるか上空から敵に向けて渾身の足蹴りを放った。

 

 

 

 

ドライバーから眼魂を取り出し、この奇妙な変身を解除させた俺は冒険者カードにゴブリンの討伐数が記載されたことを確認し、帰路につく。俺は確かに一度死んだはず。ならばアンデッドにでもなったのだろうか?もしくは霊のようなものか、浮遊出来たし。だが、実体はちゃんとある…これが眼魂の力か。わからないことだらけだが、これならちゃんと街で生きていくことが出来そうだ。

 

帰ったらまずは、ウィズさんに会いに行こう。自分がいつ死んだとしても、後悔しないでいられるように。




次回っ!!(多分)ウィズが登場です!(もしかしたら)原作の主人公パーティも登場します!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。