召喚魔法を覚えろ、というアクアの言葉を元に、ウィズから召喚魔法を見せてもらった俺はスキルポイントを貯めるため、ジャイアントトード狩りに繰り出していた。
冒険者カードのスキル欄には、薄い文字で召喚魔法が表示されている。幸いにも、念の為初期スキルポイントを使わずにいた俺はあと一ポイントで召喚魔法を習得出来るようだ。
右に一匹、左に二匹。
仮面ライダーゴースト オレ魂と呼ばれる姿に変身した俺は、先日アクアに教わった通りに剣ーガンガンセイバーの目玉のマークをゴーストドライバーにかざし、身体を軸にして集まってきていたカエルを一度に切り伏せる!
『ダイカイガン!オメガブレイク!』
三匹のカエルはその場から動かなくなった。
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「あら、早かったじゃない。召喚魔法は習得したかしら?じゃあ今からゴーストドライバーの活用の仕方を教えてあげるわ!」
先ほどの戦闘でレベルも2つ上がり、召喚魔法を習得した俺は冒険者ギルドでアクア達と待ち合わせをしていた。カズマのパーティが勢揃いで席に腰掛けている。
本当はアクアだけで良かったんだが、みんな見たことのない道具が気になるらしい。俺はアクアと向かい合うように、めぐみんとダクネスの真ん中の席ににお邪魔することにした。
「今回ご紹介するのはこちら!」
アクアがそう言って見せてくるのは、俺がゴーストドライバーと一緒に回収していた本。回収したはいいが、何が書いてあるのかまるで読めなかったのでとりあえず放置していた本だ。
「なに…世界偉人録?これがどうかしたってのか?」
カズマがなんの気なく表記の文字を読む。
「そうか、お前も異邦人なんだもんな」
俺の言葉に理解できない、といった様子でめぐみんとダクネスが首を傾げた。どうやらこいつらには事情を話してないようだ。
「この本にはカズマのいた世界で何かを成し遂げた人物、偉人と呼ばれる人物のことが書いてあるの。これを読んでその偉人のことを学び、彼等に願うことで一時的に偉人の力を借りることが出来ちゃうのよ!…その表情を見た感じ、何言ってるのか分かってないっぽいから実際に感じて理解してもらうのがいいと思うの」
俺が理解していないことを察したアクアがそう言ってくれる。
「最初だし、派手なのがいいわね…あ、コイツとかどう?力もあるし、強いし派手じゃない?」
いい人を見つけたらしく、そのページを開いたまま俺に見せる。
「だから読めねえよ」
俺は机をバンッと叩き、一瞬怯んだ新鮮な野菜スティックをつまんで齧る。
「どれ、俺が読んでやるよ」
俺の野菜スティックに手を伸ばし、野菜スティックにひょいっと逃げられていたカズマが世界偉人録に目を通し、語り始めたー
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「さて。コイツのことちょっとは詳しくなったんじゃないかしら。そしたら、このページに向かって召喚魔法を使うのよ。上手く行けばパーカーゴーストが出てくるはずだから」
「さっきから偉人に向かってコイツコイツってお前何様のつもりだよ」
「水の女神アクア様に決まってるじゃない」
「何言ってんだ、水の女神より偉人の方が上に決まってんじゃねえか」
取っ組み合いを始めたカズマとアクアは無視し、俺はアクアに言われたことを試してみることにした。
「命を賭して闘ったと伝えられる異世界の偉人よ…今こそ、我にその力を分け与えよ!」
その言葉に世界偉人録が震え、白く、空を自在に駆け回る一枚のパーカーが飛び出す!
取っ組み合っていたカズマ達もいつの間にか手を止め、目で追われていたそれは俺の付けていたゴーストドライバーに入り込み、ひとつの眼魂とその姿を変えた。
オレ眼魂と同型だが真っ白で、上部には7の数字が刻んである。
「これがベンケイ眼魂…」
「ライ!試し打ちなら、私と勝負してみるというのはどうだ?」
俺は、何故か息を荒くするダクネスの提案に乗ることにした。
…他の三人が呆れたような顔をしているが、あえて無視してみることにした。
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ギルドから出た、ちょっとした路地。
二人で軽く戦闘する分には十分かと思われるこの場所で、俺とダクネスの一騎討ちが始まる!
『アーイ!バッチリミナー!バッチリミナー!』
ダクネスと向かい合い、ゴーストドライバーにベンケイ眼魂をセットした。トリガーを引いて、押し込む!
『開眼!ベンケイ!アニキ!ムキムキ!仁王立ち!』
白き闘志を身に纏った俺の姿は、仮面ライダーゴースト ベンケイ魂。
「さあ、どこからでもかかってこい!」
ガンガンセイバーを構えた俺は、同じく大剣を持ち、顔を赤くさせて戦いに燃えるダクネスに攻撃を加えるタイミングをはかる。
すると、突然俺達の間にひょこんと飛び出してきた小さな影。
よく見ると…クモ?いや、でもクモよりかデカいし…でもクモのモンスターにしてはちょっと小さいし…
そのクモは俺の方を見ると、そのまま飛びかかってきた!
「なっ…!何してるんだライ、逃げるのか貴様!」
「違う、勝負から逃げようとしてるんじゃなくて!クモ、この俺を追っかけてくるクモをなんとかしてくれぇぇ!」
「ライ、落ち着いて!それはクモランタンって言ってあんたの味方よ!」
その言葉に逃げる足を止め、クモ…ランタンと向かい合った俺は。
コイツが…仲間?
「何見つめあってるんですか、アクアもあれが何なのかちゃんと説明してください!」
「あっ…そうね!えっと、ガンガンセイバーをNAGINATAモードにして!」
「訳分からんことを言うな、なんだそのNAGINATAってのは!」
「あー…えっと、じゃあガンガンセイバーの斬る部分を割って、持ち手のお尻同士をくっつけてみて!」
なんとか語彙力のない女神様の言う通りに、外れそうだった刃の一部分を外し、柄の先同士を付ける。
すると、クモランタンがガンガンセイバーに飛びかかり、刃の先にくっ付いた。
「うお、すげえ!」
「それがガンガンセイバー ハンマーモードよ!さあ、思う存分ダクネスをいじめなさいな!」
おお、これでダクネスをいじめることが…ん?
「アクア今お前ダクネスをいじめるって」
「気のせいじゃない?」
そっぽを向いたアクアがそんなことを言ってくる。まあ、ダクネスもそんなに弱くはないはず。
「では、私から行くぞライ!」
「えっちょっ!」
そう、前触れもなくいきなり突っ込んできたダクネスが、慌てる俺へ向かって大剣を振り上げ…!
大剣は俺の少し手前の地面を斬り裂いた。
「…ん?」
なんか知らんが、今がチャンス!
攻撃が空振りして隙だらけになっているダクネスのデカい胸に、多少手加減した俺のハンマーが食い込んだ。
「なんか勝った気がしないが、勝負あったな」
俺はそう言ってその場を立ち去ろうと…
「何を言っている。私の防御力を舐めているのではないか?私にはまだ傷ひとつないぞ。そんな攻撃ではゴブリン一匹倒せやしないだろう」
ダクネスがそんなことを言ってきた。
「まったく、カズマの国の偉人の力まで借りておいてたったこれだけとは悲しいものだな…これならまだその辺のチンピラの方が」
「そこまで言うならやってやろうじゃねえか!吹っ飛んで大怪我しても知らねえからな!」
ダクネスの発言にイラッときた俺は全力でダクネスを殴るが、鎧が少し傷ついただけで、ダクネスはそれを簡単に受け止める。
上等だ、俺の本気を見せてやる!
俺はダクネスに次々と全力の攻撃を叩き込むが、まだまだ俺のレベルが足りないせいか、ダクネスは余裕そうな顔をしている。まるで「俺にはガッカリだ」と言わんばかりの顔を。
更にイラついた俺は、ガンガンセイバーの目玉のシンボルマークをゴーストドライバーに近づける。
『ダイカイガン!オメガボンバー!』
ハンマーを地面に叩きつけ、発生させたベンケイの7つ道具を模したエネルギー弾を次々とダクネスに叩き込んだ。
しばらくすると、煙が晴れ、そこには鎧をボロボロにしながら赤い顔をした元気なダクネスが。
「んっ…やれば出来るじゃないかライ、それだ、その攻撃だ!さあ、もっとこい!もっと私を楽しませろ!」
そんなダクネスを見て俺は悟った。
そっかぁ…こいつ、ただのドMだ。
勝負はダクネスの勝ちにして、俺は逃げるように帰った。
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ダクネスとの決闘から数日。
俺はウィズの手伝いで、店の新商品の陳列をすることになった。
「すみません、ちょっと手を火傷してしまっていて」
「全然大丈夫だよ、家を貸してもらってる身だし。どうしたんだ?火傷だなんて」
「アクア様が朝のうちに店のドアノブに聖水をかけていったらしく、うっかりそれを触ってしまいまして…」
「あの駄女神は今度シバいておくからな」
そんな話をしながら商品を箱から出していく俺達。見ると、面白そうな商品が沢山ある。
「しっかし魔道具店だなんて、本当に宝の宝庫だな。これはどんなポーションなんだ?」
「それは、服用するとアクセルの街全体を覆うほどの自爆が出来るポーションです」
「すごいな、魔王城に乗り込んでこれを飲もうものなら自らの身を投げ打って魔王城を壊滅させることが出来る、まさに英雄になれる道具じゃねえか!それがたったの20万エリス!?破格じゃないか!」
「ですよね!ですよね!?なのに何故か売れないんですよ、何故なんでしょう」
「それはなかなか謎だな…この街の冒険者はこれの何が気に入らないのか…」
「それこの街で誰かがうっかり飲んだら大惨事だよな」
「じゃあこれはどんな道具なんだ?」
「それはセンプウキと名付けられた、風を起こす新商品です!夏に風で涼むことの出来る優れものなんですよ!使い方も簡単で、その羽根の背ろの部分に魔力を流し込むだけなんです!両手で魔力を流し込まないと動かないんですけどね」
ウィズがセンプウキの背後に回り込み、魔力を流すと羽根が回って風を起こし始めた。店内にいた俺達を店の外まで吹き飛ばす強力な風だ。
「凄いなこれ!すごく涼しかったぞ、俺が保証する、これは絶対バカ売れ商品になる!」
「ならねえよ、風力強すぎだし、魔力を注いでる本人は一切涼しくねえだろ!?これホントはモンスター吹き飛ばす用の魔道具なんじゃねえのか!?
「分かっていただけるんですか!!さすがライさん、見る目があります!」
「おうよ、この価値が分かんない奴なんて冒険者に向いてるとは言えねえだろ!」
そう言った俺は、先ほどから店内にいて商品の悪口を言う一人の男を見る。
こいつはダスト、この街で暴れ回るタチの悪いチンピラ冒険者だ。
俺は商品を買うでもない、何しに来たのかわからないダストに向けて。
「この価値が分かんない奴なんてとてもじゃねえが人間じゃねえだろ!」
「もう一度言わんでいいわ、お前らの見る目のなさはよく分かった!ていうかお前今さらっと俺を人外扱いしたろ!人間じゃなきゃ俺は一体何だっていうんだよ!
「ダスト」
殴りかかってきたダストを軽くあしらった俺は、外のダストボックスにダストを返してやることにした。
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カズマに頼んで、もうひとつ眼魂を覚醒させてもらった俺は、街の近くに発生したファイヤードレイク退治のクエストを受けることにした。
なんでアクセルの街の近くにファイヤードレイクなんて出たのか不思議だが、最近近くに越してきたらしい魔王の幹部とやらが関係しているのかもしれない。
街を出て、ファイヤードレイク達の目撃情報があった森に向かう。
道中、遠目に何かの大軍が通ったのが見えたが、商隊にしては馬車もなかったような。
…まあいいか。
『開眼!ロビンフッド!ハロー!アロー!森で会おう!』
今回覚醒させた偉人は、ロビンフッド。
弓が得意だったと伝わる、異世界の義賊だという。
そう、弓が得意な俺にはうってつけの偉人だ。
慎重に森を進んでいくと、情報通り数匹のファイヤードレイクがうろうろしていた。
高い木の上に飛び乗っていた俺は、ガンガンセイバーに新たなアイテム、コンドルデンワーを装備し、熱そうなトカゲに狙いを定めてガンガンセイバー アローモードから光る矢を放った。
いやはや、こんな低レベルのうちからファイヤードレイクを狩れるとは夢にも思っていなかった。
死んだというのはゾッとしないが、結果オーライと言うべきだろう。
そんなことを考えながらアクセルに帰ってきた俺が目にしたのは。
門の前に集まる、大勢の冒険者と。
めぐみんを庇ったダクネスに、死の宣告を与えるデュラハンの姿だった。
「クルセイダーの呪いを解いて欲しくば、俺の城に来るがいい!俺のところに来ることが出来たら、呪いを解いてやろう!だが、低レベル冒険者ばかりの貴様らにたどり着くことが出来れば、の話だがな?クハハハハハ!」
ダクネスに呪いをかけ、あのドMに少々絡まれていたデュラハンはやがて、勝ち誇ったように笑い声を上げながら俺の隣を通り過ぎていった。
「お前ら!大丈夫か!?」
俺は慌てて駆け寄ったが、暗い顔をしためぐみんが俺の隣を通り過ぎていく。
「おい、どこ行くんだ!?」
カズマが声をかけると、めぐみんは明るい顔で。
「ちょっとあのデュラハンに直接爆裂魔法ぶつけて、ダクネスの呪いを解かせてきます」
マジか。
それを聞いたカズマははぁーっとため息をつくと。
「俺も行くよ。めぐみん一人じゃ爆裂魔法一発打って終わりだろ?俺がいれば城のアンデッドから隠れながらベルディアのとこまで行けるかもしれない」
あのデュラハンはベルディアと言うらしい。
ならば。
「俺も混ぜてくれよ、お前ら二人よりは戦力になれるんじゃないか?」
俺の申し出に、めぐみんは一瞬嬉しそうにしたが。
「それは嬉しいのですが、これは私達の問題ですし…」
「みずくさいこと言うなよ、この街にやってきたデュラハンの標的がたまたまお前達になっただけだろ?お前らは何一つ悪くないじゃないか。俺は虫けら見たいに人間を殺すデュラハンが許せない」
「どうしましょうカズマ、ライは私達がやらかしたこと知らないみたいですよ」
「黙っとけよ、戦力には違いないだろ?ここは好意に甘えようぜ」
俺の言葉を聞いた二人は、何かコショコショ言ったかと思うと。
「じゃあお言葉に甘えることにしましょうかね」
そう言ってめぐみんが俺に笑いかけ…
「『セイクリッド・ブレイクスペル!』」
それは、ダクネスをぺたぺた触っていたアクアがかけた魔法。
「この私にかかれば、デュラハンの魔法なんか簡単に解除できちゃうわよ!どう?私もたまには役に立つでしょ?」
俺達のやる気を返せよ。
覚醒した眼魂:3個
次回で一巻の内容は終わる予定です。
期待されてしまうと悪いので先に謝罪しておくと、ベルディア戦はない予定です。
ていうか今の実力じゃ普通に勝てません。
次回は今週の木曜日の夕方あたりに更新する予定です。
いつもは予告しないけど、今回は予告しちゃったので予告通りに更新出来るように頑張ります。