青の少女のヒーローアカデミア   作:かたやん

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第44話

「くおおおお! 何故だ!? 何故!?

 よりにもよってこんな時に腹が痛くなるんだよぉ!?」

 物間寧人はもだえ苦しんでいた。

 彼はスタジアムのトイレ。その個室の便座に、腹を押さえながら座り込む。

 腹の中身が踊り狂っている。

 物間も十分注意していた。

 体調管理はヒーローの基本だ。気を使わない筈がない。

 だがしかし。今物間を襲っているのは間違いなく下痢。

 腹も減っていないのにぎゅるぎゅる音が鳴る。

 下腹部の腸がのたうち回る。

「ああああ! ふざけんなよぉ! あああああ!」

 それがとある人物の”個性”によって、もたらされたモノだと知らず。

 彼はひたすらトイレで苦しみ続ける。

 物間のチームは、彼を除き騎馬戦を行う事になる。

 

……。

 

「首尾は?」

 スタジアムの一角にある個室。

 そこに居たのは法月将臣。そしてもう一人は、中性的な顔の人物だった。

 その人は彼か、果たして彼女か。

 男か女かは見た目だけでは分からない。

「バッチリっすよ、とっつぁん! 今頃、取って置きの下痢ピーで苦しんでいるっす!

 しっかし彼も運がないっすねー……」

「安全を確保するためだ、仕方があるまい。こちらとしても、青石ヒカルの参加は意外だった。

 想定してはいたがな。それに……」

「それに?」

「……ともかく、奴は排除する必要があった」

 法月の言葉に、その人物は頷く。

物間寧人(ものまねいと)、個性”コピー”……っすか。

 いやー……そっかー。確かにこれはこれは。

 もしうっかりアズライトをコピーしちゃったら、どうなってたんすかね?」

「誰にも分からん。だがそのまま物間が”昏睡病”になる可能性は十分にあった」

「もしかして最悪、もう一度あの災害が?」

 法月は頷く。

「あったやも知れん。予期しうる事故は避けなければならん」

「ま、そうっすね。それにしても……あーあ、貴重なストックだったんすけどねぇ。

 こんな事で使うのは勿体なかったというか、何と言うか……」

「また溜めればよい」

「人の気も知らないで! こちとらストックするのにも、必死なんすよ!

 簡単に言わんで下さい!」

 彼らは水面下で予期しうる災害を回避するために動いていた。

 彼らの暗躍を知る者は、他に誰も居ない。

 雄英の平穏は、一人の生徒を犠牲にして。秘密裏に、また守られていた。

 

……。

 

 人は生まれながらに平等じゃない。

 それは皆が知る社会の現実。

 

 緑谷出久と爆豪勝己は幼馴染だ。

 爆豪はあらゆるセンスがずば抜けている。

 何でもやればできてしまうタイプであり、彼の自尊心はそれは凄いものだった。

 自信に満ち溢れた爆豪の姿は、緑谷にとって憧れだった。

 

「逃げてんじゃねぇよ糞ナード!」

「かっちゃん……!」

 緑谷の目が青く染まる。

 ”ワン・フォー・オール”の力を彼は一部だけ放った。

 ハチマキに手を伸ばしていた爆豪が風圧で吹き飛ぶ。

「ぐっ! クソ!」

「うわああああ!?」

 だが器用に空中で一回転し態勢を整えて、着地した。

 青石も、何とかしがみ付いている。

『さぁ、始まった騎馬戦! 15分の間ハチマキを奪い合う残虐バトル!

 開始早々最初にハチマキを奪ったのは爆豪チームだ!

 そのまま緑谷チームに襲い掛かる! キレッキレだ!

 だが……青石が個性使う気配がねぇな?

 あっと言う間に、全部獲っちまうものだと思ってたんだがな!』

『爆豪から止められてんだろ。

 さっきも言った通り、青石に頼りきりで勝っても評価はされない。

 爆豪は自分の力だけで、この騎馬戦勝つつもりだ』

『おいおい、それじゃむしろ、お荷物抱えてむしろハンデじゃねぇか!』

『……そうかもな』

『おっとこれは! その爆豪が先ほどから執拗に緑谷チームを狙ぅ!

 ていうかアレ騎馬って言っていいのかよ!?』

「アリよ!」

『マジか!』

 ミッドナイトはハッキリと言い切った。

 主審がそう言うのならそうなのだろう。

 その最中、爆豪と青石の二人が、執拗に緑谷を狙っていた。

 正確に言えば爆豪が、だか。

「ちょっと着火マン! なんでそんなに緑谷君狙うの!?

 一旦落ち着いて他を……」

「うるせぇ! 口出しすんな! お前は俺の背中に乗ってりゃそれで良いんだよ!」

「馬鹿ぁ! もう腕キツイよ……辛いよ……」

 空中から聞こえる声に視線を向ける。

 青石ヒカルは、爆豪の背中に引っ付いているだけだ。

 彼女は爆豪の両手が自由になる様に、胴体の方に手を回している。

 相当きつくて疲れる体勢の筈だ。

 が、歯を食いしばって何とか維持しているようだ。

 一応あれでも騎馬と認められるらしい。

 というか運営が、二人騎馬の存在自体想定していなかった。そのように見える。

 実際、具体的にどの様に騎馬を組むのか、指示は一切なかった。

 それも雄英の自由を尊重する校風か。あるいは自分の頭を使って、ルールの隙間をつく努力をしろという事か。

 いずれにせよ、爆豪達は変則的ながらも、騎馬と認められている。

 と、青石が動きを見せた。一瞬で何やら紐らしきモノを作り出す。

 緑谷の意識に緊張が走る。だが彼女はそれを。

「えいやっ!」

 爆豪の胴と、青石自身に一瞬でグルグルに回して固定した。

 まるで抱っこ紐だ。

 彼女が紐を括りつける様子は、まるで見えなかった。

 それこそ一瞬で巻き終えていた。

 掴まっている労力から解き放たれて、彼女は先ほどまでより余裕のある表情になる。

 爆豪は舌打ちしながら、青石に何事が言っている。

 青石はそれに頷く。

 そして爆豪の両手が点火して、再び緑谷の方に突撃してきた。

「デク君!」

 麗日の焦った顔。

「緑谷任せる! 俺の黒影(ダークシャドウ)は奴と相性が悪い……」

 同じチームの常闇踏陰(とこやみふみかげ)に緑谷は頷く。

「分かってるっ……!」

「私のベイビーは!?」

「まだ使える状況じゃない……! かっちゃん相手に上に飛んでも、マトになるだけだ……!」

「ええっ……こんな筈じゃあ……」

 そして四人目のメンバー、発目明(はつめめい)は不満そうな表情をしている。

 彼女はサポート科の生徒だ。

 緑谷に目を付けた彼女。どうやら自分の技術力を売り込むチャンスだと思ったらしい。

 注目を浴びる緑谷のチームでサポートアイテムで活躍し、一気に注目を集める。

 その予定だった。打算バリバリだ。

 でも緑谷はそれを汚いとは思っていない。

 自分の好きな事に一生懸命な姿勢は、短い時間でも嫌という程伝わってきた。

 爆豪のいつもの大ぶりの右手の一撃。

 それを緑谷は受け止める。

「クソデク!」

「かっちゃん! いい加減しつこいんだよ! 勝てないって分ってるだろ!」

「ああ!? ……てめぇいつからそんなに偉くなりやがった?

 調子乗ってんじゃねぇ!」

 空中から襲い来る爆豪。それを緑谷は迎え撃つ。

 周囲の状況も同時に気を配らなくてはいけない。

 漁夫の利をねらうチームも居るだろう。

 

 爆豪と戦闘を繰り広げる。

 あくまで、ハチマキを奪い合うための小競り合いだ。

 緑谷の思考が加速する。アズライトの力により、フリッカー融合頻度が高くなり。

 体感上、時間が通常の10倍にまで引き延ばされる。

 何度も伸ばされる爆豪の手を、緑谷は軽くあしらう。

 アズライトで思考力を強化して、ワン・フォー・オールで実際の動きを補強する。

 予測出来ない変則的な攻撃も、今の緑谷は”見て”から適切に反応できる。

(くそっ……こうなったらフルカウルで……いや駄目だ)

 今すぐ爆豪を吹き飛ばすことは簡単だ。

 だがそれは出来ない。

 悪質な崩し目的の個性の使用。それがどこまでOKで、どこからがNGか明確にされていない。

 それはミッドナイトの裁量で全ては決まる。

 だから緑谷も、あまり派手なことは出来ない。

 レッドカードを貰い一発退場は避けたいところ。

 個性の使用は、あくまでハチマキの奪い合いで使用しなければならない。

「おらぁ!」

 爆豪が片腕から爆発を起こす。それを緑谷は、上半身をひねって躱す。

 だがそれは目くらまし。

 続いて反対側の手が、緑谷のハチマキに伸びている。

「やらせるか!」

 緑谷はフリッカー融合頻度を更に上昇させる。急激にゆっくりになる景色。

 爆豪の動きを正確に、時間をかけて見切る。

 思考速度は通常の20倍。

 高まった反応で、爆豪の腕をしっかり掴む。

 スローモーションになる世界の中、緑谷は”ワン・フォー・オール”でいつも通りの速さで動く。

 ”ワン・フォー・オール”の力は、そのまま速度にも直結する。

 通常では不可能なレベルの運動を”ワン・フォー・オール”は可能にしていた。

 緑谷は爆豪の腕が折れないように、慎重に力を調整する。

 本当は青石ヒカルのハチマキを取りたい。

 だが、爆豪の背中の彼女。その首のハチマキに僅かに手が届かない。

「仕方ない!」

 爆豪の持っていた慣性を利用して、そのまま受け流して放り投げた。

「クソがぁああ!」

「わああ!?」

 すぐさまに空中で態勢を整える爆豪。青石は急激な動きに目を回している。

 だが爆豪は、再び爆発を利用して空を跳ねまわる。

 青石は気分が悪いのか、口元を押さえていた。

 空中から、ちょこまかとちょっかいを出してくる爆豪チーム。先ほどから非常に鬱陶しい。

 おかげで緑谷達は、ハチマキの奪い合いに参加できていない。

「デクぅ! ビビってんのか!? あ!?」

 緑谷はしつこく迫ってくる爆豪に辟易していた。

 もうこの応酬だけで五、六回目ぐらいにはなる。

 また懲りずに緑谷を追い立てる爆豪。

「っ! やり……辛い!」

 緑谷は再び爆豪を撃退する。

 だが爆豪は諦めた様子はない。

 最初に爆豪が他チームからハチマキを奪ったその頃は、青石ヒカルが個性を使う気配がなく、そこまで注意しなくても良い。

 そう思っていた。

 それよりも他の4人、3人チームを警戒するべきだと考えた。

 さすがの爆豪といえ、人数で劣る分、脅威は他と比べると少ない。

 そう思っていたのだ。

 だが

「くそっ届かない……!」

 爆豪と青石の二人騎馬は、想像以上に厄介だった。

 たった二人だけで重量も小さく、他と比べて機動力が全然違う。

 何より移動する際、意思疎通する必要がない。

 騎馬戦である以上、緑谷含めた他のチームは、移動の際に指示しなければならない。

 馬の生徒が各々勝手に動いては、騎馬にならない。

 だから咄嗟の際に半歩反応が遅れる。

 後ろを振り向くのも容易ではない。

 けれども青石を背に乗せただけの爆豪は、思うがままに自在に動き回れる。

 それは想像以上の、アドバンテージになっている。

『爆豪チームが緑谷チームを執拗に追う! まるでストーカーだ!

 ていうかアレだな! こうして見ると二人騎馬って全然戦術としてアリだな!』

『ああ、人数が多くなると対応できる場面が増える。

 だが反面小回りに欠ける。

 爆豪は荷物を背負った状態だが、自分で好き勝手に暴れ回れる訳だ。

 機動力なら他のチームの追随を許さない』

 一向に先ほどから状況が良くならない。

 緑谷もいい加減じれったくなってきた。

「デク君! 一旦逃げよう!」

 麗日の提案に皆、首を縦に振る。

「うん」

 幸い爆豪チームに絡まれている間、他のチームは手を出してこなくなった。

 最初こそ皆、爆豪チームに殺到した。

 だが爆豪達の本領が発揮されてからは、別の騎馬を狙うようになった。

 

 彼らは非常にすばしっこい。追うのにも一苦労で、中々手を出しづらいのだろう。

 だがそれ以上に、今は青石ヒカルが個性を封印しているから、競技になっている。

 彼女が気まぐれを起こしてしまったら、途端にクソゲーだ。

 そうならないよう、腫れ物を触るかの如く対応しているのだ。

 眠れる獅子にはそのまま眠っていてもらい。1位は基本的に諦める。

 2位から4位に入れば決勝には行ける。

 そのように考えている筈だ。

 もっとも青石ヒカルが居るので、決勝戦に行ったとしても、活躍できるかは組み合わせ次第だ。

 緑谷チームはとにかく、爆豪から距離を取る。

 爆豪チームから、ハチマキを取る事は現状難しい。

 青石ヒカルのハチマキに手を伸ばそうにも、取ろうとした瞬間に距離を取られてしまう。

 だから一旦撤退する事にする。

 緑谷の支持する方向に騎馬の3人は全力で進む。

 まだ緑谷チームは、他からハチマキを取れていない。

 安全圏に入るためにも、他から少しでもポイントを取っておきたかった。

「コラデク、何逃げてんだよ! あ!?

 随分と派手な”個性”じゃねぇか! ……ずっと俺を騙してたんだろぉ!?」

「何を言っているんだ爆豪は?」

 訳が分からないと言った感じに常闇が口を開くが。

「……何でもない、ただの勘違いだよ」

 緑谷は取り敢えずそれは置いておく事にする。

 今は勝負の最中。余計な事は考えるな。

 そう自分に言い聞かせていた。

 

……。

 

「着火マン! いい加減もう緑谷君は……」

「うるせぇ! てめぇは黙ってろ!」

 青石ヒカルは爆豪の背中から声を上げる。

 けれども爆豪は聞く耳を持たない。

 どうやら爆豪は、緑谷出久に執着しているようだ。

 互いが知り合いだという事は知っていた。同じ中学校だったらしい。

 でも青石は両者が、中学以前からの関係だと知らない。

 散々言っても全然聞いてくれないので、青石は

「ふんだ! もう知らない!」

 ふてくされてしまった。

 先ほどまでとは違い、紐で固定しているからか、心に余裕が出来ている。

 爆豪に揺さぶられながら周囲を見渡す。

 青石達は1000万ポイントを持っているのに、誰も挑もうとして来ない。

 何故だろうと青石は疑問に思う。

 競技が始まった一番最初は、騎馬がいっぱい寄って来ていた。

 だが緑谷達と爆豪がやりだしてからは、遠巻きに見ているだけだ。

 巻き込まれたくないのは分かるが、それにしても違和感が有る。

 青石が個性をまともに使う気はない事は、既に察している筈だ。

 青石はこの騎馬戦で、まともに戦う気はない。正確には戦えない。

 爆豪の自分一人の力で勝つ。その凄まじい気迫に押されていた。

 爆豪がこう言っている以上、邪魔はしたく無い。

 確かに青石は爆豪が嫌いだ。が、彼のプライドを傷つけたく無い。

「……ねぇ着火マン……」

「あ!?」

「どうしてそんなに、緑谷君に拘るの?」

 先ほどから緑谷にあしらわれ、爆豪は気が立っている。

 けれども仕方がない。爆豪は知らないが、緑谷は”ワン・フォー・オール”の継承者なのだ。

 充分に使いこなす事は出来ていない。

 だが今はアズライトの力も持っている。

 青石ほど適性を持っていないしても、その力は折り紙つきだ。

 そのアズライトの力により、”ワン・フォー・オール”の力を無理やり引き出している。

 今の彼はオールマイトに及ばずとも、並みのプロヒーローですら勝てる相手ではない。

 

 もちろん爆豪が一位に拘っている事は、既に知っている。

 だがそれにしても爆豪は、”緑谷出久”に対して、何かしらの因縁が有るのではないか。

 青石はそう思えてならなかった。

 一体何が、そこまで執着させるのか。

「……拘ってなんかねぇ。けどアイツは……」

「緑谷君は……?」

「チッ……ムカつくんだよ! お前も緑谷も! 黙ってろ舌噛むぞ!」

「うわぁ!?」

 爆豪はまた緑谷に向かっていく。

 再三再四、空中から緑谷のハチマキに手を伸ばす。

 だが伸ばした手は、緑谷にその度弾かれる。人間では、到底あり得ない程の反応速度。

 緑谷は完全に、爆豪の攻撃を見切って対応している。

 それは恐らくアズライトの力だろう。

 緑谷は徐々に、アズライトの力に目覚めている。

 青石と同じように、思考速度を強化できてもおかしくない。

「クソ……クソが!」

 流石に連続での飛行にも限界が来たのか。一旦爆豪は着地する。

 額から汗がダラダラ流れ落ちている。

 青石は小柄で軽いとはいえ、流石の爆豪も背負ったままはキツイ。

 そして緑谷との戦闘。

 いかにタフネスに溢れる彼でも、疲れるには充分すぎる。

 青石は何となく、爆豪の汗のにおいが気になって、すんすん嗅いでみる。

 とても汗臭いと思った。

「着火マン…… ……! 後ろ!」

「あ? ……ちっ!」

 青石はあることに気付いて爆豪に警告した。

 言葉だけでは聞いてくれなさそうなので、同時に肩をポカポカ叩く。

 爆豪は最初嫌そうに振り向いたが、視線の先に気付くと、すぐさまその場から退いた。

 瞬間、先ほどまでいた場所が凍り、氷塊に包まれた。

「悪ぃな……()()。そろそろ獲りに行かせてもらうぞ」

「半分野郎……」

「轟君! 飯田君! ……八百万さんも」

 轟達の騎馬がそこに居た。

 轟に飯田に八百万。いずれも普段青石に仲良くしてくれる友達。

 そこに上鳴電気(かみなりでんき)を加えた4人チームだった。

 再び氷結で攻撃してくる轟。爆豪は個性を使わずに、足を動かし躱した。

「ちょっと! ミッドナイトさん! 崩し目的の攻撃は駄目なんじゃないの!?」

「うーん……コレは有り!」

「なんでぇ!?」

 青石は悲鳴を上げるが、誰も取り合わない。

 再び爆豪の背中で揺さぶられる。

 轟焦凍の個性は”半冷半燃”。だが戦いにおいて轟は右の氷結しか使わない。

 炎の方は専ら氷を溶かす時に使っている。

 轟の父親はかのナンバーツーヒーロー”エンデヴァー”だそうだ。

 彼は父親の事を嫌っているようだ。その父親から受け継いだ力は使いたくないのだろう。

 青石は轟に直接聞かされては居ないが、その結論に到達していた。

「はっ……どいつもこいつも……ムカつくなぁ!」

 爆撃と氷結とが激突する。

 細かくバラバラになった氷が、爆発の熱で溶けてキラキラ舞った。

 青石はそれを見て連想する。ずっと前映像の中で見た雪とは、似たような物なのかなと思った。


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