青の少女のヒーローアカデミア   作:かたやん

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第66話

 いつの間にか空は雲で覆われている。急がないと雨が降り出すかもしれない。

 今日の授業はロボットを使う。尚更急がなくては。

 漏電対策はしてはいるが、100%安全だとは言えない。

 生徒が感電死でもしたら、笑い話にすらならないだろう。

 

 相澤は簡単に授業の概要を説明し終えた。

 いつものと言えばいつもの内容。

 ロボットの仮想(ヴィラン)との戦闘訓練だ。

「思いっきりぶっ壊してOKってことか!」

 切島が腕が鳴るぜと張り切っている。

 相澤は視界の隅の青石がようやく泣き止んだのを確認した。先ほどから麗日に慰めて貰っていたがようやく落ち着いたらしい。

 まぁ緑谷との言い争いはいつもの事だ。仲のいい友人同士直ぐに元の関係に戻るだろう。

 相澤は特に心配はしていなかった。

「先生」

 八百万が手を上げる。

「質問か八百万」

()()()思い切り壊しても良いんですね?」

「そうだ」

「それはどうしてなのでしょうか?」

「……質問の意味が分からん」

 本当は何となく察したが、敢えてぼかして返した。

 八百万は首を横に振る。

 張り切っていた切島は、ポカンと疑問そうな顔になっている。

「何言ってんだ八百万? 戦闘訓練だぜ?

 それに相手はロボットだ。気にする事じゃねぇだろ?」

「そうじゃ有りませんわ、切島さん。

 相手はロボット。それ故に相手の怪我や命の危険を、一切考えずに攻撃しても構わない。

 ()()()()()()()()()()()()

 八百万は真っすぐに相澤の方を見てくる。

(やはり八百万は気付いたか……。このロボットを使った授業の真意を)

「……お前らもう何度かやってるな? ロボットを使った戦闘訓練」

 1-Aの生徒は一斉に首を振った。

「だがおかしいと一度も思わなかったか?

 世間でいう(ヴィラン)は何だ?

 お前らは(ヴィラン)を想像するとき、それはロボットか?

 ロボットがぶっ壊れる衝撃を本当に人間が受けたら、一体どうなると思う?

 お前らがヒーローになった時、実際にロボットと戦う機会がどれくらいあると思う?」

「それは……」

「ない……と思います」

「えっ? あっそうか。でもだったら何で?」

 生徒たちは授業の意味を探り始めたようだ。

 八百万の言葉で今まではただ消化するだけだったカリキュラムの意味。

 それをようやく考え始めている。

「馬鹿、そりゃ安全を考慮してだろ」

「本当にそれだけかな?」

「じゃあ何の意味があるってんだよ?」

 八百万や相澤を置いて生徒たちの間で議論が交わされている。

 既に授業は始まっている。

 本来の相澤ならとっくに「合理的じゃない」と止めて、授業に戻すところだ。

 だがそれは今回はしない。

 今生徒たちは、本当に重要なものに気付き始めている。

 考えたら違和感だらけの筈だ。

 なぜ戦闘訓練で壊していいロボットを使用するのか?

 (ヴィラン)は生身の人間だ。

 各々”個性”が有って千差万別ではある。状況もその時々で全く違う。

 だがヒーローには守らなくてはならない大原則がある。

 ヒーローは(ヴィラン)を殺してはいけない。

 けれども、この授業はその原則に真っ向から対立している。

 その矛盾に生徒は気付き始めた。

「よく考えたらよ。ロボットが壊れるような攻撃人間にしたら、下手すると死んじまうぜ?」

「ヒーローは(ヴィラン)を殺してはいけない。……なのに何故?」

 更に生徒たちの熱が高まる。

「そうだ……おかしい。(ヴィラン)は生身の人間……。

 本来はロボットを使わず、もっと対人を意識した訓練をしないといけない筈なんだ」

「だったらどうして……?」

 そろそろ答えを言っていいかと思い、相澤は口を開いた。

「お前達」

 静かだが声は良く通った。

 生徒たちは一斉に口を閉じる。

 相澤の目が細くなる。

「もう、分かっただろう。そうだ。本来はこんな授業”合理的じゃない”。

 ……()()、はな。

 (ヴィラン)はお前たちが言っている通り、生身の人間。

 それを意識した対人戦闘を行うのが、普通。当たり前の話だ。

 ロボットと戦うなんてそんな機会、全くないとは言わんが……。

 殆ど存在しないからな」

「なら……!?」

「……思い切り壊してもいい……怪我も考慮しなくてもいい……。

 つまり……そういう事ですか」

 飯田がまず察したらしい。

 八百万はとっくに気付いている。青石は最初から言わずもがな。

「どういう事だよ委員長」

「つまりこれは……。いざという時に……。

 ためらいなく人を殺せるようになる。

 その為の訓練をしている。そういう事だったんだ」

 相澤は頷く。

 クラスの空気が凍り付いた。

 空の遠くから鳥の声が高く鳴り響く。

 既に授業が開始され十分経とうとしている。

 いつもの授業はもう無理だなと、相澤は察した。

 

…………

 

………

 

 

「いざという時に……。

 ためらいなく人を殺せるようになる。

 その為の訓練をしている。そういう事だったんだ」

 飯田の声をぼんやりと緑谷は聞いていた。

 だがその一言で現実に急に引き戻される。

「何を言ってるの飯田君?

 僕たちがなるのはヒーローだよ? 人は殺さない。

 (ヴィラン)は必ず生きて捕まえなくちゃいけないんだ」

 だが相澤から言葉が投げられる。

「だったら何でロボットをぶっ壊す授業がある?」

「えっ?」

「本当にお前の言う通りなら、対人訓練ばかりしていればいい。

 最初のオールマイトの授業のようにな」

 相澤は緑谷を見てくる。相澤だけではない。クラスメイト達全員が見てくる。

「生徒の……安全面を考慮したうえで……」

「それは雄英側が、表向き用意した方便だ。

 本当の意味は別にある。分からないか?」

 緑谷は言葉に詰まった。

 そう、本当に緑谷の言う通りなら、対(ヴィラン)を意識しなければならない。

 殺さずに無力化する術を学んでいく必要が有る。

 ――だが、ロボットを使った授業はそれのまるで逆。

 とにかくぶっ壊してOKだ。

 やりすぎで怒られたという事は無い。

 実際に人に向けたら死んでしまう攻撃を、ロボットに向けてやっても注意されないのだ。

 しかし、それはよく考えたらおかしい。

 本当にヒーローが”人を殺さない”という原則を守らせようと考えているならば、そこは修正されないといけないのだ。

 攻撃は常に人を殺さないような威力に調整する。

 そのように、求められないと辻褄が合わない。

「……緑谷、お前の個性。本気で人に向ければどうなるか、言うまでも無いな?」

 緑谷は頷く。

「緑谷だけじゃない。ここにいる全員だ。前に13号が言ったな?

 全員、その気になれば人を殺すなんて簡単な力を持っている。

 個人が持つには余りにも行き過ぎた力だ」

「それは言われなくても分かってます!」

「じゃあ何でロボットをぶっ壊す授業を?」

 切島の質問に相澤はしれッと答える。

「必要だからだ」

「だから何で!?」

 若干切島は苛立っている。

 ずっと信じてきたのに裏切られた。そんな顔をしている。

「仮定の話だが……無事このまま学生生活を終え、社会に出てヒーローになったとしよう。

 そして色々な事件や(ヴィラン)を見る事になるだろう」

 全員黙って聞いている。

 もっとも先ほど青石が、(ヴィラン)の居ない世界。ヒーローの要らない世界にしたいと言っていたばかりだ。

 そうならなかったとして、これまで通りの社会のままでいたとしての、仮定の話。

「逆に聞くがお前ら。その時に、全部を全部。

 (ヴィラン)を全く殺さず解決できるのか?」

「ヒーローは人を殺さない!」

「話を遮るな緑谷。だが(ヴィラン)がそれを必ずしも許してくれると思うか?

 奴らは何でもする。本当に文字通り()()()だ。

 人質、脅迫、囮、挑発、罠……。考えたらキリがないほどにな。

 奴らは民間人も平気で巻き込んでいく」

「だったらどうしたと言うんですか?」

「お前は(ヴィラン)の命と、民間人の命。どちらを優先して守らなければならない?」

「だからそれは……!」

「民間人です。当たり前の話です」

 八百万がきっぱりと答える。

 相澤が首を縦に振った。

「じゃあその次は?」

 相澤が続けて問いかける。

「仲間のサイドキックや、自分の命です」

「では(ヴィラン)の命は?」

「優先順位的に言えば最後、になります」

「正解だ」

「で、でも! そんなのおかしいよ!」

 思わぬ人物が声を上げた。

 青石ヒカルだ。

「命の価値に差なんてない! 皆、同じだよ! ヒーローも民間人も……(ヴィラン)も!

 皆生きてるんだ、命に優先順位をつけるなんて……」

「そうせざるを得ない。そういう話だ、青石ヒカル」

 相澤が青石の方に歩み寄った。

 青石の顔と、相澤の背中が見える。

 青石は完全に戸惑った顔をしていた。

「でも!」

「全員が全員お前のように、完璧に助け切れたなら、誰もこんな話する必要はねぇ。

 でもな俺たちは、お前のような力は持っちゃいない。

 時には全員助けられないことだってある。

 ……もちろん最善を尽くす。

 だが、時には民間人を守るため。自分を守るために、(ヴィラン)を殺さなくちゃいけない。

 そんな時も有るんだ」

 相澤の話を聞いて、緑谷も疑問が解けた。

 皆の顔を見る。きっと自分も同じような顔をしているんだろう。緑谷はそう思う。

「ヒーローは人を殺さない。()()()()()なんじゃないの相澤さん?」

()()()()()()()だ。……人の命に代えられるもんじゃない。

 とりわけ巻き込まれただけの、関係のない民間人とかは特にな」

「……現代のトロッコ問題ですわね」

「トロッコ問題?」

「後で調べるのをお勧めしますわ」

 切島が八百万に聞いていた。

 緑谷もトロッコ問題くらい知っている。

 ようは命の選択の問題だ。

 救える命が限られている状況で、何を基準に救う対象を決めるのか。

 それの思考実験だ。

 同じことがこの社会でも起きている。

(ヴィラン)を殺さなければ、民間人(だれか)が犠牲になる。

 そんな状況になった時を想像しろ。

 大抵の場合、考えられる時間なんてそんなに無い。

 時には一瞬で判断を要求される。その時、今のお前たちはやれるのか?

 体が動くか?

 いざという時”出来ません”じゃ済まされないんだぞ」

「だから”いざという時”。躊躇わず攻撃……命を奪える訓練をしている。そういう事ですね」

「そうだ八百万。本来はそんな訓練せずに済むなら、俺だってやりたくない。

 だが仕方がない。命の取捨選択を迫られる場面で、判断を誤らせるわけにはいかない。

 甘えを持った奴から死んでいくんだ……。

 いざという時、殺す覚悟が無い奴はヒーローには向いていない」

 青石が俯いていた。

 緑谷は何て言ったらいいか分からない。

 オールマイトが前に何度も言っていた。

 プロはいつだって命懸けだと。その言葉の裏に、いったいどれ程の死線の数が有ったのだろうか。

 相澤先生が言わんとする事、伝えたい事は分かった気がする。

 ヒーローは人を殺してはいけない。それは原則。

 だがいざ民間人や、仲間が犠牲になろうとしている時。本当に(ヴィラン)を殺さずに済むだろうか。

 いや、そうでは無いと相澤は言っている。現実は甘くない。

 時には命を取捨選択しなくてはならない。

 例え、正解が用意されていなくても。どれかを選ばなければならない時が、いつか来るのだ。

「だからこそ、雄英はロボットを使った授業をしている。

 いざという時、容赦なく人の命も奪える攻撃も出来るよう体に教え込む。

 そうして徐々に、時間をかけて慣らしていくんだ。

 ロボット相手に出来ない事を、いきなり人間相手に出来る訳が無いだろ」

「……やりますわ」

 八百万が決意を露わにした。

 他の生徒達も次々に同意する。

 先ほどまでとはクラスの雰囲気がまるで違っている。

 青石の表情が見える。

 こんな事は嫌だと叫びたい。そんな風に見えた。

「仕方がない……か」

 委員長の飯田が本当に仕方がなさそうに呟く。

 周囲の生徒も消極的にその意見に賛成していく。

 始まる前はノリノリだった生徒も、今は違う。

 隠された意味を知り、戸惑い困惑している。

 緑谷の拳に力が入る。例え青石がどのような選択をしようとも、自分のする事は変わらない。

 青石の思想は危険だ。

 今のまま行けば間違いなく彼女は、緑谷のアズライトを殺しに来る。

 そんな未来緑谷には耐えられない。

――緑谷君……

 緑谷のアズライトが出てくる。そっと彼女の手と緑谷の手が重なった。

――……例えあなたが道を違えたとしても。何が有っても。私はそばに居るわ。

 緑谷の胸の奥に熱い炎が宿った。

 

 言葉を介さずとも互いに意思が伝わる。

 かつて緑谷はヒーローになりたかった。オールマイトのようになれればそれでよかった。

 今もその夢は変わらない。だがそれ以上に、守りたいものが出来た。

 憂いに深まる青の少女を見つめる。

 彼女の透けた姿の向こうに青石が居た。

 重なり存在する二人の青の少女を、緑谷は見る。

 青石ヒカルは危険な道に陥りつつある。そう緑谷は確信している。

 その時止められるのは自分だけだ。

 青石にも欲しい世界はあるのだろうが、緑谷だって譲れない。

 緑谷の大切なものは既に、今ここに有るのだから。

(絶対に守って見せる。君も世界も、何もかも!)

――馬鹿……

 拭えないアズライトの目から流れる一筋の涙。その理由が緑谷には分からなかった。

 空からポツンと雫が垂れた。

「雨が……」

 最初は弱かったがどんどん強くなって振ってくる。

 しまいにはバケツをひっくり返したような勢いになっていた。

「今日の屋外演習は中止する!」

 相澤の声が遠く聞こえた。

 いつの間にか生徒たちは相澤に連れられて、遠くの方に行ってしまっていた。

 屋外では出来ないという判断だろう。

 前を見る。ずぶ濡れの青石が居る。

 彼女の顔が濡れているのは、雨のせいだけでは無いと分かった。

 彼女と視線がぶつかる。

「君が降らせたのか?」

「……ボクが何もしなくても、雨はいずれ降るものだよ」

 声が震えている。手も。濡れネズミになって行く二人。

 雷鳴が遠くで鳴る。更に風まで吹いてきた。

「止ませることは出来るんだろう」

「出来るけど、出来ない。緑谷君だって分かってるでしょ」

「君はどうしたいんだ?」

 青石の顔がぐしゃっと歪んだ。

 この空と同じくらい荒れている。

 彼女は絞り出すように声を出した。

「……分かんないの。皆を幸せにしたいのに、出来ないの。

 何かを助けると、何かが歪んじゃうの。何もかもは救えないの」

 それが世界の真理で道理。

 全ては救えない。

 どれだけの力が有っても、変えようがない。

 人という存在は、誰もが善人では無い。

 個性がなくなろうが、(ヴィラン)は決して居なくならない。

 だが青石は人々に山を動かせ、水の上を歩け。そう言わんばかりに出来ない事を要求している。

 人が人である限り、それは不可能な話だ。

「僕は、ヒーローになる」

「……うん」

「僕は……僕にも守りたいものがる。ゆずれない願いが有るんだ」

「ボクは、皆を幸せにしたい。……幸せにしたかった。君も……幸せにしたかった」

 青石の背後に影が一つ刺した。

「青石」

「相澤さん……」

 青石の隣に相澤が来た。青石を傘の下に抱いて招き入れる。

 ぐっしょりと濡れた青石の服が、肌にぴっちりと張り付いている。

 青石は寒そうに相澤の胸の中で震えていた。

 世界で一番強い筈の彼女は、この瞬間は一番脆い存在に見えた。

「こんなの個性でどうとでも出来ただろ。なんでしなかった?」

「……出来るようになったら分かるよ。相澤さんにもきっと」

「無茶を言うな。……とにかく教室に来い。緑谷もだ」

 相澤から傘を投げ渡される。緑谷はアタフタしながらなんとかキャッチした。

「今日は教室で自習していろ良いな」

 相澤と青石は相合傘に入ったまま去った。

 緑谷はただ雨に打たれながら空を見上げる。

――戻らないの?

「ああ」

――傘、差さないと濡れてしまうわ

「今はこうしていたいんだ」

――そう

「……泣いてるの?」

 アズライトが隣に居た。前に回り込む。

 彼女は顔を上げようとしない。

 自分の肩を抱き、静かにすすり上げている。それが何故なのか。緑谷には分からない。

 人の悲しみを止める事が出来ないように、人に雨を上がらせることが出来ないように。

 彼女の涙をぬぐう事が、緑谷には出来ない。

 世界の理不尽は、雨のように降り続けている。

 緑谷は傘を差した。

 目の前の彼女が濡れないように傘を持ち一歩寄る。

――私は雨に濡れないわ

「でも……泣いてるじゃないか」

――そうね

「なぜ泣くの?」

――あなたが、それを分からないから

「……」

――ごめんなさい。困らせたい訳じゃないわ。でも今は……今だけは。泣かせてほしい

「今だけじゃなくていい。君はもっと我儘を言うべきだ」

――私は、作られた道具よ。あなたの個性。あなただけのための個性(ちから)

「違う、君は人間だ。君は人の為とかそれより先に、自分の為にあるべきだよ」

――それは……

「違うなんて言わせない。僕は! 僕は……」

 先を言おうとしても言えない。言う勇気が無かった。

 それを言ってしまうと、決定的に何かが動いてしまって、後戻りが出来ない。

 そんな予感がした。

――緑谷君……無理はしないで。

「……うん」

――いつか続きを聞かせてくれたら。それでいいから。

 ただ、例え雨を止める事が出来なくても。

 共に傘をさし、そばで待つことが出来たなら。

 それが人の持ち得る一番の幸せなのではないか。

 静かに泣き続ける彼女(アズライト)彼女(青石ヒカル)

 二人の青の少女が、理不尽を嘆いていて、だからこの世界の誰よりも優しい。

 そんな事を緑谷は考えていた。

 この世界の隠された真意は、雨の向こうに紛れて見えなかった。


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