膝の上に座ったプラムを抱き締め、それはもう愛おしく抱き締めながらカイはご機嫌にライラに言う。
「ライラ様、というわけで私の勝ちって事で♪」
「も~、なんであなたは負けちゃうのよ~☆ 私まで負けちゃったじゃな~い」
「ど~~考えても僕勝てませんでしたよねぇ!? 勝ったら種の存亡に関わっちゃってましたよねぇ!?」
「そ~なの? ライラちゃんよくわっかんな~い♫」
大きなため息をついて、明らかに疲れた様子を見せるプラムをカイは、優しく頭を撫でて。
「大変だね、本当に」
と耳元で囁けば、
「それ、本気で言ってますぅ? 綺麗にその大変と言われた状況を利用して僕の事を必敗にしましたのにぃ」
「可哀想だなーと思ってるよ? だからはい♪ 血、舐めていいよ♪」
皮肉たっぷりに言い返して来たプラムの目の前で、手の甲に自らの爪を立て、一気に引っ掻いた。
薄い皮膚を傷つけたことでうっすら滲んだ赤い色を、
「キャッホ~♪ カイ様大好きです愛してますぅ♪」
まさしく目にも止まらぬ速さででカイの手の甲へ吸い付いたプラムは、
「ふぉォぉッ!? これこれこれこれですよぉ! 濃厚で芳醇な魂の旨味!! 空様から頂いた血に負けずとも劣らないクリ~~ミィなまろやかさ!! 空様の血は海ガメの卵と表現しましたが、カイ様のはさながら夜明けに輝く花から滴る
と相も変わらず独特な美食レビューを声高々に宣伝する。
「なぁカイ。そっちの勝負終わったみたいだし、ちょっと
「ご自由に?」
血を舐めさせ、満足げな顔をしているカイに向かって声を掛けた空は、
「カイさ、俺等に挑んだ勝負に
と確信を得た質問をカイにぶつける。
その質問をした瞬間にそんな馬鹿な、とその場に居た『
「んー。まぁ
カイが返したのはまさしくその馬鹿な答えで。
「けどなんでこのタイミングで確信を得ちゃったの? もっと前に気付いてたんでしょう?」
「いやさ、ドヤ顔かましたのに違いました。なんてかっこわりぃじゃん?」
「確信無き……ドヤ顔……ダメ……絶対」
膝の上のプラムごと空達の方へ体を向けて、しっかりと真っ直ぐに見据えるカイに向けて投げかけられたのは『
「つまりアナタは、マスターへ悪ふざけで挑まれたと?」
「それ冗談で言ってる? 勝負を悪ふざけなんて言って欲しく無いんだけど?」
挑発的とも取れるジブリールの発言に対し、あからさまに噛みついていくカイ。
「勝つ気が無いのに挑まれるという事の、どこが悪ふざけで無いのでございましょう?」
「物事をちゃんと捉えてくれた空と白ちゃんとは違って、ジブリールは辿り着けてないだけでしょ?」
いつの間にかカイの目前へと移動したジブリールは、視線で火花を飛ばし始め、
「ジブリー……ル。ステイ」
白に言われるまでカイへ視線で喧嘩を吹っ掛け続けていた。
「とりあえず続けっぞ? 一つ、そもそもあの勝負だけカイの戦い方が違った」
事前に読み込んだ作品から各キャラの性格、行動、弱点。あらゆる事を理解し、計算し、先読みし。
勝負を受けた時点で相手が敗北しなければならないように仕向けた先の二戦と違って。
真っ向から『
「二つ、要求した内容がさっきまでの二戦とまるで違った」
カイの戦い方の根幹は勝つ事ではない。相手に負けて貰う事にある。
それを達成する為に、あえて自分の要求に旨味が少ないながらも、相手にとって利益になる要求を提案していたし、逆に負けなければ不利益になる提案も行っていた。
が、あの勝負の時の要求にその考えは折り込まれていなかった。
「三つ、そもそも勝負内容。あれで『
「トランプ……一組で……イカサマ……前提? 白の……独壇……場」
そもそもカイの知っている作中において、無敗を誇っていた『
「これらを踏まえての俺の考えはさっき言った通り、はなから負けるつもりだったって事だ」
そう言い切った空の言葉を聞いて、やはり、と一歩踏み出したジブリールは、
「けど」
そう続く空の言葉に動きを止めた。
「ぶっちゃけそこんとこはどーでもいいんだわ。普通に楽しめたし」
「最初から……負ける……つもりで……勝負……投げなかった……し?」
「だからこそここまで考えた訳だが――」
「負ける……目的……何?」
不思議そうに首を傾ける白の肩に手を置いて、空が答える。
「答えは簡単。目的なんて無かった。違うか?」
「本当に空はなー。踏み込み過ぎってのは知ってたけど、本当に奥まで踏み込んでくるよね」
「知ってるんだろ? 昔からなんだわ」
笑顔を向けたカイに対して、苦笑を返す空。
「つまり負けるのが目的なんじゃない。もっと前、勝負を挑む事が目的だったって訳だ」
「そう……考える……と……、要求も……変じゃ……ない」
勝った時は、カイの説明を信頼を持って信じてもらえて。
負けた時は、空の質問に答える。
この二つの要求は、とある前提を足す事で全く同じ要求となってしまう。
つまり、
「
「空、本当に好き♪ 大正解、その通りだよ」
満足そうにプラムの後頭部に顔を埋めながら、笑顔を空に送る。
一瞬だけムッとした顔を白がするが、空に頭を撫でられた事でいつもの表情に戻る。
「んじゃ、踏み込んだついでにもう一つ質問だ。どうしてそこまで